この記事では、化粧品業界とはいったいどのような業界なのかに迫っていきます。
近年、化粧品業界は大変人気な業界となっており、就活においても倍率がどんどん上がっています。
そこで、化粧品業界とはどのような業界なのか、化粧品業界にはどのような企業があり、就職するためには何が必要なのかまで、徹底解説します。
化粧品業界とは
まずは、化粧品業界がどのような業界かについてざっくりと押さえておきましょう。
化粧品業界は美容や健康をサポートする製品を開発、製造、販売する業界です。
スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、フレグランスといった製品を取り扱っており、消費者の美しさや健康の維持をサポートしています。
スキンケア製品は肌の保湿やエイジングケアを目的として、クリームやローションが幅広く使用されており、メイクアップ製品はファンデーションにアイシャドウ、リップスティックなどメイクアップの手段として用いられているものです。
ヘアケア製品はシャンプーやコンディショナー、スタイリング剤など髪の毛を守るための成分が用いられている製品であり、フレグランスは個々の個性を引き立てるアクセサリーの1つとして多くのブランドが競争を広げています。
化粧品業界は人々の美しさと健康を高め、日常生活に彩りを与える製品を提供することで社会に貢献しています。
化粧品業界の広がり
化粧品業界はグローバルな市場であり、特にアジア地域での成長が著しいのが特徴です。
近年、美容意識の高まりやセルフケアへの関心の増加に伴い、化粧品市場は成長し続けています。
特にアジア地域では韓国や日本、中国を中心に化粧品の需要が高まり、これに応えるために多くの国際ブランドが進出しています。
中でも中国市場も急速に拡大しており、特に若い世代をターゲットにした製品が人気です。
このような市場拡大により、化粧品業界は多様な製品を開発し、文化的なニーズやトレンドに応じた戦略を展開しているのです。
美容意識やセルフケアへの関心も増加し続けているため、持続的に成長し続ける業界と言えるでしょう。
化粧品業界が人気な理由
化粧品業界が人気な理由は、美容や自己表現に対する関心の高まりやトレンドを追求する多様な製品が存在することにあります。
現代社会では個々の美しさを引き立てることや個性を表現する手段として化粧品が重要視されています。
化粧品は特に女性にとって身近で欠かせない存在であり、日々のルーティンに取り入れられているものです。
また、男性用化粧品の需要も増加しており、性別を超えた市場の拡大も進んでいます。
このような多様なニーズに応えて革新的な製品を開発し続けることで、化粧品業界はさらにその人気を高めているのです。
化粧品業界の仕組み
化粧品業界の仕組みは以下の通りです。
まず、製品開発の段階でトレンドや消費者のニーズを分析し、安全性と効果の検証を行います。
次に製造段階では、工場での生産を行い、製品の品質管理も徹底して行い、消費者に安全で質の高い製品を提供します。
PR活動においては、認知度を高めるために広告やテレビCM、雑誌広告、SNS、インフルエンサーなどを活用して宣伝などを行うことが多いです。
また、小売店への流通においては、デパートやドラッグストア、専門店、オンラインショップなど多様な販売チャネルを通じて製品が届けられます。
最後の販売段階では、店頭やオンラインでの販売が行われ、実際に消費者が製品を手に取ります。
このように、化粧品業界は様々な段階を経て、消費者に対して質の高い製品を提供しているのです。
化粧品業界の職種
化粧品業界のそれぞれの職種についても詳しく紹介します。
美容部員
まず、美容部員は化粧品業界において自社化粧品の店頭での接客や販売を担当する重要な役割を担っています。
顧客の肌の状態やニーズを把握した上で、それぞれにアドバイスを行い、美しい肌を目指すための方法を提案するのが仕事です。
長時間の立ち仕事に対応するための体力が必要であると同時に、最新の美容知識や商品知識の習得も重要です。
企画・マーケティング職
企画やマーケティング職は新商品の企画立案や販売戦略の検討を行い、企業の業績向上を目指す重要な役割を担っています。
市場調査を通じて消費者ニーズやトレンドを把握し、ターゲット層を明確にして商品開発を進めます。
消費者のライフスタイルや美容に関する意識を分析し、競合他社の動向を研究することで差別化された商品を企画するのが仕事です。
また、広告やプロモーション活動を通じてブランドの認知度を高め、製品の魅力を伝える役割も担います。
研究開発職
研究開発職は新しい化粧品の開発と研究を行う専門職であり、科学的なアプローチを通じて製品の効果と安全性を追求します。
有効成分の探求や既存製品の改良に取り組み、消費者が安心して利用できる製品を提供することを目指す仕事です。
理系の専門知識が求められ、化学や生物学の理解をもとに最適な成分や製造プロセスを設計します。
営業職は地域別や流通チャネルごとに営業活動を展開し、百貨店、大型スーパー、ドラッグストア、美容室、化粧品専門店など様々なクライアントに対し営業を行います。
クライアントニーズを理解し、適切な製品を提供することで、長期的なビジネス関係を築くことが仕事です。
在庫管理や売り場の開拓、販売促進のフォローも行い、取引先の販売戦略をサポートするのも仕事の1つと言えます。
生産職は化粧品の製造に必要な資材の調達や製造設備の管理、新規製造ラインの立ち上げを担当する職業です。
生産計画を立案し、品質管理を徹底することで、常に高品質な製品を安定的に供給することを目指しています。
原材料の在庫を適切に調節し、供給遅延を最小化して効率的な生産プロセスを実現するのも仕事の1つです。
品質管理色
品質管理職は製品の品質を保証するための重要な役割です。
製品の成分確認や薬事法を遵守しているかのチェックを担当し、消費者が安心して利用できる製品を提供することを目的としています。
製品が企画基準を満たしているかを厳密に検査し、不良品の発生を未然に防ぐことも役割の1つです。
総合職
総合職は「事務系」の総合職と「技術系」の総合職に分かれます。
「事務系」は広告デザイン、パッケージデザイン、キャッチコピーの作成、人事、経理など企業の経営管理を担当します。
一方、「技術系」は研究開発や品質管理、製造プロセスの改善など技術的な側面で企業を支えるのが仕事です。
製品の品質向上や新技術の導入を通じて企業の競争力を強化します。
海外事業部は企業のグローバル展開を促進するための部署です。
海外市場への進出を企画し、現地の市場調査を通じて消費者ニーズや競合情報を把握します。
海外営業を担当し、代理店となる小売店や量販店を開拓することで自社製品の販売と管理を行います。
また、海外市場における販売戦略を策定し、日本製化粧品の高評価と海外需要に応える製品を提供するのも仕事の1つです。
化粧品業界の企業一覧
続いて、化粧品業界の代表的な企業の一覧を紹介します。
化粧品メーカーとそれ以外の企業に分けて紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
化粧品メーカー
化粧品メーカーの代表的な企業は以下の通りです。
資生堂や花王、カネボウやDHCなど、化粧品に興味がある人ならば1度は聞いたことがある名前が多いのではないでしょうか。
いずれの企業も、消費者の美を実現するとともに安全な商品を提供するために日々努力を続けています。
資生堂 (Shiseido)
https://www.shiseido.co.jp/
花王 (Kao Corporation)
https://www.kao.com/jp/
ポーラ・オルビスホールディングス (POLA ORBIS Holdings)
https://www.po-holdings.co.jp/
コーセー (KOSÉ)
https://www.kose.co.jp/
ファンケル (FANCL)
https://www.fancl.co.jp/
ロレアル (L’Oréal)
https://www.loreal.com/
エスティ ローダー (Estée Lauder)
https://www.elcompanies.com/
カネボウ化粧品 (Kanebo Cosmetics)
https://www.kanebo.com/
スリー (THREE)
https://www.threecosmetics.com/
クラランス (Clarins)
https://www.clarins.jp/
ドクターシーラボ (Dr. Ci:Labo)
https://www.ci-labo.com/
メナード (Menard)
https://www.menard.co.jp/
オルビス (ORBIS)
https://www.orbis.co.jp/
化粧品メーカー以外
化粧品メーカーではないものの、化粧品を販売するなど、美容に関わる企業や業種は以下の通りです。
プラザをはじめとした小売店はもちろん、美容皮膚科やエステサロンなども広い意味で考えると「化粧品業界」に関わるものです。
どのような企業も商品の販売や施術などを通じて、消費者の美を実現するために日々取り組んでいます。
アルビオン (Albion)
https://www.albion.co.jp/
プラザ (PLAZA)
https://www.plazastyle.com/
セフォラ (Sephora)
https://www.sephora.com/
アインファーマシーズ (AIN PHARMACIEZ)
https://www.ainj.co.jp/
ロフト (LOFT)
https://www.loft.co.jp/
オルタナティブコスメ (Alternative Cosmetics)、ファッションブランドコスメ (Fashion Brand Cosmetics)、美容皮膚科 (Dermatology Clinics)、エステサロン (Beauty Salons)もここにあたります。
化粧品業界の就職難易度と倍率
化粧品業界の就職の難易度や倍率についても理解しておきましょう。
化粧品業界は多くの学生が興味を持つ業界の1つであり、特に有名ブランドや大手の企業は高い人気を誇り、その分応募者数も多くなる傾向にあります。
したがって、就職難易度は他の業界に比べて高いと言えます。
就職倍率は企業やポジションによって異なることもありますが、総じて高めであるということも覚えておきましょう。
特に大手の企業や有名ブランドの倍率は非常に高く、数十倍から百倍以上になることもあるため、自分が受ける企業の倍率を把握した上で、綿密な対策を行うようにしましょう。
主要企業の応募倍率一覧(新卒)
- 特徴:日本を代表する化粧品メーカーで、国内外で高いブランド力を持つ。
- 倍率の理由:ブランド力と企業規模から非常に人気が高く、多くの学生が応募するため倍率が高い。
- 応募倍率:約50倍
- 特徴:化粧品だけでなく、生活用品全般を扱う大手企業。科学技術に強みを持つ。
- 倍率の理由:多様な製品ラインと研究開発への強い関心から理系学生に人気があり、倍率が高い。
- 応募倍率:約30倍
- 特徴:多彩なブランドを持ち、国内外で幅広く展開。特に高級化粧品に強み。
- 倍率の理由:ブランドの魅力と市場での地位が高く、多くの学生が応募するため倍率が高い。
- 応募倍率:約40倍
- 特徴:ポーラとオルビスという二大ブランドを中心に、美容と健康に関連する製品を展開。
- 倍率の理由:企業の信頼性と革新性から応募者が多く、倍率が高い。
- 応募倍率:約35倍
- 特徴:資生堂グループの一員で、高品質な化粧品を提供。伝統と革新を融合させた製品ライン。
- 倍率の理由:資生堂グループとしてのブランド力が高く、多くの学生が応募するため倍率が高い。
- 応募倍率:約25倍
【大手内定者の就活体験記】化粧品業界に内定するためには?
ここまで化粧品業界の概要を説明してきましたが、どのような対策をすれば憧れの化粧品業界に就職できるのでしょうか。この項目では、大手化粧品メーカーに内定した23卒の体験記を交えながら、選考フローごとに対策法を紹介していきたいと思います。
選考フロー
私が内定をいただいた企業(以下A社)は、インターン経由の選考でした。選考フローは以下の通りです。
- インターン選考会
- インターンシップ
- 人事面接
- 最終面接
それぞれどのような対策をしたのか、詳しく説明します。
書類選考
第一関門である書類選考。最初にして最大の鬼門です。A社の場合、ESの段階で10分の1以下に絞られていました。設問内容は「志望動機」や「学生時代に力を入れた経験」など、オーソドックスな内容が多かったです。実際に私がA社に提出したESを例に、意識したポイントを紹介していきます。(企業名や身バレを防ぐため、一部内容を変更しております。)
【自信を持てずにいる若者が明るい人生を送るための手助けをしたい】
私は中学生時代、日常的に容姿のことで心無い言葉を投げかけられ、自分に自信が持てず、何事にも消極的な性格でした。メイクを学んだことにより、自分に自信がつき、何事にも前向きに挑戦できるようになりました。貴社の一員として、教育機関と提携して学生にメイクを普及する活動を行いたいと考え、志望に至りました。
【コロナ禍での協賛金獲得】
私は現在学園祭実行委員会の○○として、委員会メンバーの意見に耳を傾けながら、さらに進化した学園祭を開催できるよう協賛金の調達に尽力しています。今年度は昨年度のコロナ禍によるオンライン開催の影響で、深刻な資金不足に悩まされていました。そこで私は、各チームの代表者から実施したい企画を聞き出し、必要な金額を計算することで、目標を具体化しました。その後、資金援助が見込める企業をリストアップし交渉した結果、昨年度の12倍である、50万円の協賛金を獲得することができました。この経験から、1人1人に寄り添うことで課題を見つめ直し、解決に向けて前向きに行動する力を身につけました。
筆者は体育会に所属したことも留学経験もありません。自分が一番自信を持って話せる経験を書きました。
ポイントは経験の大小ではなく、その経験の中で自分がどのように課題を見つけ出し、どのように主体的に行動したかです。
経験の大小で悩むのではなく、自分の経験を言語化してブラッシュアップしましょう。
インターン選考会
書類選考に通過した後、インターンシップに参加するための「インターン選考会」に参加しました。この選考会は会場内でケース問題が配布され、その問題を制限時間内に解答するという内容でした。私は選考会前に「東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート」という問題集を使って対策していました。ケース問題の解き方のコツを知ることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
GD・インターンシップ
インターン選考会通過後、採用直結型インターンシップに参加しました。参加者は約60名、男女比は4:6くらいでした。インターンシップは2日間で、グループディスカッションからプレゼンテーションまでを6人1チームで行うという内容でした。参加した学生は、狭き門をくぐり抜けてきただけあり、優秀な方ばかりでした。しかし、周囲の優秀さに圧倒されて怯む必要はありません。チームのパフォーマンスを最大化させるために、自分に適したポジションで活躍することが大切です。話し合いに参加する意欲とチームに貢献する姿勢を見せることが、合格に繋がるポイントだと思います。
面接対策
人事面接では、インターンシップの振り返りを30分程度行いました。振り返りといっても、選考に含まれていたので緊張感のある雰囲気でした。普段からインターンシップに参加した後、自分がどのような役割を果たしたのか、なぜその立ち回りを選んだのか、どのような場面で主体的に行動したかを振り返る習慣をつけておくといいでしょう。
最終面接は45分間で、志望動機や3つのガクチカの深掘り、大学で学んでいる内容など幅広く質問されました。企業によっては最終面接が意思確認という場合もありますが、半分以上の学生が落とされる場合もあるので、十分に対策を行いましょう。私が最終面接前に実践していた対策としては、3つあります。
①想定問答集を作る
②大学のキャリアセンターを利用して、面接練習を行う
③デジタル版の新聞を契約し、業界や企業に関する記事を検索する
①は、その企業が過去に最終面接で質問した内容をリストアップし、全ての質問に対する回答集を作成するというものです。全く同じ内容を聞かれるとは限りませんが、準備できる質問に対してはしっかりと答えられるようにしておきましょう。
②に関しては、多くの大学に設置されているキャリアセンターを利用して、模擬面接を行うという方法です。実は大学のキャリアセンターは、専門的なトレーニングを受けた職員が、企業の視点からES添削や面接対策を行ってくれる最強の就活支援所なのです。せっかく学費を払っているのですから、ぜひキャリアセンターを有効に利用してみてください。
①、②は一次面接や二次面接の際にも実践してほしい対策ですが、③は特に最終面接で有効な対策です。最終面接では、どこまで業界や企業について理解を深めているかも重視されます。新聞記事にはネットにはない有益な情報もたくさん載っています。デジタル版の新聞で「企業名」や「化粧品業界」などのキーワード検索は企業研究を深める有効な手段だと思います。
おわりに
私は学歴が決して高い訳ではなく、資格は小学6年生のときに取得した珠算検定2級のみでした。
秀でた才能がなかった私でも内定をいただけたのは、「その企業に絶対に入社したい!」という熱意と十分な対策があったからだと思います。
私の場合、A社の最終面接は1ヶ月前から想定問答集を作成し、OBOG訪問も数回行い、実際の売り場にも何度か足を運びました。
自分の能力が低いからと諦めることなく、自分なりの戦い方と万全な対策をして内定を掴み取ってください!
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート