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【観光庁の志望動機】観光庁とは
観光庁は、国土交通省の外局として2008年に発足した、日本の「観光立国」実現のための司令塔となる組織です。
少子高齢化が進む日本において、観光は交流人口を拡大し、地域経済を支える重要な成長戦略の柱と位置付けられています。
観光庁は、海外からの旅行者を呼び込むインバウンド施策の推進だけでなく、国内旅行の活性化、観光産業の国際競争力の強化、さらには人材育成まで、観光に関する政策を総合的に企画・立案・推進しています。
志望動機を作成する上では、観光庁が単なるキャンペーンを行う組織ではなく、法制度の整備や国際的な交渉を通じて、観光産業全体の基盤を作る官庁であることを正しく理解しておくことが第一歩となります。
観光庁の業務内容
観光庁の業務は、大きく分けて「国際観光の振興」「地域活性化」「観光産業の整備」の3つの領域にまたがります。
具体的には、ビザ要件の緩和に向けた関係省庁との調整や、海外富裕層をターゲットとした高付加価値な観光コンテンツの造成支援などが挙げられます。
また、通訳案内士制度の運用や、旅行業法に基づく旅行会社の登録・監督、宿泊施設の生産性向上支援など、産業全体のルール作りと環境整備も重要な任務です。
さらに、近年では「オーバーツーリズム(観光公害)」への対策や、災害時の観光客の安全確保といった危機管理対応も業務に含まれます。
このように、華やかなプロモーションの裏側で、地道な制度設計や環境整備を行うことが、観光庁職員の主たる業務です。
観光庁の特徴
観光庁の特徴は、発足からの歴史が比較的浅いこともあり、省庁の中では柔軟で開かれた組織風土を持っている点です。
観光というテーマは、交通、宿泊、飲食、文化財、国立公園など多岐にわたる分野と関わるため、他省庁や地方自治体、民間企業、そしてJNTO(日本政府観光局)などの関係機関との連携が日常的に行われています。
そのため、縦割り行政の弊害にとらわれず、横断的なプロジェクトを推進する機会が多いのが特徴です。
また、職員には、日本の地域の魅力を掘り起こす「現場感覚」と、世界の旅行トレンドを捉える「国際感覚」の双方が求められます。
民間企業からの出向者も多く、多様なバックグラウンドを持つ人材が協働している点も、他の古い省庁とは異なるユニークな点と言えるでしょう。
【観光庁の志望動機】観光庁の魅力
観光庁で働くことの最大の魅力は、日本が世界に誇る「観光資源」を武器に、国の成長と地方の再生という二つの大きな課題に同時にアプローチできる点にあります。
自分の携わった政策によって、無名だった地方の町に世界中から観光客が訪れ、活気を取り戻していく様子を目の当たりにできるのは、この仕事ならではの醍醐味です。
また、2025年の大阪・関西万博など、国家的なビッグイベントとも深く関わり、日本のブランド価値を世界へ売り込む最前線に立つことができます。
ここでは、就活生の皆さんが特にやりがいを感じられるであろう観光庁の魅力を、3つの視点から具体的に解説します。
日本の地方経済を救う「切り札」になれる
人口減少に苦しむ日本の地方都市にとって、観光は「外貨」を稼ぎ、雇用を生み出すための生命線です。
観光庁では、古民家の活用支援や、地域の食文化を活かしたガストロノミーツーリズムの推進などを通じて、その土地ならではの魅力を磨き上げる支援を行います。
単にお金をばら撒くのではなく、地域が自立して稼げる仕組みを作るためのコンサルティング的な役割も担います。
過疎化が進む故郷や、愛着のある地域が、観光の力で息を吹き返し、持続可能な経済基盤を築いていくプロセスに、政策面からダイレクトに貢献できることは、公務員として働く上で非常に大きな意義と達成感を感じられるはずです。
日本のファンを世界中に増やす外交官的役割
観光は「平和へのパスポート」とも言われるように、草の根レベルでの国際交流を促進し、相互理解を深める重要な外交ツールでもあります。
観光庁の仕事は、訪日外国人旅行者(インバウンド)を増やすことを通じて、日本という国のファンを世界中に増やすことと同義です。
多言語対応の整備やWi-Fi環境の充実、あるいは海外の旅行博でのトップセールスなどを通じて、外国人がストレスなく日本を楽しめる環境を整えます。
日本の文化や自然に触れて感動する外国人の姿を見ることは、日本人としての誇りを再認識することに繋がります。
ソフトパワーによる国益の増大に寄与できる点は、国際派の就活生にとって大きな魅力です。
新しい旅のスタイルや価値観を創造できる
観光のスタイルは時代とともに変化しています。
単なる名所巡りから、体験型観光、ワーケーション、サステナブルツーリズムなど、ニーズは多様化しています。
観光庁では、こうした新しいトレンドをいち早く捉え、あるいは自ら仕掛け人となって新しい旅の価値観を社会に提案していくことができます。
例えば、環境に配慮した旅行の普及や、ユニバーサルツーリズム(誰もが楽しめる旅行)の推進など、社会的意義の高いテーマに取り組めます。
既存の枠組みにとらわれず、次世代の観光スタンダードを自分の手で作り上げることができるクリエイティブな側面も、観光庁で働く面白さの一つと言えるでしょう。
【観光庁の志望動機】観光庁の求める人物像
観光庁は、世界中の国々との競争の中で「選ばれる日本」を作らなければなりません。
そのためには、単に事務処理能力が高いだけでなく、変化を恐れずに新しいアイデアを実行に移す行動力が求められます。
また、観光産業はホテル、交通機関、旅行会社、地域住民など、非常に多くのステークホルダーが存在するため、彼らの利害を調整し、一つの方向へ導くリーダーシップも不可欠です。
ここでは、観光庁という組織のミッションを遂行する上で、特に重要視される3つの資質について詳しく解説します。
グローバルな視野と異文化理解力を持つ人物
「観光立国」を推進するためには、世界の動きを敏感に察知し、相手の視点に立って考える力が不可欠です。
語学力はもちろん重要ですが、それ以上に「なぜ外国人は日本に来たいのか」「日本の何が不便なのか」ということを、外国人の目線で客観的に分析できる想像力と異文化受容力が求められます。
また、海外の先進事例をリサーチし、日本の文脈に合わせて導入するといった柔軟な発想も必要です。
自分の常識にとらわれず、多様な価値観を尊重しながら、世界基準のサービスやインフラを日本に根付かせようとする意欲のある人物が求められています。
多様な関係者を巻き込む「つなぐ力」がある人物
観光振興は、観光庁だけで成し遂げることはできません。
地方自治体、DMO(観光地域づくり法人)、民間企業、そして地域住民が一体となって取り組む必要があります。
しかし、例えば「観光客を増やしたい事業者」と「静かな生活環境を守りたい住民」の間で意見が対立することもあります。
そうした場面で、双方の言い分を丁寧に聞き取り、粘り強く調整を重ねて合意形成を図る高いコミュニケーション能力と調整力が求められます。
異なる立場の人々を「観光」という共通の目標でつなぎ合わせ、チームジャパンとして推進力を生み出せる人物こそが、現場で最も必要とされています。
数値に基づいた戦略的思考ができる人物
観光政策は、感覚やイメージだけで進めるものではありません。
「なんとなく良さそう」ではなく、「どの国から、どのような層を、どれくらい呼び込み、いくら消費してもらうか」という具体的な目標設定と戦略が必要です。
観光統計などのビッグデータを分析し、課題を科学的に特定した上で、効果的な施策を立案する論理的思考力とマーケティング視点が重要視されます。
限られた予算とリソースで最大の効果(経済波及効果など)を生み出すために、エビデンスに基づいて政策を立案・検証し、PDCAサイクルを回せる実務能力を持った人物が歓迎されます。
【観光庁の志望動機】志望動機を作成する際のポイント
観光庁への志望動機を書く際、多くの学生が陥りがちなのが「旅行代理店」や「JNTO(日本政府観光局)」との混同です。
これらとの違いを明確にし、「なぜ国家公務員として観光に携わりたいのか」を論理的に説明することが、選考突破の鍵となります。
あなたの個人的な旅行体験を、公的な課題意識へと昇華させ、観光庁でしかできない仕事に結びつける構成力が問われます。
以下のポイントを意識して、説得力のある志望動機を練り上げてください。
なぜ「観光庁」かを明確にする
観光に関わる仕事は多岐にわたります。
商品を企画・販売したいなら旅行会社、海外へのプロモーション実務を行いたいならJNTO、特定の地域の観光振興なら地方自治体やDMOが適しています。
その中で、観光庁を選ぶ理由は「国全体のルール作り」や「広域的なインフラ整備」「外交レベルでの交渉」など、国という立場だからこそできる仕事にあるはずです。
例えば、「個別のツアーを作るのではなく、誰もが旅行しやすい法制度や環境を整えたい」といった、より上流工程からのアプローチを志向していることを明確に伝えましょう。
他との違いを理解した上で、あえて観光庁を選ぶ必然性を語ることが重要です。
原体験から「課題意識」を抽出する
単に「旅行が好きで楽しかった」という感想だけでは、志望動機として弱いです。
旅行中や留学中、あるいはボランティア活動などで感じた「日本の観光の課題」を具体的に挙げてください。
例えば、「地方の素晴らしい景色へのアクセスが悪く、外国人が困っていた」や、「キャッシュレス決済が普及しておらず不便を感じた」といったエピソードです。
こうした実体験に基づく具体的な課題があり、それを解決するために観光庁で働きたいという流れを作ると、説得力が格段に増します。
「楽しかった」経験よりも、「もったいない」「もっと良くできるはずだ」と感じた経験にフォーカスしましょう。
観光を通じて実現したい「日本の未来」を語る
志望動機の締めくくりとして、入庁後に何を実現したいかというビジョンを提示しましょう。
「インバウンド数を○千万人にする」という数値目標だけでなく、その先にある社会像を描くことが大切です。
「観光を通じて地方に雇用を生み出し、若者が戻ってくる地域を作りたい」や、「日本の文化への理解を深めてもらい、国際的な地位を向上させたい」など、観光を手段としてどのような社会課題を解決したいかを語ってください。
これにより、あなたが単なる観光ファンではなく、国益を考える行政官としての高い視座を持っていることをアピールできます。
自身のスキルがどう政策に活きるかを示す
最後に、あなたの強みが観光庁の業務にどう貢献できるかをアピールします。
語学力があれば「多言語対応の支援や国際会議での調整に役立つ」、データ分析の経験があれば「観光統計の分析やマーケティング戦略の立案に活かせる」、サークルでのリーダー経験があれば「多様な関係者との合意形成に貢献できる」といった具合です。
公務員試験ではポテンシャルが重視されますが、そのポテンシャルが観光行政の現場で再現性があることを具体的にイメージさせることが重要です。
自分の能力を、観光立国の実現に向けた武器として提示してください。
【観光庁の志望動機】志望動機を伝える際の注意点
観光庁は人気組織であるため、表面的な理解で書かれた志望動機はすぐに埋もれてしまいます。
また、公務員としての適性を疑われるような表現も避ける必要があります。
特に「楽しそう」「英語が使える」といった安易なイメージ先行の動機や、ビジネス視点の欠如した内容は減点対象となります。
ここでは、志望動機をブラッシュアップする際に必ず確認すべき、避けるべき表現や視点について解説します。
これらを意識することで、よりプロフェッショナルな印象を与えることができます。
どの企業・組織でも通じる内容にしない
「お客様に感動を与えたい」「日本の良さを伝えたい」といったフレーズは、旅行会社やホテル、航空会社でも使える汎用的なものです。
これでは「公務員である必要性」が伝わりません。
観光庁の役割は、個々のお客様へのサービス提供ではなく、産業全体の支援や環境整備です。
「おもてなしをしたい」のではなく、「おもてなしができる環境を作りたい」という視点の転換が必要です。
また、特定の地域だけにこだわりすぎると「地方自治体でいいのでは?」と思われてしまいます。
常に「日本全体」というマクロな視点を忘れないようにしてください。
ビジネス(稼ぐ力)の視点を忘れない
観光はあくまで経済活動であり、ボランティアではありません。
地域にお金が落ち、経済が回らなければ、観光振興の意味は半減します。
したがって、「交流を深めたい」といった情緒的な側面だけでなく、「どのようにして観光消費額を増やすか」「どうすれば高付加価値化できるか」という経済的な視点を持つことが重要です。
特に近年、観光庁は観光産業の「稼ぐ力」の強化を掲げています。
ビジネス感覚やコスト意識が欠如していると思われると、現代の観光行政にはマッチしないと判断される可能性があります。
良い面ばかりを見ない(オーバーツーリズムなど)
観光には光と影があります。
観光客が増えることは経済効果がある一方で、混雑やマナー違反、環境破壊といった「オーバーツーリズム」の問題を引き起こすこともあります。
志望動機において、観光のポジティブな面ばかりを強調しすぎると、現状認識が甘いと思われるかもしれません。
「観光公害といった負の側面にも目を向け、地域住民の生活と観光の両立を目指したい」といったバランスの取れた視点を示すことで、物事を多角的に捉えられる賢明な人材であることをアピールできます。
課題から目を背けない姿勢が信頼を生みます。
【観光庁の志望動機】観光庁の志望動機例文
ここでは、これまでの解説を踏まえた観光庁の志望動機例文を3パターン紹介します。
それぞれ「インバウンド振興」「地方創生」「サステナブルツーリズム」という異なるテーマに焦点を当てています。
これらはあくまでも骨組みですので、あなた自身の具体的なエピソードや言葉を肉付けし、オリジナリティのある内容に仕上げてください。
論理構成や熱意の伝え方の参考にしてください。
例文1:インバウンド振興による経済成長
私は、観光を日本の基幹産業へと成長させ、国力を底上げしたいと考え、貴庁を志望します。
留学中、日本の文化に関心を持つ学生が多い一方で、地方への移動手段や言語対応に不便を感じて訪日を躊躇する声を聞き、受入環境の未整備が機会損失を生んでいると痛感しました。
この課題を解決するためには、民間企業の努力だけでなく、国主導でのインフラ整備や統一的なルール作りが不可欠です。
入庁後は、多言語対応の拡充や二次交通の整備を推進し、外国人がストレスなく日本全国を周遊できる環境を構築したいです。
私の強みである「課題発見力」を活かし、訪日客数だけでなく消費額の向上にも寄与する質の高い観光立国を実現したいと考えます。
例文2:観光を通じた地方創生
私は、観光の力で地方に新たな活力を生み出し、持続可能な地域社会を築きたいと考え、貴庁を志望します。
大学時代、過疎化が進む農村でのボランティア活動を通じ、地域資源の豊かさと、それを活かしきれていない現状のギャップを目の当たりにしました。
地域の魅力を磨き上げ、世界に通じるコンテンツへと昇華させるためには、広域的な連携と戦略的なマーケティング支援が必要です。
貴庁において、DMOの形成支援や古民家等の地域資源活用施策に携わり、地域が自立して稼げる仕組みを作りたいと考えています。
私の「粘り強い調整力」で地域住民や関係機関をつなぎ、地方から日本を元気にする政策を推進する所存です。
例文3:持続可能な観光(サステナブルツーリズム)
私は、観光振興と地域住民の生活が調和した、持続可能な観光地域づくりを実現したいと考え、貴庁を志望します。
有名観光地を訪れた際、過度な混雑により住民生活に支障が出ている状況を見て、数のみを追う観光の在り方に疑問を抱きました。
これからの日本には、地域の自然や文化を守りながら、適正な規模で質の高い体験を提供するサステナブルツーリズムへの転換が必要です。
貴庁に入庁し、観光客の分散化施策や、責任ある観光の啓発活動に取り組みたいです。
データを多角的に分析する私の強みを活かし、経済効果と住環境の保全を両立させる次世代の観光モデルを構築し、世界に発信していきたいと考えています。
まとめ
観光庁の志望動機を作成する鍵は、個人的な「旅行好き」という感情を、国家レベルの「政策課題」へと昇華させることにあります。
インバウンド、地方創生、サステナブルといったキーワードを使いながら、あなたがなぜ観光行政に携わりたいのか、その必然性を論理的に説明してください。
華やかなプロモーションの裏にある、地道な環境整備や調整業務への理解を示すことも重要です。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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