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就活で短所を求められる理由
就職活動に求められているのは、長所をアピールすることだと思っていませんか?
しかし、実際には、人事は、採用にあたって、エントリーした人を長短含めて総合的に評価したいと考えています。
彼らは、いくつかの理由から、あなたの短所をも知りたいと考えており、あなたが短所を自ら説明することは、いくつかの点からあなたにとって高評価につながると考えられます。
まず、短所を述べることは、あなたが誠実な人物であるという印象を与えることでしょう。
自己PRの名の下、長所をアピールするのは、もはや誰にとっても当然のことです。
当然、あなたが応募した企業の人事も、その辺は織り込み済みでしょう。
しかし、自身を説明するにあたって、あえて短所にも触れることは、あなたが隠し事をしない誠実な人材であるという印象を与えます。
企業においては、報告・連絡・相談、通称「ほうれん草」が大切にされますから、隠し事をしない人は、それだけでプラスの評価を得られます。
第二に、短所を書くことは、あなたが自分自身の長所以外の面もしっかり認識しているという点を伝える手段になります。
人事からすれば、どんな仕事をするにせよ、自分自身がどんな人物であるかをしっかり認識し、自己管理ができている人物のほうが望ましいと考えられることでしょう。
孫子が己を知ることを兵法の基本にしているように、自己認識はあらゆる仕事の基本となります。
そして、その中には、当然自らの弱点を知っておくことも含まれます。
自らの弱点を知っていることをしっかり示すことで、自己管理の基本である自己認識がしっかりしていることを伝えられるでしょう。
また、人事からしても、この人にはどんなことができそうかをある程度正確に見極めることができるようになるので、採用することにした場合は、確実にウィン・ウィンであるといえます。
第三に、あなたが短所だと思っていることは、場合によってはあなたが応募した企業にとっては短所とは映らない可能性があります。
その意味でも、人事は、あなたが短所だと思っている特徴まで含めて、あなたのことをすべて知りたいと考えていることでしょう。
たとえば、陰気であることを短所として挙げる人がいたとします。
その人にとって陰気であることは短所であるかのように感じられるかもしれません。
しかし、その人が陰気である理由が、「最悪の可能性を常に考えるから」であったとしましょう。
この場合、人命が関わるような業種などにとっては、陰気さは、慎重さという長所に変わります。
このように、あなたが短所だと思っていることでも、実は状況によっては長所に変わることが多いものです。
それ故に、人事にしてみれば、そのような点を知っておくことも、今後の人事に際して役立つ情報となるわけです。
以上のように、人事はさまざまな理由から、あなたが自らの短所も自分で説明できるということを、就活において望んでいるといえるでしょう。
うまく表現できれば、短所の表現すらも長所しか表現しないライバルにはない、あなただけの自己PRの手段になるわけです。
ES(エントリーシート)に短所を書こう
それでは、早速エントリーシートに短所を書くことを考えていきましょう。
調書の書き方に一定の工夫の仕方があるように、短所の書き方にも工夫のしどころはいくつかあります。
ES(エントリーシート)に書くための短所の見つけ方
短所を見つける方法は、大きく分けると、自らの強みを裏返すことと自らにはない強みがどのようなものか理解することに大別されます。
自らの性格や経験から強みを割り出す、ストレングスファインダーに代表されるような各種の自己分析を行ったことはありますか。
就活に際して、自己分析は採用可能性を高める手段の定番になりつつありますので、多くの方はあるかと思います。
もしあなたがまだ自己分析を行っていない場合は、ぜひ何か一つお試しください。
できれば、客観的・自動的に評価が行われ、あなたの強みなどを解説してくれる外部の自動判定ツールを用いるとよいでしょう。
仮にオンラインなどの外部ツールを使った場合、得られた自己分析の結果の解説には、あなたの強みがどのような状況で発揮されるかに加え、あなたの「強み」がどんな状況で弱点に転じ得るか、まだまだ伸ばせる点も記載されているかと思います。
前者があなたの強みを裏返した場合、後者があなたにはない強みです。
たとえば、もしもあなたの決断の早さが長所として挙げられた場合、その長所は、知識不足でも勘で判断し、判断ミスを犯す可能性という短所に転じる可能性があります。
これが強みの裏返しで、具体的に表現するなら、「決断を急ぎすぎることがあること」となるでしょう。
また、その点、人によっては、決断は遅いが事前にしっかり情報収集している場合も考えられます。
これがあなたにはない強みで、具体的に表現するなら、「情報収集を怠りがちなこと」となります。
このように、あなたの短所は、あなたの強みを軸として見つけていくと、発見しやすいことでしょう。
ES(エントリーシート)に書くにはどんな短所を選ぶ?
さて、発見した短所をすべてESに書けばよいというものではありません。
最初のほうに短所を書くことは誠実であることを示すことになると書きましたが、むやみやたらに短所を書き連ねるのは、ただのバカ正直です。
ESに書く短所は、書き方と内容をしっかり選ぶ必要があります。
選び方は、面接がある場合とない場合でも変わってきます。
面接がない場合、ESなどの書類審査がすべてになりますから、短所を記す際は、そのフォローが容易にできると想像できる内容であるべきです。
ESの形式によっては、適宜何らかの補足として、対策や改善策を補記するとよいかもしれません。
面接がある場合は、あなたがESに記した短所について、改善策や対策を具体的に尋ねられる可能性が高いです。
従って、それらの質問への答えをあらかじめ用意しておける内容を優先的に記すべきでしょう。
ES(エントリーシート)に短所を書くときのコツ
ESに短所を書く際のコツは、最低限克服可能であり、できれば長所に転じてしまうこともできるような短所を書くことです。
たとえば、情報収集不足で即断即決することが短所であれば、原因がはっきりしていますので、事前にネットなどで情報収集しておくことを対策として示すことが可能です。
また、情報収集できない状況において、スピーディーな判断ができるという長所になる可能性もあります。
一方、どう考えても克服できず、長所にも転じにくいような短所は、基本的に書くべきではありません。
とはいえ、実際には多くの短所が、状況次第では長所に転じ得ますから、これは、あなたが自らの短所を長所に転じさせられる状況を思い付けない場合といったほうが正確でしょう。
じっくり考えて、それでも短所だと思っている特徴を活かせる場面が思い付かない場合は、そのような短所は一旦書くのを控えましょう。
ES(エントリーシート)に書く短所の例
ESに書くとよい短所には、以下のような例が考えられます。
たとえば、「慎重である」ことが長所である場合、もしかしたら、「限られた時間の中で決断を下せないことがある」ことが短所になるかもしれません。
その場合には、以下のような書き方が考えられるでしょう。
例1
「私の弱みは、しばしば判断に慎重になりすぎて、限られた時間の中で決断を下すことができなくなりがちだということです。
対策として、私は、情報収集の段階にも、判断を下す段階にも、時間的な期限を設定することとしています。
目安としては、必要な作業に期限までの時間の半分を割き、残り時間のうち6割を事前情報収集に、4割を各段階での決断に充てられるように工夫してスケジュールを組んでおります。
どのような決断を下すにせよ、学業やビジネスにおいては、一切決断を下せないよりは、期間内に何らかの決断を下せるほうがよいということを理解しているからです。
たとえば、貴社では顧客より種々の依頼を受注し、それぞれの依頼に応じたソリューションを提供していますが、どのようなソリューションにも、納期が存在すると考えられます。
この納期内で可能な限り検討を尽くしたら、その検討の結果出されたソリューションは、納期を守れないソリューションよりもベターであることは確実でしょう。
納期は契約の基本的事項だからです。
そして、その遵守のために、貴社ではあらかじめスケジュールを組んでから依頼を受注すると伺いました。
同様に、私も各段階の期限をあらかじめ定めておくことで、なし崩し的に決断できなくなる事態を回避するように心掛けております。」
この例は、長所である慎重さが裏返って短所になってしまう場合を挙げ、それに対する対策を考えております。
ワンポイントとして、具体的に応募先企業に合わせた説明を加えておりますが、この辺りは状況に応じて、可能なら入れてみるとよいかもしれません。
例2
「私の弱みは、しばしば判断に慎重になりすぎて、限られた時間の中で決断を下すことができなくなりがちだということです。
ただし、この短所は、決断力に優れたリーダーの下でサポートに回る場合、慎重な提言を行うという長所に転じ得ることを知っております。
たとえば、私は大学時代、サークルの副部長として、決断力に優れた部長のサポート役に徹していました。
彼(女)は、常日頃より即断する傾向があり、稀に情報収集が不足している状況において、誤りかもしれない決断を下そうとすることがありました。
そのようなとき、私は副部長として、必要な情報を提供し、現段階での判断は慎重に控えるように提言することができました。」
この例では、短所であるポイントが長所に転じるケースを扱っています。
タイプの異なる人と作業する場合以外にも、環境条件などで短所が長所に転じることもあるかもしれません。
短所を書く際には、どのような状況において自らの短所が長所に転じ得るか、できるだけ多くの場面を想定し、ESにはその中でも応募先企業にとって最も意味がありそうなケースを書き込むとよいでしょう。
ES(エントリーシート)の短所で人事が見ているポイント
ESでは、あなたにしかない、他の人にはないポイントが見られていることが多いです。
その意味で、長所しか書かない人が多い中、あえて短所を書けば、その点を見られる可能性は高いです。
その中でも特に見られやすい点は、あなたがその短所をどう克服したり、どんな場面では短所になりやすいあなたの特徴を活かせたりするか、あなたがしっかり考えているかだと考えられます。
ただ「短所は○○です」で終えるのではなく、「私の短所は○○ですが、普段××することで克服するよう心掛けています」「私には○○という短所があると思いますが、この短所は、△△のような場面では□□として、むしろ長所につながると考えます」などと、短所を乗り越える姿勢が鮮明に、かつ説得力を持って打ち出せているESであれば、ポイントも高くなることでしょう。
まとめ:ES(エントリーシート)に魅力的な短所を書こう!
冒頭でESに短所を盛り込むことの意義を説きましたが、重要なのは、その意義が生きるような、魅力的な短所を書くことです。
ただ短所を書いて、それに対する対策や改善策を何も記さないのでは、短所は短所としてしか受け取られず、評価はマイナスになりがちでしょう。
しかし、そこで短所に対する対策や改善策、あるいは普段短所になりやすい自身の特徴が活かせる場面などを具体的に想定できていれば、あなたは誠実で、自己認識がしっかりしており、かつ自らの弱点を乗り越えていけるようなタフな人材だと思われるに違いありません。
もちろん、面接などのES以外の各段階でも自らの弱点についてしっかり考えていることを示し続ける必要がありますが、そのためにも、まずは第一歩として、自らの短所をESに記して、思考をクリアにするとよいでしょう。
頭で理解したら実践するのが一番です。
短所ですら伝え方次第であなたの魅力を表現する手段になることを念頭に置いて、早速書き出してみましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート