少子高齢化が進む中、注目される業界の1つが医療業界です。
高齢者が増加することで、介護や医療のサービスはますます必要になってくるためです。
この記事では医療業界とはどのような構造になっているか、医療業界のポイントに関してご紹介します。
※「最新業界の常識 よくわかる医薬品業界」の内容を参考に執筆しております
医療業界とは
医療業界とはなんでしょうか。
一般的にこの漠然とした質問をすると、返ってくる回答は大きく2つです。
- 医師や看護師、薬剤師など病院関連
- 製薬業界
1つが医師や看護師、薬剤師など病院関連の内容です。
これは言わずもがなですが、私たちが日常的に生活していて、関わることが多い医療業界だからだと考えられます。
もう1つは製薬業界です。
これは医薬品を製造している企業のことで、一般的には我々と直接関係することはありません。
具体的には、病院をはじめとする医療期間や薬局等で処方される薬剤を製造、研究している企業のことです。
しかし、実際にはこの2つだけではなく医療業界にはより多くの企業がいることをご存じでしょうか。
ここからは医療/医薬品業界に携わる人々を6つのカテゴリーに分けて概要を説明していきます。
学ぶ人々
- 薬科系大学
- 製薬企業や卸
- ドラッグストア
医薬品では、専門的知識や病態・疾患などを知らなければ何も始まりません。
そのため薬科系大学で専攻することで医薬品について学び、関連する医療業界に進むキャリアも多いものだと考えられます。
しかし、医療業界に進むためには医薬品関連のバックグラウンドは必須ではないので安心してください。
創る人々
- 製薬企業
- バイオベンチャー
研究・開発、バイオベンチャーで活躍する、薬を創る人々です。
医薬品は一朝一夕で開発できるものではありません。
なぜなら、医薬品は人に使うため、その有効性や安全性をしっかりと示す必要があるためです。
医薬品開発においては、動物を用いた実験から治験として人への臨床試験まで長い期間を必要とします。
その過程においては、医薬品を通じて社会に貢献することはもちろんですが、
- 医薬品の売上を最大化するためにどんな臨床試験が必要か
- どんなエビデンスを作ればよいか
と開発とマーケティングの担当者がともに協力しながら作業する必要があります。
バイオベンチャーはバイオテクノロジーを研究している人たちが、活気的な医薬品の創出等を目指して起業した企業です。
明確な定義はありませんが、近年は名前を聞く機会も増えているのではないでしょうか。
売る人々
- 製薬企業
- ドラッグストア
主に製薬企業とドラッグストアで構成される薬を売る人々です。
製薬企業ではMRが営業の担当者の役割をしています。
製薬企業は、「モノ」としての医薬品を医薬品卸に販売し、「情報」としての医薬品を医療施設へ提供しています。
ドラッグストアは医薬品の販売店舗です。
お客さんとカウンター越しの対面で医薬品を販売することから、OTC(Over the counter)ドラッグと言われます。
近年のドラッグストアでは、医薬品以外の日用品や化粧品等もたくさん扱っており、幅広い商品ラインアップが見られます。
運ぶ人々
- 医薬品卸
- 販社
薬を運ぶ人々は医薬品卸と直販メーカーに分けられます。
医薬品卸とは、医薬品を製薬企業から医療施設へ運ぶ役割を担います。
医薬品はその特性上、大変デリケートな商品であるため、温度、湿度管理や、光を当てないこと、衝撃を与えないことなど品質管理に気を配ることが欠かせません。
また、高額な医薬品や、麻薬等の法律で定められた厳しい管理が必要なものの管理、安定的な供給が必要なため重要な役割を担っています。
ほとんどの製薬企業は独自の販売ルートを持たないため、医薬品卸を経由して医薬品を流通させています。
直販メーカーはOTC医薬品製造販売企業やジェネリック医薬品製造販売企業に多い業態であるため、医薬品の製造販売と管理・流通も行って、直接医療施設などへ運びます。
選ぶ人々
- 病院や医院
- 保険薬局
処方箋をもとに調剤する、薬を選ぶ人々です。
医薬品の最終消費者は患者ですが、一部OTC医薬品を除き、患者が直接医薬品を選ぶことはできません。
病院や医院で受診した患者の状態を医師が診断し、治療のために適切な症状にあった医薬品を選択して処方します。
近年では「薬剤師と医師をより分業させた方がよいのではないか」という論調もあり、今後、医師がどこまで薬剤処方に関与するかは注目の点です。
また、保険薬局は日本全国に約5万6千軒(厚生労働省平成24年衛生行政報告書)あります。
医薬分業として、病院や医院とともに、地域医療や医療連携において薬局・薬剤師が機能を発揮することが求められています。
払う人々
- 患者
- 国や自治体
医薬品への対価の支払いに欠かせない制度として国民皆保険制度は知っておく必要があります。
国民皆保険があるため、国民の誰もが病気やけがをしたときに、医療費の一部を負担するだけで、いつでもどこでも公平かつ平等に医療を受けることができる制度であり、1961年に整備されたものです。
薬価基準制度という制度も押さえておくとよいでしょう。
薬価基準とは、保険医療に使用することができる医薬品を厚生労働大臣が定めたものであり、価格表と品目表という2つの性格をもっています。
そのため保険医療で「薬をもらう」場合には、日本全国、同じ価格で、同じ種類の医薬品を選ぶことができるのです。
医療業界に就職するには
医療業界に就職するためには、何が必要でしょうか。
医薬系の専攻の学生は、志望動機などが作りやすいですが、医療系以外を専攻の学生は綿密に志望動機を準備していく必要があります。
医療系以外を専攻の学生は下記の点に回答できるように志望動機を練り上げていくとスムーズに専攻が進むでしょう。
- なぜ、医療業界に興味を持ったのか(自分の経験などと結びつける)
- なぜ、医療を重要だと考えるのか
- 医療系専攻の学生と比べて、何が強みか。入社後活かせることは何か
- 医療業界の中で○○社を志望する理由は何か
まとめ
医療業界には大きく6つの仕事カテゴリーがあることが分かりました。
全体像としてどんな人がいるのかを抑えながら、業界研究を進めていきましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート