はじめに
企業が学生を選考する方法として、グループディスカッションを取り入れているケースが多くなっています。
その際に、グループディスカッションにおける各学生の役割を決めていきますが、書記に選ばれた場合、アピールの仕方に困る方もいることでしょう。
そこで、今回はグループディスカッションで書記に選ばれた際、選考を突破する方法について徹底解説していきます。
ここで突破方法を学んで、どんな状況でもアピールできる力をつけて、選考に臨みましょう。
企業がグループディスカッションを行う目的
そもそも企業がグループディスカッションを行う目的に着目していきます。
グループディスカッションはあえて学生同士で話し合いをさせる方法であり、人事担当者が直接質問をぶつけたりすることはありません。
ただ、人事担当者が必ず注目している点や、なぜそのような方法で選考を行うのかという明確な理由があるので、そこを押さえておかなければなりません。
この項で各ポイントを押さえておき、アピールするべき点を把握してグループディスカッションに臨みましょう。
足切り
単純に学生の「足切り」としてグループディスカッションを使う場合があります。
特に大企業などでは、志望者の数が採用人数に比べてとても多いです。
まずグループディスカッションを行い、その中の評価が高かった学生だけで面接をスタートさせる場合もあります。
このように、最初の学生の登竜門としてグループディスカッションを行っている企業では、いかにそのグループの中で自分を評価してもらうかが大切になります。
人事担当者に「この学生はおもしろい」と思わせないと、次のステップに進むこともできません。
まずはグループディスカッションの中で存在感をあらわしていきましょう。
また、グループで中間管理職のような役割を担えるという点もアピールに使えます。
たとえば、書記であれば他メンバーの意見を誰でもわかりやすくまとめることで、そのグループの理解度が高まり、自分自身のアピールをしていなくても自然に評価をされるでしょう。
人柄
グループディスカッションを行う目的として「各学生の人柄を知る」ということがあげられるでしょう。
これは足切りとして行われるグループディスカッションとは違い「各学生の良い部分を確認したい」と人事担当者が思っている場合です。
面接は一対一で面と向かって意見や主張をできますが、その学生の本質を知れるかと言えば、またそれは別でしょう。
しかし、グループディスカッションの場合は、同じ学生と話し合いを重ねる中で、その人の自然な仕草やくせ・表情や言動で人柄がすぐにわかります。
言い換えると、グループディスカッションの中で人柄は把握されています。
そのため、面接時はその人柄とまったく違うような振る舞いをすると、信用がなくなり、落とされる可能性も高いでしょう。
したがって、グループディスカッションのときは自分のありのままの状態で、素直な意見をぶつけるのも良いかと思います。
グループディスカッションの書記に求められること
ここまでグループディスカッションを通して企業が注目している点をご紹介しました。
ここでは書記になったときに学生が求められていることをご紹介します。
グループディスカッションを行うにあたり、書記というポジションで選考を勝ち取るにはどのような振る舞い・立ち回りで動けば良いのか、ここで大まかに見えてくるでしょう。
したがって、どのように動けば良いのかを判断するに、まず自分自身が何を求められているのか把握し、その需要に応えられるよう選考について考えてみましょう。
話を要約する力
グループディスカッションの書記に求められている能力の1つ目は、話を要約する力に長けていることです。
これは、他人の意見を誰でも理解できるように噛みくだき、理解しやすい言葉にまとめなおす能力です。
なぜこの力が求められているのかというと、グループディスカッションにおける書記は、常に人の意見をメモしておかなければいけません。
ただメモは闇雲に書きつづっても、見返したときに何を書いているのかわからないことも多々あります。
しかし、書記を担当する人に要約する力があると、短い文章の中でも要点を押さえ、振り返りのときに各個人が話したことを鮮明に思い出せるのです。
このように、要約力を持っていると、グループディスカッションだけではなく社会人になったときに、さまざまな職種で役立ちます。
今のうちに力をつけておきましょう。
マルチタスク能力
グループディスカッションの書記に求められている能力の2つ目は、マルチタスク能力に長けていることです。
マルチタスク能力とは、さまざまな作業を並行できる力で、短い期間に仕事が切り替わっていっても対応できる力のことを指します。
この力の必要性として、話し合いは複数人で行うというポイントが関係してくるでしょう。
複数人で話し合うということは、それだけさまざまな意見が出てきます。
1つの意見を深掘りするというより、刻一刻と変わる意見に対し、柔軟な対応をしなければいけません。
ただ、その意見のメモを適当に取るだけなら音声認識ツールで問題ないのです。
つまり同時にさまざまな意見を処理し、理解しなければなりません。
グループディスカッションではそこに加えて、必ずあなた自身の意見も取り入れて、伝えることも必要となるのです。
このように、目まぐるしく変化をしながら同時に作業を進めていかなければいけない役職です。
したがって、マルチタスク能力は必要な能力と言えるでしょう。
議論の方向性を意識する
グループディスカッションの書記に求められている能力の3つ目は、議論の方向性を意識することです。
書記が話し合いに必要な理由として、話の方向が道から逸れないように監視しておくという点があります。
書記は常に議論を把握しており、議論の方向性や決めるべき結論からずれてしまったときは、それを修正することが必要となるでしょう。
したがって、書記は常に話が今どのような流れになっているのか、テーマや話の流れから逸れていないかなどを随時チェックしなければいけません。
このように、書記になったときは、常に話の方向性を意識して聞いておかなければなりません。
もちろん、自分自身が発言するときも、なるべくそれまでの話に沿った意見を伝えるべきです。
しかし、合わせすぎて本当の意見を抑え込んでしまわないよう注意してください。
グループディスカッションの書記で選考を突破するコツ
企業側がグループディスカッションを通して学生に求めていることを紹介してきました。
次に、グループディスカッションの書記という立場を通してどのように振る舞えば、選考を突破できるのかという具体的なコツを紹介します。
ポイントは大きく分けて3つです。
正直どれもそこまで難しいものではありません。
難しくないことを当たり前のようにできる人はとても重宝され、評価されます。
したがって、できることを確実にこなせるように、この項でポイントをつかんで実践してみてください。
全員が理解しやすいようにメモを取る
グループディスカッションでの書記を行うときのコツは、メンバー全員がそれぞれの話を理解しやすいようにメモを取ることです。
人の意見は新鮮で自分自身にとって刺激になりますが、自分と考え方が違うために、理解できないまま聞き流していることも多いです。
しかし、メモに残しておくことで頭の中で整理できる時間が生まれ、他人の意見への理解度も深まってくるでしょう。
具体的な方法としては、大きな紙にマインドマップのようにメモを取っていきます。
そうすることで全員がなんの話をしているのか、共通認識をもつことができます。
また、オンラインであればGoogleドキュメントのように共同作業ツールを使ったり、画面共有をしたりして全員で確認できるようにするのも良いかもしれません。
このように、自分だけでなく周りのことも考えながら司会進行の手助けをするのが、書記に求められている役割でしょう。
書記を中心に議論を進める
グループディスカッションにおける2つ目のコツとして、書記という立場を最大限に利用することがあげられます。
はじめに書記という役職は、まずホワイトボードや紙に議題・テーマを書くことから始まります。
そこで、司会進行ではなく書記から課題・テーマを提案できれば、話し合いもスムーズに進み、話し合いのペースを握ることができるでしょう。
さらに、書記は自分で情報を整理し書き出していることで、メンバーの中でも理解度は1番深くなっているかもしれません。
したがって、もし自分が書いているときに情報を整理し、自分なりの解釈で把握ができているなら、積極的に意見を出していきましょう。
そして、そのような会話の中心として、自然と話を進められれば、人事担当者にも充分アピールできているでしょう。
議論が対立したことも残しておく
グループディスカッションを行う最後のコツとして、議論が対立した場合の各意見も残しておくという点があげられます。
議論が起きてもその情報を残しておけば、結論までの過程がよく見えて、話し合いの濃さがしっかりと把握できるからです。
そして、グループとしてなぜ結論に至ったかという情報が一目でわかるようにメモを取ることで、誰でも理解しやすくなるでしょう。
これらのように、そのグループが頑張ってきた証を残すということは、社会に出た中でもとても貴重なものです。
先人達の知恵や教えも、結論までの過程があるからこそ生まれるものであり、その努力も大切な財産と言えるのかもしれません。
グループディスカッションでも、周りのメンバーに対しても心づかいや気配りをして、あとから振り返れるよう情報を残せる学生は、選考を突破するに値するでしょう。
グループディスカッションの注意点
ここまでグループディスカッションを通して、企業の思惑や書記という立場での立ち振る舞いなどをご紹介してきました。
そもそもグループディスカッションで、どのような点に注意しておくべきなのかもしっかり把握しておかなければいけません。
そこで、基本的に押さえておきたいグループディスカッションの注意点を3点に分けてご紹介します。
ここで各要点をきっちり押さえておき、まず最低限の評価ポイントを得てから、書記という役職で選考を勝ち取れるように対策を練っていきましょう。
役職で評価が決まるわけではない
選考でのグループディスカッションにおいて、役職で評価が決まることは、まずないでしょう。
理由は、役職で評価が分かれるのは単純に不公平だからです。
「どのような立場であれ、個別面接や集団面接と同じく公平に選考するべき」であると、人事担当者が一番思っていることです。
書記でも司会進行であっても、評価が変わることはないでしょう。
言い換えると、どの立場からも選考を突破できるチャンスであると言えます。
司会進行をしている人と同等の立場で考えを述べられるのが、就活においてのグループディスカッションです。
積極的に発言していきましょう。
また、なかなか発言をしにくいような立場に選ばれても、必ず自分の出番は回ってきます。
そのときまでにしっかりと準備をして、そこまでアピールできなかった意見を具体的に全体へぶつけることが大切です。
企業のことは忘れる
グループディスカッションにおける注意点の2つ目として、企業のことは忘れて、その場の話し合いに没頭することです。
やはり「企業の人事担当者に見られているからアピールしたい」と思っても、肩に力が入り、良いパフォーマンスを発揮できません。
それでは本末転倒です。
評価されていることを意識せず、まずは自分達の話し合いが円滑に進む方法を第一優先として考えてみましょう。
進行がスムーズになったあとは、具体的にほかの人の意見もふまえながら、テーマに対する解決策などを考えましょう。
この解決策を真剣に考えるという点が大切で、メンバーとともに課題をクリアするために協力する姿勢が、結局評価されることにつながってきます。
したがって、一旦企業のことは忘れ、仲間が思っていること・自分の考え・まとめて解決策は出るのかなど、内側にしっかり目を向けて取り組んでいきましょう。
否定しない
3つ目のグループディスカッションにおける注意点として、仲間を否定しないことがあげられます。
まず、意見というのは十人十色であり、ほかの人の意見や感じ方が、自分とまったく同じということ自体がまれだと言えるでしょう。
それほど相手の意見と自分の意見は違うとわかっているのに、頭ごなしに「その意見は違う」と否定してしまうと、話し合う利点がなくなってしまいます。
したがって、相手の意見を素直に認めてから、提案として自分自身の意見を伝える流れが一番正しいのです。
もし明確な正解があるテーマだとして、自分の意見が一番正しいと思っていたとしても、否定から入ってはいけません。
違う人の意見を聞くことには、そこまでの意見にたどり着くまでのプロセスがあり、その考え方も今後参考になるかもしれないのです。
貴重な情報である人の意見は、素直に聞くことがとても大切です。
まとめ
選考方法としてグループディスカッションを採用している会社は本当に多く、大学の授業の中だけでなく高校・中学の授業でもグループディスカッションは幅広く取り入れられています。
ただ、この話し合いという行為は、社会人になった場合、一番重要な力であることを覚えておきましょう。
たとえば、大切な案件が決まるか決まらないかという商談の中で自分の意見を言えないのは、契約を取る気がないと思われても仕方ありません。
これは大げさでなく、企業が選考で学生に求めていることは、そのまま就職したあとに求められることと同じことなのです。
そのように考えると、今後のグループディスカッションに対する向き合い方も変わってくると思います。
ぜひその点を意識しながら、ここまでご紹介したコツもふまえて、選考に臨みましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート