はじめに
今の仕事が気に入っているのに自分には合わない仕事の部署に異動させられる、せっかく仕事を覚えたと思うと部署異動があり、慣れるまでに時間がかかるなど悩んでいる方はいませんか。
専門性を極めたいのに頻繁に部署異動があるなど、自分の仕事の仕方や目標と企業の人材育成方針がマッチしない方もいるかもしれません。
部署異動がなく1つの業務に専念できる企業に転職を希望する際、転職理由に部署異動をしたくないと挙げて良いのか、メリットやデメリット、伝え方についてご紹介します。
【転職理由は異動です】異動が理由で転職する際のメリット・デメリット
研究開発などを行う専門職や成績を競い合っている営業職などの場合は職務や職種専属となるケースが多いですが、それ以外の職種においては企業規模が大きくなるほど部署異動が行われるケースがあります。
部署異動をしたくないと転職理由に挙げることで、どのようなメリットが生まれ、どのようなデメリットが生じるのか、それを理解した上でうまく伝えないと、採用に結び付かないことがあるので注意が必要です。
異動が理由で転職する際のメリット
では、転職理由で部署異動をしたくないからと伝えることで、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
一般的には〇〇をしたくない、〇〇が嫌だからといったネガティブな理由は、企業にとって好ましいと思われず、採用につながらないと考えられています。
ネガティブに捉えられやすい部署異動をしたくないことを、あえて転職理由に掲げることに、どのようなメリットがあるのか見ていきます。
希望の仕事に就ける可能性がある
無事に採用が決まれば、部署異動がない職種や部署への配属が期待できる場合や志望した職種でずっと仕事を続けられるメリットが生まれます。
つまり、部署異動をせずに、1つの部署で落ち着いて仕事をしたい、自分がやりたい仕事をずっと続けていきたいという希望が叶う可能性が高まるのです。
これに対して、部署異動は避けたいことを明確にせず、ただ、志望する職種ややりたい仕事に就けるように経験やスキルがあることや成長できることをアピールした場合、必ずしも、部署異動なしになるとは限りません。
まずは、新入りのうちは営業や接客に回され、そこで1年から2年経験を積んでから、希望した部署に配属が可能かもといった、期待外れの事態になるかもしれないのです。
期待外れの結果にならないメリットが高まります。
異動が理由で転職する際のデメリット
では、部署異動をしたくないことを転職理由に挙げる際のデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
キャリアアップしたい、もっと大きな仕事にチャレンジしたい、自分の可能性を試したいなど前向きなポジティブな理由と異なり、部署異動は嫌だといったネガティブな理由は企業側にマイナスイメージを与え、デメリットが多いのではないか気になるところです。
転職先でも急な部署異動はある可能性がある
仮に部署異動はしたくないとの転職理由でも、採用が決まったとしましょう。
事前にお互いの中で部署異動は基本的にないという約束で入社したとしても、絶対とは言い切れません。
たとえば、人材不足などの影響や急な問題の発生への対応などで急遽、人材が必要となる部署に異動を命じられる可能性は残されています。
また、新規事業の立ち上げなどで部署異動を打診されることもあるかもしれません。
それを受け入れられるかは問題です。
そのときの状況に応じて、そのとき、考えるという意見もあることでしょう。
ですが、面接の際に、「急遽、部署異動が必要になったときどうしますか?」と尋ねられたら、どう答えますか。
「その場合は仕方ありません」では転職理由と矛盾しているように聞こえますし、「そのとき、考えます」では企業側は不安が残り、採用に結び付かないかもしれないデメリットが生まれます。
今の会社より社風が合わない可能性がある
頻繁に部署異動がある会社と、部署異動がないか、限られている会社では従業員の仕事への取り組み方や人への接し方が異なることや社風に違いがあることも少なくありません。
部署異動が頻繁な企業ではオープンな雰囲気がある場合や横のつながりができるなど、コミュニケーションが豊富、連携プレイやチームプレイが得意といった社風があります。
マルチタスクができる、総合的な人材が育ちやすい土壌もあります。
一方、部署異動が限られた会社は閉鎖的であったり、派閥ができていたり、新しい人材に対して風当たりが強い、新たな人の受け入れ環境が整っていないケースもあるかもしれません。
職場になじむまでに時間がかかる、人間関係の構築に苦労するといったデメリットが考えられます。
【転職理由は異動です】異動を理由に転職する際の注意点
部署異動はしたくないことを転職理由に挙げる場合、メリットだけでなく、デメリットも生じます。
部署異動したくないといっても、実際には部署異動があるかもしれないというデメリットの他、そもそも選考に通りにくい、採用にブレーキがかかることも頭に入れておかなくてはなりません。
部署異動はしたくないことを転職理由に挙げた場合に生じやすい、マイナス評価の可能性に注意を払っておきましょう。
会社より自分を選ぶ人材だと思われる
会社には部署異動を必要とする事情や人材育成のための方針があります。
人材不足を補うためや職場のバランスを保つため、業務の忙しさをカバーするため、新規事業の立ち上げや既存事業の縮小など、会社の経営方針の中で部署異動が必要になるケースも少なくありません。
また、企業の人材育成方針として、企業内のあらゆる業務を経験させ、全体を見渡すことができる管理職やマネジメント層を育てたいと数年ごとに部署異動を行うケースもあります。
にもかかわらず、部署異動はしたくない、1つの業務だけで安定的に仕事をしたい、自分が希望する仕事だけをしたいとなると、会社より自分を選ぶ人材だと思われかねず、採用につながらないかもしれません。
転職後の企業でも異動は必ずないとは言い切れない
企業には急な事情が生じる場合もあります。
特需が発生し、急遽、特定の部署に人材を増やして対応しなくてはならない、逆に部署の縮小や閉鎖をしなくてはならないこともあるでしょう。
また、離職者が発生して人材を他部署から補いたいケース、部署の強化を図るために他部署から適材適所の人物を異動させたいケースなどもあります。
新たなプロジェクトや新規事業の立ち上げのために、部署異動を命じられた場合や打診された場合、あなたはどのような行動を取るのでしょうか。
部署異動なしの条件で入社したのだから、絶対に拒否する、ダメなら辞めると面接の際に言うことができますか。
面接でもしもの部署異動の可能性を示唆され、あなたがどのような反応をするかで採用の可否に影響するので注意しなくてはなりません。
【転職理由は異動です】転職理由を伝える際のポイント
転職理由として部署異動をしたくないと挙げるとメリットもあれば、デメリットも生じます。
それでも、部署異動をせずに自分が納得いく仕事をしていくためには、どうすれば良いのでしょうか。
そのために転職理由として部署異動をしたくないから、という理由を挙げつつ、マイナスイメージを与えず、メリットにつながる転職を成功させるためにはどうすれば良いのか、伝え方のポイントをご紹介します。
異動だけが転職理由だと伝えないようにする
転職理由として、とにかく部署異動をしたくないだけを強調すれば、自分中心主義と思われかねません。
中小企業など人材が限られている企業をはじめ、大手企業であっても、いざというとき柔軟な対応をしてもらえない採用したくない人物と思われてしまいます。
部署異動をしたくないのはどうしてなのか、ポジティブな理由も合わせてアピールしましょう。
やりたい仕事があり、その仕事でキャリアを積むために志望している企業の環境が充実しているから、1つの仕事で専門性を高めることで、成し遂げたい目標や目的があるなど、将来のビジョンを伝えることや具体的なキャリアプランを伝えると、部署異動したくない理由をポジティブに伝えられます。
なぜその仕事がしたいのか具体的に話す
現在の勤務先に入社する際には、部署異動があることを前提に納得の上で就職を決めた方もいるかもしれません。
もっとも、入社時にはいろいろな仕事を経験できるのは良いと考えていても、これぞという仕事と出会ったとき、それを極めたいと思う方もいるはずです。
また、もともと、やりたい仕事があったものの、これまでは部署異動は仕方ないと我慢していたのかもしれません。
転職にあたっては単に部署異動をしたくないと強調するだけでなく、なぜ、その仕事にこだわるのか、その仕事にどう取り組み、何を目指したいのかを、しっかり説明できるようにしましょう。
ただ1つの仕事に固執しても、会社に貢献できないのでは会社にメリットが生じず、採用にはつながりません。
転職を機会にどうステップアップしたいかを伝える
部署異動を基本的にしなくて済む企業に転職できた場合、その後どのようにステップアップしたいのかを、しっかりアピールしてください。
部署異動がないという環境の安定を求めるだけ、自分がやりたい仕事以外はしたくないといった保守的な姿勢や自分中心のイメージを与えてしまうと、採用につながりません。
1つの部署に専念できる環境が与えられるからこそ、そこでどうステップアップし、どう企業に貢献していけるのかを具体的にアピールすることが大切です。
専門性を極めて〇〇の開発に取り組みたい、経験を重ねて〇年後には後進を育てられる立場になりたい、管理職を目指しているなど、具体的なキャリアプランを伝えましょう。
【転職理由は異動です】転職活動をする際に考えておくべき2つのポイント
人事異動をしなくて済む企業への転職を目指す場合、どのような点に気を付けて転職活動を行えば良いのでしょうか。
1つの職種限定で求人を出している企業を探す、人事異動がない企業を探す方法もあります。
もっとも、人事異動がない点を重視するのではなく、自分が人事異動なしで、長く取り組みたい仕事に重点を置いて転職活動を行わないと、結局、また辞めることになりかねません。
とのような点に注意して転職活動をすべきか、2つのポイントをご紹介します。
今までの経験やスキルが転職先で活かせるかどうか
部署異動があると仕事を覚えるまでに時間がかかる、新たに人間関係を構築し直さなければならないのが面倒など、ネガティブな理由を解決したくて転職活動をするだけでは、成功する転職には結び付きません。
本当にやりたい仕事でなければ、飽きてしまって続かなくなる、今度はつまらなくなって転職したくなるかもしれないからです。
これまでの部署異動を通じて、この仕事が一番自分に合っていると思える仕事と出会った場合やせっかく身に着けたスキルを活かしたいと考えたなら、それを実現できる転職先を探すべきです。
経験を活かせる仕事であれば、新たな職場でも仕事を覚えるまでに時間がかかるとか、人間関係の構築で苦労する心配も抑えられ、転職後もスムーズに仕事をしていくことができます。
キャリアビジョンを明確にしているか
部署異動が嫌だから転職したい方の中には、やりたくない仕事や敬遠していた部署への異動を命じられ、転職を決意した方もいるかもしれません。
ですが、気に入らない部署への異動から逃げたいだけで転職をしようと思っても、満足のいく転職はできません。
自分が仕事をしていく上で何をしたいのか、何を目指しているのかキャリアビジョンを明らかにし、それを達成するための転職であると心得ましょう。
やりたくない仕事から逃れるためではなく、やりたい仕事を、目標を持って行い、ステップアップやキャリアを形成していくための転職という軸を持たないと、転職してもすぐに辞めてしまうことになりかねません。
【転職理由は異動です】転職理由の伝え方例
私が転職を希望する理由は人事異動があったからです。
現在の会社には営業職として入社し、6年間にわたって実績を重ね、2年前にはトップセールスとして社長賞も受賞いたしました。
ですが、働き方改革もあり、営業職のサービス残業が多いという理由で、新たに営業アシスタント部門が作られ、そこへの異動を命じられました。
営業経験が豊富で営業職の仕事に理解があるからという理由ですが、私はやはり営業の仕事が好きです。
アシスタントによるフォローは営業職にとっても役立つことですが、私が本当にやりたいことは営業職として企業の売上や業績に貢献することなのです。
御社では営業部門を強化中であり、もともと、アシスタント職との分離もなされています。
自分の経験を活かし、業績に貢献したいと志望しました。
まとめ
転職理由として部署異動をしたくないことを挙げる場合、自分本位で仕事をしたい人、企業の人事政策や経営戦略などに柔軟に対応してくれない人といったマイナス評価を受ける可能性もあります。
こうしたマイナスイメージを払拭して採用につながるためには、なぜ、部署異動をせず1つの仕事を全うしたいのか、将来のキャリアビジョンを示して、ポジティブな要素をアピールしなくてはなりません。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート