大学生ではまだクレジットカードを持っていない人もいますが、家族カードをはじめ、ご自身でアルバイト収入があってクレジットカードを作れた人は、便利だなと感じる一方で、その仕組みに興味をもつ方も多いのではないでしょうか。
お堅い銀行や複雑な証券会社や保険会社に比べ、ショッピングや旅行にも利用できて身近な存在であり、カード入会のための積極的なキャンペーンやCMが流れるなど、他の金融業界に比べても、好奇心をもって取り組めそうな業界です。
クレジットカード会社に興味をもつ方に向け、クレジットカード会社の仕事内容、クレジットカード会社のやりがい、クレジットカード会社に向いている人をご紹介します。
目次[目次を全て表示する]
クレジットカード会社の種類
クレジットカード会社は、役割に応じて大きく3つに分かれます。
それぞれの事業内容を理解していないと、適切な志望動機が作成できません。
以降の文章で詳しく解説していくので、クレジットカード会社に興味のある就活生は参考にしてください。
また、クレジットカード会社はそれぞれが独立しているわけではありません。
お互いに協力しながら運営しています。
業界の全体像を把握するためにも、本章が役立つでしょう。
国際ブランド
クレジットカード会社の1社目は、国際ブランドです。
国際ブランドは、VisaやMastercard、JCBなどが挙げられます。世界中で共通して使える決済ネットワークを提供する会社です。
国際ブランドは決済情報を取り扱うため、情報の安全性が求められます。また、国際ブランドが定めたルールに沿って決済情報のやり取りがなされます。そのため、国際ブランドは重要なポジションです。
クレジットカード発行会社
クレジットカード会社の2社目は、クレジットカード発行会社です。
消費者に対してクレジットカードの発行業務が主な役割になります。
例えば、クレジットカードの入会手続きや審査、会員情報の管理です。
他にも、クレジットカード会社ごとに定められたポイントや特典に関する業務も対応します。
カードの利用限度額の設定や不正利用防止など、消費者の安全を守る一面もあるでしょう。
クレジットカード会社は、大手銀行や信販会社が担うことがほとんどです。
信販とは、信用取引の略称になります。
そのため、信販会社は信用取引(代金の立替、クレジット決済など)を担当する会社を指します。
日本であれば、三菱UFJニコス株式会社や三井住友カード株式会社が挙げられます。
加盟店管理会社
クレジットカード会社の3社目は、加盟店管理会社です。
クレジットカード加盟店の新規開拓と既存加盟店の管理を担います。
他には、クレジットカード加盟店とクレジットカード発行会社の間を取り持つ業務があります。
例えば、クレジットカード加盟店からクレジットカード発行会社への決済情報のやり取りです。
やり取りが完了すると、クレジットカード発行会社から受け取った売上金をクレジットカード加盟店に支払う業務があります。
クレジットカード会社の職種
クレジットカード会社は、クレジットカードを利用した決済システムや、キャッシングシステムを運用しており、お金の融通を担う社会的に重要な役割を担い、厳格な運用を行わなくてはなりません。
さまざまな職種がある中、ここでは代表的な仕事内容として、企画・マーケティング、営業推進、与信審査/信用調査、カスタマーサクセスについてご紹介します。
企画・マーケティング
主な仕事内容として、クレジットカード会員向けのサービスの企画、新たなカード発行の企画を担当します。
クレジットカード会社の利益の源泉を増やすためにも、クレジットカード会員の増加や利用促進は不可欠です。
数多くのクレジットカードがある中、ライバルに打ち勝ち、会員を獲得し、利用増進を図っていく必要があります。
新たなカードとして、若い世代向け、社会人シングル向けなど、ターゲット層をわけたカードを考え、審査条件や利用額やポイント付与率などを検討し、手に取りやすくするなどの企画を立てます。
入会時のポイントプレゼントキャンペーンで新規会員を募ることや、ポイント倍額キャンペーンや抽選会、ポイントに応じた交換特典、人気店やホテルの優遇サービスなどを企画、提供し、カード利用の促進を図るのも仕事です。
営業推進
クレジットカード販売促進の具体的な施策立案や、クレジットカード会員の新規開拓を行うほか、加盟店の開拓なども行っています。
クレジットカード会員は、個人客および法人があります。
BtoCの会員募集は加盟店や代理店や、自社のサイトなどが主な窓口になるため、直接、消費者に営業をかけるというよりは、手続き窓口への営業やサポートがメインです。
これに対して、BtoBの場合は、法人クレジットカード会員の獲得および加盟店の獲得ともに、飛び込み営業をはじめ、問い合わせを受けての訪問営業など、対面で直接商談をすることが少なくありません。
企画部門が企画したキャンペーンを推進しながら、数値目標を立て、新規顧客の獲得を目指します。
与信審査/信用調査
与信審査や信用調査は、クレジットカードの健全な運用と、不良債権のリスクを防止するために重要な業務で、専門性や経験も必要です。
クレジットカード会員の与信審査を担当し、クレジットカード発行の可否の決定や、利用限度額の設定などを行います。
クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠があり、それぞれについて、専門的な観点から、信用調査や与信審査を行わなくてはなりません。
クレジットカード会社は、個人会員や法人会員が商品購入時やサービス利用時に、クレジットカードで決済した場合、会員に代わって、代金全額を加盟店に支払います。
そのうえで、代金は翌月一括払いか、長期にわたっての分割払いやリボ払いを行い、必要があればキャッシングも利用するため、信用調査や与信審査の精度は重要です。
また、加盟店が加入する際の審査を担う部門もあります。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、個人、法人別のカード会員向けと、加盟店向けのお客様相談窓口が設けられるのが一般的です。
会員向けの相談窓口にはクレジットカードの使い方や仕組みや、支払い方の問い合わせのほか、代金の引き落としができずカードが利用できなくなった、代金やキャッシングの返済が困難になったなどの相談も寄せられます。
インバウンドだけでなく、アウトバウンドもあり、支払いができない会員への督促なども担います。
支払いができないのに不満を言うケースや暴言などをはくケースもあり、ストレスも大きな仕事です。
一方、交渉や、返済計画の相談に乗るなど、やりがいもあり、達成感も感じられるでしょう。
クレジットカード会社のやりがい
ここまで、クレジットカード会社の主な仕事内容を見てきましたが、仕事のやりがいはどんなところにあるのでしょうか。
今すぐほしいものを買いたい、旅行に行きたい、おいしいものを気軽に食べたい、今すぐお金を借りたいといった個人会員のニーズや、事業運営のための決済や借入に使いたいという法人会員のニーズに応え、すぐに代金を得たい加盟店への資金ニーズにもこたえられるクレジットカード会社で仕事をするやりがいを見ていきましょう。
チームで仕事をしている実感を得られる
クレジットカード会社は、クレジットカードで支払いを行い、借入を行いたい会員と、スムーズに商品やサービスを売って代金を得たい加盟店を結ぶ役割をはたしています。
見えない仕組みで資金を融通し合う仕組みを運営するうえでは、それぞれの仕事が連携し合っていることが必要です。
たとえば、従来より入りやすい新たなカードを企画すれば、審査部門と審査条件などについて、連携が必要です。
一方、カスタマーサクセスでは回収不能などトラブルが増えれば、企画や営業、審査部門などへのフィードバックを行い、より健全な運営を会社全体で目指さなくてはなりません。
このように、小さな仕事でも他部署との連携が求められることから、それぞれの職責をはたしつつ、チームで仕事をしている実感が得られます。
社会に貢献している実感を得やすい
次は、社会に貢献している実感を得られやすいことが挙げられます。
クレジットカード会社は、現代社会において現金に代わる決済手段として欠かせない存在になりました。
クレジットカード会社で働く社員は、社会インフラを支えているという自覚を持ちながら仕事ができます。
さらに、キャッシュレス化が進む現在では、クレジットカード会社の役割はより重要です。
自分の目で確かめたい人は、街に出かけてみましょう。
ショッピングしている最中に自分が務めているクレジットカード会社のカードを見かけると、より実感を得られます。
社会貢献したい気持ちが強い人には向いています。
幅広い業務に携われる
そして、幅広い業務に携われるのもやりがいになるでしょう。
クレジットカード会社はカード発行、決済処理、顧客サービス、システム開発などさまざまな業務があります。
そのため、自分の興味関心に合わせた業務の選択が可能です。
他にも、法人相手に営業する法人事業も存在します。
クレジットカードは一般のお客様が持つイメージがありますが、企業も同様に使用します。
規模の大きい業務に携わりたい人、常に新しい知識を身につけたい人には適しています。
年収が比較的高い
最後は、年収が比較的高いことです。
OpenWorkによると、クレジットカード会社の平均年収が高い傾向にあります。
以下の表にOpenWorkが公表しているデータをまとめたので参考にしてください。
企業名 | 平均年収 |
---|---|
オリックス株式会社 | 891万円 |
株式会社ジェーシービー(JCB) | 695万円 |
三菱UFJニコス株式会社 | 580万円 |
厚生労働省が公表したデータでは日本の平均年収は458万円です。
そのため、クレジットカード会社の平均年収は、高いことがわかります。
出典:【2024年11月最新】平均年収ランキング|クレジット、信販、リース業界で年収が高い企業TOP20|オープンワーク株式会社
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/dl/01.pdf)
クレジットカード会社の注意点
続いて、クレジットカード会社の注意点について解説します。
ここまで、クレジットカード会社の全体像とやりがいを説明しましたが、注意点もあります。
入社後に「想像と違う」と後悔しないために、本章を参考にしてください。
今回解説する3つの注意点のうち1つでも当てはまる就活生は、検討してから入社しましょう。
プレッシャーが強い環境
注意点の1つ目は、プレッシャーが強い環境になります。
クレジットカードは、顧客獲得競争が激しい業界です。
そのため、どの企業も新規顧客を獲得するための営業を積極的に実施します。
上司から指示されたノルマが達成できないと、精神的負担は大きくなるでしょう。
さらに、ノルマが未達成の場合は人事考課に大きく影響します。
人事考果とは、社員を明確な基準を用いて適正に評価することです。
給与や賞与、昇格などの処遇を決める際の材料になります。
適度なプレッシャーは自分自身が成長するきっかけになるでしょう。
しかし、常にプレッシャーがかかる職場は、心身を崩す原因になります。
自己分析と企業分析を通して、自分が活躍できる環境かどうか確かめておきましょう。
競争の激化
注意点の2つ目は、競争の激化です。
現在の日本は、キャッシュレス決済の普及にともないQR決済やデビット決済など新しい決済方法が登場しています。
交通系電子マネーやキャッシュレス決済アプリなども挙げられます。
その結果、クレジットカード会社は、新規参入してきた企業と顧客の取り合いとなり、競争が激しくなっています。
消費者側からすると決済方法が増えると便利に感じるでしょう。
しかし、クレジットカード会社で働く社員は、市場競争に大きく巻き込まれます。
さらに経済産業省は、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%に引き上げることを発表しています。
そのため、今後も市場規模の拡大が予想されます。
クレジットカード会社を志望する就活生は、現状と将来性について理解しておきましょう。
出典:経済産業省ホームページ(https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240329006/20240329006.html)
規則が多い
注意点の3つ目は、規則が多いことです。
クレジットカード会社は、個人情報や資産といった重要な情報を多く管理します。
そのため、情報漏洩しないための対策を徹底します。
さらに社員自身には、慎重な行動や発言、情報セキュリティーへの高い意識が求められます。
一度のミスで企業の評判が大きく落ちる可能性があります。
自分では「これくらい大丈夫だろう」と考えている行動が、クレジットカード会社では禁止されるかもしれません。
学生時代から、校則やルールについて甘く考えている就活生は、要注意です。
制限の多い職場で、しっかりと業務が遂行できるか検討しておきましょう。
クレジットカード会社に向いている人
個人会員や法人会員の獲得や利用促進、加盟店の獲得をはじめ、会社内でのチームプレーが求められるクレジットカード会社に向いている人は、どのような人でしょうか。
それは、ここまでに見てきた仕事内容や、クレジットカードの仕組みにも大きくかかわってきます。
クレジットカード会社に向いている、信頼関係を築く力がある人、新しいことにどんどんチャレンジできる人について詳しく見ていきましょう。
アイデアを提案するのが得意
どの職種でも、アイデアを出して、既存の問題を解決し、目標の達成や、目指す方向を達成していくことが求められます。
企画やマーケティング部門がアイデアが必要なのはもちろんとして、営業推進部門も、どうすれば、会員や加盟店を増やせるかや利用額を増やせるか、アイデアをしぼらなければなりません。
与信審査/信用調査部門においては、よりスピーディーで効率的な調査や審査のノウハウを考える、不良債権を減らすためのより精度の高い審査の仕方を考えるなどのアイデアが必要です。
カスタマーサクセスにおいても、会員を怒らせたり、怖がらせたりすることなく、いかに督促を行うかなどのアイデアが求められます。
アイデアを出せるだけでなく、主体的に提案できる人物が求められ、自分のアイデアで現場が変化したり、目標が達成できたりすれば、やりがいにもつながります。
信頼関係を築く力がある人
クレジットカード業界は信用のもとに成り立つ業界のため、自らも信頼され、取引の相手方や社内のメンバーとの信頼関係が築けないとやっていけません。
加盟店や法人会員、個人会員の資金繰りに大きな影響を与えたり、与信枠を与えすぎたなどで使いすぎたりすれば、経済的に破綻し、人生にさえ影響を与えるような業務です。
クレジットカードがあれば、便利に買い物や旅行ができる、ポイントもたまってお得、好きなときに借入ができるという、いい側面ばかりをみてはいけません。
与信や決済のシビアさ、返済できなくなった際のドロドロとした現実も理解し、常に冷静で公正、責任をもって正しいことを言う、倫理観と透明性のある人物であり続けることが大切です。
新しいことにどんどんチャレンジできる人
クレジットカード会社は、競争も激しい業界です。
国際的なクレジットカードブランドだけでなく、それを利用してクレジットカードを提供するクレジットカード会社は、数も業種も多彩です。
専門会社のほか、百貨店や小売店、ECやネットサービス業者など、独自のキャンペーンや特典を出して会員を募り、利用促進を図っています。
人々の価値観やライフスタイル、お金の使い方や決済手段もどんどん変わっていくため、常に新しいことにどんどんチャレンジできる人が大切です。
キャッシュレス時代を迎え、クレジットカードに加えて、電子マネーやスマホ決済なども人気を集めています。
新しい価値やサービスがどんどん生まれる業界のため、素直に吸収できる人材が向いています。
まとめ
クレジットカード会社には、代表的な仕事内容として、企画・マーケティング、営業推進、与信審査/信用調査、カスタマーサクセスなどがあります。
また、クレジットカード会社の仕事のやりがいは、チームで仕事をしている実感を得られること、アイデアを提案して、それが採用される達成感なども挙げられます。
クレジットカード会社に向いている人は、クレジットカードという資金を融通し合う仕組みを担う重要な役割をはたすことから、信頼関係を築く力がある人です。
ライバルも多く、決済手段のキャッシュレス化など時代やライフスタイルもどんどん変化していくことから、新しいことにどんどんチャレンジできる人が向いています。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート