はじめに
人材業界は、近年特に成長が注目されている業界です。
就活の中ですでに身近に感じている学生も多いでしょうが、人材業界の使命は「人のために働く」ということです。
非常にたくさんの人や組織と関わりを持つ仕事ですから、表面だけを見ていると理解が難しくなる業界でもあります。
ここではライバルを勝ち抜くために、人材業界の在り方と選考対策について解説します。
人材業界とは
人材業界は、主に人材紹介をメインに据えたビジネスを展開している業界です。
たとえば企業が募集する人材を探して紹介するビジネスや従業員を派遣する人材派遣ビジネス、それに付随するコンサルティングビジネスなども含めて業界が成り立っています。
昨今日本では少子高齢化に加えて政府が働き方改革を推進し、中小問わず企業側が従来の職場環境からの脱却を進め始めています。
年功序列制度や終身雇用制度も終末を迎え、ライフワークバランスを重要視する転職も珍しくはなくなりました。
こうした背景もあり、企業側と個人側、双方が納得できる紹介ビジネスが発展し、業界需要は非常に高まっています。
就活を期にこの業界を知り、成長度合いとやりがいを求めて目標に定める学生も多いでしょう。
ただ、業界のリアルな姿を知るためには、単に人気だけを追うわけにはいきません。
現在人材業界にも大きな変化が訪れ、価値ある企業だけが生き残る時代へ突入しています。
人材業界の種類
人材業界は4つの種類に分けることができますが、メインとなるのは人材紹介と人材派遣です。
残りの2つは広告とコンサルティングになります。
人材紹介は企業をクライアントとして人材を紹介するビジネスで、企業と個人をマッチングするのが主な仕事です。
人材派遣は、派遣登録制度を用いて人員を広く集め、需要にマッチする企業に派遣して報酬を得るビジネスです。
紹介とは異なり、自らが人員を雇用する立場となるため、登録人員への給料は人材派遣会社が支払います。
長引く不景気で正社員雇用が減少する中、急激に成長を遂げたビジネスモデルといえるでしょう。
広告は人材募集に特化した広告を販売する事業で、媒体の特性に合わせて効果的な広告を企画制作します。
たとえば就活を進める学生に向けた広告と転職者向けの広告とでは伝えるべき情報が異なりますし、業種業態によっても効果的な打ち出し方が変わります。
報酬は広告主から得るスタイルで、基本的に求職者側へは無料で情報提供が行われるのが一般的です。
そしてコンサルティングでは、企業の人事戦略を全体的にサポートするビジネスを行っています。
採用戦略、研修教育、人事制度設計などあらゆる面から企業を支え、給与計算のアウトソーシングなども幅広く手掛けるビジネスモデルです。
人材業界の仕事内容
具体的にどのような仕事を行っているか、人材業界を種類別に見ていきましょう。
まず人材紹介業ですが、こちらでは企業と求職者とをマッチングするのが主な仕事です。
リクルーティングを主とする仕事では、企業側をクライアントとして、合致する人材を探して紹介することで報酬を得ます。
紹介した人員が企業に定着することが成功条件のため、ミスマッチが起こらないように企業側から綿密なヒアリングを行う必要があります。
人材を広く集める必要があるため、近年ではWeb登録などを採用し、求職者が応募しやすい環境の整備も進められています。
また、リクルーティングとは異なる仕事としてキャリアアドバイザーもあります。
こちらは主に転職活動時に求められることが多いですが、求職者側をクライアントとして、合致する職場を探して紹介することになります。
ただ、報酬は採用が決まった企業側から得るビジネスモデルのため、求職者側へは無料でサポートを提供するのが一般的です。
次に人材派遣業ですが、こちらは登録した求職者を企業へ紹介するだけでなく、派遣する仕事となります。
企業に採用された登録者への給与支払い業務はもちろん、労働環境の整備やメンタル面のケアなども行うのが特徴です。
広告業の仕事は主に営業で、人員を募集したい企業へ広告枠を販売し、ターゲット合わせた広告を作成して媒体に掲載します。
コンサルティング業者は企業から依頼を受け、人事に関する戦略の立案や課題解決の提案などを行うのが主な仕事です。
給与計算や採用活動の一部をアウトソーシングとして受ける場合もあります。
人材業界に向いてる人の特徴
人材業界にはどのような人が向いているのでしょうか。
人材業界の仕事としては、就職や転職を志望する人など仕事をしたい人向けのサービスと、人材を求める求人企業側に向けたサービスがあります。
仕事をしたい個人向けには1人ひとりの悩みや課題を解決し、希望や理想を実現できるよう、きめ細やかなサポートが必要です。
一方、企業向けのサービスとしては企業のニーズを引き出し、悩みや課題を解決すること、そしてマッチングのために交渉する力も求められます。
こうした仕事をこなす人材業界に向いている人の特徴をご紹介します。
体育会系
人材業界なのに体育会系のノリや根性が必要なのと、不思議に思われるかもしれません。
ですが、人材業界の仕事は意外にハードですし、アドバイザーやコンサルタントという肩書きの仕事も基本は営業職であり、外周りの仕事がほとんどです。
仕事をしたい人と面談して希望を聞き出したり、スキルチェックを行ったりし、マッチする求人を探して企業との約束を取り付け、面接などに同行します。
その後は企業側の交渉を行い、無事に就職が決まれば、手続きなどをサポートすることもあります。
入社後も派遣などの場合は、定期的に訪問して問題が生じていないかをチェックし、必要があればトラブル解決もしなくてはなりません。
求人を出してくれる企業を求めて法人営業をすることも1つの仕事です。
それゆえにフットワークの軽さ、根性や持続力、誰にでも明るく接することができる体育会系の人は向いています。
コミュニケーション力のある人
人材業界で仕事をするうえで、コミュニケーション力は不可欠です。
仕事を求める人の悩みや希望に寄り添い、人材を求める企業の課題やニーズに応じてマッチングを進め、成功させていくためにはコミュニケーション力がなければ成り立ちません。
人材業界で内定を得るには、コミュニケーション力があることは当然の能力になるため、コミュニケーション力を駆使してどのように問題解決ができるかや、どのような取り組みができるのかをアピールすることが大切です。
コミュニケーション力を活用して、直面した問題などを解決した経験があれば、それをアピールしましょう。
交友関係が広い人
人材業界では仕事をしたい人が魅力を感じて集まってくる求人を揃えることが欠かせません。
そのためには企業が求人を出してくれることが大切です。
人材不足の時代だから、待っていれば勝手に依頼が舞い込むわけではありません。
求人サービスを提供する企業は数多くありますから、自社の存在を知ってもらい、信頼して選んでもらうことが必要です。
企業としても費用を払って人材業界を利用するわけですから、どこに依頼するかを慎重に判断します。
この点、交友関係が広く、人脈作りがうまい人は、電話営業や訪問営業を通じて1つの企業からの依頼を引き出すだけでなく、人材マッチングを成功させた暁には人材を求めているほかの企業を紹介してもらうなど、連鎖方式で依頼を獲得することが期待できます。
ポジティブ
人材業界は仕事をしたい人と人材を求めている企業とを結びつける仕事がメインです。
もっとも、毎回、すぐにマッチングできるわけではありません。
面接しても、企業側から求めている人材とは違うと言われることは少なくありません。
また、面接で好感触を得て企業が採用したいと言っても、志願者の方が「思った企業とは違う」と断ってくるケースもあります。
なかなか成果が出せなくても、モチベーションを下げることなく、ポジティブに仕事をしていける人が求められます。
また、仕事を探している人は自分に合う仕事がない、人間関係がうまくいかないなど悩みを抱えている人も多く、ネガティブ思考の人が多いものです。
そうした人たちを励まし、悩みや不安を払拭させて前向きに就活や転職活動に取り組んでもらうためにも、ポジティブな人が求められています。
目標を達成することが好き
人材業界は仕事をしたい人と人材を求めている企業をマッチングさせるという目標を達成させることが、その人に課せられた仕事です。
マッチングが成功するということは、仕事をしたい人が自分に合った仕事を見つけるという目標の達成をサポートし、人手が足りない、有能な人材を得たいと課題を抱える企業の目標を達成させることにもつながります。
そのため、何をするにも自ら目標を立て、目標を達成させることが好きな人に向いている仕事です。
依頼は数々舞い込んできますので、一度に多くの案件を同時進行させることも少なくありません。
1つひとつのマッチングに向けて、目標をしっかり立て、短期間で結果が出せるよう目標に向けて邁進できる人が求められています。
闘争心がある
人材業界でなぜ闘争心が必要なのでしょうか。
仕事を求める悩める人に寄り添い、人材不足に悩む経営者の力になったり、人事担当者の良きサポート役になったりするには、闘争心より、穏やかに寄り添う心や相手の立場に立ってサポートする力が必要に思えます。
もちろん、きめ細やかなサポート力も必要ですが、闘争心があることも大切です。
人材業界は大手をはじめ、中小の企業も増えており、企業からいかに依頼を得るかや、仕事を探す人たちにいかに選ばれるかでしのぎを削っています。
他の業者との競争に勝って企業から求人の依頼を得る、他の業者の求人と比べたり、他の業者を通じた面接をいくつも受けたりしている就職希望者から自社で決めてもらうために、闘争心も必要なのです。
人材業界の選考対策
人材業界を目指す場合、選考対策は容易ではありません。
企業と人を結び付けることをビジネスとしている業界ですから、人材を見る目も鋭いですし、あらゆる点をチェックされると心得ましょう。
特に、浅い業界知識を羅列しただけではすぐに見抜かれてしまいます。
事前の準備が不足しているようでは選考を勝ち抜くのは困難ですし、そこで努力を怠る人はこの業界には向きませんので、しっかり企業研究してから臨みましょう。
人材業界でオススメの自己PR
人材業界は、仕事のすべてで多くの人と関わる仕事です。
そのため適正があるのはコミュニケーション能力が高く、人と話すことが好きな人です。
また、細かいことでもしっかり連絡を入れる人も向きますし、常に最新の情報を得ておく必要がありますので、情報収集に長けている人が向くでしょう。
これらのことから、コミュニケーションスキル、ホスピタリティ、分析力や情報収集力を自己PRに盛り込むと、期待してもらえる強みになります。
また、自分にその強みがあると判断したエピソードを添えることで説得力を持たせましょう。
たとえば以下の通りです。
例文
私は学生時代、プレゼンマスターと呼ばれていました。
文化祭の実行員をしていたときに、私はアイデアを出すだけでなく予算や人員計画も立案し、集客見込みまで盛り込むことで毎年数々の計画を実現しました。
私の提案は常に満場一致で採用され、友人たちからプレゼンマスターの称号を得ましたが、何よりも文化祭当日に企画が大成功し、来場者の方々も主催者も本当に喜んでくれたことをうれしく思います。
御社においてもプレゼンテーション能力を活かし、人を幸せにする仕事に貢献したいと考えています。
人材業界の志望動機例
志望動機は、企業側の「なぜ」に答えなければなりません。
なぜこの業界を選んだのか、なぜこの会社でなければならないのか、的確に熱意を持った答えをするのはなかなか難しい作業です。
一つだけポイントになるのは、人材業界は商材を扱うのではなく人材=人間を扱うという点です。
つまり、物ではなく人に関わる仕事であるという点が根底にあり、それを踏まえたうえで自分にとっての喜びや魅力を感じる点を表現することがポイントとなります。
また、しっかり業界研究を行っていることを示すために、自分がどの職種に就きたいと考えているか、明確に宣言するのがオススメです。
たとえば、「企業が求める人材と、企業で働きたい人とをつなぎ、win-winの関係を築ける営業職として働きたい」
「ミスマッチの起こらない最適なマッチングで、企業も人も活性化するリクルーティングアドバイザーになりたい」
といったように、熱意を持って勉強している姿勢がわかる動機は効果的に映ります。
例文は以下の通りです。
例文
私が御社を志望した理由は、日本全国に活躍する社会人を増やしたいと考えたからです。
人には一人ひとり得意なことや好きなことがありますが、それをうまく活かせる環境が周囲に見つからないと、あきらめてしまうことがあります。
御社はインターネットを介した人材紹介に力を入れられているのと同時に、日本全国にも多くの拠点を持ち、間口を広く就活生や転職者を支援する事業を展開していらっしゃいます。
御社のシステムを活用し、人材を求める企業と全国の求職者とを結ぶことで、双方を活性化させる仕事にとても大きな魅力を感じました。
私は学生時代にゼミの合宿を企画した際、メンバー一人ひとりが得意とすることや熱意を持って取り組めることをヒアリングし、適切な役割を振り分けました。
その結果、過去に例を見ないスピードでプログラムが進行し、研究成果も大学で高い評価を得ることができました。
この経験から、私は一人ひとりの人と向き合い、しっかり話し合うことで必ずその人の活躍の場は見つかると確信しています。
御社でキャリアアドバイザーとして尽力し、ぜひ、日本全国を活躍する社会人でいっぱいにしたいと考えています。
人材業界の面接対策
人材業界は人と関わるのが仕事です。
人は第一印象に大きく左右されることがわかっていますが、この業界で働く場合はこのことを肝に銘じなければなりません。
面接はまさにそれを実行すべき場であり、立ち居振る舞いや受け答えだけでなく、身だしなみから一挙手一投足にいたるまで気を付ける必要があります。
すでにESで大体の人柄や考え方は把握されているわけですから、面接では直接会わなければ判断がつかない点が確認されると心得ましょう。
対策のポイントは、まず見た目の印象をよくすることです。
当然、美男美女でなければならないということではなく、対人の仕事において相手によい印象を与える人物であることが重要です。
清潔感は必須ですので、髪型や服装、爪、女性はメイクにも気を遣いましょう。
若いのですから、フレッシュ感や元気も必要です。
面接官は、これから何十年も一緒に働く相手かもしれません。
面接官が知りたいのは、一緒に働きたい相手か、会社のカラーに合っているか、熱意を持って頑張ってもらえそうかということです。
また、コミュニケーションスキルというのは単なるおしゃべりとは違います。
特にアドバイザーはきちんと人の話が聞けることが重要ですし、クライアントの質問に対して的確な回答ができる必要がありますので、面接官の意図をしっかり汲み取って簡潔に答えるようにしましょう。
まとめ
人材業界は、人材紹介、人材派遣の他、広告やコンサルティングといった種類に分かれます。
就活の目標とする場合は、自分がどの業種を目指すのか明確にするためにも、しっかり業界研究をすることが重要です。
企業と人とをつなぐのがメイン業務ですので、あらゆる立場の人とたくさん接し、人のために働くことが使命です。
自分の適正もよく考えて、どんな業種でどんな働き方をしたいのか明確にすることが内定への近道です。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート