そもそもSPIって何?
SPIは企業が学生を選考するうえで必要な能力や性格を深く知ることができる適性検査のことです。
適性検査にはいくつかの種類がありますが、現在では企業の95%以上がいずれかの適性検査を実施して学生を選考するための手段として利用しています。
SPIはそれらの適性検査の中で最もシェアの大きな適性検査であり、200万人を超える学生が受験しています。
SPIの試験内容は能力検査と性格検査の2つです。
能力検査は学生時代に受けてきたテストと同じように国語や数学、英語などの能力を測定する目的で行われます。
SPIでは国語は言語分野、数学は非言語分野と呼ばれます。
言語分野では主に語彙力や文章の読解力を問われます。
社会人になれば社内の同僚だけでなく上司とも情報をやり取りする機会が増えますし、顧客とのメールや電話のやり取りもしなければなりません。
その中で情報を間違えることなく伝達する能力や速やかに理解して仕事を円滑に進める能力は欠かすことができません。
言語分野ではこういった能力を詳しく測定することができます。
一方、非言語分野の問題は計算力や情報をスピーディーに整理する論理的思考力を測定するためのものです。
与えられた情報の中から必要な情報を素早く見つけ出し効率的に仕事を進めることのできる能力が試されます。
言語分野・非言語分野で出題される問題は学生の基礎的な学力を測定するものなので、難易度は決して高くありません。
中学生の教科書の内容を理解していれば十分な得点が期待できる程度の難易度です。
ただし出題数が多いため、制限時間内で全部の問題を回答するためにはかなりのスピードが求められます。
できれば事前に問題集を解いておいて、問題を解くスピードを体感しておくと良いでしょう。
言語分野・非言語分野の能力検査に加えて、英語力が必要な業種や職種では英語検査も行われることがあります。
また、オプションとして構造的把握力検査も用意されており、総合商社や金融機関等で実施されています。
性格検査は学生の仕事に対する熱意や行動力、人柄など、主にメンタル面を測定するものです。
自社が欲しい人材とマッチしているか、入社後にどのような活躍が期待できるかなど、適正を見るテストとなっています。
性格検査については対策はあまり意味がありません。
下手に対策してしまうと回答に一貫性がなくなって、かえって評価が下がってしまいます。
あまり深く考えずに直感で答えるようにすると良いでしょう。
SPIの構造把握力検査とは
オプション検査があり、企業によっては英語をはじめとしてオプション検査もあわせて受講するよう指示があります。
構造的把握力検査もオプション検査の1つで、あわせて受けるよう指示されることがあるので確認しましょう。
文系よりの問題が出される傾向があります。
文章の要点をどこまでつかめるか、要点をスピーディーに理解できるかという能力を問われます。
文章の要点をスピーディーに理解できる方は、相手が何をいいたいのか把握しやすいです。
取引先の方や社内の人間と話をしたり、メールのやり取りをしたりといった場面がありますが、その際要点を早くつかめると意思疎通がしやすくなります。
社会人として、要点をスピーディーに理解できることが求められます。
仕事上、長文を目にする機会は増えるものです。
また、決められた時間の中で相手と話をするシーンも出てきますが、何をいいたいのか、要点は何かと把握することでスピーディーにやり取りができます。
日ごろから本を読むなど、文章に慣れている方は得意分野となるでしょう。
物事の本質を見抜き、スムーズにコミュニケーションを取るために問われる能力です。
SPIに向けて対策するだけではなく、今後のことを考え能力を伸ばせるよう心がけると良いでしょう。
言語系
言語系は必ず受講が必要になります。
たくさんの人が受けることから、対策もしやすいのでしっかり準備しましょう。
言語系は、以下の問題が出題されます。
- 2語の関係
- 空欄補充
- 語句の意味
- 文の並び替え
- 文節の並び替え
- 熟語の成り立ち
- 長文読解
受ける会場や方法によって、どのジャンルが出題されるか変わります。
言葉や文章に親しんでいれば、さほど難しく考える必要はありません。
日ごろから本や新聞を読んだり、もしくはこの機会に問題集に取り組んだりするなど対策を採りましょう。
非言語系
非言語系も必ず受講しなくてはいけません。
非言語系は数学と考えれば良いです。
足し算、引き算、掛け算、割り算と基本的な計算問題も多く出題されています。
本番では電卓の使用ができないので、紙にさっと書いて計算できるよう対策をとりましょう。
場合の数や速さの計算など、決められた公式に基づいて問題を解く必要が出てきます。
基本的な公式は頭に入れ、さっと計算ができるようにしておくとスムーズです。
過去問題を何度も解いて、非言語系の問題に慣れ親しんでおくことが近道でしょう。
SPIの受験方法
SPIは4つの方法で受験することができます。
最も一般的なのがテストセンターでの受験です。
これはSPIを主催するリクルート社が用意した会場で受験するものでパソコンを使って回答します。
一度受験すれば結果を使いまわしできるメリットもあります。
この他に志望する企業が用意したパソコンで受験するインハウスCBTや自宅のパソコンから回答するWEBテスティングもあります。
ペーパーテスティングはすべての受験方法の中で唯一のペーパーテストです。
企業の一室でマークシート方式の回答で行われます。
SPIについては対策の必要性が議論になることがありますが、基本的には対策しておくのがオススメです。
先程も説明しましたが問題の難易度自体は高くないので、学力に自信がある学生であれば特に対策しなくても問題を解くことはできるでしょう。
しかし、問題数の割に制限時間が短いので慣れが非常に影響します。
また、パソコンを使って回答する方法に慣れるという意味でも、問題集や模擬試験を一度は体験しておきましょう。
SPIに構造把握力検査を導入している有名企業
構造把握力検査を導入する企業が増えてきました。
オプション検査ではありますが、今後導入する企業が増える可能性は十分あります。
就活をされる方は複数企業受けることが考えられますが、そのうちどこかの企業は導入している可能性があると考え対策を立てましょう。
では、実際導入している有名企業を紹介します。
- 伊藤忠商事
- 伊藤忠丸紅鉄鋼
- 丸紅
- 豊田通運
- 三菱重工業
- 三菱商事
以上6つの企業は、言語・非言語・英語・構造把握・性格診断の最大5つ受講をしなくてはいけません。
続いて、性格判断以外の4つの分野について導入している企業を紹介します。
- 電通
- 三井不動産
この2つの企業以外にも、総合商社、金融会社、不動産会社のほか、さまざまな企業が導入を進めています。
金融業に就くのであれば必要といったように、特定のジャンルだけではなく、幅広い企業が導入を進めているので対策を立てましょう。
構造把握力検査の対策
では、どのように対策をとれば良いか考えていきます。
ぶっつけ本番ですとどのような問題が出るかわかりませんし、感覚をつかめないまま試験が終了することが考えられます。
良い結果を残すためには、しっかり対策を採ってから試験に臨みましょう。
まず過去問などの練習問題に取り組み、どのような問題が出されるか雰囲気をつかんでください。
こういった雰囲気で出てくるのだと理解することで、テストを受ける際の緊張感もほぐせます。
文章問題を解く、物事の要点を見極めるというのがポイントです。
過去問に取り組んでも良いですし、日ごろから本や新聞を読んだり、スマートフォンなどでニュース記事を読んだりしでも良いでしょう。
文章を毎日読み、いったい何を伝えたいのか、読者にどう感じてほしいのかと見極めることが大切です。
元々本を読むことが好きな方など、文章を見慣れている方であれば難易度が低いと感じるでしょう。
逆に本を読む機会がなく文章問題は苦手という方は、少しでも文章に慣れるよう対策をとってください。
SPIの構造把握力検査はいつから対策すべき?
構造把握力検査では文章の構造や文法などについて出題されるため、基本的な対策としては日頃から文章に親しんでおくことが重要になります。
普段から活字に触れる機会の少ない学生は新聞や読書で活字に触れる機会を増やしましょう。
また、文章を読む際には起承転結や構成を意識するようにして、短時間で文章の要点を掴めるようにすると効果的です。
もちろん、SPIの他の科目と同様に問題集を解くことも重要です。
構造的把握力検査の出題形式は独特なので、本番で初めて問題を見ると感覚や意味が掴みづらいところがあります。
それに加えて、出題数が多く短時間にポンポンと答えていかなければならないので、問題に慣れておくことはとても大切です。
構造的把握力検査の対策本はあまり種類がありませんが、SPI3 「構造的把握力検査」 攻略ハンドブックは内容が良くまとまっていてオススメです。
では、対策はいつ頃から始めれば良いのでしょうか。
文章に親しむことは今すぐに始めることができますが、問題集を使った対策は大学3年の2月には始めておきたいところです。
現在、就職活動は大学3年の3月1日が解禁日となっており、早い企業では3月中、遅い企業でも5月中にはSPIテストが実施されます。
一方でSPIの対策には一般的に50時間程度必要とされているので、1日2時間の勉強時間を確保できる学生でも最低1ヶ月は必要になるからです。
出題傾向をつかむ
スムーズに問題を解くために、出題傾向をつかむことが大切です。
どんな問題が出題されているのか、傾向を理解すると対策をとりやすくなります。
文章問題の仕分けと文の仕分けの2つに分けられます。
文章問題の仕分けですが短い文章が出され、同じような意味で使われている、同じ文法が使われている文章はどれかと選ぶ問題です。
文章がどのように構成されているのかがわかれば、スムーズに問題が解けます。
文の仕分けは、複数の独立した文章が出され、それぞれ文を仕分けます。
文章問題の仕分けと同様に、文の構造について理解ができればスムーズに解けるようになるでしょう。
文章問題の仕分け、文の仕分けの2つをできるようにしておくことが好成績を残す近道です。
過去の問題と同じような傾向で問題が出されています。
いくつか文章の構造について理解できるように例題を解くことで対策をとりましょう。
オススメ問題集
言語や非言語などそのほかの分野については、過去問など練習問題が多く出回っています。
しかし構造把握については、あまり練習問題がありません。
その中でも、オススメの問題集があるので紹介します。
SPI3 「構造的把握力検査」 攻略ハンドブック
はじめてテスト対策を採られる方にもおすすめの問題集です。
どんな問題が出るのか、どういった出題傾向で何の能力を問われるのか解説されています。
SPI自体はじめての方、言語や非言語の対策しか取ったことがないという方でも、スムーズに取り組むことができます。
過去に出された問題の傾向をつかみ、傾向に沿った問題が掲載されています。
大筋を理解できるので、問題集で解いたことがある似たような問題を本番で解くことができるというのが魅力です。
SPI3 「構造的把握力検査」攻略ハンドブック 2020年版
2019年の3月に発売された新しい問題集です。
問題数が多いので、少しでも多くの問題を解いて練習したいという方におすすめです。
動画解説がついているので、より詳しく対策を採りたい方にも向いています。
パターン別解法、文のグルーピングのどちらも掲載されています。
各項目で知識を養い、その後演習問題に取り組める仕様となっています。
他の分野よりも元々問題集が少ないので、どの問題集が良いのかと悩みにくいです。
過去問を解きたい方や出題されている傾向を知りたい、そもそも文章の構造についてよくわからないという方も役立ててください。
sweet pea
sweet peaはWeb上でSPIの対策ができるサービスです。初級・中級・上級とあなたに合った難易度の問題を解いていき、対策を段階を踏んで行うことができます。
テスト対策の中でも情報の少ない構造把握の問題を重視することにより、構造把握問題がでた際の対策は他のサービスよりも充実しています。
引用元:sweet pea
また、SPIだけではなく玉手箱やCAB・GABなどのWebテストの対策も行うことができるため、このサービスだけで構造把握だけではなく他のテスト対策も実施することができます。
ぜひあなたも一度"sweet pea"で構造把握問題の対策をしてみてください。
構造把握の例題
っこからは、実際にどのような問題がされているのか例題を見ていきましょう。
1.文章の構造が似ているものを選択させる問題
ア たろうくんは200円、はなこさんは100円持っています。2人合わせていくらお金を持っていますか?
イ 300円の商品を買うのに500円出したら、おつりはいくらになるでしょうか?
ウ Aくんは分速100m、Bくんは分速80mで、スタート地点から同時に出発して一直線に同じ方向に進みます。出発してから10分後に2人はどれだけ離れていますか?
エ Cさんは25歳、Dさんは20歳です。2人の年齢の和は何歳になりますか?
アは2人の合計を聞かれています。
イはおつりはいくらか、引き算すれば答えが出ます。
ウは1分あたりの2人の差を求め、そこに10倍すれば答えが出ます。
エは2人の合計を聞かれています。
よって、アとエが文章の構造が似ているといえます。
同じような文章はどれか探せば問題が解けるのです。
2.文の分類
ア きちんと勉強すれば結果は出るよ
イ 私が元気ならあなたのもとへ行くよ
ウ 数日経ったら、忘れてしまう
エ 私に万が一があったら、遺産は全部渡します
オ どんな願いも叶うなら、5歳ころから人生やり直すわ
アとウとエは、○○になれば、○○すればそうなるよと条件が必要です。
イとオは、もしそうであれば○○といったように仮定した文章です。
よって、Pに分類されるのはイとオです。
構造把握力検査の注意点
これまで構造把握力検査の特徴や例題を説明してきました。
構造把握力検査を受けるにあたってどのようなことに注意すればいいのでしょうか?
以降、構造把握力検査を受検するにあたって心がけると良いポイントを説明します。
想像力を活用しよう
構造把握力検査においては、いかに想像力を働かせることができるかが重要です。
文章問題では文章をそのまま読んで理解するだけではなく、さまざまなことを想定して問題を解く必要があります。
文法的に共通点を見出す問題などではできるだけ多くの視点から文章を分析することが大事だからです。
文章をそのまま理解できても、発展的に考えなければ構造把握問題は解けません。
本番に何もわからず焦る、なんてことがないようになるべく多くの問題に触れて感覚で傾向をつかみましょう。
あまり考えすぎない
問題を解く際は、あまり考えすぎないようにしてください。
考えすぎて頭を抱えているうちに時間が過ぎ、どんどん解ける問題数が減っていきます。
他の分野と同じくスピードが求められますので、1問1問に時間をかけすぎないようにしましょう。
何を聞かれているのか理解することと、各文章の内容の違いに注目すればスムーズに解けます。
対策が難しい、なかなか好成績が取れないともいわれている分野ですが、ポイントさえ押さえておけば簡単に解けるので安心してください。
文章の似ている箇所をいくつか見つける、文章の起承転結を理解することが近道です。
接続詞について事前に勉強し理解しておくと、文章を読みやすくなります。
練習問題を解く、そして日ごろから文章に触れる機会を作ることで難しく考えずにスムーズに解けるようになります。
時間配分に注意
構造把握問題はテストセンター形式のみで、企業側が用意した会場に行き、パソコンにて問題を解くことになります。
制限時間は20分と短いので、1問に時間をかけすぎるとあっという間に制限時間がきてしまいます。
自分が得意な問題や時間がかからない問題など、解けそうな問題を優先してください。
反対に、自分がわからない問題や時間がかかりそうな問題は一度飛ばしてもいいかもしれません。
余裕をもって対策
試験において一番重要なのは、自分なりに傾向をつかむことです。
構造把握力検査にはある程度傾向が存在します。
そのためできるだけ多くの問題を事前に解いておくといいでしょう。
対策は早いに越したことはありません。
勉強を早く始めればその分心に余裕をもって自分のペースで傾向をつかむことができます。
当日の失敗を防ぐには余裕を持てるように自分のスケジュールと勉強に費やす時間をよく考えてください。
まとめ
構造把握の導入を進めている企業はまだ少ないといわれていますが、徐々に増える傾向があります。
日ごろから本や新聞を読む機会を増やし、文章に親しみを覚える、また慣れることが大切です。
どの企業に就職しても文章を見る機会がありますし、人と会話をして意思疎通を図る必要があります。
企業側はスムーズに意思疎通を図れる人を採用したいと考えています。
他のSPIの分野についても対策を採る必要があり、構造把握だけに時間をかけることはできません。
しかし難しく考える必要はなく、文章に親しんでおくことが近道です。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート