AIで作ったガクチカの添削は必要？人事視点で通過するESに格上げする方法教えます！

AIで作ったガクチカの添削は必須！

近年、就職活動におけるエントリーシート（ES）作成の現場に、Chat GPTやGeminiといった生成AIの活用が急速に浸透しています。

特に「学生時代に力を入れたこと」（ガクチカ）は、AIがフレームワークに基づいて論理的な文章を自動生成してくれるため、多くの就活生にとって強力なツールとなり得ます。

しかし、AIが生成した文章をそのまま提出するのは非常に危険です。

なぜなら、AIはあくまで「論理的な文章構成」と「一般的な表現」を得意とするツールであり、あなたの個性や情熱、そして独自の思考プロセスを反映させることはできないからです。

人事担当者は、ESを通じてあなたの「人となり」や「入社意欲」、そして「ポテンシャル」を見極めようとしています。

無難で論理的なだけの文章では、その他大勢の学生の中に埋もれてしまい、あなたの魅力を伝えることはできません。

この記事では、AIを賢く利用しつつも、人事が本当に求める「血の通ったガクチカ」へと昇華させるための具体的な添削・チェックポイントを、Webライター兼就活アドバイザーの視点から徹底的に解説します。

AIとあなたの個性が融合した、内定を勝ち取るガクチカを作成していきましょう。

AIで作った文章にみられる3つの欠陥

AIが作成したガクチカは、一見すると構成がしっかりしていて、一通りの要点を満たしているように見えます。

しかし、人事担当者の目から見ると、AI特有の「違和感」や「物足りなさ」が必ず存在します。

これらの欠陥は、あなたの個性を消し、結果として選考通過を遠ざけてしまう要因となります。

AIを土台にするにしても、これらの欠陥を理解し、人間の手で補うことが不可欠です。

1．感情と熱意が欠落

AIが生成する文章は、感情や熱意といった非論理的な要素が決定的に欠落しています。

ガクチカにおいて人事が知りたいのは、あなたがその活動にどれだけの情熱を注ぎ、どのような感情を抱いたかという点です。

「サークル活動で課題を解決しました」という事実だけでは、あなたの本気度は伝わりません。

例えば、「メンバーのモチベーションの低さに直面し、何度も諦めかけましたが、最後の文化祭で最高のパフォーマンスを成し遂げたいという強い思いから、個別に面談を重ねていきました」といった、感情を伴う表現こそが、あなたの原動力と人間性を伝える鍵となります。

AIは論理構造を整えることはできても、その活動を通じてあなたが感じた喜び、挫折、悔しさ、そしてそれらを乗り越えた感動を描き出すことはできません。

血の通ったエピソードにするためには、あなたの内面的な言葉を付け加える作業が絶対に必要です。

2．具体性の不足と信憑性の欠如

AIは一般的なテンプレートや定型文を学習して文章を生成するため、エピソードの核となる部分の具体性が不足しがちです。

例えば、「課題を分析し、目標を達成した」という文章は生成できても、「具体的な課題は何か」「どのような分析手法を用いたのか」「目標達成のために、あなただからこそ行った独自の工夫は何か」といった深掘りされた情報は含まれていません。

結果として、「誰でも言える」「どこかで見たような」エピソードになり、人事からすれば「本当にこの学生が主体的に取り組んだことなのか？」という疑念、つまり信憑性の欠如に繋がります。

この信憑性を担保するためには、具体的な数字や固有名詞、そしてその活動におけるあなた特有の行動を、細部にわたって手動で追加することが不可欠です。

オリジナリティのある具体的な事実こそが、あなたのガクチカに説得力を持たせる最大の武器となります。

3．思考プロセスがない

AIは、行動と結果を繋げる文章を構築することは得意ですが、その行動に至るまでの「あなたの思考プロセス」を描写することは苦手です。

例えば、「課題解決のためにリーダーシップを発揮した」という結論だけでは、あなたはただの行動力のある学生に見えます。

しかし、人事が本当に知りたいのは「なぜその課題を解決しようと思ったのか」「解決策としてAではなくBを選んだ理由」「その選択をする際に、あなたが何を考え、何を葛藤したのか」といった、意思決定の裏側にある思考の軌跡です。

この思考プロセスこそが、あなたの価値観、論理的思考力、問題解決能力の深さを測る重要な指標となります。

AIが生成した骨組みに対し、「最初にこの問題に気づいた時、私は〇〇だと考えた。

しかし、チームの状況を考慮し、一度立ち止まって全員の意見を聞くことを優先した」といった、あなたの思考のプロセスを加えることで、単なる事実の羅列ではない、深みのあるガクチカへと進化します。

AIで作ったガクチカの「違和感」を消す最終チェックリスト

AIを活用して作成したガクチカは、ロジックが通っている分、かえって「機械的で無個性な文章」という違和感を生み出しがちです。

この違和感を完全に払拭し、あなたの個性と熱意が伝わる文章にするための最終チェックリストを提示します。

提出前に必ず以下の項目を確認し、一つでも当てはまる点があれば、あなたの言葉で徹底的にリライトしてください。

機械的な文章になっていないか

AIは、特定の情報伝達に最適な定型表現や接続詞を多用する傾向があります。

「したがって」「まずは」「次に」「この経験を通じて」といった表現が過剰に使われていないか確認しましょう。

また、全体的に言葉遣いが硬すぎたり、感情表現が極端に少なすぎたりしていないかも重要です。

あなたの友人に読んでもらい、本当にあなたが書いた文章のように感じるかを尋ねてみるのも有効な手段です。

自然な会話で使うような表現や、あなた自身の話し方を反映した言葉選びを意識的に取り入れることで、文章に温かみと個性が宿ります。

専門用語が入りすぎていないか

特に理系の学生や専門性の高い分野での活動をガクチカにする際、AIがその分野特有の専門用語や略語を不必要に多用してしまうことがあります。

人事担当者は必ずしもあなたの専門分野のプロフェッショナルではありません。

専門用語を使いすぎると、伝えたい内容が伝わりにくくなるだけでなく、「読み手への配慮が足りない」という印象を与えかねません。

使用する際は必ずその専門用語を簡単に説明するか、より一般的な言葉に置き換えるようにしましょう。

あなたにとって当たり前の言葉が、読み手にとっては難解な言葉である可能性があることを念頭に置いてチェックしてください。

抽象的な内容になっていないか

AIは、「課題を特定し、解決策を実行した」というように、抽象度の高い文章でまとめてしまう傾向があります。

しかし、人事が知りたいのは、その活動があなたにとってどれだけ大きな挑戦であり、そこであなたがどのような「行動」と「思考」をしたかという具体的なプロセスです。

「困難を乗り越えた」と書くのではなく、「予期せぬトラブルで予算が尽きかけた時、私は〇〇という具体的な行動をとった」というように、五感を刺激するような具体的な描写で置き換えられているかを確認しましょう。

「みんなで協力した」ではなく「チーム全員に毎日朝礼で進捗報告を義務付けた」といったレベルまで具体性を高める必要があります。

行動の動機は明確か

あなたがその活動を始めた動機や、困難な状況で諦めずに頑張り続けられた理由は、あなたの価値観や内面的な強さを映し出す鏡です。

AIが作成した文章では、「成果を出すため」といった一般的な動機に留まりがちです。

「アルバイトで売上を上げた」という事実だけでなく、「その店を地域で一番愛される店にしたい」という強い思いや、「後輩が困っているのを見て、放っておけなかった」といった、個人的な感情から来る動機が明確に伝わるか確認しましょう。

この「動機」の部分こそが、あなたのガクチカに深みと説得力を与える重要な要素となります。

失敗や困難が含まれているか

完璧な成功体験ばかりを語るガクチカは、リアリティに欠け、かえって信憑性を失いがちです。

人は失敗や困難からこそ多くを学び、成長します。

AIが作成した文章は、ロジックを優先するため、ネガティブな要素を省略し、スムーズな成功物語にしてしまうことがあります。

しかし、人事担当者は、あなたが困難に直面した時にどのように考え、どう乗り越えたかを知りたいのです。

「プロジェクトが一度完全に頓挫しそうになったが、そこで学びを得て立ち直った」といった、失敗や挫折の描写と、そこから得た教訓が組み込まれているかを確認しましょう。

この部分こそ、あなたの粘り強さや問題解決能力を具体的に示すチャンスです。

ES全体で人物像にブレがないか

ガクチカ単体で完璧に見えても、自己PRや志望動機など、ES全体の他の項目と照らし合わせた時、あなたが描く人物像に矛盾やブレがないかを必ずチェックしてください。

例えば、ガクチカでは「協調性を重んじるリーダー」をアピールしているのに、自己PRでは「一人で黙々と作業をこなすのが得意」といった内容では、人事担当者はあなたの本当の強みや人となりを把握できなくなります。

AIはES全体の整合性まで考慮して文章を生成することはできないため、すべての回答が一貫したあなた自身の価値観や強みに基づいているか、あなたの手で最終確認を行う必要があります。

AIで作ったガクチカの添削プロセス！

AIが作成したガクチカを、ただの「無難な文章」で終わらせないための具体的な添削プロセスを紹介します。

このステップを踏むことで、AIが提供する論理的な構成力を活かしつつ、あなた自身の個性や魅力を最大限に引き出した、内定に繋がるガクチカへと昇華させることができます。

1．AI添削ツールで無個性な表現を炙り出す

まずは、AIが作成した文章を、別のAI添削ツールや、あるいは「この文章をよりあなたらしく、感情豊かにしてください」といった指示をChat GPTやGemini自身に与えるなどして、客観的な視点からチェックします。

この段階の目的は、AIが多用しがちな「極めて一般的な表現」「抽象的な言い回し」「紋切り型のフレーズ」を特定することです。

例えば、「チームワークを大切にした」という表現に対して、「では具体的にどんな行動がチームワークだったのか？」というAI自身の問いかけを擬似的に得るのです。

これにより、あなたにとって当たり前すぎて見落としていた「肉付けすべき無個性な箇所」を明確にすることができます。

2.付け足す情報の可視化

ステップ1で炙り出した無個性な表現や抽象的な箇所に対し、「具体的な行動」「感情・熱意」「思考プロセス」という、AIが苦手とする3つの要素を肉付けしていきます。

この時、文章に直接書き加えるのではなく、箇条書きで追加する情報を書き出すことをお勧めします。

例えば、「課題を分析した」という抽象的な表現に対し、「課題：メンバーの役割意識の低さ」「具体的な行動：個別面談で強みと希望を聞き、役割を再配置」「思考プロセス：全員に同じタスクを与えるのではなく、個性を最大限活かす方が結果的に全体のモチベーション向上に繋がると考えた」といった要素を紙やメモ帳に書き出します。

この可視化によって、ガクチカ全体におけるあなたの独自性と貢献度が明確になり、その後の執筆が格段にしやすくなります。

3.価値観と業界ニーズを結びつける

最後に、肉付けした情報全体を見渡し、そのガクチカでアピールしているあなたの強みや価値観が、志望する企業の業界ニーズや社風と結びついているかを確認します。

例えば、金融業界など「正確性」や「論理的思考」が求められる企業に対しては、「試行錯誤のプロセス」よりも「目標達成のための分析力と実行力」をより強調し、接客業など「傾聴力」や「共感性」が求められる企業に対しては、「メンバー一人ひとりの声に耳を傾けた」といった「感情と熱意」の要素を際立たせるように文章を調整します。

AIは業界の微妙なニーズまでは考慮できません。

あなたの手で、ガクチカが企業の求める人物像に響くように、最後の微調整を行うことが内定への決定打となります。

AIで作ったガクチカの添削に関するよくある疑問

AIツールの進化に伴い、就職活動におけるその活用方法に関して、多くの新卒就活生から疑問が寄せられています。

特に、Chat GPTやGeminiなどの大規模言語モデルを「添削」に利用する際の安全性や効果については、多くの学生が不安を感じているようです。

ここでは、AIをガクチカの添削に使う際に特に多い疑問について、人事の視点から明確に回答します。

Chat GPTとGemini、添削に使うならどちらが向いている？

Chat GPTとGeminiは、どちらもガクチカの添削に非常に有用ですが、それぞれ得意とする傾向が異なります。

Chat GPTは、従来の学習データに基づく論理的な構成や表現の修正に優れており、文章のフレームワークを整えたり、分かりにくい表現を一般的な言葉に置き換えたりする作業に向いています。

一方、Geminiは、最新の情報や文脈をより柔軟に理解する能力に長けているため、より人間的なニュアンスや創造的な表現の提案において強みを発揮する傾向があります。

ガクチカの添削で言えば、「構成の確認」はChat GPT、「より感情豊かな表現へのリライト」はGeminiという使い分けが効率的です。

ただし、どちらのツールもあくまで参考意見として捉え、最終的な判断と修正は必ず自分自身で行うことが大前提です。

AIチェッカーツールは信用できる？

現在、多くのAIコンテンツチェッカーツールが存在しますが、それらを過度に信用するのは危険です。

これらのツールは、文章のパターンや特定の表現の頻度からAI生成の可能性を推定しているに過ぎず、完全に正確な判断を下せるわけではありません。

AIが作成した文章をあなたの言葉で大幅にリライトし、具体的なエピソードや感情を肉付けすることで、AI生成の「パターン」は大きく崩れます。

重要なのは、ツールで「AI生成の可能性が高い」と判定されるかどうかではなく、人事担当者が読んだ時に「この学生の個性や熱意、思考プロセスが明確に伝わってくるか」という点です。

AIチェッカーに怯えるのではなく、自分らしい言葉で具体性を高めることに注力すべきです。

個人情報や機密情報を入力しても大丈夫？

AIツールにガクチカを添削させる際、個人情報や機密性の高い情報を入力することは避けるべきです。

多くの場合、AIは入力されたデータをサービス向上のために利用・学習することがあり、情報漏洩のリスクをゼロにすることはできません。

ガクチカにおいては、大学名、サークル名、アルバイト先の具体的な固有名詞、プロジェクトの機密情報などは、イニシャルや抽象的な表現に置き換えて入力することを強く推奨します。

例えば、「〇〇大学」ではなく「都内の私立大学」、「株式会社△△」ではなく「ITベンチャー企業」といった形です。

AIを便利なツールとして活用するためにも、情報セキュリティの意識は常に高く持つようにしてください。

まとめ

AIは、ガクチカの「論理的な骨組み」を一瞬で作り上げる強力なツールですが、そこにあなたの「個性」「熱意」「思考プロセス」という血肉を与えられるのは、あなた自身だけです。

AIが生成した文章には、「感情の欠落」「具体性の不足」「思考プロセスがない」という3つの大きな欠陥があることを理解しましょう。

内定を勝ち取るガクチカにするためには、AIの土台に対し、あなたの手で具体的な行動、困難な状況での葛藤、そしてその活動に対する強い思いといった人間的な要素を徹底的に肉付けすることが不可欠です。

この記事で紹介した「違和感を消す最終チェックリスト」や「具体的な添削プロセス」を実践し、AIの論理とあなたの個性が融合した、説得力のある渾身の一作を完成させてください。

AIを賢く活用し、あなたの魅力が最大限に伝わるガクチカで、自信を持って選考に挑みましょう。

あなたの就職活動を心から応援しています。

監修者

柴田貴司

明治大学院卒業後、就活メディア運営｜自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート