教員採用試験は二次試験で面接がある
教員採用試験の二次試験では、面接や小論文、模擬授業などが実施されます。
特に面接は、受験者の人柄や教育に対する考え方を評価する重要な機会とされています。
教育現場では知識や技術だけでなく、子どもや保護者、教職員と良好な関係を築ける人間性が求められるため、人物評価が重視される傾向です。
そのため二次試験の準備では、筆記対策だけでなく、面接練習や自分自身の教育観の整理も不可欠となります。
自分がどのような考えを持って教育現場に携わりたいのか、十分に分析したうえで意見を整理しておきましょう。
教採は面接試験が重視される傾向がある
教員採用試験は、自治体ごとに具体的な試験内容が異なりますが、近年では「面接重視」の傾向が強まっています。
中には筆記や小論文の配点が比較的低く、面接による人物評価が合否に大きく影響する自治体も存在します。
特に個人面接では、教育に対する熱意や人間性、組織内における協調性、倫理観などが細かく見られます。
模擬授業やプレゼン面接などを通じて、実践的な指導力や表現力も問われる場合も少なくありません。
また、社会・教育の課題に対する問題意識や考え方も評価の対象となるため、教育関連のニュースや時事問題にも目を向けておくことが重要といえます。
受験生は「伝える力」と「自分の考えを持つ姿勢」の両方をしっかりと準備したうえで面接に臨む必要があるため、事前の対策には徹底的に向き合うようにしましょう。
教員採用試験の面接の種類
教員採用試験の面接には、自治体によってさまざまな形式・種類があります。
そのため詳細については、試験を受ける自治体の試験概要をよく確認することが重要です。
なお、代表的なのは個人面接・集団面接・プレゼン面接・模擬授業型面接などの形式です。
以下は自治体ごとの具体例になります。
- 東京都:個人面接(2023年までは集団面接もあったものの現在は廃止)
- 名古屋市:個人面接と集団面接
- 大阪府:個人面接(3次試験では模擬授業も含めた個人面接が実施される)
- 福岡県:個人面接と模擬授業
自治体によっては複数の形式を組み合わせて実施する場合もあるため、事前に公式の募集要項をしっかり確認することが重要です。
教員採用試験の面接形式①個人面接
ここからは、教員採用試験の面接形式の一つである「個人面接」の具体的な内容、質問例などをチェックしていきましょう。
個人面接は多くの自治体で実施される代表的な面接形式であるため、どの自治体の教員採用試験を受ける場合でも、基本的に個人面接の対策は必須といえます。
個人面接は、じっくり自分の教育観や熱意を伝えられる重要な機会になります。
自分の考えを丁寧にまとめる意識を持ったうえで、基本的な面接マナー・振る舞いに注意しつつ、面接に臨みましょう。
では、個人面接の概要を紹介しつつ、主な質問例をまとめていきます。
個人面接の概要
教員採用試験の個人面接は、受験者1人を対象として行われる面接です。
しかし1対1の面接ではなく、基本的に担当する面接官は2~4人ほどになります。
ただし複数の面接官が交代しながら質問するケースだけでなく、1人が質問を担当するのみでほかの面接官は口を挟まないケースもあるため、具体的なコミュニケーションの形式はさまざまなパターンが見られます。
実施時間は傾向として20~30分ほどが多いですが、自治体によるため、長い場合は1時間近く実施されることもあります。
個人面接は集団面接と異なり、1人の受験者に対して、意見や価値観の掘り下げができるのがポイントです。
そのため細部に至るまで自分の考えや熱意を述べ、教育者としての資質・能力をアピールしていくことが求められます。
なお、自治体によっては、個人面接の中で模擬授業があわせて実施されるケースもあります。
個人面接の質問例
個人面接の質問例には、例えば以下が挙げられます。
- 教師になりたい理由は何ですか。
- なぜ〇〇市の教員になりたいのですか。
- この学校を志望した理由を教えてください。
- あなたの長所と短所は何ですか。
- 教育実習ではどのようなことを学びましたか。
- あなたの理想とする教師像を教えてください。
- 生徒との関わり方で大事にしたいことは何ですか。
- 学生時代にはどのようなことに取り組んできましたか。
- 地域と連携して学校ができることには、何があると思いますか。
- 自己PRを聞かせてください。
- これから教職に就くにあたって、不安なことはありますか。
- あなたは10年後、どのような教師になっていると思いますか。
- 最近の教育ニュースで気になっていることはありますか。
- 入職後はどのようなスキルを身につけたいですか。
- 教師にはどのような資質が求められると思いますか。
想定質問としてチェックし、事前に回答をまとめておきましょう。
教員採用試験の面接形式②集団面接
次に、教員採用試験の面接形式の一つとして、集団面接の概要と質問例をチェックしていきましょう。
集団面接も、個人面接と同様に多くの自治体で実施されるため、しっかりと対策したうえで教員採用試験に臨む必要があります。
個人面接と違って集団面接はほかの受験者がいる分、安心するという人もいればかえって緊張するという人もいるため、考え方はそれぞれです。
しかしながら、個人面接のように一人の意見や考え方を細かく掘り下げていくことはないため、集団面接ならではの空気感や流れを理解したうえで自分の考えを伝えていくことが重要です。
集団面接の概要
教員採用試験で集団面接が実施される場合は、1回の面接につき、基本的に3~10人の受験者が対象となります。
それに対して対応する面接官は2~5人ほどであり、受験者一人ひとりが自己紹介や自己PRを行ったうえでスタートします。
具体的な形式や流れは自治体によってさまざまで、一つの質問に対して順番または挙手にて答えるケースや、事前に配布された資料についての意見をそれぞれ求められるパターンなどがあります。
実施時間は20~50分程度であり、自治体によって幅があることが特徴です。
個人面接と異なり、集団面接は相対的な印象によって評価が分かれる傾向にあります。
とはいえ集団面接では、「たくさんいる受験者の中から目立つこと・抜きん出ること」が求められるわけではありません。
自分の意見はしっかりと述べながら、周りの意見にも耳を傾けるなどの協調性も重要視されることがポイントです。
集団面接の質問例
教員採用試験の集団面接では、主に以下のような質問をされます。
- 教師として最も大切なことは何だと思いますか。
- 教育現場の課題について、関心があることは何ですか。
- 教師が不祥事を起こすのはなぜだと思いますか。
- クラスでいじめが発覚した場合は、どのように対処すべきかと思いますか。
- ストレスを感じる瞬間はどのようなときですか。
- 子供たちの自主性を育てるにはどうすれば良いと思いますか。
- 生徒は教師に何を求めていると思いますか。
- 本校の教育方針についてどのように考えますか。
- 学校行事にはどのような意義があると思いますか。
- 教師としてどのように成長していきたいですか。
このほかにも志望動機やその自治体に応募した理由、自己PR、長所短所などは、個人面接と同様に集団面接でも頻繁に質問される傾向にあります。
集団面接はほかの応募者と回答がかぶりやすいため、回答のバリエーションを増やしておくことが大切です。
教員採用試験の面接で見られるポイント
教員採用試験の面接をうまく突破するためには、具体的にどのようなポイント・基準で評価されるのか、詳細を理解しておく必要があります。
事前に見られるポイントを理解しておけば、その点を意識したうえで面接に臨めるため、回答内容や答え方も工夫できます。
教員採用試験の面接で主に見られるポイントは、以下が挙げられます。
- 教育に対する熱意と使命感
- 豊かな人間性と思いやり
- 子供のよさや可能性を引き出し伸ばせるか
- 組織人として積極的に協働し互いに高め合えるか
上記は「東京都の教育に求められる教師像」をもとに作成していますが、基本的には多くの自治体に共通する評価基準になるといえます。
では、詳細を以下からチェックしていきましょう。
教育に対する熱意と使命感
教員として重視されることの一つに、まず、教育に対する熱意と使命感が挙げられます。
子ども一人ひとりに深い愛情をもって接し、教育を通じて、それぞれの成長を支える姿勢が求められます。
また、同時に教育者としての責任感や誇りを持ちながら、自らの行動が子どもに与える影響を常に意識する必要があります。
教育現場では、多様な背景を持つ子供がともに学んでおり、高い倫理観と多様性への理解、人権を尊重する意識が必要不可欠といえます。
まず面接では、その認識をしっかりと持ったうえで「なぜ教員になりたいのか」「子供とどう向き合いたいか」などの問いを通じ、教育への思いの深さ・使命感を持って仕事に向き合えるかが評価の対象になるのです。
豊かな人間性と思いやり
教員として子どもと関わるうえでは、豊かな人間性や思いやりも重要な資質になります。
温かい心や柔軟な発想、創造的な思考を持ち、子どもの気持ちを受け止める姿勢が常に求められるのが特徴です。
なお、教師として保護者や同じ現場で働く教師、地域の人たちと良好な関係を築いていくためは、幅広いコミュニケーション能力が必要不可欠となります。
そのため教員採用試験の面接では、「子どもの言動にどのように対応するか」「保護者とどのように関係を構築するか」などを問われることも少なくありません。
そういった質問の具体的な受け答えから、他者に共感する力や相手に寄り添う姿勢が主に評価されるのです。
日常の些細なエピソードからでも、思いやり・気配りの姿勢は十分に伝えられるため、具体的な経験を取り上げながら一つひとつの質問に回答することが大切です。
子供のよさや可能性を引き出し伸ばせるか
教員採用試験の面接では、子ども一人ひとりの良さや可能性を引き出し、そして伸ばせるかというポイントで評価されます。
教員は子どもの成長・可能性を見いだし、個々に応じたサポートや指導を行う力が常に求められるからです。
そのためには常に自ら学び続ける意欲を持ち、子どもにとって最適な方法を模索する姿勢が重要といえます。
また、一人ひとりの魅力や光る個性を見つけ出し、自己肯定感を育てるような関わり方ができるかどうかも重要です。
したがって教員採用試験の面接では、実習や教育関連の授業などにおける具体的なエピソードを通じて、子どもの変化にどう寄り添ってきたかを説明することがポイントになります。
その際は、自分が大事にしている教育観や、その学校・自治体ならではの教育理念などにも触れていくと効果的です。
組織人として積極的に協働し互いに高め合えるか
教員採用試験の面接では、組織人として、積極的に協働し互いに高め合えることが求められます。
基本的に学校は一人で完結する職場ではなく、あらゆる教育活動は、同僚や管理職、保護者、地域と連携しながら進めていかなければなりません。
そのため、組織の円滑な運営に対する意欲や、チームでの協働性があるかどうかが重視されます。
ほかには、常に高い志を持つこと、そのうえで新たな課題にも前向きにチャレンジしていくことも求められる傾向です。
さらに、安全面における配慮やトラブル時の対応力など、リスク管理の意識も教員にとって重要な資質といえます。
そのため教員採用試験の面接では、グループ活動や実習での協働経験などについて、細かく質問されることも少なくありません。
協力する中で自分がどのように貢献し学びを得たかを具体的に説明できると、協働力や主体性を効果的にアピールできるでしょう。
教員採用試験の面接の対策ポイント
教員採用試験の面接に臨む際は、具体的な対策ポイントを整理しておきましょう。
面接の形式や概要、そして質問例をチェックしたうえで対策ポイントを把握しておけば、より適切な形で各質問に対応できるようになります。
主な対策ポイントは、以下の4つが挙げられます。
- 第一印象を整える(服装・髪型など)
- 質問に対する想定回答を作っておく
- 教育関係のニュースや雑誌、新聞を確認しておく
- 模擬面接を行なって質問に対して明確に答えられるようになる
上記を意識して面接対策を行えば、よりリラックスした気持ちで面接に対応できるようになります。
では、面接の対策ポイントにおける重要な点や注意したいことなどを紹介していきます。
1. 第一印象を整える(服装・髪型など)
教員採用試験の面接では、第一印象が非常に重要です。
面接における第一印象は数秒で決まると言われているため、特に身だしなみのチェックは徹底しましょう。
特に教師という職業は、生徒・保護者・地域社会など多方面と関わる仕事であり、清潔感や信頼感のある見た目が求められます。
服装は男女ともにスーツが基本ですが、シワのない状態で、サイズがしっかりとフィットするものを着用して臨みましょう。
髪型についても、男女を問わず清潔感を重視し、茶髪や奇抜なヘアスタイルは避けたほうが無難です。
アクセサリーやメイクも控えめに抑え、全体として落ち着いた印象を与えるように心がけてください。
身だしなみがしっかりと整っていれば、それだけで面接官に「保護者や地域の人たちからも積極的に信頼されそう」と感じてもらいやすくなります。
2. 質問に対する想定回答を作っておく
教員採用試験の面接では、想定質問をチェックし、自分なりに回答をまとめておくことが重要です。
面接中は、個人面接・集団面接ともに、志望動機や教育観、学生時代の経験など多岐にわたることを聞かれます。
あらかじめ想定される質問に対して自分の考えを整理し、回答の準備をしておけば、教員採用試験の面接当日も落ち着いて対応できるようになります。
特に重要なのは、自分の言葉で、自然な形で考えを伝えられるようにしておくことです。
暗記した回答を読み上げるのではなく、面接官の質問の意図を理解しながら、自分の考えとして話せるように練習しておきましょう。
回答を何度も口に出して話してみることで、表現力や話すテンポも整えられ、自信を持って面接に臨めます。
そのため教員採用試験の面接対策を行う際は、模擬面接による対策が欠かせません。
一人で練習を行うタイミングでは、スマートフォンで録画して答え方をチェックするなどの対策が重要です。
3. 教育関係のニュースや雑誌、新聞を確認しておく
教員採用試験の面接に臨む際は、教育関連のニュースや雑誌、新聞をよく確認しておくと良いでしょう。
面接中は、社会や教育に対する関心の高さも評価の対象になります。
日常的に新聞や教育関連の雑誌、ニュースなどをチェックしておけば、教育に対する自分の意見や問題意識を持つ力が養われます。
例えば学校におけるICT活用・不登校への対応など、時事的な教育課題は、面接でも頻繁に取り上げられるテーマです。
これらに関して自分の意見をまとめておくと、質問に対して自信を持って答えられるでしょう。
教員は、日々変化する教育環境に対応する力が求められる職業であり、学ぶ姿勢は常に必要不可欠になります。
代表的な時事問題に対して何も語れなかったり、そもそも問題を認識していなかったりすると、教育に対する意欲が低いと判断されてしまうため注意が必要です。
4. 模擬面接を行なって質問に対して明確に答えられるようになる
教員採用試験の面接に備えるには、模擬面接を繰り返し行い、質問に対して明確に答えられるようにしておくことも大切です。
面接は単純な準備だけではなく、答え方や全体的な振る舞いに関する「慣れ」も重要です。
しっかりと内容を練っていても、実際の面接では緊張してしまい、うまく答えられなくなることは珍しくありません。
そのため教員採用試験の面接対策を徹底するうえでは、模擬面接を複数回行い、本番に近い環境で練習することが重要といえます。
学校のキャリアセンターに相談したり友人に協力をお願いしたりしながら、質問に対して明確に答える練習を重ねましょう。
模擬面接では、自分の話し方の癖などにも気づけるため、もらったフィードバックをもとにブラッシュアップを繰り返すことが大切です。
教員採用試験の面接対策は入念に行おう
教員採用試験では、面接での人物評価が合否に大きく影響します。
特に近年は、知識や教養よりも人物重視の傾向が強く、面接対策の重要性はますます高まっています。
自分の考えを的確に伝えるスキルや、教育に対する熱意・姿勢をしっかり表現できるように、教員採用試験を受ける際は早めの準備が大切です。
服装や表情などの第一印象、想定質問への回答、教育ニュースのチェックなど、事前にできる対策はさまざまあるものです。
しっかりと模擬面接や振り返りを重ねながら、自信を持って教員採用試験の面接に臨みましょう。
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