はじめに
就活の面接では、自分自身について深いところまで質問されます。
学生時代に力を入れたことや自己PRのような王道の質問以外で、よく聞かれるのが自分自身の長所と短所です。
「正直に言ってしまったら選考が不利になるのではないか」と、困惑する気持ちも理解できます。
しかし、自分の良くない部分を自覚していることは、自分を客観的に見つめられていることの証明でもあるのです。
さらに、克服のための工夫や努力を見てもらえれば、マイナス評価をプラスに変えられます。
内向的な性格は短所になる?
無口であったり、自己主張が少なかったりする人を「内向的な人」と表現することがあります。
内気である、またはマイペースな人もそう評価された経験があるかもしれません。
しかし、内向的な性格の本来の意味は、興味や関心の対象が自分自身に向かう傾向があるということです。
また、自分の性格が内向的だと感じている方も、決して珍しくありません。
このように、内向的な性格は多くの方に見られる傾向ですが、それが本当に短所となり得るのかについて解説します。
内向的な性格は立派な短所
内向的な性格であることは立派な短所であり、就活の面接で聞かれたら、正直にそう伝えてかまいません。
面接官からネガティブな解釈をされないようにすることだけ注意しましょう。
内向的だからといって、他人とのコミュニケーションが取れないなど、社会不適合な面があるとは決めつけられません。
いくら内にこもりやすい傾向があるといっても、きちんと社会に適応できていることは理解してもらう必要があります。
ネガティブな誤解を避けるためにも、自分の人柄は正しく伝えてください。
内向的な性格をアピールする学生は多い
現代の日本において、内向的な性格の持ち主はまったく珍しくありません。
短所を聞かれたときの回答として、そのように答えようとしている学生もたくさんいます。
それこそ、同時に面接を受けている中に複数いてもおかしくありません。
しかし、それでは面接官の印象に残らず、自分に対して興味をもってもらえないでしょう。
そこで、重要になるのは、ほかの学生との差別化です。
内向的な性格を自分の言葉で説明する必要があります。
面接官にインパクトを与えるような、オリジナリティのある説明を考えてみてください。
企業が短所の回答に期待していること
そもそも企業はなんのために、就職希望者にわざわざ短所について質問するのでしょうか。
以下で、その意図について解説します。
企業がその質問を通じて、なにを知りたがっているのか、どのような回答を期待しているのかを知れば、回答をより作りやすくなるはずです。
面接官の印象に残るには、企業の期待通りの回答を用意しておかなければなりません。
質問の意図をふまえたうえで、伝わりやすく印象に残りやすい回答を作成しておくのがおすすめです。
学生の自己理解度
企業が注目しているのは、学生の自己理解度です。
自分の長所は、人から褒められたりすることもあり、気がつきやすいものです。
しかし、そうでない部分に関しては、人から指摘されることも少なく、自分ではよく理解していないこともあるでしょう。
ただし、これから社会に出たら、どうしても自分のウイークポイントと向き合わなければならない場面が訪れます。
学生のうちから、短所についての自己認識があるということは、自分のことを正しく把握している印象があり、就活を有利に進めていけるでしょう。
課題解決能力
企業が見ているのは、短所そのものだけではなく、それとどう向き合っているかです。
誰にでも良くない部分はありますが、その向き合い方には個性が出ます。
直すべきところを正確に把握し、その克服方法を考えて実行しているのであれば、課題解決能力があることの証明となるでしょう。
一方、何もせずに放置しているのであれば、それ以上の成長は望めません。
課題解決能力は、入社後も必要な力であるため、自分の課題解決能力に関しても、臆せず売り込んでください。
企業や業種との相性
短所は、企業や業種との相性の判断材料ともなります。
たとえば、リーダーを欲している企業や、明るく元気な接客を良しとしている業界では、内向的な人の活躍の場は限られてしまうでしょう。
企業の特色や業界的なニーズに反している難点の持ち主は、どうしても採用されにくくなってしまいます。
したがって、内向的な性格が仕事において障害となるような企業や業種には、別の説明をするのがおすすめです。
「相性が良くないかもしれない」という懸念を抱かせない伝え方がポイントです。
内向的な性格をアピールするポイント
「短所をアピールする」と言えば、不思議に思う方もいるかもしれませんが、それを利用して自分を売り込むことは可能です。
内向的であることが悪いことではなく、企業や業界との向き不向きがあるだけです。
過度に卑下する必要はまったくありません。
しかも、伝え方次第では、面接官に好印象を与えられます。
内向的な性格についてアピールするポイントを以下にあげるので、ぜひ参考にしてください。
面接官に良い印象をもってもらえれば、それで良いのです。
結論を最初に明示
今回の場合、結論は「内向的であること」ですが、これを最初に明示してから話し始めましょう。
最初は、単刀直入に「私の短所は内向的なところです」と言い切ってしまうのです。
そうすれば、話を聞いている人は、それ以降の話の道筋を立てやすくなります。
結論ありきで話したほうが、聞いている人は理解しやすく、あなたの話に集中できます。
自分の至らない部分をはっきり口にするのは、決して愉快なことではありませんが、潔く言い切っても問題ありません。
具体的なエピソードを伝える
自分の短所がよくあらわれている具体的なエピソードも重要です。
具体的な説明があることで、自分の人柄を正しく理解してもらえます。
エピソードがないと、あまりにも漠然としすぎているため、相手を理解しにくいのです。
ただし、エピソードは量より質です。
内向的な性格が一番わかりやすいエピソードを選んで披露すると良いでしょう。
もちろん、自分がそう思っているという理由で選ぶのは好ましくありません。
第三者の視点も意識したエピソードを選んでください。
内向的な性格を改善しようとしていることをアピール
短所である内向的な性格を改善しようとしていることのアピールも必要です。
たとえ内向的な面があっても「これまでの日常生活で心底困ることはなかったのか」と推測されます。
しかし、これからは社会人としてビジネスの最前線に出ていかなくてはなりません。
内向的な性格が災いすることもあるでしょう。
ただし、それが改善できるように努力している姿勢を見せることで、課題解決能力を示せます。
課題解決能力は、内向的という短所を打ち消せるスキルです。
内向的な性格の説明でほかの学生と差をつけるコツ
「ほかの学生と差をつけるならやはり長所のほうが良い」と思われるかもしれませんが、短所であっても説明の仕方によっては、周囲から一歩リードすることが可能です。
一口に「内向的」と言っても、その単語から受けるイメージは、その人によって異なります。
自分が考えている定義と、ほかの人が感じている印象には相違点があるかもしれません。
まずは、その食い違いをなくすような説明になるよう心掛けてください。
また、どこが問題でどう改善すべきか、自分の意見をしっかりまとめておきましょう。
内向的な性格を具体的に定義付け
内向的な性格とはどのようなものなのか、具体的に定義付けする必要があります。
そもそも、内向的とはどのような性格を意味しているのか、即答できるでしょうか。
もしできないのであれば、まずは内向的な性格の定義付けから始めなければなりませんし、内向的という単語は人にもたらすイメージは、必ずしも万人共通ではありません。
そのなかで、自分が思う「内向的」がはっきりしていなければ、回答もぶれてしまいます。
軸がぶれている回答で、到底相手を納得させることはできません。
「内向的な性格」を自分なりに言いえ
「内向的な性格」を、自分に当てはまる具体的な言葉に言い換えてみましょう。
実は、性格をあらわす「内向的」という言葉には明確な定義がなく、相手に解釈を任せるとてもあいまいな表現です。
面接においては、あいまいな表現はなるべく避けるべきです。
ただ、そこで自分に当てはまる具体的な言葉で表現すれば、企業側もあなたの人柄をイメージしやすくなります。
「口数が少ない」「相手と仲良くなるまで時間がかかる」など、あなたの様子を想像できるような言葉で説明しましょう。
自分の考え方や価値観と結びつける
短所について、自分の考え方や価値観と結びつけて説明すると、ほかの学生と差をつけられ、面接が有利になります。
「内向的」である自分が、そのことにどのような問題意識を抱いているかを面接官に知ってもらいましょう。
「内向的」であるだけで、人に迷惑をかけたり悲しませたりするということはありません。
それでも、自分が考えている「理想の姿」とかけ離れているからこそ、直さなければと思うのでしょう。
短所から、自分がどういった人間を目指しているのかを説明できます。
自分なりの改善策を合わせて伝える
短所と自分なりの改善策は、セットで伝える必要があります。
良くないところであると認めた以上は、そのままで良いわけがありません。
自分なりに考えたものでかまわないので、改善策も必ず用意しておいてください。
改善策を合わせて伝えるメリットは、向上心や課題解決能力・自走力のアピールが可能な点です。
これらのどれが欠けても、社会人としては「甘えている」と評価されても仕方がありません。
短所があっても、それを打ち消すだけの長所があれば良いのです。
内向的な性格を短所としてアピールするためのエピソード選び
前述したように、内向的な性格を短所として売り込むためには、具体的なエピソードを添えて説明しなければなりません。
ただ、慎重に選ばなければ、そこだけが目立ってしまい、面接官に「内向的な学生」と認識されてしまうおそれもあるのです。
内向的であるのは、性格のほんの一部分のはずですが、一度ついたイメージがなかなか覆らないことは、これまでにも経験があるかもしれません。
そのような事態を避けるためのエピソード選びに必要なことを以下でご紹介します。
挫折経験や課題を見つけたエピソードは好印象
短所を説明するためのエピソードでも、挫折の経験や、そこから課題を見つけて取り組んだのであれば、面接官に良い印象を与えられます。
挫折や苦労をした経験は、気持ちの切り替えがきちんとできる印象を与え、問題を乗り越えられる力があると感じられるからです。
内向的であるがための挫折をどうやって乗り越えたのか、面接官は大いに興味をもつはずです。
また、挫折しても立ち上がれる人材を採用したほうが、企業としても安心でしょう。
数字で証明できるエピソードはわかりやすい
短所を乗り越えたことについて、どのように証明するかも、重要なポイントです。
これから社会人になるのであれば、ぜひ売り上げや順位などの数字で説明できるエピソードを選びましょう。
学生のうちは、達成感だけで成功と言っても良いかもしれませんが、仕事は違います。
すべては数字が物を言う世界です。
社会人である面接官は、当然、成果を数字であらわすことに慣れています。
達成度を想像しやすいように、数字で証明できるエピソードがあれば、それを選んでください。
人に迷惑をかけてしまったエピソードはできるだけ避けよう
挫折を乗り越える、または数字で証明できるエピソードの好感度が高い一方、人に迷惑をかけてしまったエピソードはできるだけ紹介しないのが得策です。
人を巻き込んでしまったり、多大な損失を与えてしまったりしたエピソードはあまり良い印象を与えません。
人に迷惑をかけるのは、難点としても行き過ぎではないでしょうか。
もし、迷惑をかけたのであれば、それを挽回するまでがセットです。
迷惑をかけっぱなしでも平気な人間を信用して採用する企業はありません。
内向的な性格を短所に回答する際の注意点
短所を聞かれて「内向的な性格」と回答するときは、注意すべきことがあります。
この注意点を守らないと、面接官には悪い印象ばかりが残ってしまうでしょう。
いくら短所についての質問への回答といっても、それ自体をアピールするのではなく、自分がどのように対応しているのかを示さなければならないのです。
開き直ったり、人のせいにしたりするような発言は慎みましょう。
チャンスを生かすも殺すも自分の発言次第であることを認識してください。
直す気がないのはNG
自分の短所をきちんと認識しておきながら、直す気がないのは当然NGです。
「誰にでも悪い部分はあるから」などと言って、開き直った態度は印象が悪くなります。
パーフェクトな人間はいないので、弱みのあること自体が問題ではありません。
自覚しているにもかかわらず、直そうとしない態度が問題なのです。
面接では、自分の問題点をきちんと分析し、それを克服するための努力をおこたっていないことのアピールが、好印象の獲得につながります。
人への配慮を忘れずに
自分が挫折したり苦労したりしたエピソードになると、そこに登場する人のことを悪く表現しがちです。
しかし、その場にいない人であっても、その人のことを配慮して、悪く言ってはいけません。
相手が自分を受け入れてくれなかったのではなく、あくまでも自分に非があるというスタンスを崩さないでください。
面接官も人の悪口を聞かされては、たまったものではありません。
エピソードの登場人物への配慮を忘れずに、悪口に聞こえないような説明を心掛けましょう。
内向的な性格を短所として伝える例文
ここからは、内向的な性格を短所として伝える例文を3つ紹介します。
面接でよどみなくハキハキと答えるためには、想定される質問には、あらかじめ回答を作っておくことが必要です。
今回は、アルバイト・サークルや部活・学校生活の3つのシチュエーションに分けました。
内向的な性格が引き起こしたトラブルやその解決策から、課題解決能力や向上心をアピールし、面接官の印象に残るような回答を用意しましょう。
そうすることで、次のステップへ進める可能性が高まります。
アルバイト経験をもとに内向的な性格を伝える
それが災いしてか、アルバイトを始めたいと思っても、最初はなかなか採用してもらえず、何度もあきらめそうになりました。
しかし、うまく話せない分、笑顔を絶やさず礼儀正しく振る舞うように心掛けていたところ、徐々に面接で話を聞いていただけるようになったのです。
そして、最終的に採用していただいたアルバイト先でも、にこやかで丁寧な接客を心掛け、自分の至らない点をカバーするように務めました。
それが功を奏してか、店長やアルバイト仲間から信頼されるようになり、そのおかげで自信を得られ、お客様に声をおかけするのもつらくなくなってきています。
今後も、内向的な部分を改善しつつ、私のモットーである丁寧さは忘れないようにしたいです。
サークルや部活経験で内向的な性格を説明する
サークルの練習中も、とにかく声を出すのが苦手で、よくコーチや先輩から注意を受けていました。
経験年数がほかのメンバーより長いという理由で部長に選ばれたときも、最初は困惑するしかありませんでした。
しかし、自分を変えることの必要性を感じ、自分から声を出すよう心掛け、それまでは遠慮していたメンバーへの注意もするようにしたのです。
恐れていたメンバーからの反発はなく、かえって「一緒にプレーしやすくなった」と言われ、ほっとしたのを覚えています。
もし御社で働かせていただけたなら、絶えず自分の弱点を克服するための努力をおこらず、積極的かつ会社の利益となるような行動を取れるようにしたいです。
学校生活で内向的案性格を伝える
自分の意見を出すのが苦手で、授業中のグループワークでもあまり発言せずに、ほかのメンバーの決定に従ってばかりいました。
ある日、私の得意分野がテーマだったことをきっかけに勇気を出して発言してみると、メンバーが思ったよりも好意的な反応をしてくれ、発表者を務めることになったのです。
その発表が終わったあとも、教授から内容を高く評価してもらえ、メンバーからも「お疲れ様、ありがとう」と声をかけてもらいました。
この経験で学んだことは、自分から動かないと何も変わらないということです。
これからも、成果をあげるために必要なことは、遠慮せずに自分から動き状況を変えていきたいと考えています。
自分らしく内向的な性格を説明してみよう
就活面接を突破するコツは、あなたの長所や魅力が伝わるような説明の仕方です。
短所に関する質問は、一見不利になると思われるかもしれませんが、企業は自分の問題点にどう向き合っているのかに興味をもっています。
そのため、短所も充分アピールポイントになり得るのです。
内向的な性格の持ち主にとっては、面接自体のハードルが高いかもしれません。
しかし、きちんと回答を用意しておくことで、自信をもって受け答えができるでしょう。
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