就職活動をするうえで、会社の残業時間は特に気になる点です。働く身の上としては、やはり残業時間は少ない方が良いですが、一般的な企業の残業時間の平均はどのくらいなのでしょうか?
もちろん、残業時間でその会社の評価のすべてが決まるわけではありませんが、あなたが勤めている会社と一般的な残業時間の平均が大きく離れていると、やはり働くうえでは気になるものです。残業時間の平均を知って、就職活動にぜひその知識を生かしてみてください。
そもそも残業とは?
残業時間について説明する前にそもそも残業とは何かを説明していきます。残業とは、規定している労働時間を超えて仕事をすることをいいます。
法定残業
法定残業とは、労働基準法で定められている労働時間である1日8時間以内、週40時間以内の範囲以上働いている時間のことをいいます。
所定残業
所定残業は、企業は定めている就業時間を超えて働いた場合の残業になります。例えば、就業時間が9時から19時で休憩が1時間だとすると、労働時間は9時間のため、労働基準法では1時間の残業になりますが、所定残業にはなりません。そのため残業代が支払われない恐れがあります。
このように残業にも種類があるため、平均残業時間だけでなく企業の就業時間も確認して残業代が支払われるのか確認する必要があります。
平均残業時間は何時間?
残業時間に関する調査はこれまでも実施されてきましたが、その中でも6万8000人を対象に調査された大規模な統計によると、年間の平均残業時間は47時間ということになっています。これを1日当たりの残業時間に換算すると、1ヶ月の勤務日数が20日から22日として計算して、1日当たり約2時間ほどの残業をしているということになります。
また、調査によると月に30時間以上の残業をしていると回答した人の割合は50%以上にものぼります。もちろん、あくまで平均的な残業時間の調査に過ぎませんから、もっと多く残業しているという人や、残業時間はほとんどないという人も中に入るでしょう。
しかし、平均して毎日2時間ほどの残業をしているとなると、朝9時に出勤した場合は1時間の休憩をはさんで退社は20時よりも遅くなるというのが一般的だということです。就職活動をする場合、残業がない会社に就職したいと考えるのは世の常ですが、統計の結果を見ると少なくとも2時間ほどの残業はする必要があるということは知っておいて損はないでしょう。
残業時間の短い業界
ただ、平均残業時間は業界によってかなり差があるのが現状です。残業時間を基準に就職活動をしたいという人は、できるだけ残業時間の短い業界への就職を考えてみても良いかもしれません。たとえば、薬局や医薬品メーカーなどの医療関係は残業時間が短い傾向にあります。そもそも薬局や病院といった機関は24時間営業をしていることはほとんどありません。医師や看護師は別ですが、就職するとなると拘束時間が短いという恩恵を受けられるかもしれません。医療器メーカーなどは多くの会社で直行直帰が採用されている事情もあり、短い残業時間を享受しやすい業界となっています。
また、銀行などの金融関係も残業時間が短めです。こちらも病院などと一緒で営業時間が決まっており、また労働組合なども比較的しっかりしている業界であるため、サービス残業が規制されている銀行も少なくありません。残業時間が短めの業界に就職したいなら、営業時間がしっかり決まっている業界は狙い目かもしれません。
残業時間が長めの業界
一方、業界によっては残業時間が長めという場合もあります。
たとえば、メディア関係です。マスコミや広告などの関係機関は分刻みで情報を発信しているため、時間を問わずに働いているケースが多いです。締め切りなどの関係もあって、残業をして締め切りに間に合わせるということも珍しくありません。ただ、メディア関係者はフレックスタイム制を敷いていることが多く、自分の都合に合わせて就業時間を決めることができるなど、働きやすい環境の整備そのものは進んでいるといえます。
それから、IT関係も扱っている商品により残業時間は多めです。IT関連の業界は膨大なデータを扱うことが多く、プロジェクトの遂行のためにどうしても残業時間が長くなってしまう傾向にあります。ただ、結果重視の業界でもあり、残業した分だけ給料に反映されるなど、他の業界に比べて年収が高めという特徴も持っています。
有名企業の残業時間
ここからは有名企業の残業時間を紹介させて頂きます。
企業名 | 1ヶ月の平均残業時間 |
全日本空輸株式会社 | 9.9時間 |
株式会社オリエンタルランド | 10.1時間 |
日本郵政株式会社 | 16.4時間 |
株式会社三菱UFJ銀行 | 27.1時間 |
株式会社リクルートホールディングス | 39.8時間 |
ヤフー株式会社 | 28.0時間 |
株式会社NTTデータ | 38.2時間 |
株式会社野村総合研究所 | 50.7時間 |
サントリーホールディングス株式会社 | 27.8時間 |
トヨタ自動車株式会社 | 24.2時間 |
参考:キャリコネ
本記事では紹介できる企業数が限られてしまいますので、この残業時間の調べ方を紹介していきます。
企業の残業時間を知る方法
あなたが志望している企業の残業時間はやはり気になりますよね。ここからはどうすれば志望している企業の残業時間を調査するかを紹介していきます。
企業の求人を見る
一般的に残業時間を確認するには企業の求人を見るのが早いです。例えば、リクナビで志望する企業を検索し、その求人を確認すると「月平均所定外労働時間」という項目があります。基本的にこの項目は記載してあるため、こちらを確認することで志望企業の残業時間を知ることができます。
転職に関する口コミサイトを確認する
転職サイトの口コミも残業時間を確認するには有効的な手段です。こちらは転職サイトに登録する必要はありますが、実際に働いていた人たちの口コミを見ることができるので、生々しい残業時間を確認することができます。
さらに、残業だけでなく働き方や働いている社員の印象なども確認することができるため、志望企業がありましたら転職サイトに登録して確認するのも1つの手です。
実際に働いている人にOB訪問をする
一番正確な残業時間を知りたいのであれば、実際に働いている人に聞くのがいいでしょう。ただ、説明会などで残業時間を聞いてしまうと、印象が悪くなってしまうので、OB訪問などで人事以外の社員の方から聞くことをおすすめします。今は、マッチャーなどのOB訪問用のアプリなどもあるため、今までよりも簡単に社員と出会うことができる時代になってきたので、あなたも一度試してみてはいかがでしょうか?
ただ、あなたの志望企業の社員がOB訪問を実施していない場合もあるのでその点は予め注意しておきましょう。
まとめ
残業時間が長めの業界は年収もそれに比例して高くなる傾向にあります。残業時間はもちろん働くうえで短い方が良いものですが、たくさん働けばその分だけ報酬もアップするものです。残業時間か年収か、こういった観点で就職活動をしてみても良いかもしれません。
ただ、大金をもらうために身体を壊してしまうと本末転倒になるため、志望企業の残業時間をしっかりと確認するようにしましょう。