はじめに
就活の際に重要といえるのはエントリーシートや面接ですが、そこで話さなければいけないことは様々です。
志望動機や自分の長所、学生時代に力を入れたことなど、いろいろなことを話さなければいけません。
その中でも特に、これまで体験してきたエピソードで何を選ぼうか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
一体どんなことを書けばいいのか、またそれを話すとしてどう伝えればいいのか、といったことのノウハウを今回は教えていきます。
就活エピソードとは?
そもそも面接の際になぜエピソードを話すのでしょうか?
それはひとえに、あなたがこれまでどのような体験をして、それをどう話してくれるのか、といったことを人事が確かめたいからです。
人にはその人でなければ経験しえないエピソードというものが必ずあります。
そして、それに対する捉え方もまた人それぞれです。
ただ、それをどう話すかということはテクニックが必要です。
仮に面白いエピソードを持っていても、伝え方がまずいとその面白みは伝わりません。
逆にエピソード自体が普通の話でも、伝え方次第によっては面白く聞こえるでしょう。
社会人としてこの伝え方のテクニックに通じていることは非常に大切です。
いわば人事はあなたの人柄を知るとともに、話術もテストしているのです。
自分を大きく見せる必要はない
こうした前提を踏まえると、別にエピソードを話す際に誇張する必要はないことがわかります。
自分のありのままの姿を率直に話すだけでも、この人は他人に正直に話せる人だ、という印象を与えられるでしょう。
逆に話を大きくしようとしすぎる人は人事に見抜かれてしまいかねません。
これは社会人として致命的で、いずれこの人はわが社に損失を及ぼすかもしれない、と疑われてしまうのです。
たとえば自分を大きく見せたがる人が実際に入社し、営業職を任されたとしたらどうでしょうか。
自社の製品を必要以上に持ち上げ、時には交渉相手をだましてでも契約を取り付けるという姿は容易に想像できるでしょう。
こうしたことを防ぐためにも、面接官は就活生の話しぶりを注意深く見ているのです。
絶対に嘘をつかないこと
エピソードを話す際に絶対にやってはいけないことが嘘をつくことです。
たとえば自分は学生時代に面白いエピソードがない、と感じたとしましょう。
それでも何か話さないといけないとなったとき、これまで体験したことのない話を作り上げようか、と考えた経験がある人は少なくないはずです。
しかし、そうした嘘は必ずバレてしまいます。
一通りエピソードを話し終えた後で、面接官の方に細かな点を質問されたら、あなたはそれまで話したエピソードとつじつまが合うような答えを用意できるでしょうか?
その際にしどろもどろな返答をしてしまったら、その時点で内定は貰えないと覚悟して良いでしょう。
エピソードで自慢と捉えられないように気をつけよう
学生時代にスポーツに打ち込んでいた人は、県大会で優勝したエピソードなどを話すはずです。
しかしながら、そうしたエピソードを自慢げに話してはいけません。
そもそも面接は自慢をする場所ではないからです。
会社にとってはあなたを必要な人材かどうかを判定したいだけであって、過去に何かすごいことを成し遂げたかは重要視していません。
仮に何かを達成したエピソードを話すのならば、それを通じてチームワークの重要性を知った、といった具合に面接官にアピールできそうな話につなげたほうが良いでしょう。
面接で話すエピソードで人事は何を判断するのか?
人事にとってエントリーシートや面接だけで就活生の人柄を完璧に理解することはできません。
本当にその人の性格を判断したいのならば、充分に長い時間をかけてその人と接する必要があるからです。
しかしながら、実際の就活の中ではそんな期間は与えられていません。
だからこそ、人事は限られた時間の中で学生の人柄を知るためにその人でなければ体験しえないエピソードを重視するのです。
ここからはそんな人事の立場を踏まえた上で、彼らがどういったことを重視しながら就活生のエピソードを読んでいるのかを考えていきましょう。
こうした視点に立つだけでも、エピソードをどう組み立てていけば良いかが具体的にイメージできるようになるはずです。
どんなことに対して頑張れるのか?
就活生が学生時代にどんな努力をしたのか、ということを人事は非常に重視します。
実際に社会人になってみると様々な場面で努力をしなければいけません。
仕事で困難なことに直面したときや新たなプロジェクトを立ち上げるときなど、いろいろな場面で努力が必要になってくるのです。
そうしたときに物を言うのは過去に努力をしたことがあるという経験です。
逆に努力をしたことがない人間は、これまでに直面したことがない体験に出くわすと経験値を活かすことができないため挫折してしまいます。
学生時代にどういう困難に出くわしたのか、それをどう乗り切ったかを知ることで、人事はこの人は多少難しいことでも苦にしない人だ、という価値観を知ることができるのです。
学生の人柄や特徴
同じエピソードを話すにしても、学生の人柄によっては異なる内容に聞こえてくることがあります。
たとえば高校時代に生徒会長になったというエピソードがあるとしましょう。
自分に自信がある人ならば、生徒会長に選ばれたことで皆に信頼してもらったという責任感から仕事に身が入ったという話をするはずです。
謙虚な人ならば自分が適任かはわからなかったけれど、副会長や書記と話し合いを重ねることで周りの助けを得ることの大切さを知った、という話をするでしょう。
このように学生がエピソードをどう捉えているかによって、その人の人柄が見えてくるのです。
逆に、エピソードを脚色し本当の自分と異なった姿を見せていたとしたら、実際に対面する面接の際に人事の方に見抜かれてしまいかねません。
あくまでも自分の人柄を率直に見せるようにしましょう。
会社とのマッチ度
学生時代のエピソードによっては、会社が普段行っている仕事に合致することもあります。
たとえば学生時代に留学して現地の英語を肌に感じた、というエピソードを話したとしましょう。
志望した会社が海外にも市場を展開しているとしたら、この人は外国の交渉相手ともやっていける人材だ、と判断されるはずです。
このように人事は学生の体験が仕事に活かされるか、ということも非常に重視します。
他の人にないエピソードは、それだけで就活の際にアドバンテージになり得るのです。
もし自分のこのエピソードはこの会社で働くにあたって役立ちそうだ、というものがあるようならば、積極的に盛り込んでいくようにしましょう。
話す内容だけでなく、印象も大切!
心理学では人と会話するときは、話の内容よりもその人の印象を重視するという学説が一般的です。
もちろん面接官はその道のプロですので、見た目だけで判断はせず、しっかりと話の中身も聞いてくれるでしょう。
とはいえ、だからといって相手から見られる印象を疎かにして良いというものでもありません。
せっかく良い話をしているのに、ところどころつっかえながら話していたり、ぶっきらぼうな態度で話していたりすると印象が悪くなってしまいます。
何より社会人になると他の会社の社員と交渉することも多くなるので、どうしたら相手に良い印象を与えられるようになるか、ということは就活生の段階でしっかりと勉強しておきたいところです。
第一印象
面接会場に入った瞬間から面接は始まっているといっても過言ではありません。
身だしなみがしっかりしていなかったり、姿勢が悪かったりするとこの時点で面接官からの印象は悪くなってしまいます。
まずはドアを開ける前に軽く鏡を見て、髪型が整っているか、ネクタイは曲がっていないかなどをチェックすると良いでしょう。
そして明るい声で失礼します、といえば第一印象の時点で悪くなることはありません。
笑顔
常にしかめっつらでいる人に対して良い印象を抱くはずはありません。
逆に、いつも笑顔でいるような人は自然と良い印象を与えることができます。
もちろん、面接の間ずっと満面の笑顔でいろ、というのは難しいことです。
面接官の話を聞きながら軽く口角を上げるくらいでも良いですし、軽い冗談を交えて笑うくらいでも良いでしょう。
面接会場には緊張感が漂っていますが、そこに笑顔を持ち込むだけでも場の雰囲気を変えられる人だ、という印象を与えることができます。
大きな声でハキハキと
いかに面接の前にしっかりとしたエピソードの原稿を書いたとしても、それが相手に伝わらなければ意味がありません。
原稿の内容を忘れて黙ってしまった場合や記憶に自信がなくなって小さな声で話してしまったら、この人は大丈夫だろうか、と面接官に思われてしまうでしょう。
そうではなく大きな声でハキハキと話したほうが、話の内容もしっかり伝わりますし、元気な人柄だということをアピールしやすくなります。
基本的なマナーに気を付けよう
社会人として最低限に抑えておくべきマナーというものはあります。
それを守れなかったら常識がない人だと判断されても仕方がありません。
たとえば面接会場に入った瞬間にお辞儀は必須ですが、その際軽く頭を下げるだけであっという間に席に座るようではいけません。
深く頭を下げ、試験官が座ってもいい、と言うまで待つのがマナーです。
これによってルールを守れる人であると思われることができます。
就活エピソード例文
エピソードを書く際にはまずどんな経験をしたかを明確にしましょう。
これがなければ面接官の方にエピソードの内容を伝えることができません。
続いて結果に至るまでの過程を書き、その経験をすることでどういう結果に至ったか、ということを書いていきます。
この部分を滑らかに話せるようになると、文章構成力をアピールできます。
また、結果を踏まえてどういう行動をするようになったか、その結果からどういうことを得たか、ということも重要な要素です。
ここの話し方を工夫できるようになれば、こうしたエピソードを持っている自分こそが会社に貢献できる人材であると伝えることができます。
これらの手順を踏まえた上で、エピソードによってはどんな文章を作れば良いか、ということを見ていきましょう。
大学での経験
私は大学でバンドサークルに入りました。
高校のときからバンドをやっていたのですが、これまで付き合いのなかった人たちとバンドを組むという経験は大学になってから初めてのことです。
それゆえ最初の頃は意見の食い違いに悩むことが多かったのですが、徐々に仲間と打ち解けていってチームワークもだんだんと良くなっていきました。
最終的には文化祭でいい演奏を披露することができたのです。
こうした結果が出てからは人の意見を聞くことの重要性が理解でき、バンド仲間以外と接するときも常に相手の意見から先に聞けるようになりました。
これまで体験したことのなかった困難を経験するとともに、仲間とともに何かを作り出す楽しみを味わったことは私にとってかけがえのないエピソードです。
バイト
私は大学二年のときから現在まで飲食店でアルバイトをしています。
アルバイトとはいえ責任は重大で、何かミスをしてしまえば店に迷惑をかけてしまいかねません。
それゆえ私はミスを起こさないようにチェックノートを付けるようになりました。
見落としはないか、こうすればミスは防げるのではないか、といったことを一つひとつチェックすればミスを減らすことはできます。
これによってミスが少ない人間として店長に褒められるようになったのです。
また、私自身の経験を活かして新しくやってきた後輩にアドバイスをできるようにもなりました。
ミスは未然に減らすことができるという学びを得られたので、今ではアルバイトをやって良かったと強く実感しています。
留学
私は大学三年生のときにオーストラリアに留学した経験があります。
私にとって初めて外国に行く体験でしたので最初は戸惑うことの連続でした。
しかし、ホストファミリーの方が親切に接してくれたおかげで生活上のトラブルは少なく済んだのです。
また、留学先の大学でも多くの人に助けていただいたおかげで、勉強の悩みも特に体験することはありませんでした。
結果半年の留学期間を滞りなく終えられました。
これによって私は誰かに親切にすることの大切さを学んだのです。
帰国してからも身の回りに困っている人を見かけると、率先して声をかけられるようになりました。
社会人になってからも常に誰かに手を差し伸べるつもりで働いていきます。
習い事
私は小学三年生の頃から書道の習い事を初め、中学卒業まで同じ教室に通い、高校生の頃はその経験を活かして書道部にも入っていました。
書道をするにあたっては、相当な集中力がなければ良い文字を書くことはできません。
一字一字丁寧に書き込んでこそ、きれいな文字はかけるようになるのです。
そのため私は教室だけでなく、家でも静かな環境で書道をする時間を設けるようにしました。
これによって普段から集中力を保つことができ、書道だけでなく学校の成績も上がるようになったのです。
何かで得た集中力は他の物事にも活かせると知ったのはこのときでした。
自分の持ち味ともいえる集中力を会社の貢献のために活かしていきます。
資格
私は大学3年のときにTOEICで900点を取りました。
大学1年のときにTOEICで好スコアを取るという目標を掲げてからというのも、常に勉強の連続です。
普段読んでいる新聞も英字新聞に変え、海外ドラマも吹替や字幕を使わずに見なければいけません。
そうした努力が実りTOEICの高得点を取れたというのも収穫でしたが、それ以上に何かに夢中になれるということはこんなに楽しいことなのか、という実感を得たことも大きな経験でした。
夢中になっている間は高い集中力を保つことができ、何かを学ぶことで自分の能力が高まっていくことを実感できるようになります。
そうした体験を御社に入社することでまた経験したいです。
インターン
私は大学3年のときに地元の企業のインターンに参加したことがあります。
1ヶ月ほどの短いインターン期間でしたが、実際に現在進行中のプロジェクトの会議に参加したり、実際に製品が作られるところを見学したりしました。
中でも大きな結果だったのは私の発言がアイディアの一つとして組み込まれたことです。
これまで企業の中でどういった仕事が行われているか、ということを知らなかった私にとっては、いずれも貴重な体験でした。
残念ながらその企業は新卒を雇用していないということでエントリーシートを出せませんでしたが、この経験を活かすために業種の近い御社を志望したのです。
趣味
私は趣味として子供の頃から定期的に登山をしています。
親が登山が趣味ということで最初は一緒に登るのが普通でした。
自分一人で富士山に登る、と決心したのは大学生になってからのことです。
どんなものを準備すれば良いか、どんな時間割で登れば良いのか、ということを一人で考えるのは楽しくもあり、難しい経験でもあります。
結果何事もなく富士山の頂上まで登ることができました。
この経験を通して私はしっかりと計画を立てれば何事もうまくいく、ということを知りました。
御社で仕事をする際にもしっかりとした計画を立てて貢献していきます。
まとめ
就活の際にエピソードを話すときは、周りのライバルと差別化をするチャンスです。
ここでインパクトのあるアピールができれば、この人は他の人材とは違うものを持っている、と思わせることができるのです。
何よりこうした経験をあらかじめしておくことは、社会に出てからも必ず活きてきます。
たとえば自社の製品を売り込むとき、他の会社の製品と比べてここが優れている、というポイントを解説しなければいけません。
自分でなければやったことがない体験を話すことは、こういう場面でも役立ってくるのです。
ぜひとも就活の段階でアピール方法をマスターしておきましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート