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はじめに
転職の理由として最も多いものの1つに、人間関係、とくに上司との関係性が良くなかったからというものが挙げられます。
自分に命令を出す立場である上司との関係性がうまく行かない場合、ストレスになるのみならず、昇進などのキャリアにも影を落としかねないことから、転職の判断を下すことそれ自体には一定の合理性はあると言えるでしょう。
ただ、上司との関係性を理由に持ち出す場合、転職希望先からいくつかの懸念を抱かれる可能性があります。
ここでは、その懸念を払拭できるような理由の伝え方を見ていきましょう。
【転職理由は上司と合わなかったためです】上司を理由に転職する際の注意点
上司を理由に転職する場合、どうしても会社側からは、あなたの資質に対する懸念を抱かれてしまいがちです。
実際に上司が理不尽だった場合もあるでしょうが、そうであったとしても、転職希望先の会社はその事情を知りません。
また、仮に知っていたとしても、すべての社員が必ずしも転職するとは限らないことから、あなたご自身に何らかの問題があったのではないかと疑ってしまうものです。
ここでは、あなた自身に対して抱かれやすい懸念内容をくわしく見ていきましょう。
我慢ができないと思われる
とくに上司の命令内容や態度に何らの理不尽さもなかった場合で、あなたが早期に退職している場合、あなたの側に、我慢する能力がないのではないかと疑われてしまいがちです。
ほとんどの職業では、少なくとも3年間は勤続していないとある程度のイメージすら形成することができません。
この3年という最低ラインの期間すら務めていない場合には、少しの我慢もできずに会社を飛び出してしまったという印象を与えてしまいます。
その結果、転職希望先の会社に入っても、その会社もすぐ辞めてしまい、研修などの人件費だけがかかる結果に終わってしまうのではないかと懸念されることになるでしょう。
勤続期間が長ければ、多少はそのような印象を抑えられる可能性もありますが、その場合でも問題となった上司とかかわった期間が短ければ短いほど、同じような印象を与えてしまいます。
自分と合わない人がいるとまた辞めてしまうと思われる
合わない上司がいたから辞めたという人は、転職先の会社でも、人間関係がうまく行かなかったらまたすぐ辞めてしまうのではないかとも懸念されます。
運よく人間関係をうまく構築できれば問題はないのですが、大抵の会社にはさまざまな性格や考え方の人間が集まるため、必ずしもそうはならない可能性も高いものです。
その結果、実質的には、仮に今うまく行ったとしても、いつかは人間関係を理由に途中で辞めてしまう人だと思われることでしょう。
企業側としては、研修費などでかけた人件費の分以上の利益を上げるまでは辞められたら損失になってしまいます。
このため、最低でも3年、できれば5年以上は続けてほしいと考えているので、それができるということが示せなければ、入社試験を突破することは困難になりがちです。
コミュニケーション能力が低いと思われる
人間関係に問題を抱えて辞めた人は、その人自身のコミュニケーション能力が不足しているのではないかと疑われがちです。
上司との良好な関係を築くための最も基本的な手段は、報連相に代表されるコミュニケーションだからです。
コミュニケーション能力は、どのような会社においても必須のスキルであるため、仮にこの能力が低いのではないかと判断された場合、転職希望先の会社でもうまくやっていけないのではないかと思われてしまうことでしょう。
また、コミュニケーション能力が低いと判断された場合、問題は人間関係にとどまらず、業務上の影響への懸念にまでおよびます。
うまくコミュニケーションを取れない人は伝えられた業務を果たせず、また何らかの失敗をしたときにもそのことをうまく伝えられずに会社に損害を与える可能性があるからです。
【転職理由は上司と合わなかったためです】転職理由を伝える際のポイント
上司との関係性を理由に仕事を辞めたとしても、このような懸念点を払拭できるような伝え方を考えなければ、転職は成功しないでしょう。
このため、転職理由を伝える際には、相手側の懸念を払拭し、会社が安心してあなたを採用しても良いと思えるような伝え方を考えるべきです。
同じ内容であっても、伝え方や事実に対するあなたの見方の示し方次第で、大きく印象は変わります。
ここでは、そのためにどのような工夫ができるか、くわしく見ていきましょう。
上司だけが悪いわけでなく自分にも否があると伝える
上司との人間関係が理由で辞めた場合、理由は上司側だけにあるとは通常は思われません。
人間関係はあなたと相手の二人がいてはじめて成り立つものであり、あなたの側にも何らかの問題があったのではないかと考えられるからです。
このことに気付かず、一方的に上司を責めるような伝え方をしてしまうと、無責任ですぐ他人に責任転嫁する人物だという印象や、反省しないが故に成長のない人物だという印象を与えてしまうことになります。
このようなネガティブなイメージを持たれてしまうと、会社側としてはあなたを採用しようとは思わなくなるでしょう。
そうならないように、まずは自分の側にどんな問題があったかもよく考え、その部分もしっかりと伝えるようにしましょう。
どう上司と合わなかったのかを客観的な意見で伝える
自分自身の側の問題を伝えたとしても、主観的に自分はダメな奴だなどと嘆いているような内容では、採用にはつながりません。
そのような人間は、ただ自分の非を形ばかり嘆いて見せるだけで、今後に活かす気があるとは思ってもらえないからです。
また、そのようにいたずらに自分を責めるだけの人間は、将来的にうつ病などの精神疾患を発症する可能性を危惧されることもあります。
このような事態に陥らないために、まずは客観的な事実として、上司とどのように合わなかったのかを具体的に伝えるようにしましょう。
客観的に物事を認識することは、その解決策を考えていく第一歩であるため、ビジネススキルとしても必須のものです。
自分自身のことを客観視できる人間は、仕事でも客観的な認識ができるだろうと期待できるため、好印象に結びつきます。
前向きな話に変換する
事実を客観的に捉えたら、その事実から学んだことや、今後の仕事での活かし方など、前向きな結論で締めるようにしましょう。
事実認識は解決への第一歩ではあるものの、それだけで問題が解決するわけではありません。
たとえば会社の資金が半年後にショートすると予見できても、それだけでは倒産は回避できません。
倒産を回避するためには、資金がショートしないように資金調達を行うなどの対策を講じる必要があります。
個人についてもこれは同じことで、上司と合わなかったという事実を捉えただけで、その後の活かし方を一切考えなければ、転職後も同じ過ちを繰り返すと思われてしまうでしょう。
対策を具体的に打ち出せてこそ、企業側の懸念も払拭できるのです。
【転職理由は上司と合わなかったためです】転職理由の伝え方例
"私が転職を決意したのは、前の会社の上司と仕事の方針が合わなかったためです。
私の会社の上司はトップダウン型で、出した命令に有無を言わせずに従わせるタイプでした。
将来を見据え、その業務を行う理由を知りたかった私は、最初は質問をするようにしていましたが、上司から繰り返された「うるさい、黙れ」という言葉によって精神的に疲弊し、やがて質問することをあきらめて黙って言われたとおりにするようになりました。
しかし、理由もわからずに言われたことを続けることで、働く意欲が低下し、営業成績も上司が変わる以前に比べて20%近く落ち込んでしまい、このままではだめだと思って転職を決意したのです。
ただ、改めて考えると、質問できる相手は何も上司その人だけではなく他の先輩もいたことや、時には何も考えずに仕事に集中した方が良い場面もあり得たということに思い至りました。
貴社ではこの反省を活かし、仕事について相談できる相手を幅広く想定するように心がけます。"
まとめ
転職の際に上司を理由に持ち出すと、人間関係やコミュニケーション能力に難があるのではないか、また我慢できないのではないかと懸念されがちです。
しかし、事実を客観的に捉え、自分の側の反省点を踏まえて前向きな解決策を示すことによって、これらのイメージを払拭することは可能です。
ただ、実際の面接では、解決策を伝えるのみならず、その解決策を実践するための具体策も聞かれる可能性もありますので、そのあたりは習慣などとして、質問されても答えられるように準備しておくことを推奨します。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート