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【出入国在留管理庁の志望動機】出入国在留管理庁とは
出入国在留管理庁(以下、入管庁)は、日本に入国・在留する外国人の公正な管理と、外国人材の受入れ環境の整備を担う法務省の外局です。
かつては法務省入国管理局という内部部局でしたが、外国人受入れの拡大に伴い、2019年に「庁」として格上げされました。
日本の安全と国益を守る「国境のゲートキーパー」としての役割と、日本に住む外国人が安心して暮らせる社会を作る「共生社会のコーディネーター」としての役割の二つを併せ持っています。
志望動機を作成するためには、入管庁が扱う対象が「物」ではなく「人」であることを強く意識する必要があります。
国家の主権に関わる厳格な法執行機関としての側面と、個々の外国人の人生に寄り添う行政機関としての側面、この両面を理解することが不可欠です。
ここでは、具体的な業務内容や組織の特徴について解説し、志望動機作成の基礎となる知識を深めていきます。
出入国在留管理庁の業務内容
入管庁の業務は多岐にわたりますが、最も一般的に知られているのが、空港や港湾で行われる「出入国審査」です。
テロリストや不法入国者の侵入を水際で阻止し、日本の治安を守る最前線の仕事です。
また、日本に滞在する外国人の在留資格の審査(更新や変更など)を行う「在留審査」も重要な業務です。
これは、外国人が日本で活動するための法的地位を認定する手続きであり、日本のルールに基づいて適正に判断を下す専門性が求められます。
さらに、不法滞在者に対する摘発や収容、送還を行う「退去強制手続」といった執行部門の業務もあります。
これに加え、近年の大きな柱となっているのが「外国人との共生施策」の推進です。
特定技能制度の運用や、生活支援策の策定など、外国人と日本人が共に尊重し合いながら暮らせる社会基盤を整備することも、現代の入管庁に課された極めて重要なミッションです。
このように、「規制・管理」と「支援・共生」という、一見相反するような二つの業務をバランスよく遂行しています。
出入国在留管理庁の特徴
入管庁の最大の特徴は、業務の対象がすべて「人(外国人)」であるという点です。
税関が「貨物」を対象とするのに対し、入管庁は意思や感情、そして人生の背景を持つ人間と対峙します。
そのため、法律を適用する厳格さはもちろんですが、相手の言語や文化、人権に配慮したコミュニケーション能力が求められます。
一つの判断が、その人の人生や家族の運命を左右することもあるため、職員は常に重い責任感と高い倫理観を持って業務にあたっています。
また、組織として「現場」と「政策」の距離が近いことも特徴です。
全国の地方出入国在留管理局や空港の支局・出張所といった現場組織が大きく、職員の多くが窓口や審査の最前線で働いています。
日々変化する国際情勢や現場の課題を肌で感じ、それをダイレクトに業務改善や政策立案に活かせる環境があります。
国家公務員でありながら、デスクワークだけでなく、人と直接関わるダイナミックな現場業務が多い点も、入管庁ならではの特色と言えるでしょう。
【出入国在留管理庁の志望動機】出入国在留管理庁の魅力
入管庁で働く魅力は、日本の「内」と「外」の接点において、国家の安全と国際化の両方を支えられる点にあります。
訪日外国人が増加し、労働力不足を補うために外国人材の受入れが進む中、入管庁の仕事は日本の未来を左右する重要なポジションにあります。
しかし、単に「国際的な仕事がしたい」という理由だけでは、他の省庁や民間企業との差別化が難しくなります。
入管庁というフィールドだからこそ味わえるやりがいや、社会的な意義を具体的に言語化することが大切です。
ここでは、職員が感じる入管庁ならではの3つの魅力を深掘りして解説します。
これらを参考に、自分がどの点に惹かれているのかを整理してみてください。
日本の治安と安全を最前線で守る使命感
日本の安全神話を維持するためには、水際での厳格な出入国管理が欠かせません。
偽造パスポートを見抜いたり、不審な人物の入国を阻止したりする業務は、まさに国家の防波堤としての役割を果たしています。
また、国内での不法就労や不法滞在に対処することは、地域の治安維持に直結します。
自分の仕事が、家族や友人をはじめとする日本に住むすべての人々の平穏な暮らしを守っているという実感は、入管庁職員としての大きな誇りです。
この仕事の魅力は、法律という武器を使って、毅然とした態度で社会正義を実現できる点にあります。
「国益を守る」という抽象的な目的を、日々の審査や摘発という具体的なアクションで実行できる点は、正義感の強い人にとって非常にやりがいのある環境です。
国家公務員として、国の安全保障の一翼を担っているという緊張感と充実感は、他では得難いものです。
多文化共生社会の実現に向けた架け橋となる
日本は今、本格的な人口減少社会を迎え、外国人材なしには経済や社会が立ち行かない状況になりつつあります。
入管庁は、外国人を単に管理・監視するだけでなく、彼らが日本社会の一員として能力を発揮し、日本人と円滑に共生できる環境を作るための「コーディネーター」としての役割を強めています。
自治体と連携した相談窓口の整備や、日本語教育の支援など、政策の幅は広がっています。
多様なバックグラウンドを持つ人々が、お互いを理解し尊重し合える社会を作ることは、これからの日本の最重要課題の一つです。
日本の社会構造が変化する歴史的な転換点において、その制度設計や運用の中枢に関われることは、大きな魅力です。
外国人の権利を守りつつ、日本社会との調和を図るという難しいパズルを解き、新しい日本の形を作っていくクリエイティブな側面も、この仕事の醍醐味と言えます。
「人」の人生に深く関わる人間ドラマと専門性
入管庁の仕事では、世界中から来る様々な事情を抱えた人々と対面します。
留学の夢を持って来日する学生、技術を活かして働きたいエンジニア、あるいは母国の迫害から逃れてきた人など、一人ひとりに異なるストーリーがあります。
申請書類の背後にある「人」を見つめ、法律の範囲内で最適な解を導き出すプロセスには、単なる事務処理では割り切れない人間ドラマがあります。
もちろん、法に触れる場合には厳正な処分を下さなければなりませんが、そこには常に「法の支配」と「人権」のバランスを考える高度な判断力が求められます。
入管法という専門性の高い法律知識と、多様な文化への理解、そして対人折衝能力を同時に磨くことができる環境は、プロフェッショナルとして成長したい人にとって理想的です。
語学力を活かせる場面も多く、国際感覚と人間力を生涯を通じて高められる職場です。
【出入国在留管理庁の志望動機】出入国在留管理庁の求める人物像
入管庁の業務は、常に緊張感を伴うものであり、予期せぬトラブルや複雑な事案に対応しなければなりません。
そのため、単に語学ができるだけや、法律に詳しいだけでは務まらない側面があります。
採用担当者は、職務の特性を理解し、現場で適正かつタフに業務を遂行できる資質を持っているかを見ています。
ここでは、入管庁が求める人物像を3つのキーワードで解説します。
これらは、自己PRや志望動機の中で自分の強みとしてアピールすべき要素となります。
自身の経験と照らし合わせながら、どの要素を強調できるか検討してみてください。
公正・公平な判断を下す高い倫理観と正義感
入入国審査官や入国警備官には、法律に基づき、感情に流されることなく事実を認定し、処分を決定する冷徹さが求められます。
どんなに相手に同情すべき事情があっても、法を曲げてしまえば日本の出入国管理秩序は崩壊します。
そのため、ルールを遵守し、誰に対しても分け隔てなく接する「公正・公平さ」と、不正を許さない強い「正義感」が不可欠です。
面接やESでは、ルールや規律を守ることを重視して行動した経験や、集団の中で公平な立場を貫いて問題を解決したエピソードなどが評価されます。
私情を挟まず、客観的な事実と法律に基づいて判断できる理知的な姿勢を示すことが重要です。
公務員の中でも特に権限行使の機会が多い組織であるため、その権限を適正に行使できる人物であるという信頼感を与える必要があります。
多様な文化や価値観を受け入れる柔軟性と語学力
相手にするのは、言葉も文化も習慣も異なる国の人々です。
日本の常識が通用しない場面も多々あり、予期せぬ反応が返ってくることも日常茶飯事です。
そうした状況でもパニックにならず、相手の文化的背景を理解しようと努める「柔軟性」が求められます。
また、正確な意思疎通を図るための語学力も重要なツールです(英語はもちろん、中国語、韓国語、その他の言語も重宝されます)。
ただし、語学力そのものよりも「伝えようとする意志」や「相手を理解しようとする姿勢」が重要視されます。
異文化交流の中で生じた誤解やトラブルを、粘り強い対話によって解決した経験は大きなアピールになります。
異なる価値観を拒絶するのではなく、その違いを認識した上で、業務を遂行できる適応力の高さを示しましょう。
ストレス耐性と予期せぬ事態への対応力
空港の審査場や収容施設などの現場では、時には感情的になった相手からのクレームを受けたり、緊迫した状況に対処したりすることもあります。
また、膨大な数の審査を迅速かつ正確に行わなければならないプレッシャーもあります。
そのため、精神的なタフさ(ストレス耐性)と、状況の変化に応じて瞬時に判断し行動できる「対応力」が求められます。
真面目さは大切ですが、あまりに繊細すぎると現場の厳しさに耐えられないと判断される可能性があります。
困難な状況でも冷静さを保ち、粘り強く物事に取り組めるメンタリティが必要です。
部活動やアルバイトなどで、理不尽な状況や厳しい環境を乗り越えた経験や、チームで協力してピンチを脱したエピソードなどを通じて、精神的な強さをアピールすると良いでしょう。
【出入国在留管理庁の志望動機】志望動機を作成する際のポイント
入管庁への志望動機を作成する際、多くの就活生が「国際交流がしたい」「外国語を使いたい」という理由に終始しがちです。
しかし、それでは入管庁の持つ「法執行機関」としての側面が見落とされがちです。
採用担当者に「この学生は入管庁の役割を深く理解している」と思わせるためには、構成を練り、自分の言葉で論理的に語る必要があります。
ここでは、説得力のある志望動機にするための具体的な構成ポイントを解説します。
なぜ「出入国在留管理庁」かを明確にする
まず重要なのは、外務省や税関、警察、あるいは観光庁といった他の組織との違いを明確にすることです。
例えば、外務省は「外交関係」を扱いますが、入管庁は「個々の外国人の管理」を行います。
税関は「物」を見ますが、入管庁は「人」を見ます。
警察は国内での犯罪捜査が主ですが、入管庁は行政手続きとしての退去強制などを担います。
この違いを踏まえ、「『人』の移動と在留に関わる法的地位を扱う点に惹かれた」「日本の安全と外国人の人権の接点で働きたい」といった、入管庁独自の役割にフォーカスした理由を述べましょう。
「人」対「人」の行政であり、かつ法的な権限を持って秩序維持と共生推進の両方に関われる唯一の組織であることを強調してください。
自身の原体験と社会的意義を結びつける
説得力のある志望動機には、あなた自身の具体的な「原体験」が必要です。
留学先でビザの手続きに苦労し、在留資格の重みを知った経験、ボランティア活動で日本に住む外国人の生活課題に触れた経験、あるいはニュースで不法滞在問題に関心を持ったきっかけなど、個人的なエピソードを盛り込みましょう。
単に経験を語るだけでなく、そこから「公正なルールの重要性」や「共生社会への課題意識」をどのように感じたか、という内面的な気づきを言語化することがポイントです。
個人的な体験をきっかけに、日本の出入国管理行政という公的な仕事に携わりたいという強い動機が生まれたプロセスを示すことで、志望動機に深みと説得力が生まれます。
入庁後の具体的なキャリアビジョンを描く
「入庁して頑張ります」だけでなく、具体的にどのような業務に携わりたいかを語ることで、業務理解の深さを示せます。
「空港での審査官として水際対策のプロになりたい」「在留審査部門で、適正な在留管理を通じて共生社会を支えたい」「警備官として不法滞在対策の最前線に立ちたい」など、希望する職務や分野を具体的に挙げましょう。
また、入管庁は専門職としての採用や、一般職試験からの採用などルートが分かれている場合もあります(※国家公務員一般職試験からの採用が主ですが、入国警備官は独自の試験です)。
自分が目指す職種に応じたキャリアパスをイメージしていることも大切です。
現場での経験を積み、将来的にどのような職員になりたいかという長期的な視点も併せて伝えると、成長意欲が高いと評価されます。
【出入国在留管理庁の志望動機】志望動機を伝える際の注意点
入管庁は法務省の外局であり、法律を執行する厳格な組織です。
そのため、あまりに感情的であったり、事実誤認を含んでいたりする志望動機は好まれません。
また、業務の実態と学生のイメージにギャップが生じやすい職場でもあります。
ここでは、志望動機を仕上げる際に避けるべき表現や、注意すべきポイントについて解説します。
提出前に、自分の文章が以下の点に当てはまっていないか確認し、リスクを回避しましょう。
どの企業・組織でも通じる内容にしない
「英語を使って働きたい」「外国人と関わる仕事がしたい」という志望動機は、商社やメーカー、航空会社、観光業界などでも通用してしまいます。
これでは「なぜ公務員なのか」「なぜ入管庁なのか」という核心部分が伝わりません。
語学力や国際交流への意欲は素晴らしいことですが、それはあくまで手段やきっかけに過ぎません。
志望動機では、行政機関として「法に基づいて判断する」「制度を運用する」という視点を必ず盛り込んでください。
民間企業にはできない、法的権限を行使した秩序維持や制度設計に関わりたいという「公権力」への意識を示すことで、入管庁ならではの志望動機になります。
「税関」と役割を混同しない
就活生が最も犯しやすい間違いの一つが、税関(財務省)と入国審査(入管庁/法務省)の混同です。
「麻薬の密輸を止めたい」「コピー商品の持ち込みを防ぎたい」というのは税関の仕事であり、入管庁の志望動機として語ると調査不足とみなされます。
入管庁が管轄するのはあくまで「パスポート」「ビザ(在留資格)」「人」です。
「物」ではなく「人」を対象にしている点を正確に理解し、用語の使い分けに注意しましょう。
税関との違いを明確に認識していることを示すために、あえて「物は税関、人は入管」という役割分担に触れつつ、なぜ「人」に関わりたいのかを語るのも有効なテクニックです。
理想論や感情論だけに偏らない
「困っている外国人を全員助けたい」という人道的な視点は大切ですが、入管庁はNPOではなく法執行機関です。
法律の要件を満たさない場合は、入国を拒否したり、退去強制を行ったりしなければなりません。
あまりに感情的で理想論に偏った志望動機は、「現場の厳しい現実に耐えられないのではないか」「法執行の公平性を保てないのではないか」という懸念を抱かせる可能性があります。
逆に、「不法滞在者は全員追い出すべきだ」という過度に攻撃的な主張も、人権感覚を疑われます。
重要なのは「法の支配」と「人権尊重」のバランス感覚です。
法律に基づき厳正に対処しつつも、相手の尊厳を傷つけないプロフェッショナルな姿勢を持っていることを伝えるようにしましょう。
【出入国在留管理庁の志望動機】出入国在留管理庁の志望動機例文
ここまで解説したポイントを踏まえ、実際にESや面接で使える志望動機の例文を3つのパターンで紹介します。
これらはあくまでテンプレートですので、必ず自分自身の言葉や経験に合わせてアレンジしてください。
構成は「結論(志望理由)」→「根拠(原体験)」→「展望(入庁後の貢献)」の流れを基本とし、300字程度を目安にまとめています。
例文1:共生社会の実現・行政職志望の例
私は、日本と世界をつなぐ「公正なゲートキーパー」として、多文化共生社会の基盤を支えたいと考え、貴庁を志望します。
大学時代、留学生支援のボランティアを通じ、在留資格の手続きが彼らの生活の安心に直結していることを痛感しました。
同時に、ルールに基づく厳格な管理があってこそ、国民の理解と信頼が得られ、円滑な受入れが可能になることも学びました。
貴庁の「厳格な管理」と「円滑な在留支援」の両輪を回す役割に強く惹かれています。
入庁後は、在留審査のプロとして法律知識を深め、外国人が日本社会の一員として安心して活躍できる環境整備に貢献したいと考えています。
例文2:水際対策・治安維持(審査官)志望の例
日本の安全を最前線で守り、国民が安心して暮らせる社会を維持したいと考え、貴庁を志望します。
法学部で学ぶ中で、法の支配が社会秩序の根幹であることを強く認識しました。
特に、国際化が進む現代において、水際での出入国管理は日本の安全保障そのものであると感じています。
単に人を通すだけでなく、違法な入国を未然に防ぐ貴庁の業務に、強い正義感と責任感を持って取り組みたいです。
私の強みである「観察力」と「粘り強さ」を活かし、空港での厳正な審査業務を通じて、テロや不法入国の抑止に貢献し、国益を守り抜く審査官を目指します。
例文3:語学力・コミュニケーション力重視の例
「人」と向き合う行政を通じて、日本と諸外国の架け橋になりたいと考え、貴庁を志望します。
海外留学中、現地の方々に助けられた経験から、今度は私が日本に来る外国人の最初の接点となり、適正かつ誠実に対応したいと思うようになりました。
入管庁の業務は、法律の適用だけでなく、多様な背景を持つ人々との対話が不可欠だと認識しています。
私の語学力と「相手の背景を理解し寄り添う力」は、審査や相談業務において、誤解を防ぎ信頼関係を築く上で活かせると確信しています。
厳しさの中にも温かみのある対応で、日本の国際的な信頼向上に貢献したいです。
まとめ
出入国在留管理庁の志望動機を作成するためのポイントや注意点、具体的な例文について解説しました。
入管庁は、日本の安全を守る「強さ」と、外国人と共に生きる社会を作る「優しさ」の両方が求められる、非常にやりがいのある職場です。
志望動機では、税関などの他機関との違いを明確にし、「人」を対象とする法執行機関としての独自の役割を理解していることをアピールすることが重要です。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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