はじめに
就活生にとって、「業界研究は大事」とよく言われますが、どうやって研究したらいいのかわからない、という人も多いのではないでしょうか。
世の中にはさまざまな産業がありますが、「食品業界」「金融業界」「印刷業界」など、特定の「業界」に分類されます。
この業界について情報を収集し、理解を深めることが、業界研究になります。
業界研究の意味や目的を知ることから始めると、業界研究に必要な情報収集がスムーズになり、企業研究や企業の選択に役立つ研究につながります。
ここでは業界研究の基礎知識について、わかりやすく説明します。
業界研究を始める際の参考にしてください。
業界分析が必要な理由
業界研究をする理由は、就職を志望している業界について、理解を深めるためです。
誰でも興味のある業界について、特定のイメージを抱いていますが、業界研究を通して理解を深めることで、業界に対するイメージがより正確により具体的になります。
正しいイメージを持つことで、その業界が自分に合うかどうか見極められるほか、企業研究の対象となる企業を選ぶときにも役立ちます。
企業研究は、特定の企業について深く理解するための研究ですが、通常業界研究の後に行います。
業界研究をしっかりしておくと、企業研究も難なく入り、企業を深く理解する際の役に立ちます。
業界について理解を深めることで、企業選択と企業研究につながるのです。
これが業界分析が必要な理由です。
志望動機・自己PRにつながる
業界分析を行うことで、志望動機や自己PRの回答が精緻化されます。
企業からさらに視野を広く持ち、業界を比較・理解することで深堀されても回答に困る事はなくなるでしょう。
業界分析においては、他の業界と比較してみることも大切です。
事業形態や規模、安定性などを他の業界と比較することで、業界の特長を知ることができるのです。
入社後のミスマッチを防ぐ
業界を大きく理解することで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
せっかく魅力を感じた企業から内定をもらっても、入社後に想像と違ったらもったいないですね。
業界分析を行うことで入社後のミスマッチを防ぐことができます。
企業を選び、選ばれる際に企業とのミスマッチを防いで、自分にあった働き方ができるように意識しましょう。
業界分析2つのポイントを解説
業界分析をスムーズに行うため、分析を始める前に、ポイントを確認しておきましょう。
業界分析のポイントは、「業界全体を把握する」「業界内の事情を把握する」の2つです。
業界全体を把握するということは、業界の概要や特徴について調べ、業界の全体像をざっくりつかむことを意味します。
業界の全体像を把握するには、業界の概要のほか、業界で有名な企業や市場規模、シェア率などの情報を調べることです。
業界のトレンドや現在の状況を調べるのも、全体像を把握するのに役立ちます。
業界の特徴や置かれている状況について調べたら、次は業界内の事情について情報を収集します。
業界内の事情は、業界と関係のあるほかの業種や、業界の将来性、業界動向、市場推移など、業界の状態について情報収集することで把握できます。
業界分析における情報収集の方法
業界研究のポイントをつかんだら、次は必要な情報を収集する段階に入ります。
と言ってもどのように情報を収集したら良いかわからない、という人も少なくありません。
業界研究を進めるうえで必要な情報源は複数あり、必要によって利用することがポイントです。
業界研究に必要な主な情報源は「業界地図」「各業界団体のHP」「就職情報サイト」「新聞やニュース」の4つになります。
①業界地図
業界地図は、日本経済新聞社が発行している、業界に関する情報誌です。
さまざまな業界の市場シェアや業界動向、商品などが網羅されていて、業界研究に大いに役立ちます。
業界地図という名前の通り、業界について図解で表示されていて、わかりやすいと評判です。
業界地図は毎年発売されますので、業界研究する際は、できるだけ最新版を参考にすると良いでしょう。
業務地図と同じく、業界研究に役に立つと言われているのが、東洋経済新報社が発行している『就職四季報』です。
およそ5,000社の企業に関する営業利益や売上高、経営成績といったデータが記載されています。
時間に余裕があれば、就職四季報にも目を通しておくことをオススメします。
②各業界団体のHP
業界には、加盟している企業によって組織された「業界団体」や「業界協会」といった名称の団体があります。
各業界団体のホームページには、業界に関する情報やトレンド、取り組みなどが記載されている傾向があり、業界研究に必要な情報収集が期待できます。
各業界団体のホームページをチェックすると、業界内の主な企業について知ることができる、というメリットもあります。
国内に業界団体は多数存在しますが、どんな業界団体があるのか調べるには、業界団体一覧を紹介しているサイトが役に立ちます。
業界団体すべて調べる必要はなく、はじめはよく知られている業界団体をチェックし、もっと情報が必要になった場合に、追加することをオススメします。
③就職情報サイト
就職情報サイトは、就活をサポートする情報が満載で、業界のセミナー情報や、イベントに関する情報は、業界研究にも役立ちます。
就職情報サイトは、就活生目線でコンテンツが作り込まれていますので、必要としている情報を、得やすい点に魅力があります。
就職情報サイトは無数にありますので、興味のある業界についての情報が多く、知りたい情報が網羅されているものを選ぶと良いでしょう。
中には業界研究に関連した記事やコラムを掲載しているところもありますので、サイトをこまめにチェックすることをオススメします。
④新聞やニュース
新聞やニュースの大きな特徴は、業界動向や企業動向について、タイムリーな情報を得られるところにあります。
新聞には総合的な情報を提供するものから、経済新聞など、1つの分野に特化して情報を伝えるものまであります。
どの新聞を読んだら良いか迷った場合は、日本経済新聞を選ぶことをオススメします。
日本経済新聞には、経済の流れだけでなく、企業情報や業界のトレンドについても掲載されています。
企業欄からは、業界研究に役立つヒントを発見できるでしょう。
新聞紙を読むことに慣れていなければ、新聞社の専用アプリをダウンロードしたり、電子版を購読したりするという方法もあります。
必要な分析とは?
収集した情報を眺めているだけでは、業界研究とは言えません。
収集した情報を分析し、業界の状況や業界内の事情について、明らかにする必要があります。
業界について分析する方法には、とくに決まりはありませんが、ここでは「基本の業界概要」「業界の市場規模・ビジネスモデル」「業界の外部環境の調査」「業界動向・市場推移」の分析ポイントについて説明します。
①【業界分析】基本の業界概要
業界概要を明らかにすることは、業界研究の基本です。
業界の概要は、その業界が持つ特徴や事業内容など、業界の基本的な情報になります。
たとえば商社の概要ですが、商社はさまざまな商品を、国内外のメーカーから仕入れ、仕入れた商品を販売店に売るのが主な仕事です。
商社には特定の分野に関連した商品やサービスを取り扱う「専門商社」と、幅広いジャンルの商品を仕入れる「総合商社」の2種類あります。
商社は、仕入れた商品を販売店などに売ることで、仲介料を手にし、それが収益になります。
このように、業界の全体像を浮かび上がらせるのが、基本の業界概要の分析です。
②【業界分析】業界の市場規模・ビジネスモデル
業界の市場規模とビジネスモデルも、その業界を知るうえで必要となる情報で、業界分析でもよく用いられます。
市場規模とは、業界における経済活動の規模のことで、取引総額や買い手・売り手の数などで表現されます。
取引総額が大きければ、その分市場が大きいということになります。
市場規模は、業界の成長や将来性について考える際、参考となるデータです。
ビジネスモデルは、簡単に言うと、商品やサービスを提供し、その見返りとして利益を得るための仕組みです。
業界や企業のビジネスモデルを知ることは、身体の仕組みを知ることと同じように基本的なことで、業界を理解するには不可欠です。
ビジネスモデルを通して、提供するサービスや商品、コスト、利益が上がる仕組みなどをチェックしましょう。
③【業界分析】業界の外部環境の調査
業界はそれだけでは成り立たず、必ずと言って良いほど外部環境に影響を受けています。
外部環境の変化で、業界の成長が活発化したり、逆に売上が落ち込んだりしますので、業界分析で外部環境の調査をしておくことは、とても大切です。
外部環境の調査には、いくつか方法がありますが、業界研究で欠かせないのは、「PEST分析」と呼ばれる方法です。
PEST分析の「PEST」は、「Politics(政治面)」「Economy(経済面)」「Society(社会・文化面)」「Trchnology(技術面)」の頭文字をそれぞれ取った略語です。
たとえば保険業界は少子高齢化や、健康寿命意識の高まりなど、社会の変化によってサービスや保険商品を提供する必要があるため、とくに社会面に影響されやすいと考えられます。
PEST分析は、4つの観点から現状を分析し、多角的な目で業界を理解することを可能にします。
④【業界分析】業界動向・市場推移
業界動向と市場推移は、業界の将来性や力を入れる商品やサービスなどを考える際に役立ちます。
業界動向や市場推移を調べるために必要な情報源は、レポートや統計、名簿をはじめインターネットや新聞、専門誌など多岐にわたります。
こうした情報には、ランキングや販売額、生産量、製品価格などが含まれますので、業界動向や市場推移についてのコラムや解説を読んでから、細かな情報をチェックするようにすると、理解しやすくなります。
業界分析で確認するポイント
業界分析において、どんなポイントに注意して業界を判断すればよいのでしょうか?
業界の分析方法はわかっても、業界分析から何を確認するのかがわからないと自分のためになる情報をくみ取ることができません。
以下の2点について業界分析を行いましょう。
業界の成長性
まず着目すべきは業界の成長性です。
業界の成長性とは、社会の現状とこれからを予測したうえで業界にどのような変化が伴うかを予想することを指します。
業界の成長性は、意外と不意打ちで企業に質問される内容でもあります。
例えば、「今後この業界はどのように変化すると思いますか?」
「今後の業界における社会課題は何だと思いますか?」など面接で質問されたら答えられますか?
未来に関する質問をされた際に、業界の成長性をヒントにして回答を考えることができます。
時事を理解し、それが業界にどのように影響するのか考えてみてください。
業界の特徴
業界の特徴は言うまでもありません。
業界の特徴は、他の業界との比較も合わせて行う必要があります。
分析対象の業界が、他の業界と違うポイントはどこか、どのような長所・短所があるのかなど、幅広い視野を持って考えてみましょう。
業界の特徴をきちんと理解することで、業界に関する誤解や過信は払拭できます。
自分なりに就活で大事にしているポイントを重点的に分析し、自分の認識やイメージと齟齬がないか考えてみてください。
まとめ
業界研究は、特定の業界や企業について理解を深め、就職に役立てるという大事な役割を果たしています。
研究は、情報を収集し、それを分析する作業となりますので、ある程度の時間と労力を必要とします。
時間がかかるので面倒に感じるかもしれませんが、業界研究は、その業界を理解する最も適切な手段になりますので、時間をかけてでもするのが得策です。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート