はじめに
この記事ではグループディスカッションにおけるファシリテーターの役割と、選考を突破するコツについて解説します。
グループディスカッションは、採用において序盤にセッティングされることが多い選考の1つです。
ある特定のテーマについて5~6人のグループで話し合い、結論を出して発表する形式を取ります。
この記事では、なかでも重要な役割を担うファシリテーターの役割を解説し、向いている人の特徴も紹介します。
これから企業のグループディスカッションに望む人は、ぜひ参考にしてください。
企業がグループディスカッションを行う目的
まずは、企業が選考においてグループディスカッションを行う目的について説明します。
グループディスカッションに限らず、その選考の目的を理解することで、適した対策ができるからです。
新卒選考の序盤に行われることの多いグループディスカッションは、グループワークが苦手な学生の足切りに使われます。
また、実際の業務に近い状況を再現することで、学生の人柄が自社に合っているか見る目的もあるでしょう。
これらの企業側の意図を理解したうえで、選考に臨む必要があります。
足切り
まずグループディスカッションは、選考序盤での足切りに使う意図が企業側にはあるでしょう。
大量の応募者を最初から面接して選考することは、時間も労力も割かれるので非効率だからです。
グループディスカッションは複数の学生を少人数の社員で選考できるため、都合が良いと言えます。
また、実際の仕事に近い環境で、より実力が発揮できる学生を残したい意図もあるでしょう。
会社における仕事は常に誰かと連携しなくてはならず、1人では完遂できません。
そこでグループで議論して結論を出すという、業務に近い選考を行うことで、学生の本当の実力が明らかになります。
グループディスカッションは、企業で本当に活躍できる学生を選ぶ意味でも、効果的な選考と言えるでしょう。
人柄
企業は、グループディスカッションで学生の人柄を知るという目的の可能性もあります。
グループディスカッションでの関わり方から見える姿こそ、その学生の本当の人柄かもしれないからです。
応募者が「自分はこういう人間だ」と思いこんでいる性格と、他人から見た性格が異なることは多々あるでしょう。
面接などで体験談やエピソードを聞くことはできても、本当にその通り振る舞うのかはわかりません。
実際に他人とどのように関わるのかを知るうえで、グループディスカッションは有効な機会となるでしょう。
特にファシリテーターなど、議論における役割は人柄を知る大きなヒントになります。
しかし、こういった企業からの視線を意識しすぎると、適切な行動を取ることが難しくなってしまうため、あくまでもグループとしての協力を意識しましょう。
グループディスカッションにおけるファシリテーターの役割
それでは次に、グループディスカッションにおけるファシリテーターの役割を説明します。
ファシリテーターは「意見を出さなくても許される、ただの進行役」だと思っていたら大間違いです。
議論の最初に討論の方向性を示し、メンバーから話を聞き出し、それをまとめるという大事な役割を果たします。
逆にしっかりと与えられたタスクを遂行できればアピールとなり、高評価をもらうことも可能です。
ファシリテーターを引き受ける場合は、次のような役回りを果たせるかどうか、よく考えましょう。
議論の方向性を示す
まず、ファシリテーターはグループディスカッションの方向性を示すことが大きな役割でしょう。
討論を始める前に、グループで話し合うべき事柄や内容の方向性を示して、共通認識を作る必要があるからです。
ディスカッションは雑談とは違い、特定のテーマについて話し合って結論を出さなくてはいけません。
また大きなテーマを議論するにあたっては、前提なる検討事項が存在することもあるでしょう。
しかし、議論のやり方を議論していては意味がなく、時間をいたずらに消費してしまいます。
そこでファシリテーターは「何を」「どのように」決めるのかをきっぱりと示す必要があるでしょう。
ここについてはメンバーに意見を仰ぐのではなく、ファシリテーターがある程度決める必要もあると考えられます。
話を聞き出す
議論の方向性が決まったら、次にファシリテーターはメンバーからアイデアや意見を聞き出さなくてはいけません。
ここがグループディスカッションの中核ともいえ、どれだけ多くの意見を出せるかがカギになるからです。
ディスカッションでは初対面の人と議論を行うことになりますが、一人ひとりの発言スタイルは異なると予想されます。
そこでファシリテーターは各々に発言を任せず、ある程度発言を整理する必要があるでしょう。
自己主張が強すぎる人の発言は制しつつ、物静かな人も意見が言いやすい環境を作らなくてはいけません。
このためには、どんな発言も否定しない、相乗りを歓迎するなど基本的な姿勢を率先して示す必要があるでしょう。
また、自分が率先して話しかけられやすい空気を出せるかどうかもポイントです。
話をまとめる
そうして聞き出したアイデアをまとめ、グループディスカッションを進めるのもファシリテーターの重要な役割でしょう。
議論は基本的に意見の発散と収束のプロセスをたどるので、必ずまとめる段階が必要になるからです。
意見が発散したままになってしまうと、メンバーも何を発言したら良いかわからなくなってしまうでしょう。
このためにある程度の意見が出そろったら、それらの共通点を見つけてグループ化し、一旦の結論を出して次のテーマを設定します。
効果的に意見を出してもらうためには、タイムキーパーと協力して制限時間を設けると効果的です。
また、ホワイトボードやふせんなどを活用すると、発言をまとめるのが容易になります。
話をまとめるためにも、ディスカッション中は常に冷静で一歩引いた目線でいることを心がけましょう。
議論の結論を出す
ここまでの手順を着実に踏めていれば、ファシリテーターにとって議論の結論を出すことは難しくありません。
グループ全体として、議論に対しての最終的な結論を出し、発表の準備をしましょう。
基本的なことですが、与えられたテーマに対して適切な答えになっているかどうかの確認は重要です。
議論が白熱してしまうと、結論とは直接関係のない部分にこだわってしまうことも考えられます。
結論がそれている、または答えになっていないときに修正できるよう、時間には余裕をもちましょう。
また、発表がある場合には誰をプレゼンターにするかによって、グループの評価が大きく異なります。
自分でプレゼンターを担っても良いですが、ディスカッションの中でより適任者がいると思った場合には指名するのも手です。
グループディスカッションでファシリテーターをする人の特徴
ここまで説明してきたようなファシリテーターを務めるには、どのような人が望ましいのでしょうか。
そこでグループディスカッションでファシリテーターをする人の特徴を3つ紹介します。
もちろん、すべての特徴を持ち合わせている必要はありませんが、多いに越したことはないでしょう。
「自分は向いているかもしれない」と思う人は、ぜひ積極的にファシリテーターを買って出ると良いかもしれません。
また、ファシリテーターのスキルにはあとから身につけられるものもあるので、意識して練習すると良いでしょう。
話しやすい人柄
まず、ファシリテーターを務める人は、話しかけやすい人柄の人が多いと言えるでしょう。
近寄りがたい雰囲気の人がファシリテーターだと、積極的なコミュニケーションが望めないからです。
グループディスカッションでは制限時間内に結論を出さなければならないので、意見をどんどん出して議論を進める必要があります。
より良い結論へたどり着くには、とにかく意見の質よりも量が重要だといえるでしょう。
このようなとき、話しかけやすいと思われるような人柄であれば、積極的な議論が期待できます。
「こんなことを言っても意味がないかもしれない」という意見が、実は意外と的を射ていることは多々あります。
もちろんただ黙って聞くだけでなく、適度に相づちを打ったりとリアクションのあったほうが、相手も話しやすいでしょう。
ときには冷静に物事を判断することができる
ファシリテーターには議論を活発にする一方で、ときには物事を冷静に判断できる能力も求められます。
議論が進んだものの、目的とずれていると感じれば、それを修正する必要があるからです。
グループディスカッションは白熱し始めると、目的と関係のない部分に議論の中心が移ってしまうこともあります。
特に議論が盛り上がって、メンバーが積極的に発言をしてくれているようなときは注意が必要です。
一度発言を整理して、議論の流れを引き戻さなくてはいけないかもしれません。
このためには冷静で一歩引いた目線をもち、ディスカッション全体の流れを観察できると良いでしょう。
ときには自分は議論を進めようとせず、意見を言いたいという欲を抑える必要があるかもしれません。
制限時間内に意見をまとめる管理能力
ファシリテーターには、制限時間内に意見をまとめて結論を出せる管理能力も求められています。
グループディスカッションは制限時間があり、その中で意見をまとめなくてはいけないからです。
このためには時間配分に気をつけるなど、スケジュールの管理能力も必要とされてきます。
時間通りに議論を終わらせるには、単に時計を気にしているだけではうまくいきません。
きちんと与えられたテーマの結論を出すために、主体的にディスカッションを組み立てる必要があるでしょう。
目標から必要なステップがどれくらい必要か考え、どのように時間を割くか逆算できなくてはいけません。
実際にはこれを瞬時に判断しなければならず、ファシリテーターにはある程度のセンスも求められるでしょう。
グループディスカッションを突破するためのコツ
最後に、新卒選考においてグループディスカッションを突破するためのコツを3つ紹介します。
この記事ではファシリテーターの重要性を説明してきましたが、決して役職だけで評価されるわけではありません。
グループとして課題をきちんとこなせなければ、個人としても評価されずに終わってしまいます。
メンバーと協力して、きちんと成果があがることを何より重視する必要があるでしょう。
また、ディスカッションにおいては意見を否定しないなど、発言しやすい姿勢を心がけることも大切です。
企業を意識しすぎない
まずは、選考だからといって、企業を意識しすぎずに臨むことが突破するためのコツでしょう。
面接官が見ているからと意識してしまうと緊張してしまい、思うように意見を出せないかもしれません。
グループディスカッションでは、社会人として最低限のコミュニケーションや連携能力があるかを問われています。
そのためには、まずグループとして、しっかりと結果を出すことが良い成果につながるでしょう。
自分自身の個性や長所・短所については、のちの二次・三次面接で評価してもらえば問題ありません。
まずはメンバーと協力し、課題をクリアすることだけに集中したほうが良いでしょう。
自分が目立とうとするのではなく、グループの中でどんな役割を果たすのが適切かを考えることがポイントです。
意見を否定しない
グループディスカッションにおいて基本姿勢である、意見を否定しないことも突破するコツの1つになります。
意見を否定する人がグループにいると、それを恐れて議論が活発にならない可能性があるからです。
重要なのは「誰がいかに優れた意見を言うのか」ではなく、「議論をいかに前へ進めるか」でしょう。
否定したくなったときには、一度受け入れてから、提案としてあなたの意見も伝えることがおすすめです。
この姿勢をもつことで、メンバーの意見も取り入れたより良いアイデアを提案できます。
これと同様に、グループ内に人の意見を否定する人がいたら「◯◯さんはどんな考えが良いと思いますか?」と聞いてみましょう。
そうすることで主体的にディスカッションへ参加できるようになります。
役職で評価されるわけではない
最後に、グループディスカッションは役職だけで評価されるわけではないことに注意しましょう。
人材には適材適所があり、一人ひとりが輝けるポジションは必ず存在するからです。
意見をまとめるのがうまい人、アイデアを次々と出せる人、発言のメモを取るのがうまい人などさまざまでしょう。
たとえば、運良くファシリテーターになれたからといって、それだけで評価されることは一切ありません。
先程解説したような役割をきちんと果たせなければ、グループディスカッションを突破できないこともあります。
反対に、目立った役職になれなくても、その分プレッシャーを感じずに振る舞え、高評価を受けられるかもしれません。
どのような立場においても油断せず、また落ち込むことなく、課題へ対して真摯に向き合うことが大切です。
まとめ
この記事ではグループディスカッションにおけるファシリテーターの役割と、それに向いている人の特徴を解説しました。
ファシリテーターや議論全体の方向性を示したり、メンバーから聞き出した意見をまとめて結論を出したりする大事な役割を担います。
特に普段から話しかけられやすい人や、冷静に物事を観察して時間を管理できる人がファシリテーターには向いていると言えるでしょう。
しかしファシリテーターになれたからといって、それだけでグループディスカッションを突破できるわけではありません。
最低限の社会人としての能力を持っているか、企業に適した人柄かどうかが重要視されるからです。
どんな役職になったとしても油断せず、メンバーと協力して課題に集中することが高評価につながるでしょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート