商社に向いている人を解説！具体的な仕事内容・やりがい・商社適性を上げる方法とは？

【商社に向いている人】商社に興味があるけど「向いているか」不安なあなたへ

「グローバルに活躍したい」「スケールの大きな仕事がしたい」そんな思いから、就職活動で商社を志望する学生は少なくありません。

華やかなイメージに憧れを抱く一方で、「自分に商社で働く適性があるのだろうか」「求められるレベルが高そうで不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたの悩みに寄り添い、商社への理解を深めるお手伝いをしていきます。

【商社に向いている人】商社とはどんな業界？

商社と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。

世界中を飛び回って大きなビジネスを動かす、エリート集団のような漠然としたイメージはあっても、具体的なビジネスモデルを説明するのは難しいかもしれません。

商社は、その成り立ちや得意分野によって、大きく「総合商社」と「専門商社」の2種類に分けられます。

この違いを理解することは、あなたが本当にやりたいことを見つける上で非常に重要です。

総合商社は扱う商材や事業領域が極めて広く、まさしく「何でも屋」として世界経済を舞台に価値を創造しています。

一方で、専門商社は特定の分野に特化し、その道のプロフェッショナルとして業界内で確固たる地位を築いています。

どちらが良い・悪いという話ではなく、ビジネスのスタイルや求められる専門性が大きく異なるのです。

ここでは、それぞれの商社の特徴を詳しく見ていき、あなたがどちらのフィールドで輝けるのかを考えるヒントを探っていきましょう。

総合商社

総合商社は、その名の通り、あらゆる商材やサービスを取り扱う商社のことを指します。

よく「ラーメンからロケットまで」と表現されるように、エネルギー、金属資源、化学品、食料、繊維、機械、インフラなど、事業領域は多岐にわたります。

三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅といった五大商社がその代表格です。

これらの企業は、単にモノを右から左へ流すトレーディングだけでなく、世界中の有望な企業やプロジェクトに投資する事業投資も積極的に行っています。

そのため、ビジネスの規模が非常に大きく、グローバルな視点が常に求められるのが大きな特徴です。

若いうちから経営的な視点を持ち、大きな裁量権を持ってビジネスを動かしていく経験を積めることは、総合商社ならではの魅力と言えるでしょう。

世界経済の最前線で、スケールの大きな仕事に挑戦したい人にとって、これ以上ない環境が整っています。

専門商社

専門商社は、鉄鋼、化学品、食品、機械、アパレルといった特定の分野に特化し、その領域で深い専門知識と強固なネットワークを築いている商社です。

総合商社のように幅広い事業は手掛けませんが、その代わりに特定の業界における「プロフェッショナル集団」として、なくてはならない存在感を発揮しています。

彼らは、長年の取引で培ったメーカーとの緊密な関係性を武器に、顧客の細かなニーズに応えるきめ細やかなサービスを提供します。

総合商社が「広く浅く」なら、専門商社は「狭く深く」ビジネスを展開するのが特徴です。

そのため、社員一人ひとりに求められるのは、担当分野に関する深い知識と、変化の速い市場に即応できるスピード感です。

現場に近い距離で実務に深く関わり、自分の専門性を武器にビジネスを切り拓いていきたいという志向を持つ人に向いています。

【商社に向いている人】仕事内容は？業務内容別に解説

商社パーソンの仕事と聞くと、海外出張や華やかな会食といったイメージが先行するかもしれません。

しかし、その実態は非常に多岐にわたり、地道な努力とタフさが求められる場面も少なくありません。

商社のビジネスは、大きく分けて「営業」「貿易業務」「事業投資」の3つの機能によって成り立っています。

これらの仕事はそれぞれ専門性が異なりますが、いずれも会社の利益を生み出すために不可欠な役割を担っています。

ここでは、それぞれの仕事内容を具体的に見ていくことで、商社で働くことのリアルな姿を解き明かしていきます。

あなたが商社のどの機能に興味を持ち、どんな役割で貢献したいのかを考えることは、志望動機を深める上で非常に大切です。

営業

商社の営業は、単にモノを売るだけの仕事ではありません。

国内外の取引先、つまりサプライヤー（供給元）とユーザー（需要家）の間に立ち、双方のニーズを汲み取って最適な取引を成立させることがミッションです。

具体的には、市場の動向を分析し、新しいビジネスチャンスを発見したり、既存の取引先との関係を深め、より大きな取引へと繋げたりします。

そのためには、担当する商材や業界に関する深い知識はもちろん、相手の懐に入り込む人間的な魅力や信頼関係を築く力が何よりも重要になります。

この仕事の難しさは、常に「数字」という結果と向き合い続けなければならない点にあります。

売上目標の達成に向けたプレッシャーは決して小さくありません。

貿易業務

貿易業務は、商社のグローバルなビジネスを根幹から支える、いわば「実務部隊」です。

営業担当者がまとめた契約に基づき、商品を国境を越えてスムーズに、かつ確実にお客様の元へ届けるまでの一連のプロセスを管理します。

具体的には、輸出入に関わる複雑な書類の作成、通関手続き、船や飛行機といった輸送手段の手配、在庫管理、代金の回収など、その業務は多岐にわたります。

一つのミスが大きな損失に繋がりかねないため、正確性と緻密さが強く求められます。

この仕事では、語学力はもちろんのこと、各国の法律や関税、国際的な輸送ルールに関する専門知識が欠かせません。

事業投資

事業投資は、商社の未来を創るダイナミックな仕事です。

トレーディング（売買）によって安定的な収益を確保する一方で、将来性のある企業や事業に資金を投じ、その成長を支援することで新たな収益の柱を育てていきます。

具体的には、M&A（企業の買収・合併）によって他社の経営権を取得したり、将来有望なベンチャー企業に出資したり、あるいは自社でゼロから新しいビジネスを立ち上げたりします。

世の中のトレンドを先読みし、どの分野に投資すれば大きなリターンが得られるかを見極める戦略的な思考が求められます。

【商社に向いている人】メーカーとはなにが違う？

就職活動を進める中で、多くの学生が悩むのが「商社とメーカーの違い」です。

どちらもグローバルに事業を展開し、BtoB（企業間取引）を主体とする企業が多いため、ビジネスモデルの違いが分かりにくいと感じるかもしれません。

しかし、この2つの業界は、その成り立ちから仕事の進め方、求められる人材まで、実は大きく異なります。

自分に合った企業を選ぶためには、この違いを正しく理解しておくことが不可欠です。

ここでは、まずメーカーのビジネスの特徴と仕事内容を整理します。

メーカーの特徴と仕事内容

メーカーとは、その名の通り「ものづくり」を行う企業です。

自動車、電機、食品、化学、製薬など、あらゆる業界に存在し、自社の工場で製品を開発・製造し、それを販売することで利益を得ています。

メーカーの最大の強みは、「自社製品」という独自の価値を持っている点にあります。

世界に誇る技術力や、長年培ってきたブランド力が、企業の競争力の源泉となります。

そのため、仕事の中心も「いかにして良い製品を作り、それを世の中に広めていくか」という点に置かれます。

研究開発職は新たな技術や製品を生み出し、生産技術職はそれを効率的かつ高品質に量産する体制を築きます。

そして営業職は、その自社製品の魅力やメリットを顧客に伝え、導入を提案します。

メーカーの営業は「この製品を売る」という明確なミッションがあるため、自社製品に対する深い知識と愛情が求められます。

一つの製品や技術とじっくり向き合い、その価値を社会に届けることにやりがいを感じる人にとっては、非常に魅力的な環境と言えるでしょう。

商社とメーカーの違い

商社とメーカーの最も根本的な違いは、自社で「製品」や「工場」といった有形の資産を持っているかどうかです。

メーカーが自社製品を軸にビジネスを展開するのに対し、商社は自社製品を持ちません。

その代わり、世界中に張り巡らされた情報網やネットワーク、そして金融や物流といった機能を駆使して、ビジネスそのものを創出します。

つまり、商社の価値は「モノ」ではなく、「商流」や「仕組み」を創り出すことにあるのです。

この違いが、働き方にも大きな影響を与えます。

メーカーの営業は自社製品ありきの提案が基本ですが、商社の営業は顧客の課題解決のためなら、世界中のあらゆる製品やサービスを組み合わせて提案できます。

このビジネスの自由度とスピード感は、商社ならではの大きな魅力です。

【商社に向いている人】商社に向いている人の特徴

ここまで商社の業界や仕事内容について解説してきましたが、ここからは皆さんが最も気になるであろう「商社に向いている人の特徴」について、具体的に5つのポイントに絞って掘り下げていきます。

商社は、そのダイナミックでグローバルなビジネス環境から、非常に高い能力と強い精神力が求められる職場です。

もちろん、ここに挙げる全てを完璧に満たしている必要はありませんが、これらの要素は、多くの商社パーソンに共通して見られる資質と言えます。

自分自身の性格や経験を振り返りながら、これらの特徴と照らし合わせてみてください。

「これは自分の強みかもしれない」と感じる部分があれば、それはあなたの大きなアピールポイントになります。

課題解決力が高い

商社の仕事は、常に何かしらの課題と向き合うことの連続です。

例えば、「この商品を売りたいが、どうすれば市場に受け入れられるか」「取引先が抱える経営課題を、自社の機能を使ってどう解決できるか」といったように、単純な答えがない問題ばかりです。

そのため、現状を正しく分析し、問題の本質を見抜き、それを解決するための具体的な道筋を自ら描き、実行に移せる「課題解決力」が不可欠です。

言われたことをこなすだけでなく、常に「なぜ」「どうすればもっと良くなるか」を考え、主体的に行動できる人が求められます。

複雑に利害が絡み合う状況でも、感情的にならずに情報を整理し、冷静に最適解を導き出す能力も重要です。

コミュニケーション能力が高い

商社パーソンは、社内外の本当に多くの人々と関わりながら仕事を進めます。

上司や同僚はもちろん、国内外の取引先、メーカー、銀行、弁護士、輸送会社など、その立場や国籍、文化は様々です。

これらの多様なステークホルダーと円滑な関係を築き、一つの目標に向かってプロジェクトを動かしていくためには、極めて高いコミュニケーション能力が求められます。

単に話が上手いということではありません。

相手の立場や考えを正確に理解する「傾聴力」、自分の意図を論理的かつ分かりやすく伝える「説明力」、そして利害が対立する場面で粘り強く合意形成を図る「交渉力」など、総合的な対話力が試されます。

チャレンジ精神とタフネスがある

商社のビジネスフィールドは、常に変化し続けています。

今まで誰も足を踏み入れたことのない国で新しいビジネスを立ち上げたり、全く未経験の分野の商材を担当したりと、「前例のない挑戦」の連続です。

こうした環境で活躍するためには、変化を恐れず、むしろ楽しむことができる旺盛な「チャレンジ精神」が欠かせません。

常に新しい知識を吸収し、自分の可能性を広げていきたいという意欲のある人が求められています。

同時に、その挑戦には困難がつきものです。

長時間のフライトや時差のある海外とのやり取り、厳しい交渉や膨大な業務量など、心身ともにハードな場面は少なくありません。

論理的思考力が高い

商社の仕事は、複雑な情報を整理し、合理的な判断を下す場面の連続です。

例えば、複数の国が関わる大規模なプロジェクトや、多額の資金を投じる事業投資の意思決定など、勘や経験だけに頼って進めることはできません。

客観的なデータや事実（ファクト）に基づき、物事の因果関係を正確に捉え、筋道を立てて結論を導き出す「論理的思考力（ロジカルシンキング）」が不可欠です。

なぜこのビジネスが有望なのか、どのようなリスクがあり、それに対してどう対策するのか。

こうした点を、誰が聞いても納得できるように説明できなければ、社内の合意を得ることも、取引先を説得することもできません。

変化への適応力と柔軟性がある

グローバルにビジネスを展開する商社では、予測不能な事態が日常的に発生します。

急な国際情勢の変化、為替の変動、取引先の倒産、あるいは担当する事業の方向転換など、昨日までの「正解」が今日には通用しなくなることも珍しくありません。

こうした環境では、決まったマニュアルややり方に固執するのではなく、状況に応じて臨機応変に対応できる「変化への適応力と柔軟性」が極めて重要になります。

【商社に向いている人】商社に向いていない人ってどんな人？

これまで商社で活躍できる人の特徴を見てきましたが、逆に「商社にはあまり向いていないかもしれない」という人の特徴についても触れておきたいと思います。

これは、誰かを否定したり、可能性を断定したりするためではありません。

むしろ、自分自身の苦手なことや課題を客観的に把握し、今後のキャリアを考える上でのミスマッチを防ぐために非常に重要です。

もし、これから挙げる特徴に心当たりがあったとしても、すぐに「自分は商社は無理だ」と諦める必要はありません。

自分の弱みを認識することは、それを克服するための努力を始める第一歩です。

それでは、具体的にどのような人が商社で働く上で苦労しやすいのか、見ていきましょう。

コミュニケーションが苦手な人

商社の仕事は、良くも悪くも「人」との関わりが全てと言っても過言ではありません。

社内外の様々な立場の人と対話し、交渉し、協力しながら仕事を進めていくため、コミュニケーションが根幹をなしています。

そのため、人と話すこと自体に強いストレスを感じたり、初対面の人と関係を築くのが極端に苦手だったりする人は、日々の業務で大きな精神的負担を感じてしまう可能性があります。

もちろん、誰にでも得意・不得意はあります。

口数が少ない人でも、誠実な対応で相手の信頼を勝ち取ることは可能です。

しかし、そもそも人と関わることを避けたい、一人で黙々と作業に集中したいという志向性が強い場合、チームで巨大な目標に挑む商社のスタイルとはギャップが生じやすいでしょう。

もしコミュニケーションに苦手意識があるなら、それを克服したいという前向きな意欲があるかどうかが、適性を判断する上での重要な分かれ目になります。

勉強が苦手な人

商社を取り巻くビジネス環境は、目まぐるしいスピードで変化しています。

新しい技術の登場、国際情勢の変化、各国の法改正など、昨日までの常識が今日には通用しなくなることも日常茶飯事です。

このような環境で生き残り、価値を提供し続けるためには、常に新しい情報や知識を学び続ける姿勢が不可欠です。

担当する業界の専門知識はもちろんのこと、語学、会計、法律、経済など、その学習範囲は多岐にわたります。

「学生時代で勉強は終わり」と考えている人や、新しいことを学ぶことに苦痛を感じる人にとっては、商社の仕事は厳しいものになるかもしれません。

飲み会や接待に行きたくない人

商社では、ビジネスを円滑に進めるための潤滑油として、取引先との会食や社内の飲み会が重要な役割を果たすことがあります。

もちろん、これは昔ながらの文化であり、近年は働き方改革の影響で過度な接待や強制的な飲み会は減少傾向にあります。

しかし、仕事後の付き合いを通じて相手との距離を縮め、人間関係を深めることが、結果的に大きなビジネスチャンスに繋がるという側面も依然として存在します。

そのため、公私の区別をきっちりと分けたい、仕事以外の時間は全て自分のために使いたいという考えが非常に強い人は、こうした文化に馴染めず、ストレスを感じるかもしれません。

体力に自信がない人

商社の仕事は、精神的なタフさだけでなく、純粋な「体力」が求められる場面が非常に多いです。

例えば、時差の大きい海外への頻繁な出張、深夜や早朝に及ぶ海外拠点との電話会議、プロジェクトの佳境における連日の残業など、不規則な生活や長時間労働を乗り越えなければならない局面が少なくありません。

特に若いうちは、体力勝負で乗り切らなければならない仕事も多いのが実情です。

そのため、もともと体力がなく疲れやすい人や、睡眠不足になるとすぐに体調を崩してしまう人、集中力が長時間続かない人にとっては、かなりハードな環境に感じられるでしょう。

【商社に向いている人】今日からできる！商社適性を上げる方法

ここまで商社に向いている人・向いていない人の特徴を解説してきましたが、「自分には少し足りない部分があるかも…」と不安に感じた人もいるかもしれません。

しかし、心配する必要はありません。

適性とは生まれつき決まっているものではなく、意識と行動次第でいくらでも伸ばしていくことができます。

大切なのは、自分の課題を認識し、それを克服するために今日から行動を起こすことです。

ここでは、特別なスキルや経験がなくても、日々の少しの心がけで商社で求められる適性を高めることができる、具体的な方法を4つご紹介します。

学業以外で“困難”に立ち向かった経験を積む

商社の仕事は、前例のない課題や予期せぬトラブルの連続です。

そうした困難な状況でも諦めずに粘り強く解決策を探し、最後までやり遂げる力が求められます。

この「粘り強さ」や「ストレス耐性」は、座学だけでは決して身につきません。

部活動、サークル、アルバイト、ボランティアなど、学業以外の活動の中で、自ら高い目標を掲げ、その達成のために壁にぶつかり、悩み、乗り越えた経験は、あなたを大きく成長させてくれます。

例えば、「アルバイト先で売上を上げるために新しい施策を提案し、反対されながらも周囲を説得して実行した」「部活動でレギュラーになるために、自分の弱点を分析し、泥臭い練習を毎日続けた」といった経験です。

その結果が成功でも失敗でも構いません。

日頃から世の中の動きにアンテナを張る

商社は、世界経済のダイナミズムの最前線に立つ仕事です。

そのため、世の中の出来事に対して常に高い感度を持っていることが求められます。

日頃から新聞やニュースアプリなどを活用し、国内外の政治、経済、社会の動きを意識的にチェックする習慣をつけましょう。

最初は難しいと感じるかもしれませんが、「なぜこのニュースが話題になっているのか」「この出来事は日本の産業にどんな影響を与えるのか」といったように、自分なりに背景を考える癖をつけることが大切です。

まずは自分の興味のある分野から情報収集を始めてみましょう。

多様な価値観を持つ人と積極的に交流する

商社の仕事は、国籍、文化、年齢、専門分野の異なる、本当に多様な人々と協働する仕事です。

自分とは違う考え方や価値観を持つ人々と円滑にコミュニケーションをとり、一つの目標に向かっていくためには、相手の背景を尊重し、理解しようと努める姿勢が不可欠です。

この「多文化理解力」や「柔軟性」を養うためには、普段の自分のコミュニティから一歩踏み出し、多様なバックグラウンドを持つ人々と積極的に交流する経験が非常に有効です。

こうした経験を通じて、どんな相手とでも物怖じせずに信頼関係を築ける力は、グローバルな舞台で活躍するための強力な武器になります。

英語力を高める

グローバルにビジネスを展開する商社において、英語はもはや「できたら有利なスキル」ではなく、「できて当たり前のツール」となりつつあります。

海外の取引先とのメールのやり取りや電話会議、英文契約書の読解など、英語を使う場面は日常的に存在します。

そのため、現時点で高い英語力を持っていることは、選考において大きなアドバンテージになります。

TOEICのスコアは客観的な指標となるため、目標スコアを設定して計画的に学習を進めることをお勧めします。

【商社に向いている人】商社のやりがい

商社の仕事は、タフで厳しい側面がある一方で、他では決して味わうことのできない、大きなやりがいと達成感に満ちています。

世界を舞台に、自分の力でビジネスを動かし、社会に影響を与えていく。

そのダイナミズムこそが、多くの就活生を惹きつけてやまない商社の最大の魅力と言えるでしょう。

ここでは、商社で働くことで得られる代表的な「やりがい」を3つの観点からご紹介します。

新規ビジネスの創出

商社の大きなやりがいの一つは、まだ世の中にないビジネスを、自らの手でゼロから創り出せる点にあります。

商社には、メーカーのように「自社製品」という制約がありません。

あるのは、世界中に広がる情報網とネットワーク、そして優秀な人材です。

これらをどう組み合わせ、どんな新しい価値を生み出すかは、社員一人ひとりのアイデアと行動力にかかっています。

自分の発想や提案が形になり、やがて大きな商流となって社会に影響を与えていくプロセスは、まさに圧巻です。

自分の仕事が世界を少しでも良くしていると実感できることは、働く上での大きなモチベーションとなるでしょう。

影響力が大きい

商社が手掛けるビジネスは、その一つひとつが社会や経済に与える影響力が非常に大きいのが特徴です。

取り扱う商品の金額は数億円、数千億円にのぼることも珍しくなく、一つの契約や投資の判断が、一つの企業の経営、ひいては一つの国の産業構造をも左右する可能性があります。

例えば、日本の電力会社のために、海外からLNG（液化天然ガス）を長期的に安定供給する契約をまとめれば、それは日本のエネルギー安全保障に直接的に貢献することになります。

大きな責任を全うしながら、社会の根幹を支えるダイナミックな仕事に携われることは、商社で働くことの醍醐味と言えるでしょう。

様々な人と関わることができる

商社の仕事を通じて、本当に多種多様な人々と出会い、深く関わることができます。

国籍、言語、文化、宗教、専門分野、社会的地位など、自分とは全く異なるバックグラウンドを持つ人々と、ビジネスのパートナーとして対等に渡り合う日々は、知的な刺激に満ちています。

国内の優良企業の経営者から、海外の政府要人、新興国の零細企業のオーナーまで、普通の人生では決して出会うことのないような人々との交流を通じて、人間としての幅を大きく広げることができます。

異なる価値観に触れる中で、自分がいかに狭い世界で生きてきたかを思い知らされることもあるでしょう。

【商社に向いている人】商社で求められるスキル

商社というグローバルでダイナミックな舞台で活躍するためには、一体どのようなスキルが求められるのでしょうか。

これまで「向いている人の特徴」としても触れてきましたが、ここではより具体的に、入社後にプロフェッショナルとして成果を出すために不可欠となる4つの重要なスキルに焦点を当てて解説します。

これらのスキルは、一朝一夕で身につくものではなく、日々の業務を通じて意識的に磨き続けていく必要があります。

これらのスキルを理解することは、入社後の自分の姿を具体的にイメージし、就職活動において何をアピールすべきかを考える上で非常に重要です。

コミュニケーション能力

商社で求められるスキルの筆頭は、やはりコミュニケーション能力です。

これは、単に「話すのが上手い」ということではありません。

相手の真のニーズや懸念を正確に引き出す「傾聴力」、複雑な事柄を分かりやすく論理的に伝える「説明力」、そして利害が対立する中で粘り強く合意点を形成する「交渉力」といった、複合的な能力を指します。

社内外の多様な関係者と信頼関係を築き、巨大なプロジェクトを円滑に進めるためには、この力が全ての土台となります。

身体的・精神的な体力

商社の仕事は、知的で華やかなイメージがある一方で、極めてタフな「体力」が求められる仕事でもあります。

例えば、アジア、ヨーロッパ、アメリカを数日間で飛び回るような弾丸出張や、地球の裏側にいる相手との深夜に及ぶテレビ会議は日常茶飯事です。

不規則な生活リズムや時差ボケに耐え、常にベストなパフォーマンスを発揮するための「身体的な体力」は、グローバルに活躍するための大前提となります。

英語力

グローバルビジネスの共通言語である英語は、商社で働く上で必須のスキルと言えます。

海外の取引先とのメールや電話、契約書の読解、国際会議でのプレゼンテーションなど、ビジネスのあらゆる場面で英語力が求められます。

TOEICの高スコアはもちろん評価されますが、それ以上にビジネスの現場で実際に使える「実践的な英語力」が重視されます。

相手の言いたいことを正確に理解し、自分の考えを的確に伝え、時にはジョークを交えて場の雰囲気を和ませるといった、生きたコミュニケーションツールとしての英語力が不可欠です。

もちろん、入社時点ですべての社員が完璧な英語を話せるわけではありません。

多くの商社では、研修制度が充実しており、入社後に語学力を向上させる機会が豊富に用意されています。

多文化理解

商社のビジネスは、異なる文化を持つ人々との協働なくしては成り立ちません。

自分たちの文化や価値観を一方的に押し付けるのではなく、相手の国の歴史や宗教、商習慣を深く理解し、尊重する姿勢、すなわち「多文化理解」のスキルが極めて重要になります。

例えば、イスラム圏の国でビジネスをするのであれば、ラマダン（断食月）の習慣を理解し、相手の働き方に配慮することが信頼関係の第一歩となります。

このスキルは、単に知識として知っているだけでは不十分です。

実際に異文化の中に身を置き、戸惑いや葛藤を経験しながら、相手との最適な関わり方を見つけ出していくプロセスを通じて磨かれます。

【商社に向いている人】商社に行くためにすべきことは？

商社が自分に合っているかもしれないと感じ、具体的な選考対策を始めたいと思ったあなたへ。

ここからは、憧れの商社から内定を勝ち取るために、今すぐ始めるべき具体的なアクションプランを3つ紹介します。

商社の選考は人気が高く、競争が激しいことは事実です。

これから紹介する3つのステップを実践することで、受け身の姿勢ではなく、主体的に情報を掴み取りにいくことで、他の就活生と大きな差をつけることができますので、ぜひ参考にしてください。

業界・企業研究をする

まず最初に取り組むべきは、徹底的な業界・企業研究です。

商社と一言で言っても、総合商社と専門商社ではビジネスモデルが大きく異なりますし、同じ総合商社の中でも、各社がどの地域やどの分野に強みを持っているのか、社風や人材育成の方針はどう違うのかといった点は千差万別です。

これらの違いを理解せず、「グローバルに働きたい」といった漠然とした志望動機を語っても、面接官には響きません。

企業の採用ホームページやIR情報（投資家向け情報）を読み込むのはもちろん、新聞やビジネス雑誌の記事、業界研究本などを活用して、多角的に情報を収集しましょう。

特に、中期経営計画などを読み解くと、その企業が今後どこに注力しようとしているのかが見えてきます。

自分が入社したら、どの分野でどのように貢献したいのかを具体的に語れるレベルまで理解を深めることが、志望度の高さをアピールする上で非常に重要です。

インターンシップに参加する

業界や企業についてある程度理解が深まったら、次はインターンシップに参加してみましょう。

百聞は一見に如かず、です。

実際に企業のオフィスに足を運び、社員の方々と交流し、仕事の一部を体験することで、Webサイトや資料だけでは決して分からない「生の情報」に触れることができます。

会社の雰囲気は自分に合っているか、社員の方々はどんな思いで働いているのか、仕事の面白さや厳しさはどんな点か。

これらを肌で感じることは、自分の適性を見極め、志望動機を固める上で何よりも貴重な経験となります。

自分の力を試す絶好の機会と捉え、積極的に参加しましょう。

OB/OG訪問をする

企業研究やインターンシップと並行して、ぜひ積極的に行ってほしいのがOB/OG訪問です。

採用ホームページや説明会で語られるのは、あくまで企業の「公式見解」です。

一方で、OB/OG訪問では、現場で働く社員の方々から、仕事のリアルなやりがいや苦労、キャリアパス、社内の人間関係といった、より本音に近い話を聞くことができます。

こうした具体的な話は、あなたの商社に対するイメージをより解像度の高いものにしてくれるでしょう。

熱心に質問する姿勢は、志望度の高さをアピールすることにも繋がります。

大学のキャリアセンターなどを通じてコンタクトを取り、積極的に機会を作り出しましょう。

【商社に向いている人】就活で困ったことがあったらエージェントに相談しよう！

商社を目指して就職活動を進める中で、「自分の強みが商社でどう活かせるか分からない」「エントリーシートの書き方や面接対策に自信がない」といった悩みや不安にぶつかることもあるでしょう。

特に商社は人気が高く、選考も独特な場合が多いため、一人で対策を進めるのには限界があります。

そんな時に頼りになるのが、就活エージェントの存在です。

就活エージェントは、いわば「就活のプロフェッショナル」です。

数多くの学生をサポートしてきた経験から、商社業界の最新動向や、各企業が求める人物像、過去の選考情報などを熟知しています。

客観的な視点からあなたのアピールポイントを一緒に見つけてくれたり、効果的な自己PRの仕方をアドバイスしてくれたりします。

【商社に向いている人】商社就活でよくあるQ&A

ここでは、商社を目指す就活生の皆さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

多くの人が抱く共通の疑問を解消することで、あなたの不安を少しでも和らげ、より前向きに就職活動に取り組むための一助となれば幸いです。

Q1：商社は英語ができないと無理？

結論から言うと、入社時点で完璧な英語力が求められるわけではありません。

もちろん、TOEICのスコアが高いなど、高い英語力があれば選考で有利になることは間違いありません。

しかし、それ以上に企業が見ているのは、語学に対する学習意欲や、グローバルな環境で挑戦したいという強い意志です。

多くの商社では、入社後の研修制度が非常に充実しており、働きながら語学力を向上させる機会が豊富に用意されています。

実際、入社時は英語が苦手だった社員が、海外赴任を経てビジネスで流暢に使いこなせるようになるケースも珍しくありません。

大切なのは、現時点での能力よりも、英語の必要性を理解し、継続的に努力し続けられるポテンシャルがあるかどうかです。

英語力に自信がなくても、学ぶ意欲をアピールできれば、チャンスは十分にあります。

Q2：激務って本当？ワークライフバランスは？

「商社＝激務」というイメージは、確かにある程度事実です。

世界中の取引先と仕事をするため、時差の関係で早朝や深夜の対応が必要になることもありますし、大きなプロジェクトの佳境では、長時間労働が続くこともあります。

しかし、近年は社会全体の働き方改革の流れを受け、商社業界でもワークライフバランスを改善しようという動きが活発になっています。

フレックスタイム制の導入や、有給休暇取得の奨励、男性の育児休暇取得の推進など、各社が様々な取り組みを進めています。

もちろん、部署や担当する案件、時期によって忙しさの波があるのは事実です。

重要なのは、仕事のやりがいや成長実感と、プライベートの時間とのバランスを、あなた自身がどう捉えるかです。

OB/OG訪問などを通じて、リアルな働き方について情報を集め、自分に合った環境かを見極めることが大切です。

Q3：文系でも理系でも活躍できる？

はい、全く問題ありません。

商社では、出身学部を問わず、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。

大切なのは、文系か理系かということよりも、これまで何を学び、そこからどんな力を身につけたかです。

例えば、法学部や経済学部で培った専門知識は、契約交渉や事業投資の場面で直接活かすことができますし、文学部や社会学部で養った文化への洞察力やコミュニケーション能力も、グローバルな人間関係を築く上で大きな武器になります。

一方、理系の学生は、化学品や機械といった専門性の高い商材を扱う部署や、メーカーと共同で技術開発を行うような場面で、その専門知識を大いに発揮できます。

自分の専門性をどうビジネスに繋げられるかを考え、アピールすることが重要です。

まとめ

この記事では、商社に向いている人の特徴から、具体的な仕事内容、メーカーとの違い、そして内定を勝ち取るためのアクションプランまで、幅広く解説してきました。

商社の仕事は、グローバルな舞台で大きなビジネスを動かすダイナミックなものであると同時に、泥臭い努力やタフな精神力が求められる厳しい世界でもあります。

大切なのは、華やかなイメージだけでなく、その仕事の本質を理解した上で、「それでも挑戦したい」という強い意志を持てるかどうかです。

この記事で紹介した「向いている人の特徴」に、今のあなたが完全に当てはまらなくても、落ち込む必要はありません。

自分の強みと弱みを客観的に把握し、これからどう成長していきたいかを考えることこそが、就職活動の第一歩です。

今日からできる行動を一つでも実践し、自分だけの言葉で商社への熱意を語れるよう準備を進めてください。

監修者

柴田貴司

明治大学院卒業後、就活メディア運営｜自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート