はじめに
若者の活字離れや、様々なコンテンツの発達により、本が売れない時代となりました。
しかし、それでも尚、出版社に志望する学生は後を絶ちません。
かつてほどではないにしろ、現在も待遇面ではある程度安定しており、多くの出版社に毎年エントリーが集中しています。
近年では電子書籍の普及に伴い、紙媒体以外への対応や変化が求められている業界でもありますが、そんな出版業界では面接の中でどのようなことを聞かれるのでしょうか。
今回は、出版社の面接で聞かれることの多い質問についてまとめてみました。
出版社の面接の特徴
出版社への就職を希望している方は、出版社の面接で何か特別なことが聞かれるのかどうか気になっていると思います。
やはり業界ごとに仕事の特徴があるため、質問に対する答えは業界ごとに考える必要があります。
出版社で聞かれる質問は、やはり出版業界に関わる質問です。
どの業界でも同じで、その業界についてあなたにどれくらい理解があるのかを質問によって見極めています。
出版社での面接ではどのようなことが聞かれるのか、その特徴について紹介していきます。
基本の質問は同じ
「業界ごとに質問の特徴は変わる」とは言っても、基本的な質問は同じだと考えて良いでしょう。
たとえばガクチカや志望動機など、どの業界でも聞かれるような基本的な質問は必ずされます。
どこにいっても聞かれるような、これらの項目の質問にはいつでも答えられるように準備しておきましょう。
ただし、どこでも同じ質問をされるからといって、どこでも同じように答えるのはよくありません。
それぞれの企業に合わせた答えにアレンジしたり、ネタを増やしたり変えたりする工夫は必要です。
そういう点であなたの個性やセンスが出ると考え、ライバルとの差別化をはかりましょう。
ベーシックな答えを作っておけば、それをアレンジして、さまざまな企業での面接に活用できます。
出版業界に関わる質問
基本の質問は同じですが、それに加えて出版業界に関わる質問をされることがあります。
出版社での仕事をしたいという理由で志望しているのであれば、このような質問は必ずされると考えておいて良いでしょう。
質問の内容としては、好きな雑誌などを含めた出版業界に関する質問です。
あなたが本当に出版業界に興味があるのかどうかはこの質問によってわかります。
企業が業界に興味のある人かない人、どちらを採用するかといえば、やはり前者です。
出版業界に興味がなければ、ここで当たり障りのない答えをするでしょう。
そういった答えは業界の人にはばれてしまうということを覚えておきましょう。
自分が出版業界に興味があって、働きたいと思っている気持ちをここに込めると良いかもしれません。
出版業界に関する質問
出版業界に関する質問とはどのような質問でしょうか。
特別難しい質問はないと思いますが、出版業界への興味がどれほどあるのかが答えによってわかる質問でしょう。
ある程度は出版業界についての理解を深めておかなければ、おそらくスムーズに答えることはできません。
出版業界についての理解を深めたうえで、自分の考えをもてるところまで準備できれば問題ないでしょう。
時間があるのであれば定期的に業界に関するニュースを調べ、それについての考えをもてるように練習をしておいてください。
それでは、出版業界に関する質問はどのようなものがあるのかを紹介していきます。
斜陽産業だけどどう考えてる?
出版業界に関する質問として聞かれる可能性があるのは「斜陽業界だけどどう考えているか」という質問です。
出版業界はスマホの普及や違法サイトなどの影響で、本を購入する人が減少し、衰退してきているといえます。
そうした現状に対して、あなたがどのようにとらえているのかを質問されることがあります。
どんな考えでも良いのでこのような質問には、しっかり答えられるように自分の考えをもっておきましょう。
こうした質問に対して、何も明確な考えを述べられないのはNGです。
あなたがどのように考える人で、出版業界にどのような想いをもっているのかがこうした質問で相手に伝わるでしょう。
定期的に、出版業界に関するニュースに触れていると、こうした質問に対しても、言葉に詰まることなく答えられるはずです。
普段読んでいる書籍について
次に出版業界での面接でされる質問として考えられるのが「普段どんな書籍を読んでいるか」という質問です。
普段から書籍を読んでいる人であれば、特に考えることなく答えられる質問でしょう。
現代ではスマホなどの電子書籍を読んでいる人もいるため、その場合はそれを答えにしても良いかもしれません。
そしてなぜその書籍を読んでいるのか、スマホで読んでいるのか書籍で読んでいるのかなども聞かれる可能性があります。
ここで「紙の書籍が好き」というアピールをしている人は、矛盾したことを答えないように注意してください。
普段書籍を読んでいない人は、なんでも良いので自分の興味の湧く書籍を読むようにしましょう。
出版業界での面接ではこのような質問をされる可能性が高いため、備えておかなければなりません。
誰にどんな本を書かせますか?
こういった質問は、多くの出版社で聞かれます。
また、微妙に違ったもので「○○さん(芸能人や政治家など)に本を書かせるなら、どんな内容にしますか?」といったものもあります。
この質問に答えるためには、二つのことを知っておかなければいけません。
刊行している書籍の傾向
一つは、その出版社が刊行している書籍の傾向です。
志望先企業で経済系の書籍を取り扱っているのに「エッセイを書かせたいです」と答えたり、恋愛系の書籍に力を入れている企業で「ミステリー小説を書かせたいです」と言ったりしても、正直なところ響くものが少ないです。
企業分析を行って、どういった書籍をその会社が刊行しているのかを熟知した上で、相手が喜ぶような提案をしましょう。
また、多くの場合、この質問に答えるとタイトルや章立て、ターゲットなどについても深掘りして聞かれます。
この質問の回答は、漠然としたイメージだけに留めず、実際に一つ企画書を練り上げるくらいの勢いで検討する方が良いかもしれません。
時事問題
二つ目に知らなければいけないのは、時事問題です。
その年、社会ではどんな芸能人や著名人が話題を呼んでいるのかというのを知り、その人に書かせたら面白そうな本を提案するのは基本戦略です。
その上では当然ニュースを観たり、新聞を読んだりして、最新の情報を取り入れる必要があります。
出版社では、情報を的確にキャッチする感性や鋭敏さが求められるので、日頃から世事に関心を寄せるようにしましょう。
極端な話、出版社側としては「頭のいい人材」を求めています。
無論、他の業界にもある程度共通して言えるこ
とですが、特にこの業界では、いかに自分をスマートに見せられるかが一つのポイントになります。
弊社の刊行物ってどうですか?
この質問は、高確率で聞かれることになります。
質問の意図は、刊行物をちゃんと読んでいるかの確認と、審美眼や好みのチェックです。
この質問に答えるためにも、必ず企業で出している本を一冊は読んでおきましょう。
その中で章立てや構成、展開などに注目しながら自分なりの率直な意見を述べると良いです。
無理に褒める必要もないですし、粗を探さなければいけないわけでもありません。
また、感想は内容に対してだけではなく、表紙デザイン、価格、付録などに対しても求められています。
当然上辺だけの感想を述べれば、相手にはそのことが分かりますし、悪印象です。
もしも読んでいないのであれば、正直にその旨を伝えるべきですが、その出版社で働きたいと思うのであれば、必ず読むようにしてください。
どんな本を作ってみたいですか?
将来的に書籍の企画などを任せることにもなるので、早いうちから学生の考えや企画力を確認したいという思いが担当者にはあります。
これも最初の質問同様、その出版社で出している出版物の傾向を鑑みながら、自分なりの企画を打ち出してみましょう。
類似の質問に「○○(人や動物、物や場所など)をテーマにするなら、どんな本を作りたいですか?」というものがあります。
日頃から周囲にあるものをテーマにして、自分なりに即興で企画を立てる習慣などをつけても良いかもしれませんね。
体力はありますか?
正直なところ出版業界は、過酷な労働環境で辛いことでも有名な業界です。
人事側としても、体力に自信のある人を採用したいのが正直なところです。
部活やサークル、日頃の運動エピソードなどを用意して、自身の体力をアピールする材料を用意しておくといいでしょう。
また、部活動などに所属しない大学生は体力が低下傾向にあるので、実際働く前に、運動をする習慣を身につけておくと良いでしょう。
出版業界の面接を通過するポイント
ここまで出版業界の面接ではどんな質問をされるのか、その特徴について紹介してきました。
どんな質問をされるかわかったところで、次に知りたいのは「どうしたら確実に面接を通過できるか」だと思います。
「これをしておけば必ず通過できる」というようなポイントはありませんが、押さえておくべきポイントはあります。
それでは出版業界での面接を通過するポイントについて考えてみましょう。 これを押さえておき、リラックスした雰囲気で面接に臨めるのがベストです。
企業研究・業界研究をしっかりとやる
やはり何よりも重要なのは、企業についての分析・業界についての理解を深めることです。
企業研究や業界研究は可能な限り、しっかりやっておきましょう。
業界に関する質問をされることが多いため、それらに答えられるよう備えておくことが面接を通過するポイントです。
出版業界にかかわらず、どんな業界でもこれは同じだといえます。 企業分析については、志望動機を書く際も必要になるでしょう。
早い段階から企業研究・業界研究を行っている人は、余裕をもって面接に臨めるでしょう。
「まだそれほどできていない」という人も焦らず、着実に理解を深めていけば問題ありません。
面接の際に大切なことは、どれくらいの意欲と興味があるのかを企業に伝えることです。
嘘をつかない
当たり前のことですが、面接では嘘をついてはいけません。
面接を通過したいがために、ちょっとした嘘をついてしまうことがあるかもしれません。
しかし面接では自分を取りつくろって嘘をついてしまうと、それを深掘りされたときに嘘はばれてしまいます。
もし通過したとしても、入社後も嘘をつき続けなくてはならなくなり、自分に負担がかかってしまいます。
どんな質問に対しても、決して嘘をつかず、正直に答えましょう。
まだ業界で働いたことがない人であれば、知らないことがあったり、わからないことがあったりするのは当たり前のことです。
もし答えられない質問がきてしまったときは「素直にわかりません」と答える勇気をもつことが大切です。
まとめ
電子書籍の発達や活字離れが進んだとはいえ、出版業界は今でも人気の業界です。
時代の変化に合わせて、出版業界も多様な発展を続けています。
これからもさまざまな形で発展を続けていくと予想され、そんな出版業界に就職したいと考える人は多いでしょう。
出版業界に興味があって、普段から業界についての理解を深めている人であれば、面接はそれほど苦にならないでしょう。
なんとなく出版業界に興味があって就職を考えている人の場合は、少し努力が必要かもしれません。
しかしその努力の時間はこれから働く際に必ず役立ってきます。
そして自分がどんな風に出版業界で活躍していきたいのか、イメージしてみましょう。
ライバルが多いからと諦めず、ぜひチャレンジしてみてください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート