はじめにテレワークの普及により、働き方の選択肢が広がった今、テレワーク希望を志望動機に含める学生も増えています。
しかし、制度の魅力をそのまま語るだけでは逆効果になることもあります。
本記事では、企業側の視点を踏まえたテレワーク志望のポイントや注意点、例文までを網羅的に解説し、評価される志望動機の書き方を丁寧にご紹介します。
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【テレワークの志望動機】テレワークを志望するのはアリ?
「テレワークを希望してもいいのか」と不安に思う学生は少なくありません。
しかし、働き方の多様性が進む今、テレワーク志望は立派な志望理由の一つです。
とはいえ、制度の魅力だけを語ると、企業に貢献したいという視点が欠けていると思われることもあります。
ここでは、テレワークを志望動機として伝える際に大切な考え方と、好印象を与えるための伝え方を解説します。
前向きな理由があれば十分
アリテレワークを希望すること自体は、決して悪いことではありません。
むしろ今の時代、場所を問わずに成果を出せる人材は多くの企業に歓迎されます。
ただし、なんとなく楽そう・通勤が面倒といった受動的な理由ではマイナス印象になりかねません。
重要なのは、テレワークという環境を活かしてどう成長できるか、どのように価値を発揮できるかを語ることです。
集中できる環境で専門スキルを高めたいといった、前向きな姿勢が伝わる志望動機であれば、十分に評価されます。
【テレワークの志望動機】企業がテレワーク人材に求める3つの力
- 自己管理力
- 非対面コミュニケーション能力
- 自走力・課題発見力
テレワークでも成果を出すには、ただ自宅にいればいいというわけではありません。
企業が注目しているのは、リモート環境でも自律的に働ける力です。
ここでは、企業がテレワーク人材に求める代表的な3つの力をご紹介します。
自己管理力
テレワークでは誰にも監視されない環境で仕事を進めなければなりません。
そのため、最も重視されるのが「自己管理力」です。
時間の使い方はもちろん、タスクの優先順位付け、納期の遵守、オン・オフの切り替えまで、あらゆる場面で自律的な行動が求められます。
大学生活で例えるなら、授業や課題、アルバイト、就活などを並行してこなした経験は、自己管理力を示す格好の材料になります。
特にオンライン授業の出席率が高かったり、課題提出を欠かさなかったりといった実績があるなら、それを具体的に伝えましょう。
企業は信頼して仕事を任せられるかどうかを見ています。
自己管理力が高いと判断されれば、テレワークという働き方においても安心して任せてもらえる人材だと評価されます。
非対面コミュニケーション能力
テレワークでは、対面でのやり取りが難しいぶん、チャットやメール、ビデオ会議といった非対面コミュニケーションが中心になります。
ここで問われるのが「相手に正確かつ丁寧に意図を伝える力」です。
曖昧な表現や遅延したレスポンスは、業務の混乱や信頼の低下につながるリスクがあります。
学生生活でも、オンラインゼミやグループワークでの議論、SlackやLINEグループでの連絡調整など、非対面での協調経験があるはずです。
自分の意見を簡潔に伝えつつ、相手の立場を配慮したレスポンスができることは、重要なアピールポイントになります。
また、定期的に進捗報告をする習慣や、相手の反応を意識した発言の工夫なども評価対象になります。
テレワーク環境下でも円滑に業務を進められるという根拠を、具体的な経験と共に語りましょう。
自走力・課題発見力
テレワーク環境では、物理的に上司や先輩が近くにいないため、誰かの指示を待っていては業務が滞ってしまいます。
だからこそ必要なのが「自走力」と「課題発見力」です。
自走力とは、言われなくても主体的に行動できる力のことです。
課題発見力は、現状に疑問を持ち、改善の余地を探れる視点のことです。
たとえば、ゼミでテーマ決めから調査・発表までを自ら計画し、メンバーを巻き込んで進行した経験や、インターンで業務効率の改善提案を行った事例などがこれに当てはまります。
企業は、この人なら放っておいても動いてくれると感じられるかを見ています。
テレワークという自由度の高い働き方だからこそ、自走力と課題発見力がある人は圧倒的に信頼されやすい存在となります。
【テレワークの志望動機】オンラインで鍛えたスキルは立派なアピール材料
- オンライン授業で得た自己管理能力
- リモートゼミ・グループワークで得た協調力
- 個人学習や副業で磨いた集中力
コロナ禍以降、大学生活も大きく変化し、多くの学生がオンライン授業やリモート活動を経験してきました。
実は、これらの経験はテレワークに求められるスキルと深く結びついています。
自己管理、協調性、集中力といったスキルは、ただの学生生活の一部ではなく、立派な志望動機の材料になります。
ここでは、オンラインで得た3つの具体的な力と、それをどうアピールするかをご紹介します。
オンライン授業で得た自己管理能力
オンライン授業では、通学の強制力がない分、自分自身で生活リズムを整え、学習時間を確保する必要があります。
この環境下で成果を出せた人は、まさに高い自己管理力を持っている証拠です。
「朝の授業も必ず出席し、欠席や遅刻ゼロを達成した」「空いた時間を活用し、課題の前倒し提出を習慣化した」といったエピソードは、信頼性の高い自己管理の裏付けになります。
また、自宅という誘惑の多い空間でモチベーションを維持することも簡単ではありません。
それを乗り越えて継続した学習ができた経験は、テレワークでも高い生産性を維持できる人材であることを示す根拠になります。
企業にとっても、遠隔で業務を任せる際の安心材料になるため、積極的に伝えていくべき強みです。
リモートゼミ・グループワークで得た協調力
リモート環境でも、チームで成果を出すにはメンバーとの協調が不可欠です。
画面越しの会話では表情や空気感が伝わりづらく、対面よりも意思疎通が難しい場面も多くあります。
そんな中で、リモートゼミやオンライングループワークを円滑に進められた経験は、非常に価値があります。
週1のミーティングで進捗を共有し、メンバーの意見をうまくまとめて発表まで導いたなどの実績があれば、それは非対面でも周囲と連携できる協調力の証です。
また、自分の役割に責任を持って期限内にタスクを完了させる姿勢や、メンバーの遅れをフォローして全体の成果を重視する行動もアピールポイントになります。
これらの経験は、テレワークにおいてもチームワークを発揮できる人物だと印象づける武器になります。
個人学習や副業で磨いた集中力
自宅での個人学習や副業経験は、テレワーク環境でも活きる集中力の高さを示す材料になります。
外的な拘束が少ない中、自分で目標を立てて計画的に取り組めた経験がある人は、強い意志と自己調整力を持っていると評価されます。
たとえば、資格取得のために毎日2時間学習を継続した、プログラミングを独学で習得しポートフォリオを完成させた、あるいはオンラインで副業に挑戦し、納期を守って案件をこなしたなどの事例があると説得力が増します。
集中力というのは一朝一夕で身につくものではなく、日々の積み重ねから形成される能力です。
テレワークではこの力が仕事の質に直結するため、集中して物事に取り組むことが得意と具体的なエピソードとともにアピールすることが有効です。
【テレワークの志望動機】テレワーク志望と伝えるときの注意点
- 「制度ありき」で語らない
- 出社とのバランス感覚を見せる
- 「だから御社」で終わらせる
テレワーク希望を志望動機に盛り込む際には、気をつけるべきポイントがあります。
制度だけに依存している印象を与えると、「会社ではなく働き方が目当て」と受け取られてしまうこともあります。
本音を伝えつつ、企業理解や自身の成長意欲と結びつける表現が必要です。
ここでは、伝え方で失敗しないための3つの注意点を解説します。
制度ありきで語らない
テレワーク制度があるから志望しましたといった理由だけでは、企業からの評価は低くなってしまいます。
なぜなら、それは企業の魅力というより制度への依存と見なされ、「この人は制度がなければ働かないのでは?」と懸念されるからです。
重要なのは、テレワーク制度をどのように活かして自分が成果を出せるかを語ることです。
集中できる環境で分析業務に専念できる・在宅環境のほうがスキル習得に取り組みやすいといった、制度を自己成長や成果につなげる視点があれば説得力が増します。
テレワークはあくまで手段であり、目的ではないというスタンスを示すことが重要です。
制度ありきの表現ではなく、テレワークという環境を最大限に活かした働き方をしたいという前向きな理由に置き換えて伝えるよう心がけましょう。
出社とのバランス感覚を見せる
テレワークを希望するからといって、出社したくないと受け取られてしまっては逆効果です。
企業によってはハイブリッド勤務(出社とテレワークの併用)を採用しているケースが多く、柔軟な働き方ができるかどうかも重要な判断材料になります。
だからこそ、「基本はテレワークを希望していますが、対面での打ち合わせや出社が必要な場面では柔軟に対応します」といったバランス感覚を示す一言があると、好印象につながります。
また、チームでの協働や業務理解を深める目的での出社には前向きに取り組む姿勢を見せることで、「テレワークしかしたくない人」と思われるリスクを避けられます。
大切なのは、働き方にこだわるのではなく、状況に応じて最適な行動を取れる柔軟性と協調性を示すことです。
だから御社で終わらせる
テレワークに魅力を感じているとしても、最終的にだから御社を選びましたと話を締めくくることが大切です。
どの企業でもよかったのでは?と思われてしまっては、本末転倒です。
その企業ならではの制度の活用方法、カルチャーとの親和性、業務内容との親和性など、具体的に踏み込んだ内容で語りましょう。
「御社はデジタルマーケティングに力を入れており、テレワーク環境でもプロジェクト単位での連携が活発である点に惹かれました」「御社のように自走力を尊重する社風の中で、テレワークを通じて主体的に価値を発揮したいと考えています」などがあります。
企業理解の深さと、自分の志向とのマッチをテレワークというキーワードで結びつけることが、他の候補者との差別化につながります。
【テレワークの志望動機】テレワーク希望の志望動機例文3選
- マーケティング職×データ分析集中型
- エンジニア職×在宅で没頭する開発スタイル
- 広報職×柔軟な発信タイミングの確保
テレワーク希望を前提に志望動機を書く際は、職種との相性や業務内容との接点を明確にすることが重要です。
テレワークでどのような価値を発揮できるのか・なぜその企業で実現したいのかを具体的に伝えることで、説得力ある志望動機になります。
ここでは、マーケティング職・エンジニア職・広報職それぞれに合わせた例文をご紹介します。
マーケティング職×データ分析集中型
私はデジタルマーケティング領域において、データに基づいた戦略立案に強く関心を持っています。
特に数値を元に仮説を立て、検証を重ねる業務には、集中できる環境が必要だと感じています。
大学では統計学を学びながら、Google Analyticsを用いた自主分析も行ってきました。
自宅では雑音が少なく、自分のペースで深く思考する時間を確保できるため、テレワークとの相性が良いと考えています。
貴社はデータドリブンな意思決定を大切にしており、リモート環境でも高精度の分析を求められる点に共感しました。
自分の強みである分析力と自己管理力を活かし、テレワーク環境でも確実な成果を出すことを目指したいと考えています。
エンジニア職×在宅で没頭する開発スタイル
私は学生時代からWeb開発に取り組んでおり、特にReactを用いたUI設計に没頭する時間が何よりも好きです。
開発業務には長時間の集中と細かな思考の積み重ねが必要であり、自宅で自分のリズムを保ちながら進める方が高いパフォーマンスを発揮できると実感しています。
実際に、在宅で制作したアプリをポートフォリオとして公開し、複数のユーザーからフィードバックを得て改善を繰り返しました。
貴社のようにフレキシブルな働き方を認めつつ、コードレビューやチーム開発の文化が整っている企業であれば、テレワーク下でも成長しながら貢献できると感じています。
リモート環境でも確実に価値を提供するエンジニアを目指して努力していきます。
広報職×柔軟な発信タイミングの確保
私は大学広報のインターンを通じて、SNSやWebメディアでの情報発信の面白さと難しさを実感しました。
広報の仕事では、タイムリーな情報収集と即時対応が求められる一方で、深く考えたうえでの戦略的発信も必要です。
自宅であれば柔軟に時間を確保し、急な対応と企画立案を両立できるため、広報業務とテレワークは非常に相性が良いと感じています。
貴社は積極的な情報発信を行っており、SNS戦略においても社員の裁量を尊重する社風に惹かれました。
私は、自己管理のもとで情報感度を高めながら、テレワーク環境下でも一貫性のある広報活動を実行できる力を磨いていきたいと考えています。
【テレワークの志望動機】テレワーク志望で落ちる人のNG例
- 「朝が苦手だから在宅がいい」
- 「通勤したくない」だけが理由
- 「一人で黙々とやりたい」=孤立傾向
テレワークを希望すること自体は問題ありませんが、伝え方を誤るとこの人に任せるのは不安と思われてしまうこともあります。
ここでは、実際の選考でよくあるNGな志望動機のパターンと、それがなぜマイナス評価につながるのかを解説します。
失敗を避けるための参考にしてください。
朝が苦手だから在宅がいい
「朝が苦手だからテレワークが向いていると思います」という発言は、一見すると素直で正直な印象を与えるかもしれませんが、ビジネスの場では評価されません。
企業が求めているのは成果を出せる人材であり、働きやすい環境を求める人ではないからです。
もちろん、自分にとって快適な環境の方がパフォーマンスが上がるという考え方は理解できますが、それをそのまま表現してしまうと自己中心的な印象になります。
朝が苦手という理由のままではなく、自分の集中できる時間帯に合わせて生産性を高められる環境で、成果を最大化したいといったように、あくまで業務への貢献につながる表現に言い換える工夫が必要です。
志望動機は自己PRの一部であることを常に意識しましょう。
通勤したくないだけが理由
「満員電車が嫌だから在宅が良い」「通勤の時間がもったいない」など、ネガティブな理由だけでテレワークを希望するのは、絶対に避けるべきNGパターンです。
企業は、志望者が会社でどのように活躍できるかを見ており、通勤の有無に焦点が当たると、「会社に興味がないのでは?」と思われてしまいます。
通勤時間を削減することができるのは確かにテレワークのメリットの一つですが、そこからさらに一歩進んで、「浮いた時間をスキルアップに活用したい」「自分の働き方を最適化して組織に貢献したい」といった前向きな発想へ転換することが大切です。
理由が嫌だからだけになっていないか、主張の背景と目的が明確かどうかを見直しましょう。
一人で黙々とやりたい=孤立傾向
「一人で黙々と仕事をしたいからテレワークが良い」という理由も、一歩間違えると孤立志向と捉えられてしまう恐れがあります。
確かに静かな環境で集中して働けるのはメリットですが、企業はチームで成果を出すことを重視しているため、コミュニケーションが取れない人と見なされるとマイナスに働きます。
テレワークでもチャットやビデオ通話を活用して密に連携できること、自ら積極的に情報共有を行える姿勢があることを併せて伝えましょう。
「一人でも成果を出せるが、必要なときは積極的に連携する」「チームの一員としての意識を持ち、成果を最大化する働き方を重視している」といったように、チームプレーへの姿勢を補足することが重要です。
【テレワークの志望動機】テレワーク志望者が企業研究で見るべき点
- 制度の実態(ハイブリッド型含む)
- 新卒への適用条件・研修体制
- 評価制度やマネジメント方法
テレワークを前提に企業選びをするなら、表面的な制度の有無だけで判断するのは危険です。
実際にテレワークが機能しているか、どのような条件下で可能なのかまで調べておく必要があります。
ここでは、志望動機を作る上でも欠かせない、企業研究の観点を3つ紹介します。
制度の実態
テレワークOKと書かれていても、実態としては月に数回のみだったり、特定部署に限られていたりするケースも少なくありません。
応募前に、公式サイトや社員インタビュー、口コミサイトなどを通じて、制度がどの程度現場で活用されているかを確認しましょう。
特に「完全リモート」と「ハイブリッド型(出社併用)」では働き方の前提が大きく異なります。
自分が希望する働き方とズレがある企業を選ぶと、ミスマッチになりやすいため注意が必要です。
また、フルフレックス+テレワークなど、柔軟性の高い制度を取り入れている企業は、個人の自律性や成果重視のカルチャーを持っている傾向があります。
志望動機では、制度そのものよりも、その制度を活かせる自分の強みと結びつけて語るのがポイントです。
新卒への適用条件・研修体制
テレワーク制度が整っていても、新卒社員には適用されない場合があります。
特に「入社後半年は出社必須」「研修期間中は出社前提」という条件がある企業も多いため、入社直後の働き方もよく調べておきましょう。
加えて、テレワークでの研修体制が整っているかどうかも重要なチェックポイントです。
たとえば、メンター制度がある、オンラインでもOJTが設計されている、定期的なフィードバック機会があるなど、遠隔でも成長できる仕組みがある企業は、新卒にとっても安心材料となります。
志望動機の中では、「研修制度を通じて早期にスキルを習得し、テレワークでも成果を出せる人材を目指したい」といった成長意欲と制度理解を併せて伝えると説得力が高まります。
評価制度やマネジメント方法
テレワークでは、対面での成果確認や評価が難しいため、成果主義やプロセス重視型の評価制度を導入しているかどうかも重要なポイントです。
また、上司とのコミュニケーション頻度や1on1の仕組みなど、マネジメントのあり方が自分に合っているかをチェックしておきましょう。
評価制度やマネジメントスタイルに納得感があれば、モチベーション高く働き続けることができます。
志望動機では、「プロセスと結果の両方を丁寧に見てくれる貴社の評価制度に魅力を感じた」「リモート下でも信頼関係を築けるマネジメント体制に共感した」といったように、企業の制度理解と自己の価値観のマッチを丁寧に言語化することが重要です。
テレワーク環境では、「見えない部分まで評価されるか」も大きな関心事になります。
【テレワークの志望動機】まとめ
テレワークを希望することは、もはや特別なことではありません。
ただし、「なぜテレワークなのか」「その環境で自分はどう成果を出すのか」「なぜその企業で実現したいのか」を論理的に語れなければ、説得力のある志望動機にはなりません。
大切なのは、働き方という“手段”と、自分の価値発揮や成長という“目的”をしっかりと結びつけることです。
また、企業側の期待や実際の制度運用を理解し、自分の経験やスキルとどう接続できるかを丁寧に整理することで、選考でも一歩リードできます。
本記事を参考に、自分自身のテレワーク志望理由を具体化し、企業に納得感を持ってもらえる志望動機を練り上げましょう。
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