就職面接では、自分の過去の経験などを企業にアピールすることになります。スポーツの経験や学業、サークルなど、人によって伝えることは様々ですが、その中の一つにボランティア活動があります。営利目的ではなく、誰かのために、という気持ちで行うボランティア活動は尊いものです。実際に就活面接でボランティア活動について話す学生はどれくらいの割合で存在するのでしょうか。そして企業に対してボランティア活動をアピールするには、どういったポイントを意識すればよいのでしょうか。
ボランティア活動のPRは有効?
ボランティア活動の話をする学生は少ないと言われています。あるアンケートでは、ボランティアについて話したことがある学生は30%にも満たないという結果が出ています。反面、ボランティア活動の話は面接官に興味をもたれやすい題材でもあります。どんな活動をしたのか、そしてその活動や経験の中でどんなことを学んだのかという部分を採用担当者は知りたいと思っています。冒頭でも述べたように、ボランティアは非営利です。対して企業は利益を出すことで成り立っている組織です。言うなればボランティア活動と企業の仕事は正反対に位置するものなので、上手にボランティアの経験や学び、活動する目的や理由などを説明できなければ、ボランティアの経験をPRに活用することはできません。それどころか、最悪の場合、ボランティア経験を話すことでマイナスイメージを与えてしまうこともあります。ボランティアについて話をする場合は、事前にしっかり話すことを準備しておくようにしましょう。
活動動機を明確に伝える
ボランティアを始めたきっかけや理由を伝えることが、掴みとしては重要になります。この部分に興味を抱いている採用担当者は非常に多いので、理由が曖昧だとマイナスの効果を与えてしまうことでしょう。自己満足のため、アピールポイントを作るため、といった理由でボランティアに参加したのではないかと疑われることがないようにしましょう。活動の理由は大胆なものや大仰なものである必要はありません。自己満足やアピールポイントを作るために活動する学生も実際にいますし、面接官もそれをわかっているのが実情です。だから自分の参加目的がそういうものでない、ということが伝わるなら「友達に誘われた」「周りの大人に勧められた」など、簡単な理由でも構わないのです。というよりも、むしろ簡単な理由のほうが無難で、受け入れられやすいとも言えます。
なぜボランティアをしたのか?
ボランティアは言葉の響きやイメージが良いので、PR材料になると積極的にアピールしがちですが、目的や理由もなしに参加したのでは意味がありません。
明確な目的や理由を持たずにボランティアに行っても、迷惑になるだけである場合や誰かの役に立てることなく活動を終えてしまうケースもあります。
たとえば、大きな災害ではボランティアの力はとても頼りになるものですが、状況を読まずに、正義感だけで無鉄砲に出かけていっても、かえって被災地のお荷物になってしまいます。
その企業への志望動機にもつながり、入社後の活躍にもつなげることができるよう、なぜそのボランティア活動に参加したのか、何を達成しようと考えたのかを明確にしましょう。
なぜが明確になるエピソード
ボランティアを行おうと思った理由が明確に伝わりやすいエピソードを伝えることも大切です。
たとえば、災害ボランティアであれば、ボランティアを募集していたから何か力になれるかなと思ったといった漠然とした理由ではなく、被災地のために明確な志を持って志願したことがわかるエピソードを伝える必要があります。
また、老人ホームに高齢者介護のボランティアに行ったという場合も、なぜ、高齢者介護なのか、志望した動機を明確にしなくてはなりません。
学童保育のボランティア、障がい者サポートのボランティアなどさまざまな活動がありますが、なぜ、そのボランティアを選んだのかが伝わらないと、その人の考え方や行動力、人物像を面接官に伝えることができないので注意しましょう。
活動を通して学んだことを伝えよう
ボランティア活動を通して何を学んだのかを説明することは非常に重要です。きっかけになったことや、理由よりも重要なので、なるべく学んだことは具体的に述べるようにしましょう。そしてボランティアを通して自分の成長に繋がったようなことをアピールするのですが、ここが具体性に欠けると説得力が薄れてしまいます。分かりやすいエピソードや、ボランティア活動の中で立ちはだかった困難などを乗り越えた経験を話せるようにしましょう。そしてその経験は、自分だけが体験したという貴重さをアピールするようにしてください。
ボランティアをする目的は?
ボランティア活動に参加して得たことをアピールするうえで、そもそもなんの目的で、そのボランティアを選び、参加しようと思ったのか、目的を明確に説明することが大切です。
その目的を達成できる学びや経験が得られたのかを、エピソードの紹介を通じて、より説得力を持ってアピールするうえで必要となるためです。
そのボランティアに参加することで、自分が何を達成しようとしていたのか、何を得たいと思って参加したのか、将来的に役立つと考えて参加したのかなど、どんな目的からボランティアに参加したのかを、わかりやすく伝えましょう。
ボランティアから何を得たか?
ボランティアに参加したことで、当初の目的を達成することができたのかを通じて、ボランティアで得られたことを具体的に伝えましょう。
ボランティアにもさまざまな種類やシチュエーションがあり、得られる経験や学びは異なります。
また、その人の考え方や置かれている立場、育ってきた環境やそれまでの経験によっても、ボランティアから得られる学びや考え方や行動に与える影響は異なるはずです。
単にボランティア活動をして頑張った自分をアピールすることやボランティア活動をする自分は利他主義であって、会社にも貢献できる人間だといったことをアピールする材料にするのではなく、真摯に取り組んだことから得られたことを伝えましょう。
ボランティア経験が仕事に活きるか考える
これも重要な部分です。企業としては、学生のボランティア活動が仕事に活きるかどうかを見ています。ボランティア活動をした理由、そこで学んだことだけを話すのではアピールとしてまだ弱いです。学んだことを活かして、それが入社後の働きでどのように活きるかをアピールするところまで意識しましょう。経験したエピソードと仕事を繋げて考え、相手に自分の将来の具体的なイメージを抱いてもらえるようにしましょう。
得たことをどう活かせそうか?
就活で企業への志望動機をアピールするうえで、その説得力を高めるうえでボランティア活動を紹介した以上、ボランティア活動で得た経験やスキル、自分の価値観や行動が変わったなどの影響が、志望した企業で入社後にも活かせることをアピールできなくては意味がありません。
志望動機はあくまでも、自分がその企業にとって必要な人材であること、企業の事業や業績に貢献できる人物であることをアピールする場です。
にもかかわらず、ボランティア活動に取り組める慈善精神や思いやり精神があるから認めてほしいでは、説得力に欠けます。
企業がどんな人物を求めているかをしっかり理解したうえで、求める人物像にボランティアで得た経験が活かせることをアピールしましょう。
活かしたことがあればエピソードを考えよう
ボランティアに参加した際の経験と、そこから得た学びや自分の考え方や価値観、行動パターンなどに与えた影響を話すだけでなく、ボランティアで得たことを実際に活かしたエピソードもあれば、あわせて紹介するのがおすすめです。
単にボランティア活動をした経験をアピールするのではなく、そこで得たことをすでに活かせていることがアピールできれば、企業に入社後も活かせることが伝わりやすいからです。
どのように活かしたのかを具体的かつわかりやすく、簡潔にまとめて話せるように準備しましょう。
実際に活かしたエピソードを紹介したうえで、それを踏まえて、入社後にも活かせるとのアピールで全体をまとめることができるとベストです。
終わりに
ボランティア活動は上手に伝えられればとても良いアピール材料になります。採用後に活躍してくれそうだと思われるように、今回紹介したいくつかのポイントに注意しながら話してみましょう。ボランティア活動から、人柄や価値観などが分かる部分もあります。好印象を与えつつ、将来どんなふうに働いていくかを具体的に伝えられるように話を展開してみてください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート