はじめに
就活を始めたばかりだと、ES(エントリーシート)の書き方に迷うことも多いでしょう。
特に、自己PRをどのような視点で何を書けば良いのか、わからなくなってしまうかもしれません。
そこで考えたいのが、「適応力」というあなたの能力です。
適応力とは、フレキシビリティとも呼ばれ、あらゆるビジネスの現場で求められる能力でもあります。
具体的には、状況を的確に判断し、自分の考え方や行動を柔軟に変化させ、ミッションの完遂に必要となる自分の役割を果たすことです。
適応力といっても、その中にはさまざまな要素が隠れていることがわかるでしょう。
そこで今回は、適応力で自己PRする際に押さえたいポイントや、サークル・アルバイト・インターン経験から考える例文を詳しく解説します。
【適応力で自己PR】企業は自己PRに何を求めてる?
就活で適応力の高さをアピールするならば、まずは、企業が自己PRに何を求めているか把握することが大切です。
企業は、自己PRを通して、あなたが自社にどのような利益をもたらしてくれるのかを探ります。
そのため、自己PRでは、自分が企業にどのような利益を与えられるのかを、具体的かつ簡潔に示すことが求められると言えるでしょう。
ここからは、自己PRを「あなたの強み」「エピソード」「入社後にどう活かすか」という3つのセクションに分けて、それぞれのアピール方法について解説します。
あなたの強み
企業は、自己PRを通して、あなたがどのような人間であるのか、どのような強みを持つのかを聞きたいと思っています。
まずは、適応力というあなたの強みを表現してみましょう。
「周囲に合わせて考え方や行動を変化させることに、やりがいや喜びを感じる」という性格や考え方からは、あなたの人間性を理解できます。
また、そのうえで「状況に応じた適応力を発揮できる」など、自分の能力をしっかり売り込めば、アピールとして大きなプラスとなるでしょう。
あなたの性格・考え方から、企業はあなたの人間性を判断します。
そのうえで、それが単なる性格にとどまらず、能力にまで高められる点をアピールできれば、自分が企業にとって魅力ある人材だと示せるでしょう。
エピソード
いくら自分に適応力があるとアピールしたところで、それが本当のことかどうか、企業はその言葉だけで真偽を判断することはできません。
そこで必要となるのが、あなたの強みに関する経験です。
適応力が客観的にわかるような出来事を詳しく話せれば、あなたの能力が、本当のものである根拠となります。
具体的なエピソードとしては、大学生活のゼミ・サークル・部活動での出来事から考えてみましょう。
そのほかにも、アルバイトや学校外での趣味の活動などからも、エピソードが見つかるかもしれません。
もちろん、インターン経験があるならば、就活に有利となるビジネスに関連するエピソードがあるでしょう。
自分でも印象の強いエピソードの中に、適応力をアピールできるものがないか、よく考えてみてください。
入社後どのように活かせるのか
自己PRは、どのような人間でどんな能力を持つかという「性格・能力」だけでなく、どのような仕事ができるかという「志向」のアピールが不可欠です。
自分の強みがどのような利益を生み出せるかという点こそが、企業が自己PRに求める部分でしょう。
あなたの能力は、入社後も発揮できる能力であり、高い再現性があることをアピールしてください。
そのためには、入念な業界研究や企業研究が必要です。
具体的にあなたの適応力をどう活かせるのか、その企業の業務内容に関連付けて考えてみましょう。
そのうえで、実際に働いている場面がイメージできれば、企業にとって魅力ある人材だと判断されやすくなります。
このように、自分の強みをうまくアピールできれば、採用に一歩近付けるはずです。
【適応力で自己PR】適応力はアピール内容として大丈夫?
適応力というものは、行動力やリーダーシップといった高い積極性のある能力と比べて、見えにくいものです。
これは、適応力というものが自分だけで完結するタイプの能力ではなく、周りの人と協調することが不可欠である以上、仕方のない部分でもあるでしょう。
しかし、適応力は、自己PRとしてアピールすることに何ら問題はありません。
適応力という言葉に不安を覚えるならば、「柔軟性」「臨機応変」「素直」と言い換えれば、総合力の高い能力であることが示せるでしょう。
ここからは、それぞれの細かい能力についてアピールする方法を詳しく紹介します。
柔軟である
適応力の一つとして、さまざまな環境において、自分の考えや行動を変えられる能力があります。
これは、「柔軟である」ことを示す能力です。
そのため、適応力をアピールする際に、具体例として柔軟性を示すのも有効でしょう。
柔軟性の中には、新しい環境に対して臆することなく飛び込んでいける能力や新しい業務に積極的に取り組める能力などがあります。
自己PRでは、「どんな状況でも」「どんな仕事でも」「積極的に」柔軟性を持って対応できる点をアピールするのがおすすめです。
柔軟性のある人材は、環境の変化への対応力の高さや突発的な出来事への対応力の高さで業務に大きく貢献してくれます。
適応力の中でも特に柔軟性をアピールすれば、自分がさまざまな状況に対応できる人材であると印象付けられるでしょう。
臨機応変な対応力
適応力の中には、その状況を見極めて行動する能力があります。
これは「臨機応変な対応力」と言えるもので、ビジネスでは大切なスキルです。
そのため、適応力の中でもこの部分をアピールすれば、採用担当に好印象を残せるでしょう。
臨機応変な対応力とは、「トラブルの際でも」「冷静に判断し」「適切な対応が取れる」ことを意味します。
たとえ、仕事で不測の事態が起こっても、パニックにならず冷静に現場の状況を見極めたうえで、最適な解決方法を導き出し、それを行動に移せるかどうかが大切です。
企業が求める適応力とは、こうした臨機応変な対応の能力も含まれます。
単に周りに馴染むだけでなく、強い判断力と行動力を持ち合わせている点も、存分にアピールしてみてください。
素直
適応力の中には、「素直」であるという点も含まれます。
これは一見、ビジネスに無関係と思われるかもしれませんが、基本的な人間関係や人間性の部分で大切な要素です。
特に、新入社員として配属された場合、素直さというものは、あなたの大きな武器になります。
先輩や上司からのアドバイスに対して、反抗的で異論を唱えてばかりいると、扱いにくい人材と思われかねません。
もちろん、疑問点や意見は述べるべきですが、経験やスキルの少ない立場であることを考えると、アドバイスを素直に聞くことが大きな成長につながるケースも多いでしょう。
そのため、新入社員には素直さという適応力が求められるのです。
また、素直さは、コミュニケーション能力の高さを示すものでもあります。
周囲のメンバーと良好なコミュニケーションを取りながら、積極的に業務に携われる人材である点をアピールしてみてください。
【適応力で自己PR】適応力をアピールする際の最強の構成
自己PRでは、内容の構成が大切です。
自己PRを書く際に、思いついたままを列挙するだけだと、その内容は採用担当へ十分に伝わりません。
何をどのような順番で述べるかという構成について、前もって考えておかなければ、せっかくのアピールポイントに魅力を感じてもらうことは困難です。
ここからは、自分の強みを最大限伝えるための、自己PR構成をご紹介します。
どのように書けば、インパクトを与えながら説得力のある自己PRとなるか、考えてみましょう。
結論
自己PRの最初では、結論となる自分の強みを提示しましょう。
結論から述べると、その内容が読み手に印象付けられるだけでなく、何についての自己PRなのかがわかりやすく、全体を通して読みやすい自己PRとなります。
「私の強みは、高い柔軟性のある適応力です」といった形で、要点を伝えましょう。
この部分は、自分を売り込む最初で最強のポイントとなるため、伝えたい強みを簡潔に言い表すようにしてください。
適応力の中には、柔軟性以外にも、臨機応変な対応力や素直さといった要素もあります。
応募する企業や自分が志望する職種によって、結論となる強みの内容をよく考えましょう。
自己PRで最初に述べる結論の印象によって、自己PR全体の印象も変わってきます。
結論となる最初の一文では、わかりやすくインパクトのあるアピールを心がけましょう。
根拠
冒頭で、わかりやすくインパクトのある結論を提示したら、その後には、丁寧な根拠の説明が必要です。
ここでは、「高い柔軟性のある適応力」が垣間見えるような、具体性と説得力のあるエピソードを述べましょう。
その際、抽象的な表現は避けて、実際の場面が思い浮かぶような具体的に描写すると、より説得力が増します。
根拠となるエピソードは、学生生活の中で印象深いゼミ・部活・アルバイト・インターンといった経験から探ると良いでしょう。
就職後の自分が想像できるように、責任感や協調性が求められるシーンを選べば、社会人としての適応力をアピールできます。
この根拠は、自分の強みを相手に理解してもらうために大切な部分です。
客観的に見て、あなたが適応力の高い人間だと納得できるような根拠を丁寧に示しましょう。
入社後どのように活かすことができるのか
自己PRでは、強みを述べたうえでそれをどう活かせるかという、発展性が必要です。
適応力の高さはそれだけでも企業にとって魅力的ですが、それをどう仕事で活かせるかといった点にまで言及できれば、さらに強いアピールとなります。
ここでも、抽象的な表現は極力避けて、具体的に述べましょう。
抽象的な表現だと、ほかの就活生との差別化が図れず、採用担当者に自分を印象付けられません。
企業の採用担当者は、入社後の姿をイメージしながら、自己PRを読みます。
そのため、入社後に自分が企業にとって有益である点を具体的に提示できれば、大きなアピールになるでしょう。
特に、適応力は、あらゆるビジネスの現場で重宝される能力です。
柔軟性・臨機応変な対応力・素直さといった具体性を持たせながら入社後の自分を描き、印象に残る自己PRを作りましょう。
結論
末尾には、自己PR全体の結論を述べます。
この結論は、冒頭に述べた結論の繰り返しではなく、今後の展望も含めたものにしましょう。
自己PRは、自分の能力をアピールするだけではなく、その能力を活かして就業を希望するというアピールにほかなりません。
そのため、「この適応力を活かして、貴社の業務に貢献したい」というように、今後の希望で締めるのがおすすめです。
ここでは、その企業や業務に対する熱意と、就業に対する自分の強い意志を示します。
末尾の結末に必要なのは、熱意の伝わる簡潔な文章です。
応募企業に対する熱意が伝われば、能力的にも意識的にも魅力ある人材だとアピールできます。
良い形で自己PRの最後を結べれば、良い結果を引き寄せる可能性も高くなるでしょう。
【適応力で自己PR】適応力でアピールする際の注意点
適応力という能力を自己PRで取り上げる場合、いくつかの注意点があります。
注意点の多くは、「適応力」という言葉の曖昧さに関するものです。
適応力という言葉には、ネガティブなイメージを持たれてしまうケースも珍しくありません。
自己PRに適応力を使うならば、悪いイメージを持たれるリスクについて考えましょう。
そのうえで、適応力を別の言葉に言い換える対処ができれば、良い印象で自分の能力をアピールできます。
ここからは、自己PRで適応力を使う際の、詳しい注意点についてチェックしてみましょう。
自分の意見がないと思われる
自己PRで適応力をアピールしても、思うようなリアクションが得られないケースがあるかもしれません。
そもそも、適応力という言葉には、自分の意見がなく周りに依存しやすいのではないかというイメージがつきまといます。
そのほかにも、行動力がない・他人に流されやすいといった主体性のなさも、適応力という言葉に対して抱かれやすいイメージです。
したがって、自己PRとして適応力を出すと、仕事においても主体性のない人材だと思われる危険性があると言えるでしょう。
適応力という強みをアピールするならば、主体性を持って行動に移せる点や協調性を大事にしながらも臨機応変に対応できる積極性を伝える必要があります。
そのため、こうした適応力の良い部分を表現するには、適応力を別の言葉で言い換えるのがおすすめです。
別の言葉に言い換えることができるようにしておく
採用選考の際に、適応力という能力に対して、面接官から主体性のなさについて疑問を投げかけられるケースを想定してみましょう。
言葉に詰まってしまうと悪印象となるため、適応力を別の言葉で言い換えて、悪いイメージをカバーしてみてください。
適応力を具体的に表す言葉としては、「柔軟性」「臨機応変な対応力」「素直さ」が代表的なものです。
そのほかに、「トラブル対応能力」「コミュニケーション能力」「発想力」「思考力」といった言葉でも、適応力を表現できます。
自分の能力である適応力について深く考えれば、こうした具体的な表現が見つかるはずです。
適応力という言葉は便利なフレーズですが、ネガティブな印象をもたれやすい点に気を付けてください。
文章上の自己PRはもちろん、口頭の面接であっても、自信を持って別の言葉で良い点をアピールできるようにしておきましょう。
【適応力で自己PR】アピール例と例文
ここからは、実際に自己PRを書く際のポイントと例文をご紹介します。
具体的で魅力あるエピソードの中に、あなたの適応力をうまく盛り込めれば、強みに対する大きな根拠になるのです。
強みの根拠となるエピソードとして取り上げられやすい、サークル・部活・アルバイト・長期インターンといったケース別に、適応力が発揮された場面を想像しましょう。
今までの自分の経験を振り返りながら、自己PRに最適なエピソードと、そこに現れたあなたの適応力を探してみてください。
サークル・部活
自己PRにおいて、サークル・部活は、エピソードの宝庫です。
こうした活動における人間関係や立場の変化は、ビジネスの現場にも通じるものがあります。
そのため、サークル・部活動の経験を重視する企業も珍しくありません。
4年間の活動の中では、先輩から指導を受ける新入生に始まり、後輩を導く上級生へとその立場が変化します。
その中で、人間関係も変化するため、適応力が求められる現場であるとも言えるでしょう。
サークル・部活を頑張っているならば、自己PRの中に、その経験談を盛り込んでみるのがおすすめです。
例文
私の強みは、高い問題解決能力です。
私は、中学時代から一貫して、多数の部員が所属するサッカー部に所属しています。
それぞれのチームにおいて、キャプテンとして部を率いた経験もあります。
その中で、試合に出るメンバーと試合には出られないメンバーとの温度差で、部内の雰囲気が悪くなる場面に直面することも珍しくありません。
しかし、キャプテンとして、一人ひとりの希望や不満を聞き取り、モチベーションを保ちながら部活を盛り上げることが何より大切だと考え実践してきました。
その結果、試合に出るメンバーを、ほかの全員でバックアップする雰囲気と体制を作り上げることに成功したのは、大きな喜びです。
こうした問題解決能力は、仕事のあらゆる場面で役立つものだと確信しています。
特に、たくさんのお客様との対応が不可欠な営業職として、臨機応変な問題解決能力を武器に成果をあげていきたいです。
アルバイト経験
学校の外でのアルバイト経験の中にも、就活の自己PRで取り上げたいエピソードが、たくさんあります。
アルバイトであっても、そこは、ビジネスの現場です。
そのため、部活やサークルとは違う、社会人としての責任感や人間関係の構築が必要となるでしょう。
忙しいアルバイト先では、詳細なマニュアルが存在せず、丁寧な研修も受けられないケースがあります。
マニュアルがある場合でも、突発的なトラブルなどが発生した場合には、臨機応変に対応する必要もあるでしょう。
そうした仕事の現場における貴重な経験は、就活においても大きなプラスになります。
例文
私の強みは、どのような環境にもすぐに溶け込めるコミュニケーション能力です。
私は、大学1年生の頃から、コンビニエンスストアでアルバイトをしています。
その中で、一緒に働く仲間と仕事を超えて良い関係を築いてきました。
同僚だけでなく、お客様に対してもコミュニケーション能力を活かして接客をしています。
特に、ATM周辺で困っているお客様には、詐欺の被害に遭わないよう気を配るように心がけています。
その結果、困っているお客様から振込前に相談を受け、詐欺を未然に防いだと、感謝されたこともありました。
こうした私のコミュニケーション能力は、販売職において大きな武器になると確信しています。
さまざまなお客様とのコミュニケーションを大切にして、貴社商品のファンを増やしていきたいです。
長期インターン経験
もしも、長期インターンを経験しているならば、そのエピソードを自己PRに盛り込んでみましょう。
1〜3日程度の短期インターンでは深い経験を積めないため、なかなか自己PRにつながるエピソードが得られません。
その点、長期インターンでは、アルバイトよりも実務に近く業務内容に深く関われるため、高いレベルでの経験談が期待できます。
さらに、長期インターンに参加経験のある学生自体が少ないため、ほかの就活生との差別化ができるでしょう。
長期インターン経験者は、企業にとっても魅力ある人材となるため、積極的にアピールしてみてください。
例文
私の強みは、臨機応変な対応力です。
私は、大学3年生の秋に、インターネット関連のベンチャー企業で、長期インターンを経験しています。
その中で、さまざまな職種の方が参加するプロジェクトの一員として、あらゆる業務を経験し、臨機応変な対応力を磨いてきました。
長期インターン中に指示された作業は多岐にわたりましたが、それぞれに優先順位を把握して、日々発生する新しい業務と調整しながら納期を守ることを心がけました。
それだけでなく、突発的にトラブルが発生した際に心がけたのは、必要とされる作業を先読みして対応することです。
その結果、臨機応変に対応できるインターンとして、より深い業務に関わることもできました。
こうした臨機応変な対応力は、貴社の業務においてもお役に立てるものだと確信しています。
日々大きく変化していくITの現場を担うSEとして、臨機応変な対応力を武器にしていきたいです。
おわりに
企業は、あなたの強み・根拠となるエピソード・入社後にどう活かすかという自己PRの中から、あなたが自社でどのように活躍できる人材かを判断します。
適応力という強みを相手にしっかりと伝える自己PRを作るためには、簡潔に述べる結論、その根拠となるエピソード、入社後に強みをどう活かすか、今後の希望を含む結論といった構成が有効です。
しかし、適応力という言葉には、積極性に欠けるといったネガティブなイメージがあるため、別のフレーズに言い換えられるかには、注意してください。
今までにしてきたサークル・部活・アルバイト・長期インターンといった経験の中には、アピールできるポイントがたくさんあるでしょう。
さまざまな経験を振り返って、あなたならではの自己PRを考えてみてはいかがでしょうか。
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