【例文あり】総務の志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

【例文あり】総務の志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

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【総務の志望動機】総務とは

企業という組織を一つの「家」に例えるならば、総務はその家の家事を一手に引き受け、住人である社員全員が快適に過ごせるように環境を整える「母親」や「執事」のような存在です。

総務の仕事は、「他の部署が担当しないすべての業務」と言われるほど守備範囲が広く、企業の活動を根底から支えるインフラとしての役割を担っています。

新卒の就職活動において、総務は「裏方として会社を支えたい」と考える学生から人気がありますが、その実態は単なる事務作業だけにとどまりません。

経営層の意思決定を現場に浸透させるパイプ役となったり、社員のモチベーションを向上させるための制度を企画したりと、経営視点と現場視点の双方を持った動きが求められます。

企業規模によってその役割は異なり、人事や経理を兼任する場合もあれば、ファシリティマネジメント(施設管理)や株主総会の運営といった専門的な業務に特化する場合もあります。

総務という仕事の解像度を高め、「何でも屋」ではなく「組織運営のプロ」としての側面を理解することが、志望動機作成の第一歩です。

総務の業務内容

総務の業務は極めて多岐にわたり、一言で説明するのが難しい職種です。

代表的な業務としては、オフィスや施設の管理、備品の発注・在庫管理、文書管理、社内規定の策定・改廃、株主総会や取締役会の運営、社内イベントの企画・運営、福利厚生の整備、防災・防犯対策などが挙げられます。

これらは一見バラバラに見えますが、「社員が本業に集中できる環境を作ること」と「会社のリスクを管理し、健全な運営を守ること」という共通の目的を持っています。

例えば、オフィスのレイアウト変更一つとっても、単に机を動かすだけでなく、動線を考慮してコミュニケーションを活性化させたり、省エネを意識した照明計画を立てたりと、戦略的な思考が必要です。

また、来客対応や代表電話の取次ぎといった「会社の顔」としての役割も担います。

近年では、働き方改革の推進やテレワーク環境の整備、SDGsへの取り組みなど、時代の変化に合わせて企業が対応すべき新たな課題の解決も総務の重要なミッションとなっています。

定型業務だけでなく、突発的なトラブル対応やプロジェクトベースの業務が多いのも総務の業務の特徴と言えるでしょう。

総務の特徴

総務の最大の特徴は、「社内のあらゆる部署、あらゆる人と関わる」という点です。

営業、開発、人事、経理など、部署の垣根を越えて情報を収集し、調整を行うハブ(結節点)としての機能を持っています。

そのため、社内の誰が何をしているかを把握し、組織全体の動きを俯瞰で見ることが求められます。

縦割りの組織になりがちな企業において、横串を通して連携をスムーズにする潤滑油のような役割を果たしているのです。

また、成果が見えにくいという側面もあります。

営業のように売上目標があるわけではなく、「何も問題が起きないこと」が成果とされる場合も多いため、評価の基準が定性的なものになりがちです。

しかし、裏を返せば、総務の働き次第で会社の雰囲気や生産性が劇的に変わる可能性を秘めています。

「誰に聞けばいいかわからないことは、とりあえず総務に聞く」という社内文化がある企業も多く、問題解決能力や臨機応変な対応力が鍛えられる環境です。

AIによる自動化が進む中でも、複雑な人間関係の調整や、予期せぬ事態への対応といった人間ならではのスキルが重視され続ける職種です。

【総務の志望動機】総務の魅力

総務の仕事は「縁の下の力持ち」と表現されることが多いですが、決して地味なだけの仕事ではありません。

むしろ、組織全体を見渡し、経営に近い距離で会社を動かしていけるダイナミックな魅力を持っています。

社員一人ひとりの顔が見える距離感でサポートしつつ、会社全体の仕組みづくりにも携わることができるのは、総務ならではの特権です。

自分が関わった施策によってオフィスの環境が改善され、社員の笑顔が増えたり、業務効率が上がったりする様子を目の当たりにできるのは大きなやりがいです。

また、社内外の多くの人と関わることで、幅広い知識や人脈が形成され、ビジネスパーソンとしての総合力が養われます。

ここでは、総務という仕事を通じて得られる具体的な魅力や、やりがいの源泉について3つのポイントに絞って解説します。

なぜ自分が総務に惹かれるのか、その根本的な理由を言語化するヒントにしてください。

「誰かのために」という想いが、組織全体への貢献につながるプロセスをイメージしてみましょう。

組織全体を支え感謝されるやりがいがある

総務は、社員が困ったときに頼りにする「駆け込み寺」のような存在です。

「PCが動かない」「エアコンの調子が悪い」「文房具が足りない」といった日常の小さなトラブルから、社内規定の解釈に関する相談まで、日々さまざまな問い合わせが寄せられます。

これらに迅速かつ丁寧に対応し、解決することで、「ありがとう、助かったよ」と直接感謝の言葉をもらえる機会が非常に多いのが魅力です。

自分の仕事が誰かの役に立っているという実感を、ダイレクトに味わうことができます。

また、個別のサポートだけでなく、制度設計や環境整備を通じて、組織全体に影響を与えることができるのも大きなやりがいです。

例えば、新しい福利厚生プランを導入して社員の満足度を高めたり、防災訓練を企画して社員の安全意識を向上させたりと、自分のアイデアと行動で会社をより良く変えていくことができます。

自分が組織の安定稼働を支えているという自負を持てることは、仕事へのモチベーションを高く保つ原動力となります。

目立たない場所であっても、社員全員が安心して働ける土台を作っている誇りを感じられる仕事です。

幅広い業務を通じて多角的なスキルが身につく

「総務の仕事に決まった範囲はない」と言われるように、担当する業務の幅広さは他の職種と比べても群を抜いています。

契約書の管理では法務的な知識、備品購入やコスト管理では計数感覚、社内イベントの運営では企画力や調整力、施設管理では不動産や建築に関する知識など、多岐にわたる専門知識やスキルに触れることができます。

これらを実務の中で習得していくことで、ビジネスパーソンとしての基礎体力が総合的に鍛えられます。

特定の分野に特化するのではなく、ゼネラリストとして広い視野と知見を持てることは、将来的なキャリアにおいても大きな武器になります。

また、経営陣と接する機会も多く、会社が今何を目指しているのか、どのような課題を抱えているのかといった経営視点に自然と触れられる環境でもあります。

会社の動きを俯瞰で捉える視座の高さが身につくため、将来的に管理職を目指す上でも有利に働きます。

ルーチンワークだけでなく、常に新しい知識を吸収し、自分の引き出しを増やしていける知的好奇心が満たされる環境です。

社内コミュニケーションの中心になれる

総務は、部署や役職に関係なく、社内のあらゆる人とコミュニケーションを取るポジションです。

新入社員から社長まで、全社員と関わりを持つ可能性がある唯一の部署と言っても過言ではありません。

そのため、社内の人間関係や情報の流れを把握しやすく、組織のキーパーソンとして頼られる存在になることができます。

顔と名前を覚えられやすく、多くの人と信頼関係を築けることは、仕事を進める上で非常に大きなアドバンテージとなります。

部署間の利害が対立した際に調整役として間に入ったり、社内イベントを通じて普段交流のない社員同士をつないだりと、組織の活性化に貢献できるのも総務の醍醐味です。

「あの人に相談すれば何とかなる」という信頼を勝ち得ることで、自分自身の存在価値を高めることができます。

人と人をつなぎ、組織の一体感を醸成する役割は、コミュニケーションが得意な人にとってはこの上ない喜びとなるでしょう。

社内の風通しを良くし、ポジティブな雰囲気を作るムードメーカーとしての活躍が期待されます。

【総務の志望動機】総務に向いている人

総務の仕事は、定型的な業務をこなすだけでなく、予測不能な事態への対応や、立場の異なる人々との調整が求められます。

そのため、単に「事務処理が得意」というだけでは不十分であり、対人スキルや状況判断能力といった人間力が重要視されます。

企業は、組織の潤滑油となり、自ら考えて行動できる人物を総務担当として求めています。

自分が総務の適性を持っているかどうかを見極めるには、日頃の行動パターンや性格を振り返ってみることが有効です。

「人のために動くのが苦にならないか」「予期せぬ変化を楽しめるか」「複数のことを同時に進行できるか」といった視点で自己分析を行ってみましょう。

ここでは、総務として活躍している人に共通する3つの特徴を紹介します。

自分の強みとこれらの特徴が重なる部分を見つけ出し、具体的なエピソードと共にアピールすることで、採用担当者に「総務向きの人材だ」と印象付けることができます。

相手の意図を汲み取るコミュニケーション能力がある人

総務には、さまざまな部署から多種多様な依頼や相談が寄せられます。

その際、相手が言葉にした要望をただ聞くだけでなく、「なぜその要望が出たのか」「本当に解決したい課題は何か」という背景や意図を正確に汲み取る能力が求められます。

例えば、「会議室が足りない」という相談に対して、単に空き部屋を探すだけでなく、「どのような会議なのか」「人数や必要な機材は何か」を確認し、最適な場所や代替案を提案できるようなコミュニケーション能力です。

また、社内規定の改定やオフィスの利用ルール変更など、社員に負担や協力を強いる場面もあります。

そうした際に、相手の立場や感情に配慮しながら、納得感のある説明を行い、協力を取り付けられる交渉力や調整力も不可欠です。

一方的にルールを押し付けるのではなく、相手の声に耳を傾け、双方が納得できる着地点を見つける力が必要です。

聞き上手でありながら、伝えるべきことは的確に伝えられるバランス感覚を持った人は、総務として大いに活躍できるでしょう。

誰かの役に立つことに喜びを感じるホスピタリティがある人

総務の仕事の多くは、社員へのサポートや環境整備といった「誰かのための業務」です。

自分が主役となって脚光を浴びる機会は少ないかもしれませんが、他者の成功や快適さを裏方として支えることに純粋な喜びを感じられるホスピタリティ精神は、総務にとって最も重要な資質の一つです。

「自分のサポートで同僚の残業が減った」「企画したイベントで皆が楽しんでくれた」といった成果に対して、自分のことのように喜べる感性が求められます。

また、誰も見ていないような細かな部分にも気を配り、先回りして行動できる「気配り」も大切です。

トイレットペーパーの補充や共有スペースの整理整頓など、地味で誰もやりたがらないような仕事にも、「次に使う人が気持ちよく使えるように」という思いやりを持って取り組める誠実さが信頼を生みます。

見返りを求めず、組織への貢献そのものをモチベーションにできる献身性を持った人は、総務という職種において輝くことができます。

臨機応変に対応できるマルチタスク能力がある人

総務のデスクには、電話、メール、来客、社員からの直接の相談など、さまざまな方向から情報や依頼が飛び込んできます。

これらを一つずつ順番に処理していては、業務が滞ってしまいます。

優先順位を瞬時に判断し、複数の業務を並行して進めるマルチタスク能力が必須となります。

また、備品の故障や体調不良者の発生といった突発的なトラブルも日常茶飯事です。

予定通りに仕事が進まない状況でもパニックにならず、冷静に状況を把握し、その場で最適な対応策を講じられる柔軟性が必要です。

「マニュアルにないからできません」と断るのではなく、「どうすれば解決できるか」を考え、代替案を提示する機転も求められます。

変化の激しい状況を楽しみ、ゲームのようにタスクをさばいていける処理能力の高さは、忙しい総務の現場で重宝されます。

頭の切り替えが早く、フットワーク軽く動ける人は、総務の適性が非常に高いと言えます。

【総務の志望動機】総務に向いていない人

総務は魅力的な仕事ですが、業務の特性上、向き不向きがはっきりと分かれる職種でもあります。

入社後のミスマッチを防ぐためには、自分にとって「やりたくないこと」や「苦手なこと」が総務の業務内容に含まれていないかを確認しておくことが重要です。

一見すると華やかな「オフィスの司令塔」に見えるかもしれませんが、実際には地道な作業の積み重ねや、他者からの割り込み業務に追われる日々でもあります。

もし、以下に挙げる特徴に自分が強く当てはまると感じる場合は、総務以外の職種を検討した方が、より充実したキャリアを築けるかもしれません。

もちろん、これらに当てはまるからといって絶対に総務になれないわけではありませんが、自分の特性を理解した上で、どのような心構えが必要かを知っておくことは大切です。

客観的に自分の性格を見つめ直し、冷静な判断材料として活用してください。

一つの作業に集中し、邪魔されずに没頭したい人

総務の仕事は、頻繁に中断が入ることが常です。

集中して資料を作成している最中に電話が鳴ったり、来客対応を頼まれたり、社員から「ちょっといいですか?」と話しかけられたりすることは日常茶飯事です。

そのため、一つの作業にじっくりと没頭し、自分のペースを乱されることを極端に嫌う人にとっては、非常にストレスフルな環境になる可能性があります。

研究職や職人のように、静かな環境で一つのテーマを深く掘り下げる働き方を好む人には、総務の「細切れの業務スタイル」は相性が良くありません。

自分の計画通りに仕事が進まないとイライラしてしまう完璧主義の傾向が強い人も、苦労する場面が多いでしょう。

常に周囲の状況に気を配り、割り込みタスクを許容できる寛容さがなければ、精神的に消耗してしまいます。

自分の世界に入り込んで集中力を発揮するタイプの人は、専門職や技術職の方が適性を活かせるでしょう。

明確な数値目標や成果への評価を強く求める人

営業職のように「売上〇〇万円達成」といった明確な数値目標があり、その達成度合いが給与や賞与にダイレクトに反映される環境を好む人にとって、総務の評価制度は物足りなく感じるかもしれません。

総務の成果は「オフィスの快適性向上」や「リスクの未然防止」といった定性的なものが多く、数値化して客観的に評価することが難しい側面があります。

「マイナスをゼロにする」仕事が多いため、何事もなく平穏であることが成果とみなされ、プラスの評価が得にくいこともあります。

「自分の頑張りが数字で証明されないと納得できない」「成果を出して同期よりも早く出世したい」という上昇志向が極めて強い場合、評価の曖昧さに不満を抱く可能性があります。

縁の下の力持ちとしての貢献よりも、目に見える成果や競争に勝つことにモチベーションを感じる人は、総務には不向きかもしれません。

目に見えない信頼の積み重ねに価値を見出せるかどうかが分かれ目となります。

指示待ちで、自分から仕事を探すのが苦手な人

「総務=雑用係」と捉え、「言われたことだけをやっていればいい」と考えている人は、現代の総務には求められていません。

確かに定型業務もありますが、それ以上に「どうすればもっと会社が良くなるか」を考え、自ら課題を見つけて改善提案を行う主体性が求められます。

誰も気づいていないオフィスの不便さを解消したり、無駄なコストを削減する提案をしたりと、自律的に動く姿勢が必要です。

「指示がないと何をしていいかわからない」「新しいことを始めるのが億劫だ」という受動的なタイプの人は、変化の速いビジネス環境において取り残されてしまいます。

総務は会社全体の動きを感知するセンサーの役割も担っているため、感度が低く、現状維持を好む事なかれ主義の人では務まりません。

自ら仕事を作り出し、周囲を巻き込んでいくエネルギーを持てない場合、総務としての成長は望めないでしょう。

【総務の志望動機】志望動機を作成する際のポイント

総務の志望動機を作成する際、多くの学生が陥りやすいのが「サポートしたい」という抽象的な表現に終始してしまうことです。

サポートしたいという気持ち自体は大切ですが、それだけでは「なぜ営業事務ではなく総務なのか」「なぜ人事ではなく総務なのか」という問いに答えられません。

総務独自の役割である「環境整備」「組織運営」「リスク管理」といったキーワードを意識し、より具体的で戦略的な志望動機を練り上げる必要があります。

採用担当者は、「この学生は総務の仕事を正しく理解しているか」「入社後に具体的な戦力としてイメージできるか」を見ています。

自分本位な理由ではなく、企業側のメリット(あなたがどう貢献できるか)を提示する視点が不可欠です。

ここでは、説得力のある志望動機を構成するための4つの重要ポイントを解説します。

これらを網羅することで、論理的で熱意の伝わる志望動機を作成しましょう。

なぜ「総務」かを明確にする

まず、「数ある職種の中で、なぜ総務を選んだのか」を明確に語る必要があります。

他のバックオフィス職(経理、人事など)との違いを意識し、総務ならではの魅力を理由に挙げましょう。

例えば、「特定分野だけでなく、会社全体を俯瞰して幅広い業務に携わりたいから」「社員全員と関わり、組織の一体感を醸成する役割を担いたいから」「直接的な利益部門ではないが、会社の基盤を支えることで経営に貢献したいから」といった理由が考えられます。

自身の経験(部活の主務として環境整備に尽力した経験や、アルバイトで業務改善を提案した経験など)と結びつけることで、説得力はさらに増します。

「なんとなく事務がしたい」ではなく、「総務という機能を通じて、組織にどのような価値を提供したいか」という意志を示してください。

「広く浅く」ではなく「広く深く」会社に関わりたいという意欲をアピールすることがポイントです。

志望企業の社風や理念との一致をアピールする

総務は社風を体現する存在でもあります。

そのため、志望する企業の理念や文化に深く共感していることを伝えるのは非常に効果的です。

「貴社の〇〇という挑戦的な社風に惹かれ、その挑戦を足元から支えたい」「社員を大切にする貴社の温かい文化を守り、さらに発展させたい」など、その企業独自の特徴に触れましょう。

企業研究を通じて、その会社が総務に何を求めているか(効率化なのか、社員のエンゲージメント向上なのか、守りの強化なのか)を仮説立て、それにマッチする内容に仕上げます。

どの会社でも通用する志望動機ではなく、「この会社の総務だからこそ働きたい」という必然性を持たせることが重要です。

企業への理解度と愛着を示すことで、長く定着してくれる人材だと判断されます。

具体的なスキルや経験で貢献性を伝える

精神論だけでなく、実務に役立つスキルや経験を持っていることを具体的にアピールしましょう。

総務の業務に直結するスキルとしては、PCスキル(Word、Excel、PowerPoint)、文書作成能力、計数管理能力、スケジュール管理能力などが挙げられます。

また、簿記や秘書検定、衛生管理者などの資格があれば、学習意欲の証明にもなります。

スキルのアピールは、「Excelが使えます」だけでなく、「Excelを用いてサークルの予算管理シートを作成し、作業時間を20%短縮しました」のように、課題解決のエピソードとセットで伝えるとより強力です。

特別なスキルがない場合でも、「初対面の人ともすぐに打ち解けられるコミュニケーション力」や「細かなミスも見逃さない観察力」など、性格的な強みが総務の業務にどう活きるかを論理的に説明してください。

入社後のキャリアビジョンを描く

採用担当者は、長く活躍してくれる人材を求めています。

そのため、入社後の具体的なキャリアビジョンを提示することで、志望度の高さと成長意欲をアピールできます。

「まずは定型業務を確実に習得し、社員の皆様から信頼される総務担当になります」「将来的には、オフィスの環境改善プロジェクトを主導し、社員の生産性向上に貢献したいです」「法務知識を身につけ、リスク管理の専門家として会社を守れる人材になりたいです」など、段階的な目標を語りましょう。

「総務のプロフェッショナル」としてどのように成長していきたいかを描けている学生は頼もしく映ります。

単なる腰掛けではなく、総務という仕事に誇りを持ってキャリアを築いていく覚悟を示してください。

未来を見据えたポジティブな姿勢は、面接官の期待感を高めます。

【総務の志望動機】志望動機を伝える際の注意点

どれほど熱意があっても、伝え方を間違えると逆効果になってしまうことがあります。

特に総務は「正確性」や「配慮」が重視される職種であるため、エントリーシートや面接での言葉遣い、論理構成の甘さは、そのまま「実務能力への不安」として受け取られてしまいます。

また、総務に対する誤ったイメージに基づいた志望動機も、企業側とのミスマッチを引き起こす原因となります。

ここでは、志望動機をブラッシュアップする際に必ずチェックすべき注意点を解説します。

これらは、採用担当者が応募者をスクリーニングする際の「ネガティブチェック」のポイントでもあります。

無意識のうちに評価を下げる表現を使っていないか、客観的な視点で自分の文章を見直してみましょう。

リスクを排除し、誠実さと知性が伝わる内容に仕上げることが内定への近道です。

どの企業・組織でも通じる内容にしない

「貴社の福利厚生に惹かれました」「安定していそうだから志望しました」といった理由は、企業側からすれば「それならうちじゃなくてもいいよね」と感じてしまいます。

また、「人を支える仕事がしたい」というのも、総務に限らずすべての仕事に当てはまることです。

抽象度が高すぎる志望動機は、思考の浅さを露呈してしまいます。

必ず「その企業の具体的な事業内容」「その企業の抱える課題」「その企業の総務特有の役割」といった固有名詞や独自情報を盛り込みましょう。

「食品メーカーである貴社の安全管理を支えたい」「急成長中の貴社において、組織体制の整備に尽力したい」など、業界やフェーズに合わせた内容にすることで、本気度が伝わります。

コピペのような文章は絶対に見透かされると心得て、一社一社丁寧に向き合いましょう。

「縁の下の力持ち」を言い訳に消極的にならない

「裏方」や「縁の下の力持ち」という言葉は総務の志望動機でよく使われますが、これを「表に出たくない」「責任を負いたくない」という意味で使ってはいけません。

企業が求めているのは、影に隠れているだけの存在ではなく、裏方であっても主体的に組織を支える攻めの姿勢です。

「目立つのが苦手だから総務」という消極的なニュアンスが伝わると、「主体性がない」「指示待ち族になりそう」と判断されます。

「裏方として、主役である営業社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、能動的に環境を整えたい」というように、目的意識を持ったサポート姿勢を強調してください。

サポート役としてのプロ意識とプライドを感じさせる表現を心がけましょう。

「人が好き」だけでなくビジネス視点も忘れない

コミュニケーション能力のアピールとして「人と接するのが好き」と伝えるのは良いですが、それだけでは不十分です。

総務はサークル活動や仲良しグループの調整役とは異なり、ビジネスとして利害調整や厳しい交渉を行わなければならない場面もあります。

「みんなと仲良くする」ことだけが目的ではありません。

「人が好き」という感情だけでなく、「円滑な人間関係を構築することで、業務効率を向上させたい」「部署間の連携を強化し、組織としての成果を最大化したい」というビジネス視点(組織への貢献)を加えることが重要です。

感情論だけでなく、組織の利益を考えられる論理的な思考回路を持っていることを示してください。

【総務の志望動機】総務の志望動機例文

最後に、これまでの解説を踏まえた総務の志望動機例文を3パターン紹介します。

「組織運営」「コミュニケーション」「環境改善」という異なる切り口で作成していますので、自分の強みや志望企業の特性に近いものを参考にしつつ、あなた自身の言葉でカスタマイズしてください。

例文を見る際は、単に文章を真似るのではなく、「結論→理由・エピソード→入社後の貢献」という構成の流れや、具体的なキーワードの使い方に注目しましょう。

自分の体験談を当てはめることで、オリジナリティのある強力な志望動機が完成します。

読み手が情景を思い浮かべられるような具体性を持たせることを意識してください。

例文1

私が貴社の総務を志望するのは、持ち前の「段取り力」を活かし、組織の円滑な運営を支える基盤づくりに貢献したいと考えたからです。

大学時代、学園祭実行委員会で会場設営の責任者を務めました。

限られた予算と時間の中で、不測の事態に備えた詳細なマニュアルを作成し、当日はトラブルなく運営を完遂させました。

この経験から、事前の準備とリスク管理が組織の成功を左右することを学び、裏方としての責任感にやりがいを感じました。

貴社は多角的な事業展開を行っており、部署間の連携強化が課題であると伺いました。

入社後は、私の計画性を活かして社内フローの整備や効率的な会議運営を行い、社員の皆様が本来の業務に集中できる環境を提供することで、貴社の更なる発展に寄与したいと考えています。

例文2

私は「傾聴力と調整力」を活かし、社内の風通しを良くすることで、貴社のチームワーク向上に貢献したいと考え志望しました。

飲食店でのアルバイトリーダーとして、ホールとキッチンの対立を解消するために奔走しました。

双方の言い分を丁寧に聞き取り、業務フローを見直すことで連携ミスを減らし、店舗の売上目標達成に貢献しました。

この経験から、立場や意見の異なる人々の間に入り、信頼関係を築くことの重要性を学びました。

「社員の和」を大切にする貴社の企業文化に深く共感しております。

総務として、日々のコミュニケーションを通じて社員の声を吸い上げ、働きやすい職場環境づくりを主導することで、社員一人ひとりのエンゲージメントを高め、組織力の強化に貢献していく所存です。

例文3

私は、貴社の「常に変革を続ける」という姿勢に惹かれ、総務の立場から業務効率化と環境改善を推進したいと強く思い志望しました。

ゼミ活動では、資料共有の方法が非効率だったため、クラウドツールの導入を提案・実行し、作業時間を大幅に短縮させました。

現状に満足せず、より良い方法を模索して実行に移すことに達成感を感じます。

貴社が推進されているDX化において、総務部門が果たす役割は大きいと考えています。

私の強みである「課題発見力」とITリテラシーを活かし、ペーパーレス化の推進や新たな社内システムの定着支援などに主体的に取り組みます。

変化を恐れず、社員の皆様が快適かつ効率的に働ける次世代のオフィス環境を構築したいと考えています。

まとめ

本記事では、総務の仕事内容や適性、そして採用担当者に響く志望動機の作り方について解説してきました。

総務は「何でも屋」に見えるかもしれませんが、その本質は「組織のパフォーマンスを最大化するプロフェッショナル」です。

広範囲な業務を通じて会社全体を支え、多くの人から感謝されるやりがいは、他の職種では得難いものです。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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