【ベンチャー企業は危ない?】ベンチャー企業が危ないと言われる理由と見分け方

【ベンチャー企業は危ない?】ベンチャー企業が危ないと言われる理由と見分け方

はじめに

新卒でベンチャー企業に就職したいというと、「危ないから止めたほうがいい」と言われることがあります。

なぜ、ベンチャー企業は危ないと言われてしまうのでしょうか。

この点、知名度の高い大手企業は信頼度が高く、人気も高いうえ就活しても内定を得るのが難しい高嶺の花です。

中小企業は歴史が長い企業も多く、日本経済を支えている安定感があります。

では、ベンチャー企業が危ないと敬遠されてしまうのはなぜなのでしょうか。

【ベンチャー企業は危ない?】そもそもベンチャー企業とは?

そもそも、ベンチャー企業はどんな企業を指すのでしょうか。

日本の企業の99.7%を占めるのは、いわゆる中小企業です。

創設から間もない企業もありますが、歴史の長い企業も多く、日本経済を支えているのは中小企業と言われることも少なくありません。

一方、ベンチャー企業も規模的には中小零細企業レベルのことが多いのですが、中小企業や知名度の高い大手企業とは別に分類されています。

ベンチャー企業は、どのような企業なのか見ていきましょう。

新しいビジネスに挑戦している会社

中小企業は古くから存在し、大手企業の下請けとして業務を請け負うことや以前からあるビジネスを独自に遂行する企業です。

これに対してベンチャー企業は中小企業に比べても規模が小さい会社も多いですが、事業内容に大きな違いがあります。

以前からあるビジネスではなく、これまでなかったサービスを提供することやこれまでなかった商品を開発して販売するなど、新たなビジネスを手掛ける企業となります。

これまで市場が形成されていなかったニッチ市場の開拓に取り組むことや多くの人が初めてと感じる事業を展開するパイオニアになる存在です。

ITサービスなどを中心に、新たなビジネスモデルを開拓していく、チャレンジャーなのです。

独自の技術を使い急成長する会社

これまでの企業が手掛けていなかった市場で、独自の新しいビジネスを展開する企業であるため、独自の技術の開発やこれまでなかったサービスを作り出して提供します。

ほかに同じ技術やサービスを提供する企業がないので、その技術やサービスが受け入れられれば、ひとり勝ちとなります。

ライバル企業がないため、ひとり勝ちで急成長を遂げる可能性を秘めている企業なのです。

急成長の結果、新たな市場を形成し、事業規模が拡大し、従業員数も増え、やがて、大企業と比肩するほどのメガベンチャーに成長するケースもあります。

もっとも、成功すればの話であり、独自の新しい技術やサービスが受け入れられなければ、成長企業とはなりません。

【ベンチャー企業は危ない?】ベンチャー企業が危ないと言われているのは本当?

新しい独自の技術やこれまでにはないサービスや商品で勝負をかけ、新たな市場を形成して、ライバル企業もなくひとり勝ちで急成長を遂げていく可能性を秘めているのがベンチャー企業です。

では、なぜベンチャー企業が危ないと言われているのでしょうか。

それは、必ずしも成功するとは限らないからです。

もっとも、事業が成功するか、軌道に乗るかは未知数なのは、創業したばかりの中小企業でも同じはずです。

なぜ、ベンチャー企業だけが危ないと言われてしまうのでしょうか。

注意!危なくない企業なんてものはない時代

今の時代、大手企業であっても、知名度の高い企業であっても、突如として倒産することもあるような不透明な時代です。

歴史もあり、世界でも認められてきた日本の大手企業が1つの事業が傾いたことで上場廃止になったり、民事再生を申し立てたり、海外企業に買収され、多くの従業員がリストラされてしまうことさえあります。

企業数の99%を占め、日本の雇用の約7割を占める中小企業や小規模事業者の倒産件数は2019年度で8,500件あまりにのぼっています。

さらに少子高齢化による後継者不足で、自ら廃業する中小零細企業も少なくありません。

倒産の危険でいえば、ベンチャー企業に限らず、あらゆる企業で経営が突如として傾くリスクが潜んでいる点は注意しなくてはなりません。

【ベンチャー企業は危ない?】ベンチャー企業が危ないと言われる理由

大手企業でさえ、いつ倒産するともわからない事業リスクを抱えている場合やコロナショックや大規模災害など経済情勢に突如として影響が加わる不透明な時代にあって、ベンチャー企業が特に危険視されてしまうのはなぜでしょうか。

そこにはベンチャー企業ならではのビジネスモデルや資金力、経営力などのリスクが挙げられます。

どのような理由から、ベンチャー企業が取り立てて危険視されるのかを見ていきましょう。

倒産率が高い

ベンチャー企業の中には、資本金1円、パソコンと携帯電話だけで経営者1人でビジネスを始めるケースも少なくありません。

登記簿上連ねている取締役や監査役も名ばかりで、ビジネスにはまったく知見もなく、経営には一切ノータッチの家族などが形式的に名を連ねていることも多いです。

オフィスは6畳一間のアパートであったり、自宅を兼ねたSOHOなど、いつでも撤退できるような場所であったりします。

もちろん、社員3人のワンルームマンションからスタートし、一流大手企業と比肩するメガベンチャーへと成長したベンチャー企業もありますので一概にはいえません。

ですが、1円スタート企業などを中心に確固たるビジネスモデルがなく、新しいビジネスを始めると言いながらアイディアもなく、従業員を集めておいて倒産するケースもあるので注意しなくてはなりません。

ブラック企業化するところが多い

ベンチャー企業の中にはIT系も多いですが、新しいサービスを提供するために少人数で開発を進める結果、毎日残業続きなのに儲かっていないので残業代も出ないというケースも少なくありません。

また、運転資金を得るために開発の下請けなどを請け負い、少ない人材では対応しきれない業務の納期に追われ、毎日終電、休みもなしといった忙しさに陥るベンチャー企業もあります。

開発したサービスや商品を売り込むために人海戦術を採り、営業マンを次々に集めて訪問営業や電話営業などをさせるケースも多いです。

知名度が低いため、一向に売れず、いくら人を雇っても収入が入らないため、低賃金であったり、賃金が未払いになったり、最悪、不当解雇されたりとブラック企業化するケースも多いため注意しなくてはなりません。

【ベンチャー企業は危ない?】危ないベンチャー企業の見分け方

もっとも、人数が少ないとか、オフィスがアパートやマンションの1室であるとか、賃金が安いなど、それだけではベンチャー企業として成功しないわけではありません。

今やメガベンチャーとして就活生にも憧れの的である知名度の高いベンチャー企業も、事業をスタートさせて当初は数人のメンバーでアパートの1室からスタートしているケースがほとんどです。

では、成長が期待できるベンチャー企業なのか、危ないベンチャー企業なのかは、どう見極めれば良いのでしょうか。

募集職種がわかりにくい、提示していない

新卒をはじめ、業務経験がある転職組であっても、避けたいのが募集職種がわかりにくい、またが職種の具体的な提示がないベンチャー企業の求人です。

もっとも、そこには魅力的なフレーズやメッセージが添えられているはずです。

「新進気鋭のベンチャーであなたの力を試しませんか。」「急成長を遂げているベンチャーで働けるチャンスです。」「新しいことにチャレンジしたい人を募集中。」といったメッセージが散りばめられています。

一見すると魅力的に思え、既存の企業には魅力を感じない方にとっては興味が湧くことでしょう。

ですが、この求人では何をするのか仕事内容や職種が明確ではありません。

採用されたものの、ひたすら雑用をさせられることや売れない商品やサービスの営業をさせられ疲弊してしまうおそれがあります。

出資先が不明である

倒産リスクが高く、危険度の高いベンチャー企業かどうかを見極めるカギとなるのが、資本金です。

ベンチャー企業の中には資本金1円スタート企業も少なくありません。

かつては株式会社の資本金は最低でも1,000万円が必要でしたが、現在では法改正によって最低資本金制度が撤廃され、1円でも会社を設立できるようになりました。

アイディアがあっても資金力がない若手や技術を持つ方が起業できるようになると話題を集めましたが、実際に1円しか資本金がないとなれば、何をすることもできません。

一発でビジネスを急成長させない限り、先行きは不透明です。

事業内容にもよりますが、最低でも資本金は300万円から1,000万円はほしいところです。

一方、ホームページ上に資本金額が掲載されていない、出資者である株主が明確でない、取引銀行の記載がないといった場合、開業資金の面で不安が残ります。

すでに資金ショートを起こしているか、最初から自転車操業状態のリスクがあるため、資本金額や出資先の確認を慎重に行いましょう。

在籍数に対して募集人員が多すぎる

新卒採用の募集人数が5名、10名とあったのに、実際に面接に行ったら経営者と社員1人だけの会社だったなんてベンチャー企業も存在します。

しかも、創業からの年数が浅い、まだ起業したばかりの場合には、一層注意が必要です。

堅実なベンチャー企業であれば、事業が軌道に乗り、多忙化が進んで、給料もしっかり払えると判断した段階で、まずは1人、また1人と少しずつ慎重に増やしていきます。

しかも、最初の段階では即戦力となる中途採用であり、必要な知識やスキル、経験などがない新卒を採用することはありません。

最小限の人数でビジネスを行っているので、新人育成をする人材もいないからです。

にもかかわらず、新人を募集しているケースではハードな営業など、売上を人海戦術で伸ばそうという計画性のない募集であるケースもあるので気を付けなくてはなりません。

面接してすぐに内定が出る

面接してすぐに内定が出るのは、よほど信頼度がなく長い間、応募者がなかったか、採用してもすぐに離職してしまうなど企業の業務内容や職場環境、待遇などになんらかの問題があるケースが多いです。

または、求める人物像もなく、とにかく誰でも良いから人がほしいといった状態です。

誰でも良いというケースでは、つまらない雑用を押し付けられるか、または何人分もの仕事を押し付けられるブラック企業的なハードな仕事が待っています。

ベンチャー企業の中には経営者1人のケースもあり、経営者が新しいビジネスを売り込むために営業に忙しく、雑務や留守番などを押し付けられる人を誰でも良いから求めているケースもあるので注意しましょう。

同業他社より圧倒的に給料が低い

給料が安いかなと思ったのに、創業間もないベンチャー企業だから、新卒だから仕方ない、成長を遂げてこれから良くなるはずと、自分を納得させてはいけません。

確かに成長途上にあり、今まさに規模拡大の第一歩として人材の新規募集をスタートさせたばかりのベンチャー企業の場合、同業他社より給料レベルが低いのは致し方ないかもしれません。

ですが、あまりに差があるのは要注意です。

新しい人材を雇う資金的な余力はないのに、業務だけを広げてしまい人材を募集している自転車操業的な企業のおそれがあります。

同じIT系の同種の企業で有名企業が新卒で23万円、小規模な企業でも20万円なのに、16万円から18万円程度に留まっている場合や基本給15万円で後は実績によるなど不明瞭なケースは気を付けましょう。

残業代も出ない、延々と昇給しない、ボーナスが出ないといったリスクがあります。

【ベンチャー企業は危ない?】優良ベンチャー企業の特徴

では、将来的にはメガベンチャーに成長するかもしれない、就職しても安心な優良ベンチャーはどのように見極めれば良いのでしょうか。

見極め方のコツは資金力と資金の出資先の透明性、そして実際の社員が働く様子や職場環境、待遇、人材の募集の仕方です。

危険なベンチャー企業の特徴とは、基本的に真逆にある企業であるかが、1つの見極めポイントになります。

具体的に見ていきましょう。

ベンチャーキャピタルから出資を受けている

ベンチャーキャピタルというと、怪しげな会社に思えてきますが、有名な銀行や証券会社などが共同して立ち上げたケースも少なくありません。

何をするところかというと、成長が期待できるベンチャー企業を探し出して出資をするという投資事業を行っている企業です。

ベンチャーキャピタルから出資を受けるためには、事業の新規性や成長性、堅実性、技術力や綿密な事業計画があるかなどがチェックされ、ベンチャーキャピタルが定める基準をクリアしなくてはなりません。

出資をする以上、事業がうまくいかずに倒産すれば、ベンチャーキャピタルも損失を被るので厳しい審査が行われるとともに、実際の事業運営についてもチェックが行われ、経営面に口出しもしてくるので、健全経営や安定成長が期待できます。

社員がイキイキと働いている

ブラック企業でないか、待遇面で問題がないかをチェックするためにも社員がイキイキと働いているかは重要な見極めポイントとなります。

ベンチャー企業の場合、大手企業や規模の大きな中小企業とは異なり、オフィスも比較的小規模なワンフロアなどで、面接に行くと働いている社員の様子が目に入るケースが多いです。

職場が明るい雰囲気で活気があるか、コミュニケーションが取れていそうかや、真剣な表情で集中的に業務に取り組んでいるかなどをチェックしてみましょう。

実際に社員から話を聞いてみたいと申し出るのも良いです。

優良なベンチャー企業なら、そのくらいの柔軟性もあります。

まとめ

ベンチャー企業は危ないと敬遠される向きもありますが、倒産リスクは今の時代、企業の規模や知名度を問わずつきまとっています。

もっとも、ベンチャー企業でも十分な資金力もなく、新たなビジネスも確立されておらず、事業計画も整っていないケースもあります。

ブラック企業と化すケースも少なくありません。

一方で、ベンチャーキャピタルから認められ、かつ、経営のチェック体制も整い、企業の成長に合わせて堅実な人材募集を行っている優良ベンチャーもあるので、見極めが大切です。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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