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はじめに
この記事では電機メーカーへの就職や転職に役立つ様々なランキングを作成し、上位の企業に共通している点をまとめてみました。
また、電機メーカーランキングの常連に名を連ねる大手電機メーカーは、ブランド名で他と差別化しているだけでなく、それぞれ特徴を持っています。
その特徴は強みだけでなく、今後の課題も含まれます。
そこで大手電機メーカーの日立製作所・ソニー・パナソニック・三菱電機・富士通の5社について、強みと今後の課題についても解説していきます。
電機メーカーランキング
各電機メーカーの売り上げ高、平均年収、残業時間、勤続年数は定期的に更新され、企業分析の資料として利用されています。
電機メーカーの様々なランキングの順位を知って、貴重な就職や転職の判断材料にしましょう。
電機メーカー売り上げランキング
2位 日立製薬所 8.7兆円
3位 パナソニック 6.6兆円
4位 三菱電機 4,1兆円
5位 富士通 3.5兆円
上位電機メーカーの売り上げで上位の企業の特徴
電機メーカーの売り上げが高い企業に共通して言えることは上位の企業は世界的シェアを獲得しているということです。
1位のソニーで言えばCMSOセンサーで世界シェア1位を獲得するなどしていて、世界的に有名な企業となりました。
他にも2位の日立製薬所では高機能材料で世界シェア率60%、3位のパナソニックでは家庭用エアコンの世界シェア4位を獲得するなど、国内に留まらないシェア率がこの順位に影響していると言えます。
電機メーカー平均年収ランキング
2位 日立製薬所 894万円
3位 三菱電機 817万円
4位 富士通 799万円
5位 パナソニック 774万円
電機メーカー平均年収で上位の企業の特徴
電機メーカー平均年収のランキングで上位にランクインした企業5社は売り上げランキングにランクインした企業とラインナップは変わりませんでした。
ただ、パナソニックがランクを下げた理由としては営業利益率の違いが挙げられます。
ランクを一つずつ上げた三菱電機の利益率が5.8%、富士通の利益率は5,5%なのに対して、ランクを下げたパナソニックの利益率は3.9%であり、売上高が高くても、社員に還元できる金額が少ないことがわかります。
とはいっても売上高ランキング上位5社の平均年収が高いことに変わりありませんね。
電機メーカー残業が少ないランキング
2位 キヤノン 12.6時間
3位 リコー 13.2時間
4位 シャープ 14.9時間
5位 セイコーエプソン 18.3時間
ちなみに大手電機メーカーは以下のようになっています。
富士通 27.5時間
ソニー 34.8時間
日立製薬所 37.1時間
三菱電機 41.1時間
電機メーカーの残業時間ランキングで上位の企業の特徴
電機メーカーの残業時間が少ない企業に共通していることは、フレックス制度が整っていることです。
1位の富士ゼロックスでは9時から15時をコアタイムとしていたフレックスタイムに加えて、育児や介護がある人向けに短時間正社員制度が導入されました。
これによって該当する社員は10時半から15時までに短縮できるようになりました。
2位のキヤノンではサービス残業がなく、残業しても残業代がしっかり支払われます。
3位のリコーではリモートワークを推奨されているなどして、場所にとらわれない働き方を実現しています。
こうした取り組みによって、社員の休日の満足度ランキングでも1位富士ゼロックス、2位リコー、3位キヤノンがランクインしています。
電機メーカー平均勤続年数ランキング
2位 マクセルホールディングス 24.9年
3位 富士通フロンテック 24.4年
4位 松尾電機 24.1年
5位 大真空 23.6年
ちなみに大手電機メーカーは以下のようになっています。
富士通 20年
日立製薬所 18.8年
ソニー 18年
三菱電機 16.5年
電機メーカー平均勤続年数ランキングで上位の企業の特徴
平均勤続年数とは現在その会社に在籍している社員の勤続年数の平均のことです。
その会社に入社した人が退社するまでの期間ではないので注意が必要です。
上位にランクインしている企業は企業の平均年齢も高く、企業の経営がすでに安定していることを示しています。
平均勤続年数が短いからと言ってブラック企業であるというわけではなく、それだけ急成長していて結果を出すほど出世しやすいという場合もあります。
自分の働き方と照らし合わせて、企業選びをしましょう。
大手電機メーカーの特徴
上記で述べた様々なランキングで電機メーカーの順位を知ることができたと思います。
そこで次は売り上げと年収ランキングで上位にランクインした大手電機メーカーのソニー、日立製薬所、パナソニック、三菱電機、富士通の強みと今後の課題に迫っていきます。
ソニー
1946年に創業した老舗の電機メーカーで、ウォークマンの大ヒットでもよく知られています。
身近な電気機器の開発をはじめ、音楽やゲーム、さらに保険の分野にも進出、利益を上げています。
強み
音楽と半導体に強みを持ち、少しの減益では揺るがない、強固な経済基盤を持っています。
PlayStationなど複数のオリジナル商品を持っているほか、EMI Music Publishingの買収(2018年)など、その業界で影響力を持つ企業を傘下に置くことで利益を上げ、独自の企業活動を展開しています。
半導体はソニーが強みを持つ分野です。
開発したCMOSイメージセンサーは、スマートフォンをはじめビデオカメラやWebカメラなど、さまざまな製品に利用されています。
今後の課題
いくつか得意分野を持つソニーですが、家電など採算が取れていない事業も多く抱えています。
ゲームはスマホの波に押され気味で、見直しが必要となる分野です。
日立製作所
1910年設立、日立グループの中核企業として活躍しています。
情報・通信システムをはじめ、電子装置や社会・産業システムなど8つの部門で構成され、総合電機メーカーと呼ばれることもあります。
強み
日立製作所は8つの部門で構成されていますが、より広い経済活動が可能になるだだけでなく、売上が安定するという特徴も持っています。
たとえば1つのセグメントが不調で赤字になったとしても、他の部門で利益を上げることが可能になるからです。
とくに情報・通信システムや高機能材料、社会・産業システムの部門で強みを持ち、売上を牽引しています。
BtoB(企業間取引)事業がメインであること、今後の成長が期待できるインフラ系の事業に力を入れていることも、日立製作所の強みと言えるでしょう。
たとえばIoTの構築が注目されていますが、日立製作所はLumada(ルマーダ)というIoTプラットフォームを開発、デジタルサービス事業において順調に収益を伸ばしています。
今後の課題
多国籍企業に位置づけられている日立製作所ですが、国内製造・輸出がメインであるため、為替の影響を受けやすく、海外売上比率の割には売上につながらないことが考えられます。
日立製作所は、採算が合わない分野は早めに見切りをつけ、大きな損失を防ぐ対策をとります。
企業を安定させる上で欠かせないことですが、それがリストラなどにつながる恐れがあります。
パナソニック
パナソニックは、松下幸之助が一代で築いた電機メーカーで、1918年に設立した当時の名称は、松下電気器具製作所でした。
これまで数々の電気機器の製造と販売を手掛け、ヒット商品も多く誕生しました。
パナソニックは一般消費者向けにサービスや商品を提供してきましたが、BtoBサービスのほか、海外事業も積極的に展開しています。
アビオニクスや車載用リチウムイオン電池など、いくつかの分野で世界シェア1位を誇ります。
強み
パナソニックは社内カンパニーと呼ばれる事業部門を複数持ち、コネクティッドソリューションズ(CNS)社など、好調なものもいくつかあります。
行政や企業、法人向けの技術開発に積極的で、IoTソリューション技術や顔認証技術は、パナソニックの得意分野とするところです。
法務省はパナソニックの顔認証技術を採用、空港ゲートに設置をはじめました。
この技術は次世代のセキュリティ対策として注目され、今後広く普及していくことが期待できます。
今後の課題
いくつかの分野で確固たる地位を築いていますが、燃料電池自動車(FCV)など自動車業界に参入する電機メーカーは多く、競合が激しい分野で結果が出せるかどうかは未知数です。
事業整理によるリストラや労働環境の改善など、いくつかの課題が指摘されています。
三菱電機
三菱電機は三菱グループの中核企業で、日本を代表する総合電機メーカーの1社に挙げられます。
家電から人工衛星まで、さまざまな事業に関連した商品を製造、国内トップシェアを誇る産業用電気機器も多くあります。
強み
三菱電機は、重電システム(エレベーターや発電プラントなど)と産業メカトロニクス(シーケンサなど)の分野を得意としています。
鉄道に導入されている交通システムは三菱電機製という場合がほとんどで、東京メトロに導入された、車両情報監視・分析システム(TIMA)も、三菱電機の製品です。
産業メカトロニクス関連の製品は、産業用ロボットやカーナビなどが挙げられますが、こうした自動車機器事業は、海外からの受注に支えられ、好調な伸びを示しています。
独自の技術と事業展開が、三菱電機の強みと言っても過言ではありません。
今後の課題
不採算事業に関しては早めに見切りをつけていますが、こうした事業整理に伴い、従業員のリストラが行われる可能性が高くなります。
強みを持つ分野で競合に勝ち抜き、ナンバーワンになれるかどうかが今後期待されます。
富士通
富士通は、1923年に古河電気工業とシーメンス社(ドイツ)が共同で設立した会社です。
設立当時は合弁会社で、現在は株式会社でした。
通信システムをはじめ、電子デバイスや情報処理システムの製造と販売を行います。
強み
ハードウェアの分野で頭角を現している富士通は、8部門中6部門で首位を獲得するほど、その商品力の高さで知られています。
富士通が得意とするITシステムは需要があり、伸びしろも大きいことから、これからも成長が期待できる企業と言えます。
行政機関や大企業とは信頼関係で結ばれている点も、富士通の強みです。
今後の課題
富士通が展開するAIやIoTの分野は多くの企業が参入し、競争が激化することが予想されます。
技術面の向上やブランドの確立などが課題となるでしょう。
従業員の雇用改善など、企業内部で発生する課題にも取り組む必要があります。
まとめ
電機メーカーと一口に言っても、得意分野や企業方針、力を入れて取り組んでいる分野などが異なります。
残されている課題もそれぞれですので、企業の特徴として把握すると、その企業について正確に判断できます。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート