はじめに
「体育会系の学生は就活に有利」という、うわさを聞いたことはないでしょうか。
実際に有名企業に先輩が就職しているという体育会系の学生は少なくありません。
そういったことから「体育会系に所属していれば就職も安泰だ」と考えているかもしれませんが、実際にそれを信じていて良いのかわからない人もいるでしょう。
今記事では、なぜ体育会系の学生は就職に有利といわれているのか、その理由と共に、体育会系に所属するメリットやデメリットについてもくわしく解説します。
体育会系とは?
体育会系とは、一般的に体育会系の運動部に所属している人のことを指します。
また運動部で重視される気質をもっている人や組織を指して「体育会系」と呼ぶこともあります。
また、その反対語に該当するのは「文化系」です。
体育会系といわれる人の気質とは以下のようなものです。
・個人ではなくチームプレーを重視
・チームの規律に従って行動する
・一丸となって目標や目的達成を目指す
体育会系では、気質に加えて困難を乗り越える強い精神力や忍耐力を、日々の練習で身につけることが求められます。
さらに体育会系で人とのつながりは、上下はもちろん、横の関係も重視されます。
その結びつきの強さや人とのやり取りの経験が豊富なことから、誰とでもうまくやり取りできることも体育会系の強みと言えるでしょう。
体育会系学生は就職に有利なのか?
体育会系学生が就職に有利といわれるのは、その独特の気質が仕事に活かせるからです。
しかし、体育会系の部活動やサークルで培ったその気質を、就活で有利にアピールできるかは自分次第とも言えます。
体育会系だから必ず就職できる・就職に有利になるという明確なデータはありません。
それでも「体育会系の学生は就職に有利」といううわさが必ず出てくるのは、体育会系の学生のもっている強みをアピールして内定につなげている人が多いからです。
企業の側も「全体の目標に向かって全力を尽くす」「きびしい上下関係の中でも自分を高められる」体育会系の学生に良いイメージをもっています。
ただ参加しているだけでは有利にはならない
体育会系の学生が就職に有利なのは、体育会系で培った気質、また企業が体育会系に対し良いイメージをもっていることが理由の1つです。
ただ、体育会系の部活やサークルに所属しているから、就職が有利になるということではありません。
「ガクチカ」を企業にアピールできるのは、積極的に活動し結果を出している、自分の成長を把握できている人だけです。
きちんと挨拶ができる、目上の人を敬う行動ができるといった体育会系学生なら、できていて当たり前のことができなければ期待外れと思われてしまいます。
体育会部活に所属するメリット
体育会部活に所属すれば、学生生活が充実するだけでなく、就活でも有利になるとはいわれています。
実際にはどんなメリットがあるのかわからないまま所属しても、ただ在籍していたというだけで、自己アピールするときには具体的な説明ができないかもしれません。
企業がなぜ体育会系の学生を採用したいのかを知るためにも、まずは所属するメリットや所属することでどんなことが身につくのか、以下の項目でくわしく見ていきましょう。
規律を重んじることができる
企業が求めている規律を重んじる気質を、体育会系の学生は部活の中で自然に身につけています。
体育会部活では、誰もが競技におけるルールを守ることはもちろん、審判や大会運営者に対する感謝や尊敬の気持ちで接することをまず学びます。
さらにチーム内の上下関係で上に立つ人間を敬うこと・チームが1つになるために守るべきルールや自分の立ち位置をわきまえること、これはそのまま会社で働く人間として身につけておかなければならない考え方です。
企業コンプライアンスが重視されている昨今、企業でも規律を遵守できる人材が求められています。
組織の中で働くためには、目立った個性や能力以上に、まず会社のルールを守れる人間であることが大切なのです。
協調性があり、チームワークを大事にすることができる
体育会系の学生が部活の中で求められる協調性、チームワークを大事にする気質も企業が求めているものです。
団体スポーツはもちろん、個人競技でも単に良い記録を残して、勝利を手にすれば良いというものではありません。
成績や結果を残すためには、毎日の練習の積み重ねが必須であり、またどういった練習をしてどのように気持ちや体調を高めていくかも、チームの仲間で教え合い支え合うことが必要です。
企業においても同じことが言えます。
才能や能力がある人間だけでは、会社は回りません。
周りと協調し、強いチームワークで全員が課題に取り組んでいくことで会社は支えられています。
また失敗したときにもチームで支え合い、乗り越えていくことが必要です。
だからこそチームワークの重要性を理解している体育会系の学生が求められるのです。
勝ちにこだわることができる
体育会系の学生が普通に身につけている、勝ちにこだわる気持ちも企業では必要なものです。
もちろん勝ちにこだわるといっても、勝負事である以上、いつも勝てるわけではなく負けることもあります。
それでも「なぜ負けてしまったのか」「勝つにはどうしたら良いか」を常に考え続けられるからこそ、常に成長し続けられます。
企業においても、毎日が勝負であり競争に勝ち抜かなければ、業界の中で生き延びられません。
だからこそ勝負にこだわり、常に勝つためにどうすれば良いのかを考えられる体育会系学生の気質が求められます。
競い合うことや勝ちにこだわる気持ちは、社会人になってから身につけることは難しいかもしれません。
だからこそ、体育会部活でその気質を身につけているということは貴重なのです。
きびしい環境でもストレスに耐えることができる
体育会系の学生が身につけているストレス耐性も、企業が求めているものの1つです。
体育会部活では、常に勝つためにきびしい練習を積み重ねているだけでなく、激しい競争が日々繰り返されています。
レギュラーの座をつかみ取るためには、自分以外は皆ライバルであり、レギュラーになったとしても、結果を出せなければいつ下ろされてもおかしくなく、常にプレッシャーやストレスにさらされています。
そういった環境の中に身を置くことで、ストレスに対しての耐性を身につけられることも体育会系の学生の強みです。
企業においても、常にストレスと向き合うことが求められます。
あえてきびしい環境に身を置いている体育会系の学生は、それだけでストレスに強いと、企業には考えられているのです。
課題解決能力を備えている
課題解決能力を身につけていることも、体育会系の学生の強みといえます。
体育会系の学生は、勝つために何をすればいいのか、常に個人と全体のことを考え、課題を見つけ出し向き合っているのです。
さらにその課題を修正し改善するといった試行錯誤を繰り返しながら、失敗と成功を繰り返し、自分自身やチームをより良くするように考え続けています。
課題を自分で見つけ出し、解決したという経験は、そのまま会社で活かせる強みです。
人に言われてそうするのではなく、自分で課題を見つけられる能力は、大きな武器です。
自分と向き合い課題を見つけ出し、かつ解決のために行動できる能力は、教えれば身につくというものではなく、企業にとって即戦力になる人材と受け止められます。
体育会部活に所属するデメリット
就活において、体育会部活に所属していることはそれだけで強みです。
企業が求める気質を多く兼ね備えているということであり、貴重な人材として受け止められるケースは多いのですが、体育会部活に所属していることに対して、採用側ではデメリットと受け止められる面もあります。
そこで、体育会部活に所属しているからこそ、知っておきたいデメリットについてもくわしく見ていきましょう。
デメリットを把握し、逆に強みへ変えることを考えておくことが必要です。
上の意見を大事にしすぎてしまう
体育会系の学生は、規律を重んじ、チームワークを大切にする気質が強いことから、上の意見を大事にしすぎる傾向があります。
もちろん目上の人間を尊重すること自体は間違いではありません。
監督やコーチ、先輩を大切にしてきた気持ちは、企業で働く場合においても大切なことです。
しかし、チームワークを乱さないために協調性を保とうとする傾向が強いことは、無難に物事を済ませようとすることにもつながります。
そのため上司に意見をしない、改善をすべきことでも提案しないといった行動を取りがちです。
会社内で問題を起こさないことは大切ですが、そのためにすべきことをしないのでは本末転倒です。
上の人間を尊重すると同時に、改善すべきことはきちんと意見を伝える、またそういった行動ができる人間であることを就活の際にはアピールしましょう。
就活スケジュールが組みにくい
就活のスケジュールが組みにくいことも体育会系学生のデメリットです。
大会に参加したり、そのための練習が詰まっていたりすることが多く、なかなか就活の時間が取れない、またインターンシップに参加できないことが少なくありません。
これはデメリットですが、アピールできる強みに変えることもできます。
スケジュール管理をして、部活動や大会に参加しながら企業説明会やインターンシップに参加し就活もこなせれば、自己管理ができているアピールになり、企業にも評価されます。
反対に「部活をしているから」といった言い訳をしてしまうと、仕事でも言い訳をする人間だと取られかねません。
実際に部活をしながら就活をこなしている学生は多くいるため、自分でも工夫してみることをおすすめします。
体育会部活と学業/アルバイトの両立は可能なのか
体育会部活に所属してみたいけれど、学業やアルバイトとの両立ができるかわからず、ためらってしまうことがあるかもしれません。
結論からいうと、スケジュール管理ができるかどうかは自分次第です。
ただし所属する部活によっては早朝から練習がある、また授業が終わったらすぐ練習、ということもあるかもしれません。
さらに大会は土日に開催されることが多いため、それを考えると部活をしながらアルバイトをするのは難しいとも言えます。
学生である以上、学業を優先することは当然です。
学業と部活で時間が一杯なら、アルバイトはしない、もしくは単発の仕事を探すといった解決策を考える必要があります。
まずは部活の練習頻度やスケジュールを確認し、選ぶことも考えてみましょう。
まとめ
体育会系の学生は、企業が求める気質を兼ね備えており、就職に有利とされています。
しかし、ただ所属しているだけで就職が有利になるわけではないため、就活のためだけに参加することはおすすめできません。
体育会部活によっては学業との両立だけで手一杯になり、アルバイトができなかったり、就活の取り組みがほかの人よりも遅れてしまったり、といった事態も起こるかもしれません。
企業から求められる人材となるためにも、目的意識をもって体育会部活を選びましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート