人工知能が採用担当!?就活生目線で考えるAI採用のメリット・デメリット

人工知能が採用担当!?就活生目線で考えるAI採用のメリット・デメリット

最近、AIを採用活動に活用する事例が増えています。

有名どころだとソフトバンクが2017年5月、IBMが提供するAI「IBM Watson」を新卒採用選考のエントリーシート評価に利用すると発表しました。

どのような背景からAI採用が導入され、就活生にはどういった影響があるのでしょうか。

なぜ企業はAI採用を導入するのか

ソフトバンクは、AIを使った採用選考の仕組みについて、「過去のデータを学習させたIBM Watsonに応募者のエントリーシートデータを読み込ませると、IBM WatsonのAPIの一つであるNLC(Natural Language Classifier、自然言語分類)により、エントリーシートの内容が認識され、項目ごとに評価が提示されます。合格基準を満たす評価が提示された項目については、選考通過とし、それ以外の項目については人事担当者が内容を確認し、合否の最終判断を行います。IBM Watsonによる評価をエントリーシート選考の合否判断に活用することで、統一された評価軸でのより公平な選考を目指します。」とプレスリリースに記載しています。
また、採用業務の一部をAIが代替することで、人事担当者のエントリーシートの確認作業に充てる時間は75%程度軽減されると見込んでおり、軽減できた分の時間は応募者との対面コミュニケーションに充てたいようです。

ソフトバンクの新卒採用におけるAI活用の狙いは、「評価の一貫性向上」と「採用業務の負荷軽減」だと伺えます。どちらも毎年多数の応募が集まる大手企業ならではの理由といえるでしょう。データを客観的に素早く読み取る能力は、AIが人間よりも圧倒的に長けている部分です。複数の人事担当者が見なければならない大手企業のエントリーシート選考においては、大いにAIのメリットが活かされると考えます。定量的に判断できる項目については一貫してAIの判断が業務を担い評価の統一性を高めるとともに、膨大なエントリーシートを人が確認する作業を少しでも楽にできるというわけです。

ソフトバンク以外にも、サッポロビールや横浜銀行が「19卒の新卒採用からエントリーシートにAIを活用する」としています。今後も大手企業を中心に採用活動へのAI導入は増えてきそうです。

就活生目線で考えるAI採用

さて、上記のような狙いでAI採用を導入しているというのは企業都合の話です。

応募する就活生としては「私たちにどんな影響があるの?」と気になりますよね。

まず、現状のAI採用は大体が「エントリーシート選考に留まっている」「人がやっていた簡単な判断を代わりにAIが担う」という範囲に留まっているため、就活生側に「対策方法を大きく変えなければならない」といった抜本的な影響が出るとは考えにくいです。

ただ、AI技術が日々進化する昨今、AIが担える採用領域は増えてくるかもしれませんし、AI採用がもたらす就活生側のメリット・デメリットを考える意味はあると思います。

以降は私の個人的な見解にはなりますが、就活生にとってのAI採用のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

メリット:より公平な評価が期待できるうえ、マッチング精度も上がり本当の意味でいい企業と巡り会える

私は、AI採用は就活生にとってもポジティブに働くと考えます。企業の人事担当者は「企業の代表者」として採用活動を行いますが、結局は個人です。就活生の合否を決めるにあたり、どうしても担当者の先入観や好みが働いてしまうリスクはつきまといます。(それを良しとするか悪とするかは置いといて)特に前述したような応募者数の多い大手企業だと、膨大なエントリーシートを処理する中でそのリスクは高まります。

AI採用は、担当者個々人の主観を排除し、一貫性をもたらします。採用に関する過去のビッグデータを予め学習したAIが、「ほにゃらら株式会社の採用担当」として1人で全エントリーシートを見ることになります。公平な評価が期待できるのはプラスに働くはずです。

また、採用に関するデータを一箇所に集約していける点で、AIは最強の採用担当者になれます。例えば、「10年以上勤続している人の採用時データ」を活用し、近しい人を採用していくと、企業は長くいてくれるような人材を確保でき、就活生にとっては真の意味でマッチングする会社に巡り会えることになるかもしれません。企業の考えを1人で代弁できる優れたAIは、企業・就活生間をより確実にWin-Winで結べる可能性を秘めています。

デメリット:熱意やストーリーなどは伝わりにくい?

一方で、デメリットとして挙がるのは、人間味のある細やかな想いが伝わりにくい点です。

メリットの裏返しですが、担当者が「一緒に働きたい人」を採る意味合いもある採用活動において、AIに「一緒に働きたい」という感情はありません。内容には現れない文体で語られる熱意や、具体性の高いストーリーなどは加味されにくいと考えられます。(もちろん技術が進歩すれば読み取れるようになるかも)

もし近い未来に、AIが面接を担当するとなった時、文字通りロボットのような面接官で、冷酷無比にビジネススキルだけ判断する恐れもあります。会社は友達作りの場ではなくビジネスするための組織と考えれば、こちらも良いか悪いかは賛否両論あるかもしれません。ただ、「一貫性のある採用」というのは、逆にいえば「多様性のない採用」ということ。同期がみんな似た者同士という会社に入りたいでしょうか。ビジネス上でも多様性がない組織は新たなアイデアが生まれにくく衰退してしまいそうです。

現状のAIに「細やかな感情まで汲み取れ」「多様性を尊重してバランス良く人材を獲得しろ」というレベルまで求めるのは難しいです。そのため、人間の担当者が価値を発揮し、AIにはできない部分を調整することになります。(もし将来人事職に就きたい就活生は、この辺が大事になってきそうですね)

まとめ

今の段階では採用の第一関門であるエントリーシート選考にAIを活用する企業が多い模様。

AIが視ることで、本当の意味で、その企業との相性を測ることになりそうです。

機械的に情報を処理する彼らに対し、ごまかしは通用しません。(もちろん人間の人事担当者もプロなので当たり前に通用しませんが)

まずESで、やってきたこと、やりたいことを”論理的”にしっかりアピールし、その後の面接で人間味のある部分も加えて伝える戦略が必要になってくるのではないでしょうか。

AI採用の導入が増加傾向にあるのは事実です。

「AIに合否を判断されるなんて、、、」と思うかもしれませんが、AIの向こう側にあるのは企業の想いであり、より高い精度で就活生と企業をつないでくれると私は考えます。

就活生のできることは、これまで通り、自身の魅力を引き出し、自信を持って自分をぶつけることだと思います。

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