昨今、労働問題に対する意識の向上から、「ブラック企業」という言葉が一般的になってきました。
さらに、それとは反対の性質を持った、「ホワイト企業」という言葉も生まれ、こちらも就活、労働の市場に浸透しつつあります。
望んでブラック企業で働きたいと思う人はそうはいません。では、数ある企業の中から、ホワイト企業を見つけるには、一体どうしたらいいのでしょうか。
本記事では、ホワイト企業の「あるある」ネタを解説します。
就活で応募したり、現在働いたりしている会社がホワイト企業かどうか、判定するための参考にしてくださいね。
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【ホワイト企業あるある】ブラック企業とホワイト企業はどう違う?
では、実際にホワイト企業のあるあるを紹介する前に、ブラック企業とホワイト企業、それぞれの定義を確認しておきましょう。
ブラック企業とは
ブラック企業とは主に以下のような特徴を備えた企業であると言われています。
1.極端な長時間労働
ブラック企業と呼ばれる企業の特徴として真っ先に挙げられるのは、この長時間労働です。
そもそも月の時間外労働は45時間以内とされており、これを超える場合は36協定でそのことを定めなければなりません(業種によってはこの定めに当てはまらないものもあります)。さらに、80時間を超えれば過労死ラインです。この水準が続くようなら、ブラック企業と呼んで差し支えないでしょう。
2.労働量に対して賃金が見合わない
労働時間と並ぶブラック企業の要素2トップが、賃金の低さです。
生計を維持できないような給料で、ギリギリまで働かせようとする企業も少なくありません。
賃金を時給に換算したときに、地域の最低賃金を下回っていませんか?
もしそのようなことがあれば、その給与で社員を働かせるのは、立派な違法行為です。
3.残業代が支給されない
残業代を支払わないことも、先の項目にある最低賃金と同じく違法行為です。
タイムカードを定時に押してそれ以降もまだ働いている、というようなことも、企業によっては存在しました。
ただし、近年では労働基準監督署もあからさまなサービス残業を行わせている企業には、すぐ目をつけるようになっています。
そのため、残業隠しはより巧妙化し、あの手この手で残業代を支払わない、というような手段を取る企業も存在するのです。
4.休日が少ない
そもそもの労働日数が多い企業もあります。ただし、働き方によっては、それだけで一概にブラック企業とは言い切れません。
カレンダー通りに土・日・祝日に休める会社であれば、年間120日程度の休日があります。年間休日が80日であれば、隔週で2日休み、他の週は1日休みほどの休日であると思っておくといいでしょう。
一日の労働時間が短いのであればともかく、8時間の勤務ならば、年間休日が80日の企業に務めるということは、年間休日が120日の企業よりも、年間320時間多く働くということです。
求人票の給料が高くても、時間あたりの給与で年間休日の多い企業よりも低くなっていませんか? 就活のときは、そこも吟味するようにしましょう。
5.有給休暇を取得できない
有給休暇は、労働者に認められた正当な権利です。
企業は有給休暇取得の時季を変更するよう労働者に打診できますが、相談なく休暇取得日を変更させるようなことはできません。
ましてや、有給休暇取得自体を却下する権利は持たないのです。
働き始めて半年経っているのに有給休暇が与えられない、有給の取得などできない、といわれるような企業は、違法行為を行うブラック企業と言えるでしょう。
ホワイト企業とは
さて、ここまでブラック企業の特徴をご説明しました。
それとは対になっている、ホワイト企業とはどのような企業なのでしょうか。
上にあるブラック企業の条件に当てはまる場合はとてもホワイト企業とは呼べませんから、そこに「当てはまらない」ことは当然です。
シンプルにまとめると「労働者が働きやすい企業」が、ホワイト企業です。
それでは、次の項目で、ホワイト企業の具体的な条件、「あるある」を解説したいと思います。
【ホワイト企業あるある】こんな会社はホワイト企業だ
育休、産休などの制度が整っている
近年女性の社会進出はめざましく、出産によるキャリアが途絶えたり、出世に響いたりすることを心配するために、出産を見送る女性も珍しくありません。
また、それにともなって、男性の育児参加も強く期待されるようになりました。
そんな世情を鑑みて、ホワイト企業では、育児休暇、出産休暇の制度が整っていることが多いです。
チェックしておきたいのは、女性だけではなく、男性社員の育児休暇取得の実績があるか、というところ。
社員に対する福利厚生という面でももちろんですが、「育児世代へ優しい働き方ができる」というアピールを外に行う力がある企業であるかを見極める指標にもなります。
整理整頓されている
ホワイト企業では、社内が整理整頓されていることが多いです。
面接などで企業のオフィスを見る機会があったなら、整理整頓されているかを確認しておきましょう。
机上が整理されていたり、共用の文具置き場が整理されている場合、その職場で整理整頓のルールが浸透していることが多く、仕事の整理も行われている可能性が高いです。
仕事の整理は、効率化の第一歩です。効率化がなされることで残業が少なくなっているのなら、その面についてはホワイト企業といえます。
また、オフィス以外の場所についても、清掃が行き届いているか見ておくことをおすすめします。
きちんと清掃されているなら、プロに依頼している可能性が高く、清掃という実務に直結しないところにもお金をかけることができる企業だということです。
残業が少ない、サービス残業は厳しく咎められる
ホワイト企業では、残業が少なく、サービス残業をしようとすると上長からストップがかかります。
ブラック企業の項目でも少し触れましたが、近年労働基準監督署はあからさまにサービス残業をさせている企業にはきちんと目をつけています。
そのため、まっとうな企業であれば社員にサービス残業をさせません。
また、業務の計画を立てるとき、ホワイト企業では残業を前提としたスケジューリングをしません。
それは、管理職の力量不足を宣伝しているようなものだからです。
不測の事態やよほど優先度が高いがあった場合にだけ残業を行い、あとは定時で帰るのが理想的な形と言えるでしょう。
仕事に見合った給料
仕事に見合った給料を受け取ることができるのも、ホワイト企業の「あるある」です。
現在もらっている給料が仕事に見合っているかどうかはその人の感覚にもよりますが、明らかな激務と薄給はホワイト企業ではありません。
また、残業が必要な場合には、必ずきちんと働いた時間分給料が出ます。
残業代をつけるとき、15分単位、下手をすれば30分単位でしか残業代が支払われない会社もありますが、1分単位の時間に対して残業代が支払われるのも、ホワイト企業あるあるの一つです。
休憩時間がきちんと取れる
ホワイト企業では、休憩時間をきちんと取得できます。
通常、労働者に1日8時間以上の勤務をさせる場合、企業は1時間の休憩を与えなくてはなりません。きちんと法で定められています。
また、休憩時間に電話番についている、など、業務に関わることをしている場合、休憩をしたとはみなされません。
法的にはもちろんですし、きちんと休憩を取った方がパフォーマンスが上がることを、ホワイト企業は理解していますから、きちんと従業員を休ませるようにします。
人事評価の基準が明確である
昇格、昇給、ボーナスなどに響く人事評価。ホワイト企業では、この人事評価の基準が明確です。
上司がなんとなく決めた評価で給料が決まってしまったり、上層部に気に入られていれば実績が伴わなくても出世できる。そんな企業で、仕事をやる気がおきるでしょうか。
「〇〇を達成したら評価A」など、具体的な目標と達成した場合の結果が示されれば、労働者のモチベーションの向上に一役買うため、会社全体の士気も向上します。
また、社員それぞれのモチベーションとパフォーマンスが上がれば、その分企業の利益も多く上がりやすくなります。
これらのサイクルが、ホワイト企業を生み出すのです。
離職率が低い
ホワイト企業では辞めていく人が少なく、離職率が低いこともまた「あるある」です。
理由は明快で、ここまで見てきたようなホワイト企業の「あるある」が揃っていれば、基本的には快適に働けるため、余程の事情がない限り辞める必要がないことです。
これにより、ホワイト企業の求人はなかなか世に出てくることがありません。
事業を拡大するか、何らかの事情で辞めざるを得なかった従業員の代わりを補充するときしか、改めて人を募る必要がないためです。
【ホワイト企業あるある】コンプライアンスが守られていること
さて、ここまで紹介してきたホワイト企業の「あるある」ですが、こうは思いませんでしたか?
「これを守らなければ違法行為って書いてあるものまであるけど、法律を守るなんて当たり前じゃないの?」
非常に残念なことですが、世にはびこるブラック企業では、会社を運営するに当たって法律が守られていないこともままあります。
逆に言うのであれば、きちんと法律を守っている企業は、人間関係などによっぽどの爆弾を抱えていない限り、快適に働けるはずの場所なのです。
ホワイト企業のあるあるをまとめると、法律を遵守していること――「コンプライアンスが守られていること」に集約します。
【ホワイト企業あるある】ブラック企業のあるあるを避けて、ホワイト企業を捕まえよう
ホワイト企業のあるあるをご紹介しました。
これから就職、転職先を選ぶに当たって、なかなか確認することが難しい項目がそろっているかと思います。
企業の先輩に話を聞けるならそれが一番ですが、難しい場合は、求人を見たり、面接にいったりしたときに自分で情報収集を行うことになります。
特に面接は、企業の建物に直接入ることができる貴重な機会です。
自分が企業から素質を測られる場所でもありますが、貴重な人生を過ごす場がここで良いのか、志望者の側からも企業を見極める場所にしたいですね。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート