就職活動を始めるための第一歩ともいえるのがES、つまりエントリーシートの作成です。
エントリーシートとは、学生が企業に自分をアピールするための応募書類です。
氏名や学歴や保有資格だけでなく、自己PRやガクチカ(学生時代に力を入れたこと)など、面接の話のタネとなるエピソードも含まれるため、しっかり作りこむ必要があります。
しかし、「考えすぎて提出期限ぎりぎりになるのも」とふわふわした気持ちでパソコンとにらみ合っているかもしれません。
一体どのくらいまでに提出するのが常識的なのでしょうか。
募集要項には書いていない、企業の本音を注意点とともにご紹介します。
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エントリーシートは早めに出した方が良い
結論からいうと、エントリーシートを早めに提出することをおすすめします。
具体的には、提出開始から1週間以内に出すのがベストです。
しかし、授業やアルバイトなどで忙しく時間をうまく捻出できない、自己分析がうまくまとまらないなどで作成が難航しているなど、思うようにスケジュールを進められないこともあるはずです。
そのような学生は、遅くても締め切り3日前には出しておくようにしてください。
もちろん締め切り当日でも問題はありません。
しかし、滑り込みで多くの学生が提出するために、インターネット回線が混雑して、締め切りに間に合わないおそれもあります。
また、締め切りをゴールとしてゆっくり作成していると、記入しながら感じた長所や短所の矛盾、自己PRのミスに気がついても作り直す時間がなくなってしまいます。
以上の点から、時間にゆとりをもって、早めに提出する心構えでエントリーシートと向き合うようにしましょう。
また、早期に提出することで発生する、具体的なメリットを5つにわけてご紹介します。
エントリーシートを早めに提出するメリット1:選考を早めに進めてくれる
まず、何といっても選考を早く受けられることがメリットとしてあげられるでしょう。
多くの企業では、エントリーシートの提出順に選考がスタートします。
一次締め切りや二次締め切りが設けられているケースも多くあります。
しかし場合によっては早い時期に提出した人員で採用枠が埋まることで、提出期限ぎりぎりの学生や、二次締め切りで提出した学生は選考を受けられない可能性もあるのです。
選考が早いということは、就職活動においてとても有利なカードなのです。
エントリーシートを早めに提出するメリット2:熱意があると見てくれる
次に、早期にエントリーシートを提出することで、採用担当者に熱意を感じてもらえる可能性が高くなります。
提出期限ぎりぎりに提出したのに「第一志望です」と面接で話しても、説得力はありません。
早い時期に丁寧に作られたエントリーシートを提出すれば、採用担当者は本気度を感じるだけでなく、期限をしっかりと守れる人材という面でもあなたに好印象を抱くでしょう。
このように志望理由と同じくらいに早期提出は企業への熱意のアピールになるのです。
エントリーシートを早めに提出するメリット3:選考が優位に進むことがある
また応募者が複数人いた場合、先にエントリーシートが届いた人の方が選ばれやすいことも、早期提出の大きなメリットです。
実際に、能力や魅力が同等の学生が2人いてどちらか1人選ばなければならなくなったとき、エントリーシートの提出時期で合否を判断するケースは、非常に多く見受けられます。
先述したように、早期提出は企業への熱意と誠実さの表れでもあります。
そのため「ほかの企業の選考もスタートしている中、自社の選考を優先した」と判断され、このような状況下で有利に働くのです。
また、エントリーシートの内容が優れていれば、本選考よりも早くスタートする、早期選考枠に入れる可能性もあるのです。
もちろん、早く提出して雑な出来であっては意味がありません。
しかし、早期提出はほかの学生より内定に一歩リードするための大切な要素といえるでしょう。
エントリーシートを早めに提出するメリット4:リクルーター面談に呼ばれることもある
リクルーター面談とは、企業の社員が通常の人事面接とは異なるルートで、個別に学生と面談する機会を指します。
リクルーターは学生の大学のOBやOGであることが多く、年齢も20代~30代前半の若手社員です。
企業がリクルーター面談をするねらいは、「通常の面接ではなく現場社員の意見を聞くことで、採用に広い視野をもたせること」、「学生と企業とのミスマッチをなくすこと」です。
早期に提出したエントリーシートがとても優れたもので、ほかの企業から先に採用されてほしくない人材と思われたら、リクルーター面談が選考の一環として設けられる可能性もあります。
また、面談は社外の飲食店などで開かれることが多く、人事面接では聞きづらい社内の雰囲気や業務の内容まで聞けるため、学生にとって企業研究のチャンスでもあります。
エントリーシートを早めに提出するメリット5:郵便遅配があっても助かる
消印有効だからといって、ぎりぎりにポスト投函して胸をなでおろした経験があるかもしれません。
実は、普通郵便が遅配する可能性は20%と非常に高いです。
郵便遅配の可能性があることを忘れてはいけません。
配達が遅れる理由は、人員の不足や仕分けミス、時期による郵便取扱数の多さなどさまざまです。
速達郵便にすればリスクはぐっと減少しますが、企業からすれば、速達印が押されたぎりぎりの消印のエントリーシートは、あまり印象の良いものではありません。
予期せぬ事故を予防するためにも、余裕をもって投函するのがおすすめです。
エントリーシート(ES)とは
エントリーシートは、多くの企業が採用している応募書類の中の一つです。
エントリーシートは、履歴書と異なり、自分に関する情報や持っている資格などのスキルなどの基本情報を記載するものではありません。
企業に自分をアピールすることを目的として、自己PRや志望動機、学生時代に頑張ったことなどを記載していきます。
就活生にエントリーシートを提出させることで、採用担当者は就活生と会社の相性をチェックしていきます。
エントリーシートについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
エントリーシートと履歴書の違い
履歴書とエントリーシートは似ているものですが詳細には違います。
履歴書は自分の個人情報を載せる公文書であるのに対して、エントリーシートはあなたの熱意や意気込みをアピールする文書です。
違いをしっかりと理解した上で内容を考えないと趣旨からずれた内容を書いてしまう可能性もあるため今一度確認しておきましょう。
エントリーシートと履歴書の詳しい内容についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
エントリーシートの提出時期
エントリーシートの提出時期は企業によって異なります。
提出期間についても、企業によって提出開始時期と期限が決められている場合がほとんどです。
エントリーシートは一般的に大学4年生の3月~5月頃が提出時期となります。
選考が開始されるのが6月ごろであることが多いため、春にはエントリーが閉め切られる場合がほとんどです。
外資系企業など、企業の中には大学3年生のうちからエントリーシートの提出を求める場合もあるため、注意が必要です。
エントリーシートの提出時期については、企業の就活生向けのページに詳細が記載されているためしっかりと確認しましょう。
自分が応募したいと思っている企業のエントリーシートの提出期限は必ず調べ、就活スケジュールを立てておくことをおすすめします。
エントリーシートを期限間近で提出するのは危険!
エントリーシートは、自己PR、志望動機、学生時代に頑張ったことなど記載事項が多いため、時間をかけて準備をしていくことが大切です。
エントリーシートの内容がまとまらない場合などは、期限間近の提出になってしまうことはもちろんあると思います。
しかし、時間に余裕を持たずにエントリーシートを準備するのは非常に危険だと言うことを念頭に置いて行動しましょう。
以下、エントリーシートを期限間近で提出することが危険な理由を説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
早めに出した場合と比べて落とされやすい
エントリーシートを期限間近で提出することが危険な理由は、エントリーシートを早めに提出した場合と比べて、落とされやすいからです。
企業が、合格をどちらの就活生に出すか迷っている場合、エントリーシートの提出時期が早い就活生を選ぶ傾向があります。
エントリーシートの選考が通るかどうかは、早いもの勝ちではありませんが、提出した時期も大きな評価基準となることを認識しておきましょう。
期限ギリギリにエントリーシートを提出した就活生よりも、早く提出した就活生のほうが企業への熱意や計画性などを評価してもらえるからです。
エントリーシートは、可能な限り、期限に余裕を持って提出できるように就活スケジュールを念入りに組んでおきましょう。
読んでもらえない可能性がある
エントリーシートを期限間近で提出することが危険な理由には、そもそもエントリーシートを読んでもらえない可能性も出てくるからです。
企業によっては膨大な数のエントリーシートが届きます。
そのため、遅い時期に提出されているエントリーシートは読んでもらえない可能性も出てくるのです。
また、企業によっては、エントリーシートの提出時期を複数回に分けている場合もあります。
当然、一次締切までに提出されたエントリーシートが選考に通る数が多くなり、遅い時期に提出されたエントリーシートは読んでもらえずに不合格となる場合もあります。
そのような事態を考えると、エントリーシートを確実に読んでもらうためにも、早い時期に提出することが好ましいでしょう。
エントリーシートを提出する際の注意点
このように、エントリーシートの早期提出は企業への熱意や本気度のアピールとなり、選考を優位に進めるための非常に有効な手段です。
しかし、ただ早く提出すればいいというわけではありません。
むしろ、まだ提出されたエントリーシートが少ない時期であるため、一つひとつを人事がじっくりと見る可能性は高いです。
そのため、細部にまで注意を払わなければなりません。
エントリーシートを提出するために最低限必要なマナーや、注意点についてまとめましたのでぜひご覧ください。
早く提出しても内容がともなっていなければNG
当たり前のことですが、エントリーシートの内容が薄くなってしまってはいけません。
就活のマニュアルにあるようなありふれた自己PRや志望動機だと、何百人もの学生を見てきた人事担当者には「やっつけ度」を見抜かれてしまいます。
自己PRや長所短所を、面接でどんな質問をされても困らないよう記入するためには、自己分析を徹底することがおすすめです。
今までの経験から何を感じたか、どう思ったかを書き出すことで、自分でも気づかなかった深層心理に気づけます。
また、その長所や短所とうまく絡めて、志望動機を書ければ完璧です。
そのためにはHPを見るだけではなく、企業に関わる近年のニュースやIR情報などを見て、企業研究もおこたらないようにしましょう。
誤字脱字にも注意する
早く提出しようと急ぐあまりに、添削がおろそかになっているかもしれません。
どんなに焦っていても、提出する前には、誤字脱字がないか必ずチェックしましょう。
結論から述べると、少しの誤字脱字があるからといって、必ず不採用になるわけではありません。
しかし、2つの同じ評価の学生がいた場合、エントリーシートに誤字があることは「落とすための材料」となり得ます。
また、あまりに誤字が続くようでは、どんなに優れたエピソードも人事担当者の頭に入りません。
加えて、ミスが多い人間というマイナスイメージを与えてしまいます。
誤字は致命的な欠点でありませんが、プラスに働くことは100%ありません。
手書きの場合、誤字を見つけたら、必ず新しい用紙に書き直すようにしましょう。
白い封筒を使う
就職活動の書類を郵送する際は、白い封筒を使用するのがマナーとされています。
理由は、白い封筒だと書いてある字が読みやすく、採用担当者が一目で選考書類とわかるようにするためといわれています。
また、茶色い封筒は、事務的な用途で請求書の送付などで使用されることが多いです。
そのため、正式な場には適さないといわれています。
一生懸命作成したエントリーシートに、初歩的なミスでマイナス点がついては非常に惜しいです。
必ず白い封筒で送るようにしましょう。
相手に届くまでの日数に注意する
郵送の場合、締め切り直前に投函しても、企業に届くまでにタイムロスが発生し、結果として間に合わなくなるおそれがあります。
先述したように、普通郵便では郵送遅延が起こる可能性は非常に高くなります。
送り先の本社が遠方である場合はなおさらです。
余裕をもって発送するに越したことはありません。
しかし、やむを得ず余裕のないスケジュールになってしまった場合は、速達で発送するようにしましょう。
速達発想の場合、ほかの郵便物より優先して発送されるため、郵送遅延になる確率は1%と非常に低くなります。
わかりやすいファイル名にする
エントリーシートを郵送ではなく、メールに添付して送付する際は、わかりやすいファイル名で添付するよう配慮しましょう。
たとえば、ファイル名が「エントリーシート」だけだと、人事担当者は保存する際、ほかの学生と区別するために名前を変更する必要があるのです。
「エントリーシート_大学名_氏名」のように、誰が見てもあなたの履歴書とわかるような状態にして添付しましょう。
もちろん、企業からデータ形式に指定がある場合は、それに準ずるようにしてください。
PDFファイルで送る
企業から指定がない場合は、エントリーシートをPDF形式で送るようにしましょう。
なぜなら、ExcelやWordでは第三者に書き換えられるリスクが発生するからです。
やむを得ずPDF以外の形式で送る際は、パスワードを掛けるなどの対策をしておきましょう。
また、文章を作成して、エントリーシートの添付を忘れたまま、メールを送ってしまう学生が毎年非常に多く見受けられます。
メールを作成する前に、まずファイルを添付しておくと、ミスを防げるでしょう。
営業時間内に送る
メールでエントリーシートを提出する場合は、いつ送ってもかまわないように思えるかもしれません。
しかし、企業の営業時間内に送ることが常識的とされています。
社会に出れば、深夜の上司への連絡は非常識とされます。
企業に社会人としての心構えがあると思われるためにも、早朝や深夜に提出するのは避けましょう。
もしやむを得ず営業時間外に送らなければならない際は、メール本文に「夜分遅く失礼いたします」と一文添えましょう。
その配慮があるだけで印象はだいぶ良くなります。
エントリーシートを早めに提出するためのコツ
エントリーシートを作成、送付する際のマナーや注意点についてまとめました。
しかし、それがわかったからといって、早々にエントリーシートを作成できるわけではありません。
就職活動はいくつもの選考が並行して行われるケースは多く、予想できないスケジュールの中で余裕をもってエントリーシートの提出をするのは至難の業に思えます。
しかし、少しのコツをつかめばエントリーシートを効率的に書けます。
5つにわけてご紹介しますので、ご一読ください。
よく出される質問にはあらかじめ回答を用意しておく
企業の指定されたフォーマットのエントリーシートで質問内容が不明な場合も、定番の質問に答えを用意しておけば、記入はスムーズに終わるでしょう。
業務形態がどうであろうと、企業が学生に問いたいことは大きくぶれません。
大体が学生の性格や学生時代のあり方を問う質問と、就職活動や企業への本気度をはかる質問の2パターンです。
企業は、これから一緒に働きたいかどうかを見極めるために面接をします。
そのためにはその2つの質問が必須となります。
面接の入り口ともいえるエントリーシートでも、大きく逸れた質問は用意されないはずです。
志望動機や自己PR、長所や短所やガクチカなどの超王道の質問に答えを用意しておけば、エントリーシートの大半を、焦ることなく埋められるでしょう。
エントリーシートの作成スケジュールを立てておく
エントリーシート作成の時間を、しっかりと予定に入れておくと良いでしょう。
「書く時間ができたときに書くから、わざわざスケジュールに入れなくても大丈夫」と思うかもしれません。
しかし、説明会や二次面接やOB訪問など、就職活動中は予期せぬ予定が入るものです。
エントリーシートを後回しにし続けると、結局締め切りぎりぎりになってしまい、焦って内容の練られていない、凡庸なものを提出してしまったという学生はとても多くいます。
「この日は朝1時間早く起きて記入する」「家だと集中できないから、休日の午前中に図書館やカフェで書く」など予定をあらかじめ決めておくと、締め切り直前に慌てるという事態を防げます。
エントリーシートは企業とのファーストコンタクトになる大切なツールです。
面接と同じくらい、記入する時間を大切に扱ってください。
エントリー先の企業がどのような質問をしてくるか調べておく
エントリーシートは、学生が自己紹介をするための文書であると同時に、面接で質問する際の材料でもあります。
そのため、企業が面接でどのような質問を学生にしているか、どのような人材を求めているかを研究・分析して、予想される質問の材料になるような話題をエントリーシートに書くのも上級者テクニックです。
たとえば、IT技術に注力している企業を受けるとします。
現在十分な知識がなくても、自分が新しい技術を学ぶ意欲があること、そこに将来描く自分像があることをふまえて、自己PRを作成すると良いでしょう。
また、企業も求める人材像が年単位で変わるわけではありません。
何年もほぼ同じ質問をしているケースもあります。
OB・OG訪問やネットで情報収集をし、設問の大まかな内容を把握してから記入すれば、企業とマッチングしたエントリーシートとなるでしょう。
常日頃からエピソードを集めておく
どんな質問にも矛盾がなく、精度の高い回答を用意するためには、常日頃からエントリーシートに書くためのエピソードを用意しておくと良いでしょう。
そのためには、自己分析を徹底しなければなりません。
就活が成功するか否かは、自己分析をどれだけできるかにかかっているといっても過言ではありません。
マインドマップやライフチャート、自分史の作成などさまざまな形態で、多角的な視点から自分の今までの人生とそれに対して感じたこと、起こした行動、身についた能力などをまとめましょう。
そうすると自然に思考が整理され、就活の軸と自分自身の本質が明らかになります。
自分の人生の出来事一つひとつに「なぜ」を繰り返し深堀して答えを見つけていけば、エントリーシートのどのような質問にも迷わず回答できるでしょう。
質問によっては使いまわす
何十社ものエントリーシートを一から練って作成するのは、自己分析や他己分析がどんなにできていても、忙しい就活中は大変です。
そのため、使いまわせる回答はほかの企業でも使用して、作成時間の効率化を目指しましょう。
たとえば、自分の長所や短所・ガクチカなど定番の質問のエピソードは、ほかの企業に使用したものをそのまま使っても問題はありません。
そのほかにも「あなたを動物にたとえたら」などのユニークな質問があれば、答えを控えておきましょう。
回答をほかの企業のエントリーシートや、面接にも応用して使えることもあります。
ただし、志望動機や自己PRは企業の業務内容によって変える必要があるので、使いまわしてはいけません。
自己分析で就活の軸を明確にしておけば、悩むことなく記入できます。
まとめ
エントリーシートを早期に提出するためのポイントをまとめました。
早く提出することで多くのメリットもありますが、急ぐあまりに作成が雑にならないよう注意しましょう。
エントリーシートは、企業のあなたへの第一印象を決めるだけでなく、選考の最後まで使用されます。
縁があり、入社できればその先もずっと保管されます。
エントリーシートを期限内に提出することがゴールではありません。
あくまでスタートに過ぎないことを心に留めて、時間に余裕をもって、誠意を込めて作成してください。
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