テレビ業界とは?現状や多岐にわたる職種・求められるスキルを紹介

テレビ業界とは?現状や多岐にわたる職種・求められるスキルを紹介

「テレビ業界に憧れるけれど、自分に合う仕事はあるかな?」 「テレビ業界に就職するにはどうすればいいのだろうか。」 「テレビ業界に今勤めるのは賢明なのだろうか。」 このように、テレビ業界に興味がありつつも内情が分からない人は多いのではないでしょうか。

この記事では、テレビ業界の現状や職種、テレビ業界に就職するにはどうしたらよいか、就職で求められるスキルなどを細かく解説していきます。

この記事を読んだ後には、テレビ業界の今を理解した上で、自分に合った職種を見つけやすくなるでしょう。また、自分は本当にテレビ業界に向いているのかどうかも分かるようになるでしょう。

テレビ業界に入りたい人、内情を知って就活に役立てたい人はぜひこの記事をチェックしてみてください。

テレビ業界とは

華やかに見えるテレビ業界ですが、その裏ではたくさんの人が働いています。製作スタッフをはじめ、技術スタッフや営業など様々な職種があり、特殊な技術が必要な仕事もあれば、一般の会社と変わらない仕事をしている人もいます。

ニュースやバラエティ、旅行、ドラマなど番組数も多岐にわたるため、働き手の数も多いのが特徴です。

多くの職種で成り立っている業界なので、自分の得意とする職種があればテレビ業界で活躍できるチャンスがあります。

テレビ局の種類

テレビ業界への就職を目指す際は、まずは、テレビ局の種類から整理しておきましょう。

テレビ局の種類は、以下の通り4つに分けられます。

テレビ局の種類
  • キー局
  • 準キー局
  • 地方局
  • 公共放送局(NHK)

テレビ局と一口に言ってもその種類はさまざまあり、誰もが耳にする有名なキー局のほかには、準キー局や地方局、公共放送局(NHK)があります。

それぞれが異なる役割を果たしており、各局は、役割に沿って視聴者に多様なコンテンツを届けています。

では、具体的な役割や特徴を以下から解説していきます。

キー局

キー局とは、全国放送権を持つ主要のテレビ局です。

フジテレビやテレビ朝日、日本テレビなどが当てはまり、大衆性が高く、時局の強みを活かしたバラエティ番組やドラマなどのエンタメコンテンツを数多く制作していることが特徴です。

基本的にキー局は東京に拠点を持ち、日本全国の地域を対象に番組を制作・放送しています。

なお、キー局には国内の主要スポンサーが多くの広告を提供しており、制作費が充実していることも大きな特徴です。

スポンサーには誰もが耳にする代表的な大手企業も含まれ、さまざまな情報通信を支える放送局として、多くの企業と深いつながりを持ちます。

なお、テレビ局の代表格であるフジテレビ・テレビ朝日・日本テレビ・TBS・テレビ東京は、5大ネットワークと呼ばれています。

準キー局

テレビ業界でキー局が大手にあたるのであれば、次点をいくのが準キー局にあたります。

準キー局は、大阪に拠点を持つテレビ局であり、基本的に関西エリア向けの番組を制作しています。

キー局のように全国規模の番組制作は行いませんが、準キー局として十分なネットワークを持つことは間違いないため、キー局レベルのクオリティで独自の番組を制作していることが特徴です。

なお、番組の種類によっては、全国放送されるケースもあります。

準キー局には、読売テレビや朝日放送テレビ、毎日放送、関西テレビ、テレビ大阪が挙げられます。

なお、大阪や京都などの関西エリアに在住する人にとっては、キー局よりも準キー局のほうが馴染み深いことも少なくありません。

地方局

地方局とは、ローカル局とも呼ばれ、全国各地にそれぞれの拠点を構えるテレビ局です。

各局は、地域密着型の自主制作番組や通販番組を放送していることが大きな特徴です。

放送されるニュースや天気予報、その他街角情報などは、よりその地域に特化していることも特徴の一つといえるでしょう。

地方局は全国ネットでの放送は行わないため、基本的に該当エリアでなければ、放送電波を受信することはできません。

また、スポンサーとなるのは主に地元企業であり、地域とのつながりは深いといえます。

なお、各地方局はキー局の系列放送局に該当するケースが多いことも特徴です。

例えば北海道放送は北海道のTBS系列局であり、広島テレビは広島県の日本テレビ系列局にあたります。

公共放送局(NHK)

公共放送局、いわゆるNHKは、唯一国が設立・管理を行っているテレビ局になります。

NHKとその他の局は「公共放送」と「民放」の分け方で区別され、NHKは民法のようにスポンサー収入に頼らないことが特徴です。

公的な組織だからこそ非営利という面もあり、中立的な立場を貫き、公共性の高い番組制作を行っています。

なお、NHKの収入の大部分は視聴者から徴収する受信料です。

しかし、だからこそ番組中にCMが流れることがなく、ストレスなく番組の視聴に集中できることが特徴です。

主に報道や教育系の番組ラインナップが充実しており、全国どこからでも同じ番組を視聴できます。

そのため、例えば地方ならではの週遅れや別番組への差し替えなどはありません。

NHKには複数のチャンネルがあり、ニュースやバラエティ、ドラマなどを幅広く取り扱うのがNHK総合、教育・アニメ系の番組が中心となるのはNHK Eテレです。

テレビ業界のビジネスモデル

テレビ業界のビジネスモデルは、以下の3つです。

ビジネスモデル
  1. 広告収益
  2. 放送権料
  3. ライセンスビジネス

近年はVOD(動画配信サービス)の普及により、新たな収益源の確保が進められています。

時代の移り変わりを理解することで、業界の現状や今後の展開を深く把握することが可能です。

就職は、景気の良い業界を選ぶのか、衰退している産業に入社するのか、給与や雇用に大きな差が生まれます。

テレビ業界全体を理解し、業界研究に役立ててください。

1.広告収益の仕組み

テレビ業界の主な収益源は広告です。

企業が番組の間に出稿するCM広告が、大きな割合を占めています。

とくに、視聴率の高い番組やゴールデンタイムのCM枠は高額です。

たとえば、有名俳優を起用・撮影し、放映した場合、広告費は約1,000万円です。

費用を抑えたCMの放送は可能ですが、それを踏まえたとしても高額な広告費がかかります。

しかし、近年はインターネット広告により、テレビCMの広告費は減少傾向にあります。

テレビ番組を作成するにあたって、どこから収益を得るのか、理解することは重要です。

さらに、インターネット広告の登場により、市場規模が縮小していることも知っておきましょう。

業界・企業分析する際の材料にしてください。

出典:「テレビCMの費用」はどのくらいかかるの?15秒のCM1本流した時の相場価格は?|株式会社テレビ朝日

2.放送権料とライセンスビジネス

テレビ局は、放送権料とライセンスビジネスを駆使して、収益を得ています。

放送権料とは、スポーツや映画を放送するのにかかる費用です。

以下のジャンルは、多額の放送権料が発生します。

ジャンル
  • プロ野球
  • オリンピック
  • ワールドカップ

上記は高い視聴率が期待できるため、放送権料を支払っても、広告収入でまかなうことが可能です。

ほかにも、テレビ局が保有する知的財産(キャラクターやブランド)の使用を許諾し、対価としてライセンス料をもらいます。

スポーツ選手の顔写真やチームのロゴなど、さまざまな分野が収益の対象になります。

テレビ業界は、広告収益以外からも収入源があることを理解しておきましょう。

3.VODなどの新しい収益モデル

テレビ業界は、VODなどの新しい収益モデルを確立し始めています。

VODは、ビデオ・オン・デマンドの略称です。

インターネットを通じて、テレビ番組を配信する仕組みです。

たとえば、テレビ番組の見逃し配信や有料コンテンツの提供などです。

広告収入が減少しているため、新たなマネタイズ手法を模索しています。

近年は、NetflixやAmazon Prime Videoの普及により、テレビ局も独自のVODサービスをより強化しています。

今後は、インターネットとの融合がさらに進むでしょう。

テレビ番組は、放送して終わりではなく、配信されることを見越した制作が重要です。

収益モデルが変化していることを理解しましょう。

テレビ業界の現状と将来性

テレビ業界への就職を検討する際は、業界研究の一環として、現状と将来性について理解を深める必要があります。

テレビ業界の現状・将来性としてチェックしたいポイントは、以下の通りです。

チェックポイント
  • 広告費が減少
  • 動画配信サービスの強化
  • 非テレビ事業への進出
  • 労働環境の見直し

特に近年は、若い世代のテレビ離れがコロナ禍以降急激に加速しており、テレビ業界は大きな時代の変化の中にあるといえます。

また、近年の働き方改革の流れを受け、労働環境が見直されつつある点もよくチェックしておきたい現状の動向です。

では、それぞれのポイントを詳しく解説していきます。

広告費が減少

テレビ業界は、広告費が従来と比べて減少しています。

そのため、昔ほど莫大なスポンサー収入に期待できなくなり、新たに事業を始めるなど多くのテレビ局が収益化のモデルを変革させています。

これまでは、広告といえばテレビCMが代表的でしたが、現在はWeb広告の時代です。

2019年にインターネット広告費がテレビCMの広告費を上回った際は話題を呼びましたが、以降も、インターネット広告は着実に需要を伸ばしています。

実際に企業は積極的にYouTubeなどで配信される動画広告を出稿したり、Webサイト上に表示されるバナー広告を利用したりしています。

今後もこの流れは変わらないと見られ、CMの広告収入のみに依存できない時代に入っているのが現状です。

動画配信サービスの強化

テレビ業界の動向としてチェックしておきたいことの一つに、動画配信サービスの強化が挙げられます。

昨今はVODサービスの台頭により、「好きなタイミングで好きな番組を見る」という楽しみ方が広まりつつあります。

これにより、テレビ局もオンデマンド配信を強化せざるを得ず、配信のサブスクリプション契約などで稼ぐケースも増えています。

例えばフジテレビの番組が視聴できる動画配信サービス「FOD」、さまざまなチャンネルの番組の見逃し配信を実施している「TVer」などが挙げられます。

このように好きなタイミングで好きな番組を視聴できる楽しみ方は、忙しい現代人にとってぴったりです。

ライフスタイルの多様化の流れもあいまって、テレビでそのとき放送されている番組を見るという文化が弱くなり、それに対してVODサービスが広まったのだと考えられます。

非テレビ事業への進出

テレビ業界は、現在、非テレビ事業に対して柔軟に進出しています。

そのため現在はテレビ業界の多角化が進んでおり、今までの常識では考えられないほど、「多角経営」の状態になっているテレビ局は少なくありません。

例えばフジ・メディア・ホールディングスは都市開発、つまりは不動産事業に力を入れており、テレビ朝日は動画配信市場の拡大に注力しています。

事業展開は、テレビ業界が直面する視聴習慣の変化や広告収入の減少に伴って起きており、それらを打開するには欠かせない戦略といえます。

今後も時代の変化に伴い、テレビ業界の多角化は進むと考えられます。

そのためテレビ業界を目指す際は、配置によってはテレビとは毛色の異なる事業を担当する可能性がある点も、あらかじめ理解しておきましょう。

労働環境の見直し

テレビ業界では、近年、さまざまな現場において労働環境の見直しが行われています。

これは働き方改革やコンプライアンス重視の流れによって起こっており、従来のような長時間労働や不規則な勤務体制、精神的なプレッシャーなどの問題は、減少傾向にあると考えられます。

そのため、テレビ業界ではフレックスタイム制度やテレワークなども導入されており、これらの改革の後押しになったのはやはりコロナ禍といえます。

現状、コロナ禍のときのような接触・対面を避ける動きはもう見られませんが、柔軟な働き方を選択できる環境は局によって整ってきたといえます。

時間外労働については、極力抑えてワークライフバランスを整えようという動くが見られ、社員同士で時間外労働をしていないか厳しくチェックする体制を取り入れています。

そのため、テレビ業界と聞くとかなり激務のイメージもありますが、最近はそのような状況もかなり緩和されてきたといえます。

テレビ業界に就職するには

テレビ業界に就職するには大きく分けて2つ、テレビ局か番組制作会社に入ることです。テレビ局で番組制作や企業戦略を立てたり、番組枠を考えたりとテレビに関連するたくさんの仕事があります。一方、番組制作会社はテレビ局から外注された番組を制作することが主な仕事です。

ここでは、テレビ局と番組制作会社に就職するのに必要な学歴や資格などを紹介します。

テレビ局の場合

日テレの場合、コンテンツ制作・報道部門、メディアビジネス部門の募集要項は、就職時までに28歳以下で4年制大学・大学院修士課程・高専専攻科を卒業・修了、または卒業見込み・修了見込みの方、文理不問となっています。

就職試験は、他の企業と同じく書類審査(エントリーシート)から始まり、二次試験では、面接や時事問題の筆記試験やディスカッション、希望職種によってそれぞれの適応テストが行われる事もあります。

出典:募集要項|日本テレビ放送網(株)

番組制作会社の場合

テレビ局とは違い、番組制作会社では学歴不問の会社もあります。資格も必要としていない会社がありますが、番組を作るのに必要となる普通自動車免許や、動画編集が得意などアピールするポイントがあるとよいでしょう。

また、カメラマンや照明スタッフなどの技術職では、専門学校で学んだ人が採用されるケースが多いでしょう。

会社によってカラーが違いますので、就職を希望する会社では何を求められるのか確認する事が大切です。

テレビ業界で働くメリット・デメリット

テレビ業界を目指す就活生は、メリットとデメリットの両方を理解しておきましょう。

メリットばかりに目が行きがちですが、デメリットを把握していないと、入社後に後悔します。

たとえば、テレビ業界は、華やかなイメージがありますが、その裏には厳しい環境もあります。

高収入やスキルの向上といった魅力がある一方で、労働時間の長さが問題視されています。

業界・企業分析を通じて、自分の価値観にマッチしているのか、きちんとチェックしましょう。

メリット

テレビ業界は、大手企業が多く存在します。

そのため安定した給与や雇用が期待できます。

たとえば、テレビ朝日やフジテレビ、日本テレビなどです。

全国にテレビ番組を放送するキー局に入社することで、高収入が期待できます。

以下は、エンゲージが公表しているデータを参考にした、大手企業の平均年収の表です。

企業名 平均年収
株式会社テレビ朝日 993万円
株式会社フジテレビジョン 700万円

日本テレビ放送網株式会社

946万円

ほかにも、番組制作に携わることで、企画力や発想力が磨かれます。

自分のアイデアを形にできるため、仕事のやりがいが大きくなるでしょう。

また、テレビ番組は、情報を発信する仕事になるため、最新の情報や流行に触れられるのも魅力です。

出典:エンゲージ|エン・ジャパン株式会社

デメリット

テレビ業界は、生放送や収録スケジュールの影響で、労働時間が不規則になりやすいです。

たとえば、夜21時からの生放送の番組を担当した場合、帰宅するのは深夜になるでしょう。

ワークライフバランスを重要視している就活生には、合わない環境の可能性が高いです。

さらに、広告収益の減少やVODの普及など、業界の変化が激しい傾向にあります。

新しい環境に適応したり、知識を習得したりしなければなりません。

安定した環境で働きたい人には、厳しい環境になるでしょう。

テレビ業界は、体力を始めとした、適応力や柔軟性が求められます。

自分の価値観やキャリア形成と比較して、問題がないか確かめましょう。

テレビ業界の多岐にわたる職種

テレビ業界には局を成り立たせるために働く人、番組を成り立たせるために働く人がいます。私たちが何気なく見ている1つの番組が作られるのに、多くの人が関わっているのです。

テレビ業界で働く人がどのような仕事をしているのか、職種別に紹介します。

総合職

テレビ局には、コンテンツ制作・報道・スポーツ・営業・海外ビジネス・スポーツ・戦略・技術などかなり多くの部署が存在します。

番組ディレクター、プロデューサーコンテンツ制作部門や、営業や戦略のメディアビジネス部門、放送技術を扱うエンジニア部門など、部門別に募集がありますが、どこに配属されるかはその人の適所を見極め、振り分けられます。

異動も多く、いろいろな支店や部門を経験することになるでしょう。

アナウンサー

放送局の顔となる、花形の仕事です。報道やニュース番組で、起こっている事を正しく的確に伝えることが主な仕事です。バラエティ番組では番組の進行や、他の出演者が話しやすくなるようサポートもします。

近年では、タレント的な役割を担うこともあり、個性やルックスが重視される傾向にあります。多くの場合、局の社員という雇用形態で、番組の時間帯によっては早朝や深夜勤務になることもあるため、体力が必要となる仕事です。

技術職

技術職の人々は、番組や出演者を魅力的に見せるために欠かせない存在です。カメラやマイクなど、専用の機材を使うことから専門学校で技術を学んでからテレビ局や番組制作へ就職する人も多いです。

まずはアシスタントとして働き技術や現場での立ち振る舞いを学んだ後、独り立ちして活躍の幅を広げていきます。また、重い機材を持ち歩いたり、動かしたりする仕事なので体力勝負の一面もあります。

カメラクルー

監督やディレクターの意図を汲み、映画・テレビ番組・CMなどの映像を撮影する仕事です。ビデオグラファーとも呼ばれています。

ワイドショーやスポーツ中継、映画など撮影場所によって撮影スタイルも使用する機材も必要とされる技術が違うため、専門的な知識が必要とされるのです。

近年ではドローンを使っての撮影も増えてきており、常に新しい機材や撮影技術の知識習得やアンテナを広げておくことが必要とされています。

照明・音響スタッフ

照明スタッフは、番組や映画監督やカメラマンのイメージに合わせ光を調整し、理想の明るさを作り上げる仕事です。

音響スタッフは、出演者の声や環境の音を状況に合ったマイクを使い録音する仕事です。

いずれのスタッフも収録だけでなく編集も行い、使用する機材も多いことからセンスと高い専門性が求められます。また、チームとして働くため周りを見る力や協調性も必要です。

制作スタッフ

番組の要とも言える制作スタッフは、様々な角度から現場を管理・運営する重要な仕事です。制作スタッフのセンスや判断で、番組の方向性が決められると言ってもいいでしょう。

まずはアシスタントとして現場に入り、能力を身に付け人脈を広げ、上に上がっていくのが順当な流れです。

プロデューサー

1つの番組の統括的な責任者です。テレビ番組は、テレビ局と番組制作会社が一緒になって制作していることが多く、それぞれにプロデューサーが存在します。

企画立案から制作スタッフの決定、出演者への交渉、予算の獲得・管理、スポンサーへの営業などの番組に関わる幅広い仕事を担います。出演者やスタッフをまとめる統率力と、番組を成り立たせるための的確なコスト管理、リーダーの資質を兼ね備えている事が必要です。

ディレクター・アシスタントディレクター

番組の指揮者の役割を担う仕事です。企画や台本作り、演出を行い、ロケ地探しやロケ弁などの各種手配やカメラマンや照明をはじめとする技術者に必要な指示を出します。ロケや取材にも同行し現場を指揮、撮影後には編集作業にも携わるのです。

アシスタントディレクターは将来のディレクター候補として、現ディレクターの補助をしながら現場を学んでいきます。主にディレクターの手の回らない、各種手配や細かい部分の仕事を行う縁の下の力持ち的なポジションです。

タイムキーパー

番組の時間進行を管理する仕事です。コーナーからCMに入る時間や、番組の残り時間など秒単位の細かい時間管理をするため、ストップウォッチを使い進行状況を常に把握し、スタッフに伝えています。

番組を時間通りスムーズに進行する上で、特に生放送では欠かせない存在です。現場での仕事はもちろんのこと、番組のコーナーやCM時間が書き込まれたキューシートと呼ばれる番組進行表の作成も大切な仕事です。

テレビ業界大手の特徴

ここからは、テレビ業界大手の特徴を詳しくチェックしていきましょう。

せっかくテレビ業界を目指すのであれば、キー局をはじめとした大手を狙いたいところです。

局によって特徴は異なるため、それぞれの情報をしっかりと収集したうえで、企業理解を深めてエントリーを行う必要があります。

紹介するテレビ業界の大手企業は以下の通りです。

テレビ業界の大手企業
  • フジテレビ
  • テレビ朝日
  • 日本テレビ
  • TBSテレビ
  • テレビ東京
  • NHK(日本放送協会)

それぞれどのような特徴を持つのか、以下から詳細を解説していきます。

1.フジテレビ

キー局の一つであるフジテレビは、エンターテインメント性が高く、バラエティ番組やドラマ、映画制作などに強みを持ちます。

そのため、エンタメコンテンツに強い興味関心がある人に向いているテレビ局といえます。

なお、近年は事業の多角化が進んでおり、不動産やリゾート事業にも着手しています。

メディア業界以外にも積極的に参入しているため、入社後は、場合によってはテレビ以外の事業に携わる可能性もゼロではありません。

フジテレビの大卒初任給は、297,100円です。

なお、この数字は紹介している大手テレビ局の中で最も高く設定されていることがポイントです。

1957年に株式会社富士テレビジョンとして発足し、日本を代表するテレビ番組を数多く制作してきた歴史と実績があるため、まさに代表格といえる大手企業といえます。

2.テレビ朝日

キー局の一つであるテレビ朝日は、ニュースやドラマ、アニメ、バラエティ番組などの制作に強みを持っています。

1957年に株式会社日本教育テレビとして設立され、初期の頃から続く代表的なテレビ番組には「徹子の部屋」や「ドラえもん」などがあります。

近年はインターネットサービスのABEMAの運営を行っており、動画配信サービスにもかなり力を入れていることがわかります。

テレビ朝日発信の動画配信サービス「TELASA」も好調であり、会員数は年々増加しています。

テレビ朝日の売上高の8割以上をテレビ事業とインターネット事業が占めており、時代の変化に適応し、テレビ×インターネットの上手なコラボレーションでビジネスを確立してきています。

大卒初任給は252,654円であり、先ほどのフジテレビと比べるとやや少ないことがわかります。

3.日本テレビ

日本テレビも人気のあるキー局の一つであり、バラエティ番組・ドラマ・映画・スポーツ中継など幅広いジャンルで視聴者の評判を獲得しています。

キー局の中でも日本テレビは最も歴史が長く、1952年に、日本で初めて民放を始めたのが日本テレビになります。

そのため、始まりの民間放送局としての誇りを大事にしており、感動と信頼でナンバーワンの企業を目指すことを目標に掲げています。

以前、日本テレビは58か月もの長い間、月間視聴率三冠を達成した実績もあり、名実ともに多くの人から愛されるテレビ局であることがわかります。

営業利益に関しても、2023年度はトップを記録しています。

有名な番組には「金曜ロードショー」や「世界の果てまでイッテQ!」などが挙げられます。

また、近年はHuluやテーマパークなど非テレビ事業にも力を入れています。

大卒初任給は257,000円であり、先ほどのテレビ朝日と比べるとやや高い結果となっています。

4.TBSテレビ

キー局の一つであるTBSテレビは、ドラマやバラエティ番組、映画などを多く手がける大手テレビ局です。

中でもTBSといえばドラマの評価が高く、「日曜劇場」の枠では、平成後期から現在に至るまで数々のヒット作を世に送りだしています。

有名賞レースの受賞作品も多いため、ドラマ好きの人には特におすすめのテレビ局といえるでしょう。

ドラマ以外でもさまざまなタイプの番組を制作しており、特に「SASUKE」などは海外輸出を通じてグローバル展開していることも大きな特徴です。

売上高の中で多くを占めるのはもちろんメディア・コンテンツ事業ですが、その中でも売上高の2割を支えているのは、ライフスタイル事業です。

以前から雑貨の小売りや美容・健康関連事業、知育・教育事業に参入しており、今後も伸びが期待されています。

大卒初任給は294,608円と比較的高く、今回紹介した大手6社の中では、フジテレビに次いで高いことが特徴です。

5.テレビ東京

テレビ東京は、アニメや経済、ビジネスなどに特化したコンテンツを積極的に配信する大手テレビ局です。

中でもアニメにはより特化しており、平成のはじめ頃には「新世紀エヴァンゲリオン」、長期的に多くの視聴者から愛される「ポケットモンスター」を制作しています。

実際に以前発表された経営計画では、アニメ・経済報道・独自IPの強化を3つの軸として掲げており、テレビ朝日自体もアニメにかなり尽力していることがわかるでしょう。

また、ほかの番組では見られないユニークな視点のドキュメンタリー番組や、情報番組なども人気を獲得しています。

テレビ事業以外では、アニメの強みを活かしてアニメのネット配信やグッズ化などを積極的に行い、収益につなげていることが特徴です。

大卒初任給は281,600円であり、紹介している大手テレビ局の中では比較的高い額になっています。

6.NHK(日本放送協会)

NHKは、教育や情報番組、国際報道などに主に強みがある公共放送局です。

民間企業ではなく、政府に準じた公共機関の分類になるため、NHKは公的な情報発信組織として社会的に大きな役割を果たしています。

なお、NHKは公的機関ではあるものの、厳密にいうと総務省が管理する特殊法人「日本放送協会」であるため、NHK職員=公務員ではありません。

NHKの売上の大部分を占めるのは視聴者からの受信料であり、NHKにはより100%に近い割合で受信料を支払う世帯を増やし、公平性が取れた情報を発信していく社会的責任があります。

なお、日本で初めてテレビ放送を行ったのは1953年のことであり、それを担ったのはNHKでした。

まさに日本のテレビ史とともに成長してきた団体といえるため、就職を目指す際はその歩みもしっかりと理解しておく必要があります。

大卒初任給は227,360円であり、今回紹介した大手テレビ局の中でも最も低めの設定です。

テレビ業界への就職で求められるスキル

テレビ業界のような、人との関わり合いの多い職場では、コミュニケーション能力があり人当たりのよい性格が好まれます。その他に入社前にあるとよいスキルや、入った後に身に付けるとよいスキルを紹介します。

市場におけるトレンドへの理解力

テレビ業界で重要視されることは、視聴者が楽しめる番組を作ることと、視聴率を上げることです。そのためには、時代の流れや話題になっているもの、業界でのトレンドを把握する力が必要になります。

また、これからテレビ業界はどのように進んでいくのか、若者に人気のある番組は何か、世界情勢はどうなっているのかなど新鮮な情報を仕入れておき、必要な時に対応できるようになっているとよいでしょう。

テレビ業界特有の知識

どの業界でもそうですが、テレビ業界にはテレビ業界特有の知識があります。テレビ局の種類(公共放送・キー局など)や、主な職種などの基礎知識の他、各職種で必要な知識もたくさんあります。

例えば、各局公的電波を利用して情報を発信しているため法務部では電波法の知識が必要です。また、アナウンサーは発声法や現場での立ち振る舞い、ニュースの知識などが必要となります。

それぞれ配属された先でしっかり覚えましょう。

仕事をする上での一般的なスキル

技術職の人々は機材の運搬があるため、応募条件に普通自動車運転免許を取得とあることが多いです。また、総合職の人は事務仕事をする可能性があるため、パソコンの基本的操作ができるとよいでしょう。

近年ではパソコンでデータのやりとりや動画編集も行うこともあるため、技術職をはじめ、現場に関わる人も覚えておくと仕事に役立つでしょう。

テレビ業界の就活対策

テレビ業界の就活対策として、以下の3つに分けて解説します。

就活対策
  1. ESで差をつけるポイント
  2. インターンの重要性
  3. 面接で聞かれる質問

テレビ業界は、倍率が高く、とくにキー局や大手制作会社では厳しい選考が行われます。ES(エントリーシート)やインターン、面接対策をしっかり行い、ほかの就活生と差をつけることが重要です。

本章を読むことで、どういった対策をするべきか理解できます。

ESで差をつけるポイント

まずは、ESで周囲の就活生と差をつけましょう。

テレビ業界のESでは「なぜテレビ業界なのか」「なぜその企業なのか」を具体的に記載してください。

ほかの業界や企業に当てはまる内容であれば、採用担当者は入社意欲を感じられないからです。

番組や事業内容をよく研究し、自分の強みと結びつけてアピールしましょう。

また、アナウンサー志望の場合は、写真選びにも注意してください。

テレビ番組は、アナウンサーの印象によって、視聴率が大きく影響します。

そのため、採用担当者はESの写真を重要視します。

書類選考の段階で不採用にならないためにも、スタジオでプロの力を借りることも視野に入れてください。

インターンの重要性

テレビ局は、インターンの参加が内定に直結することが多い業界です。

とくにキー局のインターンでは、実際の現場での仕事を経験でき、社員との接点を持つチャンスになります。

ほかにも入社後「思っていたい環境と違う」「仕事にやりがいを感じない」といった、マイナス要素がないか、事前にチェックできます。

さらに、インターンに参加することで、志望動機に説得力が生まれ、本選考で有利になるでしょう。

ただし、インターンは人気であるため、事前準備が欠かせません。

以下の項目を意識して対策しましょう。

対策
  • 志望動機
  • ガクチカ
  • 自己PR

インターンは、本選考とは違い対策をおろそかにしがちです。

しかし、後ろに本選考が控えていることを意識し、対策することをおすすめします。

面接で聞かれる質問

テレビ業界の面接では、以下の質問が頻出とされます。

あらかじめ対策し、冷静に答えられるようにしましょう。

頻出質問
  • 好きな番組とその理由
  • 入社後に制作したい番組
  • 最近気になるニュースは何ですか
  • テレビ業界の将来についてどう考えるか

テレビ業界に特化した質問は、優先して準備しましょう。

業界研究不足と判断されると、入社意欲が感じられず、不採用に近づきます。

また「チームで困難を乗り越えた経験」など、番組制作の現場で活かせるスキルに関する質問もよく出ます。

学生時代の部活やゼミ、ボランティア活動など、具体的なエピソードを用意しましょう。

曖昧なエピソードは、採用担当者の印象に残らないため注意してください。

テレビ業界の様々な職種を理解して自分に合ったものを選びましょう

テレビ業界では市場のトレンド理解力やテレビ業界特有の知識が求められるため、新しい事や知らない事を吸収していく好奇心や知識欲のある人に向いているでしょう。

テレビ業界は総合職やアナウンサー・技術職・制作スタッフなど、様々な職種が関わり成り立っています。それぞれ求められる資質や仕事内容も異なるため、どの職種が自分に合うのかじっくりと考えてみてください。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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