はじめに
転職を要領良く進めて無事に内定をもらうためには、明確な転職の軸を持つことが非常に重要です。
ただでさえ多忙な就活生にとって、転職の軸を考えるのは面倒臭いし時間も取れないという人もいます。
しかしながらしっかりした軸を持つか持たないかが、転職で成功するかの鍵を握っているといっても過言ではありません。
そもそも転職の軸とはどういうものなのか、そしてなぜ転職の軸が必要になってくるのかを考えてみましょう。
項目別!転職の軸を紹介
転職の軸とは、一言で言うなれば「転職を志望する動機やきっかけ」と言えるでしょう。
自分だけのブレない軸を作ることが大切です。
転職の軸は大きく分けると、「働き方」「待遇」そして「環境」の3つに分類できます。
転職の軸が大事なことはわかったものの、作り方がよくわからないという人は、この3つに分けてそれぞれ具体的な軸を考えていくと良いでしょう。
それぞれについて自分がどう働きたいのかをはっきりさせていくことが、転職の軸作りにつながります。
前職を辞める原因となった事項を整理することで、軸が見えてくるはずです。
各項目において事例を挙げるので参考にしてください。
働き方の軸
仕事内容や働き方、キャリアアップなどについて、転職する際に譲れないものが「働き方の軸」となります。
仕事内容に関する転職志望動機を思い起こしてみましょう。
・専門的なスキルをさらに磨いてその分野でもっと活躍したい
・単独ではなく人と接してコミュニケーションを取る仕事がしたい
・ゆくゆくは海外を拠点に働きたい
・今までのキャリアを活かしつつも新しい職種に挑戦したい
・暇なのは苦手なのでもっと忙しくてやりがいのある仕事をしたい
待遇の軸
待遇の軸とは、言うなれば勤務形態や残業・休日出勤に関すること、さらに福利厚生面などにおける妥協したくない点です。
これに関しては、面接で強く表面に出した発言はしにくいでしょう。
しかしながら転職で成功するためには、待遇に関する転職軸も定かにしておく必要があります。
・テキパキとスピーディに仕事をこなして、無駄な残業や休日出勤を減らしたい
・ゆくゆくは妊娠出産して、休職後もバリバリ働きたいので、女性の福利厚生面がしっかりしている企業に就きたい
・頑張った分が反映される給与形態の会社で働きたい
環境の軸
同じ業界の会社でも、それぞれ雰囲気や社風は異なります。
自身が重きを置く会社の環境面が、環境の軸です。
自分の性格や求める環境と、企業の環境がマッチしなければ、転職できてもストレスが生まれます。
どのような企業環境で働きたいのかを明確にしましょう。
・研修やスキルアップ面などの教育環境が充実している企業で働きたい
・性格が男っぽいので、女性ばかりの会社ではなく男女比がなく男性と同じ条件で働ける環境が良い
・若手にも新しい仕事にチャレンジする場を与えてくれる会社に就きたい
・運動部にずっと所属してきたので、体育会系の社風の中で活発に働きたい
転職の軸を考える3ステップ
次に、転職の軸の作り方について3段階を踏みながら進める方法を紹介します。
軸を作るために不可欠な作業は、なぜ転職したいのか転職の目的をはっきりさせることです。
目的なく漠然と転職するという人は、残念ながら成功する確率が低くなります。
内定をもらえたとしても、次の職場でも同じ失敗を繰り返しやすいのです。
問題なく継続して働ける企業に転職するためにも、転職の目的を明確にして軸を持たなければなりません。
軸作りの3ステップについて解説します。
転職の目的を明確にする
転職の目的とは、転職の理由とも言い換えることができます。
転職目的を定かにする際のやり方として、まずは自身が転職したいと思ったきっかけを振り返ってみましょう。
なぜその会社を辞めたいと思ったのか、なぜ転職したいのかを突き詰めていきます。
そうすることで、転職目的が定まってくるはずです。
たとえば「自分が思っていた仕事内容と異なり、自分の能力を活かすことができない職場で物足りなかった」というのであれば、「自分の能力を発揮できる仕事に就きたい」という転職目的が生まれてきます。
転職目的が曖昧であると、面接でも人事担当者に熱意が伝わりにくいですしまたすぐ辞めるのではないかと思われてしまうので気を付けましょう。
その目的を満たせる条件が何かを考える
転職理由は1つではなく、いくつかの理由が重なって辞めたという人も多いのではないでしょうか。
その場合、小さなことも大きなことも、すべての転職理由を書き出してみます。
そしてそれぞれの理由を客観的に見てみると、自分が次の仕事に対して求めている妥協できない部分が見えてきます。
それこそが、転職の軸となり得る事項です。
ノートに、転職目的を満たすための条件をすべて洗い出していきましょう。
いくつか事例を挙げます。
・仕事を頑張った分だけ評価される給与額がほしい
・女性も男性と同じ仕事を同じ待遇で行える仕事が良い
・転勤がなく家から近い職場を希望する
その条件の中で優先順位付けをする
転職目的が見つかり、その目的を満たすための条件を掲示したならば、その事項をランキングしていきます。
ランキングの仕方としては、自分の中で「これだけは譲れない」という気持ちが強い事柄を上位にしましょう。
自身が決めたランキングは、上位ほど転職する際の優先順位が高いことになります。
つまりこの作業により、どういった点に重きを置いて転職したいのかが明らかになるのです。
転職条件の中で1位にランクインした事項が、すなわち「転職の軸」ということになります。
上位の2点が甲乙付け難いといった場合もあるでしょう。
その場合はその2項目が、自身の中での転職の軸といえます。
3ステップを踏んで見つけた転職の軸は、今後面接の際にも必ず役に立ちます。
ノートに記すなどして、自分の中でのブレない軸として常に頭に入れておきたいものです。
転職の軸の良い例、悪い例
転職理由を思い起こす作業から始まり、自分なりの転職の軸が見つかったところで、実は転職の軸には良いものと悪いものがあることを知っておく必要があります。
悪いものというのは、転職活動をするにあたってあまり効果を持たない軸のことです。
面接時に面接官より「転職の軸を教えてください」と聞かれたとしても、悪い転職軸をそのまま回答してしまうと良い評価には至りません。
時として、マイナスに取られてしまう可能性もあるので要注意です。
そもそも、良い転職軸と悪い転職軸とはどこが違うのでしょうか。
それぞれ事例を挙げながら、良し悪しについて説明をしていきます。
転職の軸の良い例
良い転職軸は、具体的でなおかつ就活生の意欲が感じられる内容になります。
・アパレル店接客販売の経験を活かすことができて、自身のリーダーシップ能力を発揮できるポジションにキャリアアップできるシステムが導入されている会社
・男性と同じ仕事内容で同じ待遇で、出産後も復帰できてバリバリ働く環境が整っている会社
・海外留学で身につけた語学力を活かして、将来的に海外支店にて働くことができる会社
このように、一言で終わらせるのではなく将来のビジョンまでも取り入れた軸は、面接でも好印象です。
また自分自身でも、思うように就活が進まなかったときでもブレることなく頑張ることができる力になるはずです。
転職の軸の悪い例
「転職の軸はなんですか?」と聞かれた際に、一言で済ませてしまうのは転職軸としては物足りなさを感じます。
具体性に欠けるものやその会社以外にも当てはまるようなものは、面接ではインパクトが薄くなるでしょう。
また、「その程度で前職を辞めたの?」と思われてしまうような内容も避けたいものです。
以下、転職軸の悪い事例についていくつか挙げてみます。
・人間関係が良好な社風
・土日休み
・将来性のある企業
・きちんと昇給する会社
・パワハラのない会社
・休日出勤はしたくない
・資格を取るためのサポートがある企業
これらの転職の軸は、実は非常にありがちです。
しかしながら就活をしていく上であまり役に立つものとはいえませんし、面接でもマイナス評価につながってしまう可能性があります。
たとえば人間関係が良好であるかどうかは、自分自身のコミュニケーション能力や人間性にも関係してくるわけです。
資格を取るサポートというのも、会社に依存している言い方に聞こえて受動的な性格と思われてしまいます。
スキルアップをしたいならば、会社に頼るのではなく自ら学ぶ姿勢を見せなければなりません。
転職の軸を考えるメリット
なぜ転職軸を持つことが必要なのかメリットがわかれば、転職軸探しの作業の面倒臭さも半減することでしょう。
軸を持つのと持たないのとで何が大きく違ってくるのかを解説します。
転職活動にも転職後にも、大いに役立つことは間違いありません。
様々なメリットがある中でも、特に「企業探し」と「面接の質疑応答」におけるメリットについて紹介します。
調べる求人数が絞られる
転職するとなったなら、企業探しでの失敗はしたくないものです。
慎重に次の会社を探さなくてはと思うものの、自分に合った求人が見つけられなくて結局気持ちが焦ってきて投げやりな姿勢で会社を決めてしまうケースも否めません。
転職の軸を定かにすることは、企業探しをスムーズに行えるという大きなメリットがあります。
軸がはっきりしていれば、企業選びに重きを置く事項も明確です。
その軸を拠点として、その条件に当てはまる求人を探していけば良いわけです。
この作業により、無駄にたくさんの求人を調べる必要がなくなります。
求人探しを時短できますし、自分にマッチした企業に出会いやすくなるはずです。
数打ちゃ当たるではなく、本当に自分に合った会社を見つけることこそが転職の成功へとつながるのです。
志望動機が作りやすくなる
当然のことながら転職の面接は、新卒者に対する見方よりもシビアになります。
そんな中で特に面接官が重視するのが、志望動機です。
あやふやな志望動機では転職の意欲も薄いですし、採用してもまた辞めるのではないかと思われても仕方ありません。
力強い言葉で熱意ある志望動機を回答するためにも、転職の軸が明確であることは重要です。
軸が定まっていれば、内容の濃い志望動機が作りやすくなるのです。
そもそも志望動機とは、「なぜその会社で働きたいのか」「なぜその会社でなければダメなのか」そして「入社して何をしたいのか」を面接官に伝えることが大切です。
転職の軸が明らかな人は、これについても自信を持って自分の考えを述べることができます。
「こんな会社で、こういう仕事を、こうしたビジョンを持って頑張りたい」という意思がしっかりと決まっているのです。
ブレない志望動機のある就活生は、面接の選考をクリアしやすくなるでしょう。
まとめ
転職の軸なんてどうでもいいと思っていた人、どのようなものなのか知らなかった人も、その重要性を感じることができたのではないでしょうか。
転職は、次の仕事が決まればそれで終わりではありません。
何よりも転職してから、前の職のようにならずにイキイキと働くことができるかどうかが肝心です。
転職の軸は、一生続けることができる職探しのためにも不可欠なのです。
長い目で見て後悔しない転職ができるように、今一度転職の軸について考えてみましょう。