はじめに
就活をするうえで、グループディスカッションの対策は避けて通れません。
きびしい時間制限の中で、テーマに沿ってうまく進めるコツは、時間の使い方や進め方などをしっかりと把握し、練習を重ねることです。
時間内にしっかりと結論を出すためにも、適切な時間配分を頭に入れておくことは非常に大切です。
この記事では、うまく進行させるためのポイントや注意点などについて解説しています。
今後の対策として、ぜひ参考にしてください。
企業がグループディスカッションを行う理由
面接官に対して個別で直接アピールするのとは異なり、グループディスカッションでは、数名での議論の様子や発表までの一連の流れを見て、それぞれの能力を評価しています。
書類選考や個別面接などでは把握しにくい部分を見極められるため、選考に取り入れている企業も数多くあります。
また、さまざまな観点から評価することができ、求めている人材を見抜けるというのも、企業側にとってのメリットでしょう。
以下でグループディスカッションを行う理由についてくわしく解説します。
足切りをするため
学生を採用するにもそれなりのコストがかかります。
また、わざわざ時間をかけて、会社のニーズに合わない人材を採用する企業はまずありません。
今後、事業を拡大するためにも「コストをなるべく抑えながら、効率良く優秀な学生を採用したい」と考えるのが一般的でしょう。
グループディスカッションでは、1回の実施で多くの学生を集めることができ、効率良く人材を見極められます。
特に、グループディスカッションを採用活動に取り入れている企業では、コミュニケーション能力を重視しているところが多く、他者との接し方や積極性などを判断しています。
効率良く足切りし、個別に面接する価値があるのかという部分を見られていると考えて良いでしょう。
人柄を知りたいため
グループディスカッションでは、他者への配慮や協調性・倫理的思考力・積極性や人柄など、さまざまな角度からその人の個性を把握できます。
個別の面接とは違い、同世代の同じ立場である人たちとのグループコミュニケーションとなるため、より素に近い状態を見られると言えるでしょう。
また、企業によってはチームワークを重要視しているところも多くあります。
文章力は書類を通じて判断できますが、他者とのコミュニケーション能力はなかなか文字だけでは判断できません。
知らない相手に対しても積極的に動けるか・矛盾のない言葉で考えを述べられるか・相手を見て行動できるかなど、人柄を判断するために企業は応募者の立ち振る舞いを細かく見ています。
グループディスカッションで時間配分を決める理由
グループディスカッションに取り組むにあたって、時間配分を決める理由についても理解しておくことで、納得を持ってグループディスカッションに臨めます。
グループディスカッションで時間配分を決める理由は大きく分けて3つ存在するため、それぞれ一緒に確認してみましょう。
議論を効率的に進めるため
限られた時間内で多くの議題をカバーしなければならない場合、各議題に割り当てる時間を明確にすることで、全体の進行をスムーズにできます。
時間配分をあらかじめしておかないと、特定の議題に時間をかけすぎてしまい、他の重要な議題が十分に議論できない可能性があります。
また、時間配分を事前に決めておくことで、参加者全員が議論の進行状況を把握しやすくなり、無駄な時間を減らすことが可能です。
結果として、効率的かつ質の高い議論が可能となり、総合的なディスカッションの質が向上するのです。
最終的な結論に向かって議論をすすめるため
ディスカッションの目的は、最終的な結論を導き出し、次のステップや行動計画を確立することです。
そのためには、議論が適切なペースで進行し、最終的な結論に到達するための時間が確保されることが重要です。
時間配分を決めることで、各議題に対して適切な時間を割り当て、無駄なく議論を進められます。
例えば、初めに問題提起を行い、その後に意見交換を行い、最後に結論をまとめる、という流れを踏まえた上で時間配分をすることで、スムーズに議論が進行します。
これにより、議論が脱線することを防ぎ、最終的な結論に向けて効率的に議論を進められるのです。
公平な発言機会を設けるため
グループディスカッションにおいて、全てのメンバーが公平に発言できる環境を作ることは非常に重要です。
時間配分を決めることで、特定のメンバーが時間を独占することを防ぎ、全員に発言の機会を提供できます。
各議題ごとに発言時間を設け、全員が順番に意見を述べる形式を取り入れられます。
これにより、意見の多様性が確保され、より豊かな議論が展開されるでしょう。
また、全員が発言することで、メンバー全体の参加意識が高まり、グループの結束力が強まる効果も期待できます。
公平な時間配分は、全員が積極的に参加できる環境を作り出し、ディスカッションの質を向上させる要因となるのです。
グループディスカッションの全体の流れ
続いて、グループディスカッションの全体の流れについても理解を深めておきましょう。
どのような流れで進んでいくのかを理解しておくことで、本番でも戸惑わず、スムーズに取り組めます。
また、全体の流れを押さえた上で模擬グループディスカッションに参加することで、質の高い練習ができます。
自己紹介
グループディスカッションの始まりは、まず自己紹介からです。
自己紹介では、まず大学名と名前を名乗ることが基本ですが、これだけでは不十分です。
自分の特徴や、ディスカッションに対する意気込みなども簡潔に述べるようにしましょう。
例えば、「〇〇大学の△△です。現在、経営学を専攻しており、特にチームでの問題解決に興味があります。今日は皆さんと協力して有意義な議論をしたいと思っています。」などと話すと良いでしょう。
さらに、周囲のメンバーの名前を覚えることも重要です。
名前を覚えることでディスカッション中に名前を呼びかけやすくなり、より円滑なコミュニケーションが図れます。
また、相手に対する関心を示すことができ、好印象を与えることにも繋がります。
役割決め
自己紹介が終わったら、次に行うのが役割決めです。
グループディスカッションでは、役割を明確に分担することで議論の進行がスムーズになります。
一般的には、以下の4つの役割があります。
まず、司会は議論の進行を担当し、全体の流れをコントロールします。
次に、タイムキーパーは議論の時間管理を行い、各議題に対する時間配分を守る役割です。
発表者は議論の内容をまとめ、最終的に発表する役割を担います。
書記は議論の内容を記録し、重要なポイントをメモする役割です。
これらの役割を明確にすることで、議論が組織的かつ効率的に進行し、全員が積極的に参加できる環境を作り出せます。
時間配分の決定
役割分担が決まったら、次に行うのは時間配分の決定です。
時間配分は議論を効率的に進めるために欠かせません。
各議題に対してどの程度の時間を割り当てるか、全員で相談しましょう。
例えば、最初の問題提起に5分、意見交換に10分、結論のまとめに5分というように、全体の時間を細かく分けて計画します。
この時間配分を決めることで、議論が脱線することを防ぎ、全ての議題について均等に議論できます。
時間配分を明確にして、質の高いディスカッションを実現しましょう。
実践
時間配分が決まった後は、いよいよ議論の実践に入ります。
この段階では、与えられたテーマに対して積極的に意見を出し合い、課題解決に向けて議論を進めます。
各メンバーが自分の役割をしっかりと果たしつつ、他のメンバーの意見にも耳を傾けることが重要です。
特に、司会が議論の流れを適切にコントロールし、全員が発言できるように配慮することが求められます。
また、タイムキーパーは時間を厳守し、議論が予定通りに進むように監視し、状況に応じて次の議題に進めるなど、進行の管理が重要です。
こうした協力と調整のもとで、議論はスムーズに進行し、質の高い結論を導き出せるのです。
発表
議論の実践が終わったら、最後に発表を行います。
この段階では、これまでの議論を簡潔にまとめ、全体の成果を発表することが求められます。
発表者は限られた時間内で要点を明確に伝えることが重要です。
議論の過程で出た主要なポイントや結論を整理し、わかりやすく説明する工夫をしましょう。
また、発表は「単なる報告」ではなく、聴衆に対して説得力を持たせるための工夫も必要です。
可能であれば、視覚的な資料や具体例を用いると良いでしょう。
発表の質が高ければ高いほど、議論の成果が正確に伝わり、全体の評価も高まります。
したがって、発表はグループディスカッションの締めくくりとして非常に重要な役割を果たすのです。
グループディスカッションでおすすめの時間配分
グループディスカッションで重要なのは、とにかく対策や練習を繰り返し、慣れることです。
「なんの対策もせず、最初からうまくできる人はいない」と言っても過言ではありません。
足切りされずに良い結果を出すためにも、流れや時間配分をしっかり頭に入れておくことが非常に大切です。
ここからは、設定時間が20分のケースを想定して、時間配分の例をくわしくご紹介していきます。
時間が30分・1時間などの場合でも、以下でご紹介する配分の比率と同じように考えて問題ないでしょう。
定義(2分)
与えられるテーマは抽象的なものが多いため、何も決めずに話を進めてしまうと、メンバー内の認識がバラバラになる可能性もあります。
まずは全員の共通認識をそろえるように意識しましょう。
たとえば「良いコンビニの条件とは何か」「デパートの売り上げについて」など漠然としたテーマの場合、まず何について議論していくのか、あいまいなものを定義づける必要があります。
良い店の条件の確認をせず、経営者側と消費者側でそれぞれが考えていたら、話は噛み合いません。
しっかりと同じ定義で結論まで導き出せるよう、あいまいに感じるものは全員で確認し合うことが重要です。
しかし、時間をかけすぎてもいけません。
確認は素早く2分前後で行い、スムーズに次の過程へ進めるよう心掛けてください。
アイデア出し (5分)
定義が決まったら、5分程度で、テーマに対するアイデアを出していきます。
ここでは、メンバー全員でできるだけ多くのアイデアを出すようにしましょう。
思いついた考えが実際に可能であるのか、結果に結びつくのかなどは考える必要ありません。
どんどんお互いに意見を出し合い、視野が広がっていくようにすると、話し合いもどんどん発展していきます。
ここで注意すべき点は、マイナスな意見を言わないこと・黙ることです。
また、アイデアをたくさん思いついたとしても、1人で長々喋ってしまうと、ほかの人の時間を奪ってしまうことになります。
そのような行動は他者への配慮ができていないという印象を与えかねないので、なるべく発言は手短にしましょう。
アイデアのブラッシュアップ(10分)
次に、各自出したアイデアの中から、もっともテーマに適していると感じたものをピックアップしていきます。
ここでは10分ほどの時間をかけて、じっくりと全員でアイデアを詰めていきます。
そのアイデアに対してのメリット・デメリットを考える、または2つのアイデアを合わせたらより良い発展が望めるのではないかなど、思ったことは躊躇せず発言するようにしてください。
ただし、デメリットを出すときには、そのアイデアを良いと思っている人もいることは必ず念頭に置き、すべてを否定しないように注意しましょう。
あくまでも倫理的に発言し、周りの意見も尊重しながら、より良い方向に進むための指摘を心掛けることが大切です。
どのように発展させ、結果につなげられるかという発言ができると、高評価にもつながります。
発表準備(3分)
議論した結果をまとめ、グループでの結論を出したら、残りの3分を使って発表の準備に入ります。
ここでは、導き出した結論に対して根拠を明確にし「なぜ?」という疑問にもしっかりと説明できるようにすることが重要です。
そして、メンバーの中で誰が発表するのかを決めましょう。
発表者は、まとめた内容を読み上げるだけではありません。
物怖じしない性格や、人前で話すことが好きな人は向いているので、プレゼンに慣れている人は立候補しましょう。
発表者が決まったら、再度全員で発表する内容を確認し合います。
万が一、最後まで結論に対して反対派の意見であっても、お互いの考えを認め合うことが大切です。
否定的な発言は避け、全員できちんと内容を共有してください。
グループディスカッションの時間配分がうまくいかなかったときの対処法
時間配分がきちんと決められていないと、グループディスカッションの成功は難しいでしょう。
時間を忘れて議論が白熱してしまっては、アイデアだけが散漫となり、結論を出すこともできずに終わってしまうからです。
状況を見ながら時間を管理することは非常に大切ですが、必ずしも時間配分がうまくいくとは限りません。
本番で慌てないためにも、時間を常に意識し、万が一のときにも対応できるよう、あらかじめ準備しておくことが重要です。
時間が足りない場合は不要な部分を削る
短い時間の中で、複数名が漠然としたテーマに沿って結論まで導くことは時間との戦いです。
普段の感覚で20分を考えると、決して短くはないように感じる長さでも、話し合いの場での20分というのは思っている以上に、あっという間に過ぎてしまいます。
このような感覚のずれがあると、しっかり時間配分を決めていても、時間が足りなくなることも多々あります。
配分がうまくいかず、時間が足りなくなりそうなときには、あらかじめ発表者を決める時間は削るように自ら提案をしたり、発表の練習を短縮したりと、できる限り削れる部分を削って対応しましょう。
提案をする場合、メンバー全員に問いかけることを忘れないようにすると、他者への配慮ができるという面で高評価を受けられる可能性も高まります。
余ったときにはさらなるブラッシュアップ
スムーズに議論が進行し、時間が余ったときは、さらにどんなケースが考えられるのかなど、積極的に問いかけて内容をブラッシュアップしていきましょう。
何もせず終了時間までダラダラと過ごすのは印象が悪く、そういった態度では良い評価をしてもらえません。
結論に至った内容であっても、質を高めるべく、見落としている部分はないか振り返ることが大切です。
ただし、ここで結論を覆してしまうような発言には注意してください。
せっかく話し合いでまとめた話を崩してしまうと、逆に時間が足りなくなってしまい、なんの結論も出せなかったという結果になる可能性があるからです。
あくまでメンバー全員で議論した内容は変えずに、余った時間を有効活用し、より良いものにすることを心掛けましょう。
グループディスカッションの時間配分の注意点
おすすめの時間配分で、定義を決めるところから発表準備までの時間について解説しました。
実際は、ほかにも役割を決める工程や、時間配分を決める工程などが必要です。
しかし、グループディスカッションでは、できる限り省ける箇所は省いて進めていくのがベストでしょう。
時間を無視するクラッシャーがいた場合は、無理にでも流れを中断させる必要があります。
ここからは、時間配分の注意点についてくわしく解説していきましょう。
時間配分は最初に提示する
グループディスカッションにおいて、時間配分をしっかり決めて議論を進めていくことは非常に重要です。
しかし、その時間配分を決めるために余計な時間を使ってしまうのは、もっとも無駄な行為と言えるでしょう。
ここに時間をかけすぎてしまい、肝心の議論に時間を割けなくなってしまっては、本末転倒です。
時間配分を決めるのに時間がかかりそうな場合は、スムーズに進行させるため、このくらいの配分で進めることに対して問題ないかどうか、先にメンバー全員へ提案するのがおすすめです。
また、時間配分をメモなどに書いておくのも良いでしょう。
議論に没頭しそうになっても可視化されていることで時間がすぐにわかり、提案する際にもほかのメンバーが時間を把握しやすくなり、無駄な時間を省くことにつながります。
時間通りに進まないものとして議論する
最初に時間配分を提案したり、きちんと決めたりしていたとしても、時間通りに議論が進むことはほぼありません。
アイデアを出すときに大幅に時間がオーバーしてしまった、予定外のことが起きてしまったなど、議論中は配分した時間通りに進まないことを前提に考えましょう。
うまくいかなくても、どこかでカバーができるように意識して進めていけば、いざ時間が足りないとわかっても冷静に対応でき、慌てずに済みます。
また、時間を管理するというのは、仕事をする際にも忘れてはいけない要素の1つでもあります。
役割を決め、司会やタイムキーパーがいる場合でも、常に時間管理とこなしたタスクを意識して議論を進めていくと、就職後にも役立つでしょう。
無駄な時間がないようにする
制限時間の中で意見を出し合い、結論を出すまでの間、なるべく無駄な時間は省きましょう。
大事な部分以外に少しでも時間を割いてしまうと、あっという間に時間が足りなくなってしまうからです。
役割を決める方法や、アイスブレイクなど、テーマや議論に直接関係のない時間は、できるだけ短くしてください。
ただしアイスブレイクは、初対面の人同士でも円滑なコミュニケーションを取れるようにしたり、雰囲気を和ませて意見を言いやすくしたりもできるので、心に余裕をもたせるためにはとても効果的です。
しかし、肝心の議論の時間を確保するため、アイスブレイクの時間は長くならないように注意しつつ、まず簡単な自己紹介や質問などでコミュニケーションを取ってみるのもおすすめです。
まとめ
グループディスカッションに苦手意識をもっている学生が多い理由に、経験や対策が必須であることをあげられます。
事前に知識も何もない状態でうまくできる人はいません。
しかし、経験や対策を充分にできていれば、良い評価を受けられるようになります。
そのためにも、時間配分の仕方や管理する意識をしっかりもち、円滑なコミュニケーションができるよう考えながら、限られた時間の中でいかに積極的な発言ができるかを考えましょう。
グループディスカッションで必要になる「考える力」は、今後の社会人生活にも役立つはずです。
今回ご紹介した時間配分のポイントや注意点などを参考にして、希望する企業から高い評価を得られるよう、しっかりとした対策を行いましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート