【例文あり】法務の志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

【例文あり】法務の志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

【法務の志望動機】法務とは

法務職とは、企業活動において発生するあらゆる法律的な課題に対処し、法的リスクを管理することで企業の利益を守り、健全な成長を支える専門職です。

一般的に「企業の守り神」のようなイメージを持たれがちですが、近年では新規事業の立ち上げに伴う法的スキームの構築など、経営戦略に深く関与する「攻めの法務」としての役割も期待されています。

法学部出身者や法律知識を持つ学生にとって人気の高い職種ですが、その業務範囲は多岐にわたり、企業規模や業界によっても求められる役割が異なります。

志望動機を作成する上では、単に「法律が好きだから」という理由だけでなく、企業における法務の役割を正しく理解し、ビジネスの現場でどのように貢献できるかを具体的にイメージできていることが重要です。

まずは法務の具体的な業務内容と、職種としての特徴について詳しく解説しますので、自身の認識と実際の業務にズレがないかを確認していきましょう。

企業活動を法的な側面から支えるという法務の本質を理解することが、内定への第一歩となります。

法務の業務内容

法務の業務内容は非常に幅広く、企業の規模や業種によって重点が置かれる分野も異なりますが、基本的には「契約・取引法務」「組織・機関法務」「コンプライアンス・紛争対応」の大きく3つに分類されます。

まず、日常的に最も頻度が高いのが契約・取引法務です。

他社との秘密保持契約や業務委託契約など、さまざまな契約書の作成や審査(リーガルチェック)を行い、自社に不利な条項がないか、法的リスクがないかを確認します。

現場の担当者からの法的な相談に応じることも重要な業務であり、法律の専門家として的確なアドバイスを行うことが求められます。

次に、組織・機関法務では、株主総会や取締役会の運営サポート、議事録の作成、商業登記の手続きなどを行い、会社法に基づいた適正な企業運営を支えます。

そして、コンプライアンス・紛争対応では、社内規定の整備や社員向けのコンプライアンス研修の実施、万が一トラブルが発生した際の弁護士との連携や訴訟対応などを担います。

これらの業務を通じて、法的なトラブルを未然に防ぐことが法務の最大のミッションです。

また、近年ではM&Aや知的財産管理などに関わるケースも増えており、経営判断に直結する重要な業務を任されることも少なくありません。

このように、法務はデスクワークだけでなく、社内外の多くの人と関わりながら進める業務が多いのが実情です。

法務の特徴

法務という職種の最大の特徴は、高い専門性が求められる一方で、ビジネス感覚も不可欠であるという点です。

法律の知識があることは大前提ですが、それを実際のビジネスシーンに当てはめ、現実的な解決策を導き出す応用力が問われます。

法律論を振りかざして「それはできません」と却下するだけでは、企業の成長を阻害してしまう可能性があります。

そのため、関連部署と密にコミュニケーションを取り、ビジネスの目的を達成するための法的ロジックを組み立てる調整力が求められるのです。

また、法改正や新しい判例、社会情勢の変化に対して常にアンテナを張り、知識をアップデートし続けなければならない点も特徴の一つです。

一度覚えた知識だけで一生食べていける仕事ではありません。

常に勉強熱心であり、新しい情報を取り入れることに意欲的である必要があります。

さらに、法務の仕事は企業の信用に直結するため、一つのミスが大きな損害につながる可能性があります。

そのため、細部まで注意を払い正確性を追求する姿勢が、他の職種以上に強く求められます。

地味で堅実な作業の積み重ねが、企業の屋台骨を支えているという誇りと責任感を持って取り組むことができる職種だと言えます。

【法務の志望動機】法務の魅力

法務職は専門性が高く、責任の重い仕事ですが、その分だけやりがいや魅力も大きい職種です。

新卒で法務配属を目指す学生にとって、どのような点に魅力を感じるかは志望動機の核となる部分ですので、解像度を上げておく必要があります。

企業活動の根幹に関わるダイナミックさと、自身のスキルアップを実感できる環境は、法務ならではの醍醐味と言えるでしょう。

ここでは、法務職として働くことの代表的な魅力を3つの観点から紹介します。

これらの魅力を理解し、自分の価値観やキャリアビジョンと照らし合わせることで、より説得力のある志望動機を作成することができます。

自身の市場価値を高められる点や、経営に近い位置で仕事ができる点などは、特に法務職を志す上で大きなモチベーションとなるはずです。

それぞれの魅力について詳しく見ていきましょう。

専門スキルが身につき市場価値が高まる

法務として働く最大の魅力は、汎用性の高い専門スキルが身につき、個人の市場価値を高められる点にあります。

契約書の審査スキルや会社法、労働法、知的財産法などの実務知識は、どの業界の企業に行っても必要とされる普遍的なものです。

営業職や事務職のように企業独自のルールや商品知識に依存する部分が比較的少なく、身につけた専門性は自身の強力な武器となります。

特に近年はコンプライアンス経営の重要性が高まっているため、実務経験豊富な法務人材は転職市場でも非常に需要が高い傾向にあります。

また、法務の実務経験は、弁護士資格を持たない場合でも、法科大学院への進学や司法書士、行政書士などの資格取得を目指す際の大きなアドバンテージとなります。

実務を通じて法律の解釈や適用を肌で学ぶことができるため、机上の学習だけでは得られない深い理解を得ることができます。

このように、専門性を磨きながら長期的なキャリアを形成できる点は、将来の安定や成長を重視する学生にとって非常に魅力的です。

若手のうちから専門分野を持ち、プロフェッショナルとして自立したいと考える人にとって、法務は最適な環境を提供してくれるでしょう。

企業の経営判断に直結する重要な役割

法務は単なる事務作業を行う部署ではなく、企業の経営判断や戦略決定に深く関与できる点も大きな魅力です。

新規事業の立ち上げや海外進出、他社との提携やM&Aといった企業の重要な局面では、必ず法的なリスク分析やスキームの検討が必要になります。

法務担当者は、経営陣や事業責任者に対して法的な観点からアドバイスを行い、ビジネスを成功に導くためのサポートを行います。

自分の意見や調査結果が、企業の方向性を左右する重要な意思決定に反映されるプロセスを間近で見ることができるのは、法務ならではの醍醐味です。

特に「攻めの法務」を掲げる企業では、法務部門が経営戦略パートナーとして位置づけられています。

法的な制約をクリアしながら、いかにしてビジネスの目的を達成するかを考え抜くことは、知的興奮に満ちた仕事です。

企業の成長を裏方として支えるだけでなく、ビジネスの最前線でリスクと戦う参謀のような役割を果たせることに、大きなやりがいを感じる人は多いでしょう。

若手のうちから経営陣に近い距離で仕事をし、高い視座でビジネスを捉える経験ができることは、ビジネスパーソンとしての成長速度を飛躍的に高めてくれます。

幅広い部署と関わり視野が広がる

法務の仕事は、社内のあらゆる部署と関わりを持つことができる点も魅力の一つです。

営業部門からの契約相談、人事部門からの労務相談、開発部門からの特許相談、広報部門からの著作権相談など、日々さまざまな部署から相談が寄せられます。

これにより、自社の事業内容や各部署の業務プロセスを深く理解することができ、会社全体の動きを俯瞰する広い視野を養うことができます。

一つの部署に閉じこもることなく、組織全体を横断的に見渡すことができるポジションは、法務以外にはあまり多くありません。

また、多様なバックグラウンドを持つ社員とコミュニケーションを取ることで、法律以外の知識や視点を得ることができます。

例えば、開発部門とのやり取りを通じて最新の技術動向に触れたり、営業部門との連携を通じて業界のトレンドを知ったりすることができます。

こうした経験は、単なる法律の専門家にとどまらず、ビジネス全体を理解したバランス感覚のある人材へと成長させてくれます。

社内外の多くの人と協力しながら問題を解決していくプロセスを通じて、高いコミュニケーション能力や調整力を身につけることができるのも、法務職の隠れた魅力と言えるでしょう。

【法務の志望動機】法務に向いている人

法務の仕事は、法律知識だけでなく、性格的な適性や能力的な特徴が業務のパフォーマンスに大きく影響します。

企業が採用活動を行う際も、単に成績が良い学生を採用するのではなく、法務という職務の特性にマッチした人材であるかを慎重に見極めています。

自分が法務に向いているかどうかを客観的に分析し、その適性を志望動機や自己PRに盛り込むことは、選考通過のために非常に有効です。

ここでは、法務職に適性が高い人の特徴を3つ挙げます。

論理的な思考力継続的な学習意欲、そして意外に見落とされがちなコミュニケーション能力などについて解説します。

これらの要素が自分に当てはまるかを確認し、具体的なエピソードと結びつけてアピールできるように準備しましょう。

法務の現場で活躍するイメージを面接官に持たせることができれば、内定獲得に大きく近づきます。

論理的思考力があり冷静な判断ができる人

法務の業務において最も基本的かつ重要な資質は、物事を筋道立てて考える論理的思考力です。

法律の世界では、感情や主観ではなく、事実と法律に基づいて結論を導き出すことが求められます。

複雑な事案に直面した際にも、情報を整理し、どの法律が適用されるのか、どのようなリスクがあるのかを冷静に分析する能力が不可欠です。

感情に流されず、客観的な視点で事実を見極める冷静さを持っている人は、法務としての適性が高いと言えます。

また、トラブルが発生した際や、事業部から無理な要望が来た際にも、パニックにならず沈着冷静に対処できる精神的なタフさも必要です。

法務担当者が動揺してしまうと、会社全体のリスク管理が機能しなくなってしまいます。

常に冷静さを保ち、論理的な説明で周囲を納得させる力がある人は、現場で重宝されます。

ディベートや論文作成などで論理構成力を磨いてきた経験がある人や、物事の因果関係を分析するのが好きな人は、その強みを法務の業務で存分に発揮できるでしょう。

継続的な学習意欲を持ち続けられる人

法律は生き物であり、時代の変化に合わせて頻繁に改正されます。

また、新しいビジネスモデルの登場に伴い、これまでにない法的解釈が必要になるケースも増えています。

そのため、法務担当者には、一度学んだ知識に満足することなく、常に新しい情報を学び続ける姿勢が求められます。

法学部出身であっても、大学で学んだ知識だけで実務に対応することは不可能です。

日々の業務と並行して、最新の法改正情報や判例をチェックし、自社のビジネスにどのような影響があるかを考え続ける必要があります。

このような継続的な学習を「苦」ではなく「楽しみ」と感じられる知的好奇心の旺盛な人は、法務に非常に向いています。

分からないことがあればすぐに調べ、専門書を読み込み、セミナーに参加するなどして自ら知識を吸収していく行動力が重要です。

変化を恐れず知識のアップデートを楽しめる人であれば、法務としての専門性を高め続け、長く活躍することができるでしょう。

逆に、勉強嫌いな人や、ルーチンワークだけをこなしたいと考える人には、法務の仕事は厳しい環境になるかもしれません。

コミュニケーション能力が高く調整が得意な人

法務というと、六法全書に向き合って黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、実際には極めて対人折衝の多い仕事です。

現場の担当者から事実関係をヒアリングしたり、契約交渉において相手方と条件をすり合わせたり、リスクのある案件について経営陣を説得したりと、高度なコミュニケーション能力が求められます。

特に重要なのは、法律の専門用語を使わずに、誰にでも分かる言葉で法的な問題を説明する力です。

現場の社員は法律の専門家ではないため、難解な言葉で説明しても理解してもらえません。

また、法務は時に現場のブレーキ役になることもあります。

「どうしてもこの契約を進めたい」という営業担当者に対して、法的リスクを説明し、修正案を提示して納得してもらう調整力も必要です。

頭ごなしに否定するのではなく、相手の立場を尊重しながら、会社全体の利益を守るための着地点を見つける柔軟性が求められます。

人と話すことが好きで、異なる意見を持つ人々の間に入って調整することにやりがいを感じる人は、法務として大いに活躍できるポテンシャルを持っています。

【法務の志望動機】法務に向いていない人

どのような職種にも向き不向きがありますが、法務は特にその傾向が顕著に出やすい職種です。

ミスマッチを防ぐためにも、法務に向いていない人の特徴を理解しておくことは、向いている人の特徴を知ることと同じくらい重要です。

もし自分に当てはまる部分があったとしても、それを自覚し改善する意識を持つか、あるいはその特性をカバーできる別の強みをアピールすることで道は開けるかもしれません。

ここでは、法務職において苦労する可能性が高い人の特徴を3つ紹介します。

細かい確認作業への耐性柔軟な対応力などがキーワードとなります。

これらを反面教師とし、自身が法務担当者として求められる行動様式に適応できるかを自問自答してみてください。

ネガティブな要素を事前に把握しておくことで、入社後のギャップを減らすことにもつながります。

大雑把で細かい確認作業が苦手な人

法務の仕事は、契約書の一言一句、条文の「てにをは」に至るまで、極めて緻密な正確性が求められます。

「だいたい合っているから大丈夫」という大雑把な感覚は、法務の世界では命取りになりかねません。

たった一つの言葉の選び方の違いで、将来的に会社が数億円の損害賠償を請求されるリスクが生じることもあるのです。

そのため、細かい文字を読み込み、整合性をチェックするという地道な作業が苦手な人や、細部への注意力が散漫になりがちな人には、法務の業務は苦痛を伴う可能性があります。

また、契約書のチェックだけでなく、登記書類の作成や訴訟資料の準備などでも、形式的な不備は許されません。

ミスがないか何度も見直しを行い、徹底的にリスクを潰していくプロセスを楽しめない場合、ストレスを感じることが多くなるでしょう。

正確性よりもスピードや勢いを重視するタイプや、細かいことを気にせずにどんどん前に進みたいタイプの人は、法務よりも営業職や企画職などの方が強みを発揮できるかもしれません。

法務においては、「神は細部に宿る」という意識を持てるかどうかが重要な分かれ目となります。

主観や感情で物事を判断してしまう人

法務の判断基準は、あくまで「法」と「事実」です。

そこに個人的な感情や主観を持ち込むことは、判断を誤らせる原因となります。

例えば、トラブルの相手方がどんなに可哀想な事情を抱えていたとしても、あるいは社内の担当者がどんなに熱意を持って頼んできたとしても、法的に問題があれば毅然とした態度で指摘しなければなりません。

情に流されやすく、客観的な事実よりも感情を優先して判断してしまう人は、法務としての役割を全うするのが難しくなる場面が出てくるでしょう。

もちろん、相手の心情を理解する共感力は大切ですが、最終的な意思決定においてはドライな視点が必要です。

「なんとなく怪しい」「きっと大丈夫だろう」といった根拠のない思い込みで仕事を進めることも危険です。

常に「なぜそう言えるのか」という法的根拠(リーガルマインド)を持って思考することが求められます。

事実と感情を切り離して考えることが苦手な人や、論理的な説明よりも感情的な訴えを重視する傾向がある人は、法務特有の思考プロセスに慣れるまで相当な努力が必要になるでしょう。

変化を嫌い定型業務のみを望む人

法務の仕事は、ルーチンワークも存在しますが、基本的には毎日異なる案件や相談が舞い込んでくる変化の激しい仕事です。

法律の改正や新しいビジネスの開始、予期せぬトラブルの発生など、常に新しい課題に対応することが求められます。

そのため、マニュアル通りの定型業務だけを淡々とこなしたい人や、変化を嫌い現状維持を好む人にとっては、法務の現場はストレスフルな環境になる可能性があります。

前例のない案件に対して、自分で調べて解決策を模索するプロセスが頻繁に発生するからです。

また、企業法務はビジネスのスピードに合わせて動く必要があります。

時には急な案件でタイトな締め切りに追われることもあります。

「いつも通り」が通用しない場面も多々あるため、臨機応変な対応力が低いと業務が滞ってしまいます。

想定外の事態に対して柔軟に対応することに抵抗がある人は、法務という職種が持つ流動的な性質に合わないかもしれません。

安定しているように見えて、実は常に変化対応を迫られるのが法務の実態であることを理解しておく必要があります。

【法務の志望動機】志望動機を作成する際のポイント

法務職は募集人数が少なく、倍率が高くなりやすい職種です。

そのため、ありきたりな志望動機では採用担当者の目に留まることは難しく、他の候補者と差別化を図るための工夫が必要です。

単に法律知識があることをアピールするだけでなく、企業が求めている人物像と自身の強みがどのようにマッチしているかを論理的に説明することが求められます。

ここでは、魅力的な志望動機を作成するための具体的なポイントを4つ解説します。

なぜ法務なのかという根本的な理由から、自身のキャリアビジョンに至るまで、一貫性のあるストーリーを組み立てることが大切です。

これらのポイントを押さえて、採用担当者に「この学生なら安心して法務を任せられる」と思わせる志望動機を練り上げましょう。

なぜ「法務」かを明確にする

志望動機の核心部分として、まず「なぜ他の職種ではなく法務なのか」を明確に語る必要があります。

「法律を学んだから」という理由はきっかけにはなりますが、それだけでは不十分です。

例えば、「企業の成長を法的側面から支える黒子としての役割に魅力を感じた」「紛争を未然に防ぐことで社会の安定に貢献したい」など、法務という機能が果たす役割に対する独自の解釈や熱意を言語化しましょう。

自身の過去の経験(ゼミ活動、アルバイト、部活動など)から、ルールを守ることの重要性や、トラブル解決に貢献した際の喜びなどを引き合いに出すと説得力が増します。

また、法務の仕事が持つ「専門性」と「汎用性」のバランスに触れるのも良いでしょう。

他の職種と比較検討した上で、自分の適性ややりがいを感じるポイントが最も法務に合致しているという結論に至ったプロセスを示すことで、志望度の高さが伝わります。

単なる憧れではなく、自己分析に基づいた必然性のある選択であることをアピールしてください。

その企業ならではの法務の役割を理解する

一口に法務といっても、企業によって求められる役割は大きく異なります。

大手メーカーであれば知的財産管理や製造物責任法への対応が重視されるかもしれませんし、ITベンチャーであれば新規事業に関わる法規制の調査や利用規約の作成がメインになるかもしれません。

志望する企業の業界特性や事業内容を深く研究し、その企業だからこそ経験できる法務業務に焦点を当てることが重要です。

「どの会社でもできる法務」ではなく、「御社のビジネスを支える法務」になりたいというメッセージを込めましょう。

例えば、グローバル展開している企業であれば、「国際法務に関わりたい」という意欲は響くでしょうし、M&Aを積極的に行っている企業であれば、「組織再編の実務に携わりたい」という姿勢は評価されます。

企業の公式サイトや統合報告書、中期経営計画などを読み込み、企業が直面している課題と法務が果たすべき役割を結びつけて語ることで、企業研究の深さと入社後の貢献イメージを具体的に伝えることができます。

自身の強みと業務の関連性を示す

法務の適性があることを証明するために、自身の強みが具体的な業務でどのように活かせるかをアピールしましょう。

例えば、「粘り強く資料を読み込む集中力」は契約書のチェック業務に、「多様な意見をまとめる調整力」は社内規定の策定プロセスに、「論理的に物事を説明する力」はコンプライアンス研修の講師業務に、それぞれ直結します。

抽象的な強みを並べるのではなく、入社後にその能力を使っているシーンを想像させるような表現を心がけてください。

この際、法学部出身でない場合や、法律の知識に自信がない場合は、ポテンシャル面での強みを強調することが有効です。

未知の分野に対する学習意欲の高さや、誠実な人柄、几帳面さなどは、法務担当者として非常に重要な素養です。

自分の強みが法務の実務においてプラスに働く根拠を示すことで、採用担当者に「育ててみたい」と思わせることができます。

エピソードを交えて具体的に伝えることを忘れないでください。

キャリアビジョンを具体的に盛り込む

最後に、入社後どのように成長していきたいかというキャリアビジョンを盛り込むことで、長期的に活躍する意思を伝えましょう。

「まずは定型的な契約審査から基礎を固め、将来的にはM&Aなどのプロジェクト案件も担当できるようになりたい」「5年後には現場からの相談に即答できるスペシャリストになりたい」など、段階的な成長イメージを持っていることは好印象です。

また、「ビジネス感覚を持った法務パーソンになりたい」といった目指す人物像を掲げることも有効です。

キャリアビジョンを語ることは、早期離職のリスクが低いことを示す材料にもなります。

会社としても、専門性の高い法務人材には長く働いてほしいと考えています。

企業の将来像と自身のキャリアパスが重なっていることを示し、会社と共に成長していくパートナーとしての姿勢をアピールしましょう。

ただし、あまりに現実離れした目標や、会社の方向性と異なるビジョン(すぐに独立したい等)は避けるべきです。

あくまでその会社での貢献を前提としたビジョンを描いてください。

【法務の志望動機】志望動機を伝える際の注意点

熱意を持って志望動機を作成しても、伝え方を間違えると逆効果になってしまうことがあります。

法務という職種柄、言葉の正確さや論理性が重視されるため、面接官は志望動機の内容だけでなく、その伝え方からも適性を判断しています。

些細な表現のミスが「法務としての適性に欠ける」と判断される材料になりかねないため、細心の注意が必要です。

ここでは、法務の志望動機を伝える際に陥りがちな失敗例や注意点を3つ紹介します。

特に汎用的な内容になりすぎないこと受け身の姿勢を見せないことは非常に重要です。

これらを意識して推敲を重ねることで、より完成度の高い志望動機に仕上げることができます。

採用担当者の視点に立ち、リスクのない、かつ魅力的な伝え方をマスターしましょう。

どの企業・組織でも通じる内容にしない

法務の志望動機で最も多い失敗の一つが、「法律知識を活かして貴社に貢献したい」といった、どの企業でも通用してしまう内容になってしまうことです。

これでは採用担当者に「うちの会社でなくてもいいのではないか」と思われてしまいます。

法務の仕事の基本は共通している部分が多いからこそ、あえてその企業独自の事情や魅力に触れる必要があります。

「なぜこの業界なのか」「なぜこの規模感なのか」「なぜこの企業文化なのか」を掘り下げてください。

例えば、「御社の〇〇という製品が社会課題を解決している点に共感し、その事業を法務面から支えたい」といったように、事業内容への共感をベースに志望動機を組み立てると独自性が生まれます。

また、OB・OG訪問などで得た具体的な情報を盛り込むのも有効です。

「貴社でなければならない理由」が明確に含まれているかどうか、提出前に必ず確認するようにしましょう。

コピペのような志望動機は、すぐに見透かされてしまいます。

専門用語を多用しすぎない

法学部生や法律学習者にありがちなのが、専門知識をアピールしたいあまり、難解な法律用語や専門用語を多用してしまうことです。

面接官や人事担当者が必ずしも法務出身であるとは限りません。

相手が理解できない言葉を使うことは、コミュニケーション能力不足とみなされる恐れがあります。

法務の仕事は、法律を知らない人に法律を分かりやすく説明することです。

志望動機においても、専門用語を平易な言葉に言い換える配慮が求められます。

例えば、「善意の第三者に対抗できない」といった表現ではなく、「事情を知らない第三者に対して権利を主張できない」と言い換えるなど、誰が聞いても分かる表現を心がけましょう。

知識をひけらかすのではなく、相手の理解度に合わせた丁寧なコミュニケーションができることを示す方が、法務担当者としての評価は高くなります。

難解な言葉を使うことが専門性の証明ではありません。

「分かりやすさ」こそが、真の知性であり法務に必要なスキルです。

受け身の姿勢を見せない

「貴社で法律の勉強をさせていただきたい」「法務のスキルを身につけさせてほしい」といった受け身の表現は避けるべきです。

企業は学校ではありません。

給料をもらって働く以上、会社に貢献する姿勢を示すことが大前提です。

もちろん新卒に即戦力を求めているわけではありませんが、「自ら学び、貢献しようとする主体性」が見えない学生は採用されません。

「勉強させてほしい」ではなく、「自ら学び取り、早期に戦力となりたい」という能動的な表現に変換しましょう。

また、法務部門はコストセンター(利益を直接生まない部門)と見なされることもあります。

だからこそ、どのようにして会社の利益に貢献するかという意識を持っていることが重要です。

「教えてもらう」というスタンスではなく、「自分の強みを活かして組織にプラスの影響を与える」という気概を見せてください。

謙虚さは大切ですが、過度なへりくだりは自信のなさや依存心の表れと受け取られる可能性があります。

プロフェッショナルを目指す者としての自律したマインドセットを示しましょう。

【法務の志望動機】法務の志望動機例文

最後に、これまでのポイントを踏まえた具体的な志望動機の例文を3つ紹介します。

それぞれ異なるアピールポイントや背景を設定していますので、自分の状況に近いものを参考にしながら、自分なりの言葉でアレンジしてみてください。

丸写しにするのではなく、自分の経験や考えを反映させてオリジナリティを出すことが重要です。

構成や言葉遣いの参考にしてください。

例文1

私が貴社の法務職を志望するのは、貴社が展開するITソリューション事業が、企業の働き方改革を推進し社会に大きな価値を提供している点に深く共感したからです。

大学のゼミ活動では、民法を中心に学ぶ中で、法律は社会生活の基盤であると同時に、トラブルを未然に防ぐための重要なツールであることを実感しました。

特に、新規性の高いビジネスモデルにおいては、既存の法規制との整合性を図る創造的な法務の役割が不可欠であると考えています。

私の強みは、複雑な情報を整理し論理的に構成する力です。

この強みを活かし、契約審査や利用規約の作成において、リスクを最小限に抑えつつビジネスのスピードを落とさない法的サポートを行いたいと考えています。

貴社の「攻めの法務」を体現し、事業成長に貢献できる人材を目指します。

例文2

私は、グローバルに事業を展開する貴社の法務部門で、国際的なビジネスを支える専門家になりたいと考え志望しました。

留学経験を通じて多様な価値観に触れた際、ルールが共通言語として機能することの重要性を学びました。

貴社は海外M&Aや提携を積極的に進めており、異なる法体系や商習慣の中で法的リスクを管理する法務の役割は、経営戦略の要であると認識しています。

私は、地道な作業にも粘り強く取り組む継続力に自信があります。

法務の業務においては、契約書の細部まで徹底的に確認する正確性が求められますが、私の几帳面な性格は必ず役立つと確信しています。

入社後は、語学力と法的知識を磨き続け、将来的には国際法務のスペシャリストとして、貴社の海外展開を最前線で支えられるよう努力いたします。

例文3

私が法務職を志望する理由は、企業の守りの要として、社員が安心して働ける環境を守りたいと強く考えているからです。

飲食店でのアルバイトリーダーの経験において、衛生管理ルールの徹底やスタッフ間のトラブル調整に尽力しました。

この経験から、組織が健全に機能するためには、ルールの遵守と円滑なコミュニケーションによる調整が不可欠であることを学びました。

貴社はコンプライアンス経営を掲げ、誠実な企業活動を行っています。

その姿勢に共感し、私もその一員として貢献したいと思いました。

私には、相手の立場に立って物事を考え、分かりやすく説明するコミュニケーション能力があります。

現場の声に耳を傾け、難解な法律用語を使わずにリスクを伝えることで、社内のコンプライアンス意識向上に貢献したいと考えています。

まとめ

法務職の志望動機を作成する際は、業務内容や職種の特徴を正しく理解し、自身の適性や強みと結びつけることが重要です。

専門性が高い職種ですが、知識だけでなく、論理的思考力、学習意欲、そしてコミュニケーション能力といった汎用的なスキルも求められます。

企業研究を深め、その企業ならではの法務の役割を意識した志望動機を作成することで、採用担当者に響くアピールが可能になります。

この記事で紹介したポイントや例文を参考に、自分自身の言葉で熱意と適性を伝える志望動機を練り上げ、就職活動を成功させてください。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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