就職活動において、志望動機は選考突破のカギを握る重要な要素です。
しかし、多くの就活生がネットで拾ったテンプレートやありきたりな表現を使ってしまい、採用担当者に見抜かれてしまうケースが後を絶ちません。
この記事では、ありがちなNG志望動機パターンを徹底解説し、どのようにすれば伝わる志望動機へ改善できるのかを具体的に紹介していきます。
目次[目次を全て表示する]
【NGな志望動機】そのまま使ったテンプレは必ずバレる
志望動機を考える際、ネットにあふれるテンプレートに頼りたくなる気持ちはよくわかります。
短時間で形を整えたい、失敗したくないという心理が働くからです。
しかし、採用担当者は何百枚ものエントリーシートや志望動機を見慣れています。
そのため、少しでも使い回し感やオリジナリティのなさを感じ取れば、簡単に見抜かれてしまいます。
ここでは、テンプレート使用がなぜバレるのか、その具体的な理由を3つに分けて解説します。
- 見抜かれる理由①:どこかで見たような文面になっている
- 見抜かれる理由②:企業名・業界名を入れ替えただけ
- 見抜かれる理由③:自分の経験と接続されていない
見抜かれる理由①:どこかで見たような文面になっている
志望動機でありがちな失敗は、どこかで見たような言い回しをそのまま使ってしまうことです。
御社の企業理念に感銘を受けましたといった、無難な言葉を並べるだけでは、他の応募者との差別化ができません。
採用担当者は日々大量の応募書類をチェックしているため、テンプレ感のある文面はすぐに目につきます。
本人はオリジナリティを出したつもりでも、読む側からするとまたこのパターンかと思われ、興味を持ってもらえないリスクが高まります。
志望動機は、あなた自身の具体的な経験や価値観を反映させることが重要です。
テンプレに頼るのではなく、自分の言葉で語る意識を持ちましょう。
見抜かれる理由②:企業名・業界名を入れ替えただけ
テンプレートを使う人の多くがやりがちなミスが、企業名や業界名だけを差し替えて使い回すことです。
この方法では、企業ごとの特色や求める人物像に合わせた志望動機にはなりません。
結果として、どの会社でも通用する内容だなと見抜かれてしまいます。
企業は、自社にマッチする人材を求めており、なぜこの会社なのかという明確な理由を知りたがっています。
企業名を差し替えた程度では、その期待には応えられません。
志望動機を書く際は、その企業ならではの特徴や、自分との接点を具体的に盛り込むことが必要です。
テンプレを使うにしても、必ず企業研究を深めたうえで、自分なりのアレンジを加えることを心がけましょう。
見抜かれる理由③:自分の経験と接続されていない
どれだけきれいな文章を書いても、自分の経験や考えと結びついていない志望動機は説得力に欠けます。
社会貢献に興味があると述べたとしても、それに関連する自分の行動や体験が語られていなければ、単なるきれいごとに聞こえてしまいます。
採用担当者は、言葉だけでなく、その背景にある行動や価値観を重視しています。
過去の経験から何を感じ、どのように将来のキャリアに結びつけようとしているのかを具体的に伝えることが、志望動機に深みを与えるポイントです。
自分自身のストーリーと企業との接点を意識しながら、オリジナリティのある志望動機を作り上げましょう。
【NGな志望動機】企業ごとの違いを無視すると落ちる理由
志望動機を書く際に、企業ごとの違いを意識しないのは大きなリスクです。
どの会社にも通用するような志望動機では、採用担当者に本当にうちを志望しているのか?と疑われ、選考を通過できない可能性が高まります。
企業は、自社の特徴や理念に共感し、自分たちのフィールドで活躍できる人材を求めています。
この章では、企業ごとの違いを無視するとどんなマイナス評価を受けるのか、具体的な落ちる理由を3つに分けて解説します。
- 企業への理解不足とみなされるから
- 志望度が低いと思われるから
- 入社後のミスマッチを懸念されるから
企業への理解不足とみなされるから
企業ごとの違いを無視した志望動機は、この人はうちのことをよく理解していないなとすぐに見抜かれます。
企業研究が浅いまま書いた志望動機は、どこか表面的で具体性に欠け、印象に残りにくくなります。
企業は、自社のビジョンや事業内容、求める人物像を理解したうえで応募してほしいと考えています。
そのため、応募者の志望動機に企業ならではの要素が含まれていないと、数ある企業の一つにすぎないのだろうと受け取られてしまいます。
志望動機には、その企業特有の取り組みや理念への共感、自分との接点を織り交ぜ、しっかりと理解していることを伝えることが重要です。
志望度が低いと思われるから
企業ごとの違いを無視した志望動機は、結果的に志望度が低いと受け取られやすくなります。
どの会社でも言えるような志望動機しか書かれていない場合、採用担当者は「本当に入社したいのだろうか」「すぐに辞めてしまうのではないか」と不安を感じます。
企業は内定を出す以上、長く活躍してもらいたいと考えています。
そのため、志望度の高さを志望動機から感じ取れない応募者は、どうしても選考で後回しにされがちです。
志望動機を書くときは、企業ごとの強みや独自性に触れたうえで、なぜこの会社でなければならないのかを言葉にすることが、志望度の高さを伝えるカギとなります。
入社後のミスマッチを懸念されるから
企業ごとの違いを無視した志望動機は、採用後のミスマッチリスクを高める要因として懸念されます。
志望動機に企業独自の文化や仕事内容への理解が見られない場合、実際に働き始めたらギャップを感じてすぐに辞めてしまうのではないかと不安に思われるからです。
企業は、組織に合う人材を採用し、長期的に活躍してもらいたいと考えています。
だからこそ、応募者が企業の特色や職場環境を理解し、自分に合っていると確信していることを志望動機から感じ取りたいのです。
ミスマッチを防ぐためにも、企業独自の価値観や働き方に共感していることをしっかりアピールする必要があります。
【NGな志望動機】その企業でなければならない理由を加える方法
志望動機を書く際に、ただこの業界に興味があるや社会貢献がしたいといった抽象的な内容で終わってしまうと、採用担当者には響きません。
特に重要なのはなぜ数ある企業の中でもこの会社なのかを明確に伝えることです。
企業独自の特徴や、自分自身の経験・価値観との接点をしっかりと示すことで、志望動機に説得力が生まれます。
この章では、企業ごとの違いを意識してこの会社だからこそと伝えるための方法を3つに分けて解説していきます。
- 企業独自の強みをリサーチして言語化する
- 競合他社と比較して違いを明確にする
- 自分の経験・価値観と接続して動機に落とし込む
企業独自の強みをリサーチして言語化する
その企業でなければならない理由を伝えるには、まず企業独自の強みをしっかりリサーチすることが不可欠です。
業界内でのポジション、特有のビジネスモデル、理念やビジョン、社風など、他社にはない特徴を探し、自分なりの言葉で整理しましょう。
企業のホームページ、ニュースリリース、採用情報だけでなく、説明会やOB・OG訪問を通じた生の声も参考にできます。
大切なのは、単に情報を列挙するのではなく、自分はどこに魅力を感じたのか、どの部分に共感したのかを明確にすることです。
独自の強みをリサーチして言語化することが、他社ではなくその企業を志望する理由づけになります。
競合他社と比較して違いを明確にする
企業ごとの違いを際立たせるためには、競合他社との比較も欠かせません。
同じ業界内には似たような企業が並んでいますが、それぞれに特徴や強みがあります。
A社はスピード感を重視する文化、B社は安定性と丁寧さを大切にする文化、といった違いがあるかもしれません。
こうした違いを理解したうえで、だから私はこの企業を志望するという理由を組み立てると、説得力が格段に高まります。
ただし、他社を否定する表現は避けましょう。
あくまで比較したうえで、自分によりフィットするのはこの会社だったという前向きな伝え方を心がけることが大切です。
自分の経験・価値観と接続して動機に落とし込む
企業独自の特徴をリサーチし、競合との違いを理解したら、最後に重要なのはそれを自分の経験や価値観と接続することです。
「学生時代に挑戦を恐れず行動した経験があり、その文化が根付く御社に共感した」というように、企業の特徴と自分自身のストーリーを結びつけます。
この接続がないと、志望動機は単なる企業紹介で終わってしまい、あなた自身の個性が伝わりません。
逆に、自分の経験や価値観と企業の特徴を自然にリンクさせることができれば、面接官にこの人はうちで活躍してくれそうだと強く印象づけることができます。
志望動機は企業と自分の接点を伝える場だと意識しましょう。
【NGな志望動機】まじめに考えたのに落ちる人の特徴
自己分析や業界研究に真剣に取り組み、志望動機も時間をかけて考えたのに、なぜか選考に通らない。
そんな経験をしたことはありませんか。
重要なのは、企業側に伝わるかどうかです。
この章では、まじめに考えているのに落ちてしまう就活生にありがちな3つの特徴を整理し、改善のヒントを紹介します。
- 自己分析だけで完結してしまっている
- 自分の話だけで終わり、企業との接点が見えない
- 企業視点が抜けていて、魅力的に映らない
自己分析だけで完結してしまっている
自己分析を丁寧に行い、自分の強みや価値観をしっかり言語化できたとしても、それだけでは選考を突破することはできません。
な自己分析はあくまでスタート地点であり、志望動機は自分と企業を結びつける作業だからです。
自己理解に満足してしまい、自分はこういう人間ですで話が終わってしまうと、採用担当者はその先をイメージできません。
志望動機では、自己分析で得た強みや価値観を、企業の事業内容や文化とどう接続するかが求められます。
だからこの企業で活躍できるという未来像まで描けて初めて、自己分析が意味を持つのです。
自分の話だけで終わり、企業との接点が見えない
まじめに考えた志望動機でも、自分が何をしてきたかばかりを語り、企業との接点が見えないケースは意外と多くあります。
大学時代に頑張ったエピソードを詳細に語ったにもかかわらず、なぜその経験がこの企業で活きるのかが伝わらないと、評価にはつながりません。
企業側が知りたいのは、応募者が自社でどのように活躍してくれるかという未来です。
過去の話をする際は、必ず「この経験を活かして、御社でこう貢献したい」という未来へのつながりをセットで語ることが重要です。
自己満足で終わらない、企業視点を意識した志望動機を目指しましょう。
企業視点が抜けていて、魅力的に映らない
自分の強みや経験を一生懸命伝えたとしても、企業視点が抜けていると、採用担当者には魅力的に映りません。
企業は単に優秀な人材を求めているのではなく、自社にフィットし、長く活躍してくれる人材を探しています。
そのため、志望動機では自分がどうなりたいかだけでなく、「企業が自分に何を期待しているか」を意識して伝えることが必要です。
企業の事業戦略や求める人物像を踏まえたうえで、自分の強みをどう活かせるかを語ると、グッと説得力が増します。
企業視点を取り入れることで、あなた自身の志望動機がぐっと魅力的に見えるはずです。
【NGな志望動機】落ちる人に共通する5つのNGパターン
志望動機が通過しない理由には、いくつか共通するパターンがあります。
志望動機で大切なのは、企業側が知りたいポイントを押さえたうえで、自分の言葉で論理的に伝えることです。
この章では、就活生がよくやってしまうNGな志望動機の特徴を5つ紹介し、それぞれなぜダメなのかを具体的に解説していきます。
- 成長したい・学びたいだけの抽象ワード
- 福利厚生しか書いていない志望動機
- 誰にでも当てはまるような内容になっている
- 仕事内容や職種理解が浅い
- 共感で終わってしまい、論理性や裏付けがない
成長したい・学びたいだけの抽象ワード
成長したい、学びたいという気持ちは、多くの就活生が抱いている自然な願望です。
しかし、それだけを志望動機にしてしまうと、何を目指して成長したいのか、なぜその企業なのかが見えてきません。
企業側は、ただ成長意欲があるだけの学生を求めているわけではありません。
事業内容や仕事内容と絡めて、どのように成長していきたいかを具体的に語る必要があります。
グローバル事業に携わり、異文化間でのビジネススキルを高めたいといった形で、成長の方向性と企業の強みを結びつけることが大切です。
抽象的な言葉だけで終わらず、志望動機に具体性を持たせましょう。
福利厚生しか書いていない志望動機
年間休日の多さやリモートワーク制度など、福利厚生の充実を志望理由の中心に据えてしまうと、企業への本気度が疑われます。
働きやすい環境に惹かれるのは自然なことですが、それだけではなぜその企業で働きたいのかが伝わりません。
福利厚生はあくまでプラス要素であり、志望理由の本筋にはなりえないという意識が必要です。
企業が重視するのは、仕事に対する熱意や、会社の理念・ビジネスへの共感です。
福利厚生に触れる場合も、キャリア形成や働き方への考え方と絡めて、志望動機に深みを持たせるよう意識しましょう。
誰にでも当てはまるような内容になっている
どの企業にも通じるような汎用的な志望動機では、採用担当者の心には響きません。
「社会に貢献したい」「多様な経験を積みたい」といった表現だけでは、応募者本人の個性や企業との接点が見えてこないのです。
企業は、自社の理念やビジョン、事業内容に共感し、そこに自分の経験や思いを重ね合わせられる人を求めています。
志望動機を書く際は、その企業ならではの特徴をしっかり掴み、自分がなぜ惹かれたのか、どのように貢献できるかを明確に伝えることが重要です。
自分にしか書けない言葉を選び、オリジナリティを持たせましょう。
仕事内容や職種理解が浅い
企業に惹かれて応募したにもかかわらず、仕事内容や職種への理解が浅いと、志望動機は空回りしてしまいます。
仕事内容に触れずに「人の役に立ちたい」とだけ語ったり、職種を間違えて認識していたりすると、志望度そのものを疑われかねません。
企業側は、応募者が実際にどんな業務をするのか理解したうえで志望しているかを重視しています。
志望動機を作成する際は、企業のホームページや採用情報、社員インタビューなどを活用して、具体的な業務内容や求められるスキルをきちんと把握しておきましょう。
職種理解の浅さは、選考で致命的なミスにつながります。
共感で終わってしまい、論理性や裏付けがない
企業理念や社風に共感したことを志望動機として書くのは悪いことではありません。
しかし、単に「共感しました」と伝えるだけでは弱く、説得力に欠けます。
共感を語るなら、その背景にある自分自身の経験や価値観をセットで語ることが必要です。
どのような経験からその考え方を持つようになり、それが企業の理念とどのようにつながったのかを具体的に示すと、志望動機に深みが生まれます。
論理的な流れと、経験に裏打ちされた熱意を持って伝えることで、企業側に納得感を与えることができます。
共感だけで終わらず、しっかりと根拠を持ってアピールしましょう。
【NGな志望動機】福利厚生を志望動機にしてもいいの?
近年、年間休日数、リモートワーク、フレックス制度、産休育休など、働き方を重視する就活生が増えています。
そのため、福利厚生に惹かれて企業を志望するケースも珍しくありません。
しかし、福利厚生だけを前面に押し出すと、志望度が低いと受け取られたり、すぐに辞めそうな印象を与えたりするリスクもあります。
この章では、福利厚生を志望動機に含めても良いのか、どのように伝えればポジティブに受け止められるのか、注意点とポイントを具体的に解説していきます。
- 年間休日・有給休暇を重視する場合の伝え方
- リモートワーク・フレックス制度を重視する場合の伝え方
- 産休育休など制度面を志望動機に盛り込む場合の伝え方
年間休日・有給休暇を重視する場合の伝え方
年間休日の多さや有給休暇の取得率が高いことに魅力を感じるのは自然なことです。
しかし、それだけを志望動機として伝えてしまうと、働く目的や仕事に対する熱意が見えず、マイナス評価につながる恐れがあります。
休みが多いからという理由だけではなく、自分が大切にしている働き方やライフスタイルに関する考え方とセットで伝えることが重要です。
「仕事に全力で取り組むためにも、オンとオフをしっかり切り替えられる環境を重視している」といった形で、自分なりの理由付けを加えると、前向きな印象になります。
単なる条件面ではなく、価値観の一部として福利厚生に触れることがポイントです。
リモートワーク・フレックス制度を重視する場合の伝え方
リモートワークやフレックスタイム制度に魅力を感じる就活生は年々増えています。
柔軟な働き方を求めること自体は問題ではありませんが、伝え方を間違えると「楽をしたいだけ」と受け取られてしまう危険性があります。
リモートやフレックスを志望動機に含める場合は、自分に自己管理力があり、自律的に仕事を進める意欲があることを伝えましょう。
また、柔軟な働き方の中でも、チームとの連携や成果へのコミットを意識していることをアピールすると、信頼感が高まります。
単なる条件希望ではなく、働き方に対する意識の高さをセットで語ることが大切です。
さらに詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
産休育休など制度面を志望動機に盛り込む場合の伝え方
産休育休制度の充実に惹かれるのは、長期的なキャリアを考えるうえで自然な視点です。
しかし、志望動機で制度の話ばかりを強調してしまうと、短期的な視点や受け身な印象を与えてしまうことがあります。
制度に触れる場合は、単なる利用希望として語るのではなく、「長期的なキャリアを築きたい」「ライフイベントを経ても成長し続けたい」という前向きな姿勢と結びつけましょう。
制度の充実をきっかけに、その企業で安心して働き続けられる未来を描いていることを伝えられれば、ポジティブに受け止められます。
長期目線と成長意欲をセットで示すことが、制度を志望動機に含める際のカギです。
他にも年収や転勤の志望動機について興味がある方はこちらをご覧ください。
【NGな志望動機】企業の違いを意識した志望動機の作り方
志望動機を書くうえで最も重要なのは、「なぜこの企業なのか」を明確に伝えることです。
企業ごとに理念や事業内容、社風は異なり、どの企業にも当てはまる志望動機では通用しません。
本当にその企業を志望していることを伝えるためには、企業独自の特徴を捉え、自分との接点を言語化する力が求められます。
この章では、企業の違いを意識した志望動機を作成するための具体的なステップを3つに分けて紹介していきます。
- STEP1:企業のらしさを見つける
- STEP2:「なぜこの会社か」に一貫性を持たせる
- STEP3:志望理由に個人の経験を結びつける
STEP1:企業のらしさを見つける
まず最初に取り組むべきは、企業の「らしさ」を見つけることです。
企業のホームページやIR情報、採用ページを読み込むだけでなく、説明会やインターンシップで得た情報もヒントになります。
業界内でのポジション、提供しているサービスや製品、企業理念、重視している価値観などを洗い出し、その企業特有の特徴を掴みましょう。
同じ業界の中でも、スピード感を重視する企業もあれば、丁寧な顧客対応を強みにしている企業もあります。
この「らしさ」に気づけるかどうかが、オリジナリティのある志望動機を書けるかどうかを左右します。
STEP2:なぜこの会社かに一貫性を持たせる
企業の特徴を把握したら、次に「なぜこの会社なのか」という一貫性を持たせることが重要です。
自分の価値観、経験、将来像と、企業が持つビジョンや事業戦略を自然に結びつけることを意識しましょう。
「成長できそうだから」だけでは弱く、「どの部分に共感し、どのような姿を目指しているか」まで踏み込んで言語化することが大切です。
一貫性がある志望動機は、採用担当者に「この人はしっかり考えて応募している」と伝わり、説得力を大きく高めます。
自分の軸と企業の軸が交わるポイントを明確に言葉にしましょう。
STEP3:志望理由に個人の経験を結びつける
最後のステップは、個人の経験を志望理由に結びつけることです。
単に企業の理念や特徴に共感しただけでは説得力に欠けます。
自分の過去の行動や経験の中で、企業が大切にしている価値観と重なるものを探し、それを志望理由に組み込みましょう。
困難な状況でも挑戦を続けた経験があり、それがベンチャー気質を重視する企業とマッチする、という形です。
具体的なエピソードを交えて語ることで、あなたの思いや適性がリアルに伝わり、採用担当者に強い印象を残すことができます。
経験と志望理由の接続こそが、オリジナリティと説得力を両立させる鍵です。
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
【NGな志望動機】企業差を活かす3つの差別化軸
多くの就活生が志望動機で苦労する理由の一つは、他社との差別化ができていないことにあります。
ただ好きだと伝えるだけでは、他の応募者と埋もれてしまい、採用担当者の印象に残りにくくなります。
差別化を図るためには、企業独自の強みを見つけるだけでなく、志望動機の中でどの観点に注目するかが重要です。
この章では、特に意識したい「理念」「仕事」「人」という3つの差別化軸を紹介し、それぞれどう志望動機に落とし込めばいいかを解説していきます。
- 理念・ビジョンの共感ポイントを深掘る
- 業務内容や役割に惹かれた理由を明確にする
- 社員・社風への接点や共感を志望動機にする
理念・ビジョンの共感ポイントを深掘る
企業の理念やビジョンに共感することは、強い志望動機を作るうえで非常に有効です。
しかし、「理念に共感しました」と表面的に語るだけでは伝わりません。
どの部分に共感したのか、なぜその考え方に惹かれたのか、自分の価値観や過去の経験と結びつけて深掘りすることが大切です。
困難な状況でも挑戦を続けた企業の姿勢に、自身の挑戦経験を重ね合わせるといった形です。
理念との接点を具体的に語ることで、単なる感想ではなく、強い結びつきとして採用担当者に伝えることができます。
理念やビジョンは差別化しやすいポイントなので、しっかり掘り下げましょう。
業務内容や役割に惹かれた理由を明確にする
事業内容や業務内容に惹かれた場合も、具体的な理由を明確にすることが重要です。
「事業に興味がある」とだけ述べても、説得力はありません。
その業界や職種を志望する理由に加えて、なぜその企業の事業・仕事に魅力を感じたのか、自分自身の経験や将来像と絡めて伝える必要があります。
学生時代の研究やアルバイト経験から興味を持った領域があり、それを活かせる環境として志望している、という流れです。
業務内容に惹かれた理由が具体的であればあるほど、応募者自身の適性や熱意がリアルに伝わります。
社員・社風への接点や共感を志望動機にする
社員との接点や社風に惹かれたことを志望動機にするのも効果的な方法です。
ただし、「雰囲気が良かった」といった漠然とした感想で終わらないよう注意が必要です。
どのような場面で、どんな社員の姿勢や考え方に共感したのか、具体的にエピソードを交えて伝えることが重要です。
説明会やインターンシップ、OB・OG訪問での体験をもとに、「この社風なら自分も成長できる」「価値観が一致している」といった形で志望動機につなげると、説得力が高まります。
人や社風への共感は、働くイメージを具体的に持っている証拠として、採用担当者にも好印象を与えやすいポイントです。
【NGな志望動機】PREP法で伝わる志望動機に仕上げよう
志望動機を作る際に、思いをただ並べるだけでは相手に伝わりません。
採用担当者に納得感を持って受け止めてもらうためには、論理的な構成が欠かせません。
そこで役立つのがPREP法です。
PREP法とは、結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→再結論(Point)の順で話を展開するフレームワークで、読み手に伝わりやすく説得力のある文章を作ることができます。
この章では、志望動機にPREP法をどう活用するか、各パートごとに具体的に解説していきます。
- Point(結論)
- Reason(理由)
- Example(具体例)
- Point(再結論)
Point(結論)
志望動機では、最初に結論を明確に伝えることが重要です。
ここで言う結論とは、私は貴社を志望しますという意思表明だけでなく、その理由の核となる部分まで含めます。
「社会インフラを支える貴社の事業に共感し、志望いたしました」という形で、志望する理由を簡潔に伝えましょう。
最初に結論を示すことで、採用担当者は話の全体像をイメージしやすくなり、その後に続く理由や具体例も理解しやすくなります。
ダラダラと前置きせず、結論から始めることが、伝わる志望動機への第一歩です。
Reason(理由)
結論を伝えたら、次に「なぜそう思ったのか」を理由として説明します。
このパートでは、自分の価値観や興味関心、キャリアビジョンと企業の特徴がどう結びついているかを語ることが求められます。
理由を述べる際は、できるだけ具体的に「どの部分に惹かれたのか」「なぜそこに魅力を感じたのか」を言葉にしましょう。
抽象的な表現ではなく、自分の言葉で噛み砕いて説明することで、説得力が格段に増します。
理由がしっかりしていれば、志望動機全体が芯のあるメッセージになります。
Example(具体例)
理由を述べたあとは、それを裏付ける具体的な経験やエピソードを紹介します。
この部分があることで、単なる理屈ではなく、実体験に基づいた本音の志望動機だと伝わります。
経験を語る際には、「どんな状況で」「どのような行動を取り」「何を学んだのか」を意識して整理すると、ストーリー性が生まれます。
チームで困難を乗り越えた経験があれば、それを通じて自分の強みや志向性を自然に示すことができます。
エピソードは長くなりすぎず、志望動機に直結するポイントを意識して選びましょう。
Point(再結論)
最後にもう一度結論に戻り、入社後にどのように貢献したいかを述べます。
この再結論では、単なる入社希望ではなく、企業側に対してどんな価値を提供できるかを意識することが大切です。
志望理由と経験を踏まえたうえで、「だからこそ、貴社で〇〇の分野において成長し、貢献したい」と具体的に締めくくると、志望動機全体がきれいにまとまります。
結論を二度述べることで、読み手に強い印象を与え、あなたの熱意や適性がより鮮明に伝わるでしょう。
PREP法で志望動機の論理的な組み立て方を習得した後は考え方全体を深めることができるこの記事がおすすめです。
【NGな志望動機】注意するべきNG例文3選
いくら頑張って作った志望動機でも、伝え方を間違えれば逆効果になってしまうことがあります。
特に、抽象的すぎる表現や条件面だけに焦点を当てた志望動機は、採用担当者に響きにくく、選考で不利になる可能性が高いです。
この章では、就活生がついやってしまいがちなNG志望動機の例文を3つ紹介します。
どのようなポイントに注意すべきかを具体的に把握し、自分の志望動機づくりに活かしていきましょう。
- 抽象的すぎる志望動機のNG例
- 福利厚生だけに触れた志望動機のNG例
- どの企業にも当てはまるコピペ志望動機のNG例
抽象的すぎる志望動機のNG例文
私は社会に貢献できる仕事がしたいと考え、貴社を志望しました。
社会課題に向き合う姿勢に共感し、自分も誰かの役に立つ存在になりたいと考えています。
大学時代もボランティア活動に参加し、人と関わる中で成長できたと感じています。
今後も社会のために働きたいと思い、志望しました。
この志望動機は一見前向きなように見えますが、「社会貢献」という抽象的なワードに留まっており、なぜその企業なのか、どのような社会貢献を目指しているのかが伝わりません。
具体的な企業理解や、自分自身の将来ビジョンと絡めた説明が不足しています。
福利厚生だけに触れた志望動機のNG例文
私は貴社の年間休日の多さや、リモートワーク制度の充実に魅力を感じ、志望しました。
働きやすい環境でプライベートも大切にしながら、長く働きたいと考えています。
福利厚生が整っている点に大きな魅力を感じ、応募させていただきました。
この志望動機は福利厚生しか触れておらず、仕事に対する興味や企業への共感が見えてきません。
働きやすさは大切な要素ですが、それだけでは「どの企業でも良かったのでは」と思われるリスクが高まります。
仕事内容や企業理念との接続が必要です。
どの企業にも当てはまるコピペ志望動機のNG例文
私は貴社の企業理念に強く共感し、志望しました。
お客様を第一に考える姿勢に感銘を受け、自分もそのような姿勢で働きたいと考えています。
社会人として成長できる環境で、自分自身を高めていきたいと思い、応募しました。
企業理念に共感したという言葉だけで、具体的にどこに共感したのか、なぜそこに惹かれたのかが示されていません。
このような抽象的な表現は、どの企業にも当てはまるため、個別性が感じられず、志望度が疑われる原因になります。
【OKな志望動機】参考になる志望動機の例文3選
志望動機は、構成だけでなく実際の文章の雰囲気や表現も非常に重要です。
今回は、企業側に伝わりやすく、かつ志望度の高さがしっかり伝わる志望動機例文を3パターン紹介します。
それぞれが自然な流れで自分の強みや価値観を企業の特徴に結びつけており、オリジナリティと説得力を両立しています。
例文を参考にしながら、自分自身の志望動機づくりにも活かしていきましょう。
- 商品・サービスへの共感を成長意欲につなげた例
- 社員との接点を通じて企業理念への共感を深めた例
- 働き方や制度を長期キャリアのビジョンと絡めた例
商品・サービスへの共感を成長意欲につなげた例文
貴社の提供するサービスに触れ、社会課題を解決する力に大きな魅力を感じました。
中でも、最新技術を活用して新たな市場を開拓している姿勢に共感し、自分もこのフィールドで成長したいと強く思いました。
大学時代には、ゼミ活動で地域課題に取り組むプロジェクトに参加し、チームでアイデアを形にする難しさと面白さを実感しました。
この経験から、社会にインパクトを与える仕事に携わりたいという思いが芽生えています。
貴社でなら、サービスを通じてより多くの人々の課題解決に貢献し、自分自身も成長を続けられると確信し、志望いたしました。
社員との接点を通じて企業理念への共感を深めた例文
合同企業説明会で貴社の社員の方とお話しする機会があり、仕事に対する熱意と誇りを強く感じました。
その中で、「挑戦を恐れず、自ら機会を創り出す」という理念に深く共感しました。
私は学生時代、課外活動で新たなチーム立ち上げに挑戦し、ゼロからプロジェクトを運営した経験があります。
この経験を通じて、困難な状況でも挑戦を続ける姿勢の大切さを学びました。
貴社の理念と自分の行動原理が重なると感じ、ここでなら自分らしく成長できると確信しました。
挑戦を大切にする文化の中で、自らの力をさらに磨き、貢献していきたいと考えています。
働き方や制度を長期キャリアのビジョンと絡めた例文
貴社が取り入れているフレックスタイム制度に魅力を感じています。
自律的な働き方を重視する貴社の環境で、自ら目標を設定し、成果にコミットする姿勢を高めたいと考えています。
私は大学時代、学業とアルバイト、課外活動を両立させるために、自分でスケジュールを管理しながら目標達成を目指すスタイルを貫いてきました。
この経験を通じて、自由な環境でこそ自己管理能力が磨かれると実感しています。
フレックスタイム制度を活かしながら、成果にこだわる働き方を徹底し、貴社の成長に貢献していきたいと考え、志望いたしました。
【NGな志望動機】まとめ
志望動機は、就職活動における最重要ポイントの一つです。
しかし、テンプレートをそのまま使ったり、抽象的な言葉でまとめたりしてしまうと、どれだけ熱意があっても相手には伝わりません。
本当に伝わる志望動機を作るためには、企業ごとの違いを意識し、自分自身の経験や価値観と接続しながら、論理的に組み立てることが必要です。
本記事で紹介したNGパターンや改善ポイントを踏まえ、オリジナリティと説得力のある志望動機を作り上げ、自信を持って選考に臨んでください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート
柴田貴司
(就活市場監修者/新卒リクルーティング本部幹部)
柴田貴司
(就活市場監修者)
志望動機は単なる形式ではなく、あなたが企業とどのように接続するかを伝えるための重要なメッセージです。 テンプレートや抽象的な言葉に頼らず、自分自身の経験や価値観を軸に、なぜこの会社なのかを具体的に表現することが求められます。 企業側は、応募者の熱意だけでなく、企業理解の深さやマッチ度を重視しています。 本記事で紹介したNG例や改善ポイントを参考に、オリジナリティと説得力のある志望動機を作り上げ、自信を持って選考に臨んでください。