就活では「困難を乗り越えたい経験」について聞かれることがあります。
必ず聞かれるわけではない分、対策をせずに臨んでしまうこともありますが、いざ聞かれて即興で答えられる質問でもありません。
そこで今回は、どのような準備をしておけば良いか、どのような話をすればよいかについて詳しく紹介するため、参考にしてください。
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【困難を乗り越えた経験】具体的な経験と得たスキルをアピールすることが重要
「困難を乗り越えた経験」を伝える際には、どのような行動を起こし、そこからどのようなスキルや成長を得たのかを具体的に伝えることが重要です。
エピソードを選ぶ際には行動と成果が明確に伝えられる内容を意識しましょう。
まず、エピソードの選び方が鍵となります。
自分の経験の中で、特に初対面の人にも理解してもらいやすく、自分でも説明がしやすいものを選びましょう。
特に、鮮明に記憶に残っているものを選ぶと、深掘り質問をされた際にも答えやすいです。
【困難を乗り越えた経験】企業が聞く理由は?
企業はこの質問で何を知りたいのでしょうか。
もちろん企業の採用担当者によって、ある程度意図が異なることはありますが、ほとんどの場合、以下のような理由でこの質問をしてきます。
相手の意図に沿った回答ができるよう、各ポイントを確認してみてください。
熱心に努力した経験が知りたい
企業がこの質問をする理由として、応募者が熱心に努力できる人物かどうかを確認したいという点があります。
仕事をする上では、与えられたタスクをこなすだけではなく、必要に応じて主体的に努力を重ねることが求められるためです。
また、企業が注目するのは「努力が結果につながっているかどうか」です。
熱心に努力するだけでなく、その努力が成果を生む形になっているかが評価のポイントとなります。
そのため、どのように状況を改善したのか、結果的に何を得られたのかを伝えることが求められます。
新卒で入社して間もない時期はわからないこと、できないことの方が多いです。
だからこそ、一つひとつできることを増やせる人物であることを示しましょう。
目標達成に向けて努力できる人物か知りたい
この質問には応募者が目標達成に向けて努力できる人物であるかを確認したいという意図もあります。
仕事は目標設定が業務遂行の出発点であり、その目標を達成するために主体的に動ける力が求められます。
特に、その目標にどのように向き合い、どのように行動を工夫したのかは重要な評価ポイントです。
具体的なエピソードを通じて、目標を達成するためにどれだけ計画的かつ粘り強く努力できるかを説明しましょう。
また、目標達成に向けた取り組みには「目標を現実的に設定する能力」や「課題を分析して適切な解決策を見つける力」も含まれます。
企業は結果を追求するだけでなく、そのプロセスをしっかりと計画し、状況に応じて調整しながら進める力がある人を求めているからです。
困難に対しての対処法が知りたい
このような状況ではその人の考え方や行動パターンが如実に表れるため、特に注目されるポイントと言えます。
予期せぬトラブルや課題に直面したときにどのような方法で問題を解決しようとしたのかを知ることで、応募者の適応力や問題解決能力を把握できます。
また、対処法に際して周囲とどのように協力したのかも評価対象です。
チームワークやコミュニケーション能力をアピールできる話をしても良いでしょう。
ストレス耐性を確認したい
応募者のストレス耐性を確認したいと思っている企業も多いです。
仕事には様々なストレス要因が存在し、特にタイトなスケジュールや複雑なプロジェクトが多い企業では冷静な判断力と忍耐力が求められます。
近年はストレス耐性が低く、すぐに退社してしまう人も少なくないため、この要素は特に重要視されます。
せっかく時間と費用をかけて採用した人材がすぐに辞めてしまっては、企業には損失しか残りません。
そこで、応募者がストレスの多い状況でどのように行動し、それを乗り越えられる人物であるかを確認しているのです。
また、どれほどストレス耐性があっても、人間にはいつか限界がきます。
そこで、ただ「ストレスを根性で耐えた」という言い方をするのではなく、どのようにストレスを感じないように対処したか、どのようにストレスを解消しているかも述べると良いでしょう。
【困難を乗り越えた経験】エピソードの考え方とアピール方法
続いて、困難を乗り越えた経験のエピソードの選び方について紹介します。
どのようなエピソードを考えれば良いかについて紹介しつつ、それぞれどのようにアピールすれば良いかについても解説するため、参考にしてみてください。
外的環境要因による困難を乗り越えた経験
外的環境要因に基づく困難のエピソードは自分では、避けられない出来事に対処した経験をアピールするのに適しています。
例えば、自然災害や予期せぬトラブルなどによって計画が大幅に狂ってしまった状況で、どのように対応したかを具体的に説明すると効果的です。
まずその状況を簡潔に説明し、自分がどのような役割を担い、どのように課題を乗り越えたのかを明確に伝えましょう。
例えば「学校の文化祭で重要な設備が突然故障した話をする」と想定しましょう。
この場合、自分がどのように解決策を考案したか、そのプロセスを伝えると説得力が増します。
また「冷静に状況を分析し、柔軟に対応できた」や「周囲を巻き込んで行動した」などとわかりやすく説明すると、さらに印象が良くなります。
人間関係要因による困難を乗り越えた経験
コミュニケーション能力や協調性をアピールするのに最適です。
例えば、部活動やゼミで言い合いになり、チーム内の雰囲気が悪化した際に改善した話などは使いやすいでしょう。
まず問題の内容と背景を簡潔に説明し、自分がどのように状況を改善するために動いたのかを具体的に述べることを推奨します。
例えば「意見の違いが原因でプロジェクトが停滞してしまった話」をする場合「私は双方の意見を整理し、共通点を見つけるための提案をしました」などと伝えると良いでしょう。
人間関係に関するエピソードをアピールする際には、自分の行動がチーム全体にどのような良い影響を与えたのかを具体的に伝えることが重要です。
自己設定した目標の困難を乗り越えた経験
目標達成能力や努力の質をアピールできます。
例えば、資格試験やスポーツ大会、研究活動など、自ら設定した高い目標に挑戦したエピソードを選ぶと良いでしょう。
まず、どのように目標を設定し、そして、その目標を達成するまでに直面した課題や困難を明確にし、自分がどのように克服したのかを詳しく述べることが重要です。
例えば、英検で資格試験で不合格となった話をするならば、次回の試験に向けてどのような工夫や努力を重ねたのかを説明しましょう。
「計画を見直し、新しい学習方法を取り入れた」「苦手なリスニングを克服するために、毎日通学時間に英会話を聞き流した」など、具体的な例を話すことが大切です。
また、その経験を通じて得た教訓や成長した点を伝えることが大切です。
企業研究で知った、志望する企業が求める能力を身につけられた話ができれば「企業研究をしっかり行っていること」「戦力になりうること」の両方を伝えられます。
【困難を乗り越えた経験】アピールする時の基本構成6項目
続いて、アピールする際の基本構成についても紹介します。
いわゆるPREP法であり、結論から述べて分かりやすく説明する方式です。
どのような経験を話す場合にも活用できる構成であるため、ぜひ参考にしてみてください。
1.困難を乗り越えた経験の概要を伝える
最初にその経験の概要を一言で簡潔に伝えることが重要です。
エピソードの概要を端的にまとめることで、採用担当者が話の全体像を理解しやすくなります。
この際に注意すべき点は具体的かつ簡潔な表現を用いることです。
「学生時代に所属していたサークル活動でイベントを企画する中で、予期せぬトラブルに直面しました」といったように、一文でエピソードの骨子を示すと、聞き手の関心を惹きやすくなります。
また、概要部分は話の冒頭に置かれるため、採用担当者がスムーズに話を聞き進められるように意識して構成することが求められます。
2.状況や発生した困難を伝える
概要を述べた後には、具体的な状況について説明します。
この部分ではどのような環境や背景で問題が発生したのかを客観的に整理し、話すことが重要です。
例えば「学園祭の準備中に主要な設備が壊れた」「部活動で意見が対立して進行が滞った」など具体的な事例を提示すると、相手も状況をイメージしやすくなります。
また、問題が発生した原因や、どのような制約やプレッシャーがあったのかを補足することで、エピソードに深みが出ます。
例えば「サークル内でリーダーを任されていたが、部員間で目標に対する意識に差があり、計画が停滞していました」と述べることで、状況のリアリティを伝えられます。
3.困難を乗り越えるためにとった対処法を伝える
行動力や問題解決能力をアピールできます。
この際には自分が取った行動を詳細に説明し、困難を解決するための工夫や努力を強調しましょう。
例えば「部員全員の意見をヒアリングし、合意を得られる共通の目標を設定しました。その後、作業分担を見直し、定期的に進捗を確認する体制を整えました」と述べると、聞き手に具体的なイメージを伝えられます。
また、プロセスだけでなく、その中で直面した新たな課題や、それに対する対応についても触れると、行動の説得力が増します。
ここで重要なのは単なる結果報告にとどまらず、どのような思考でその行動を選択したのかを説明する点です。
4.困難を乗り越えるために行動した結果を伝える
行動の結果については、できるだけ具体的に数字や目に見える成果を挙げることが望ましいです。
例えば「新しい目標設定により、プロジェクトが予定通り進行し、学園祭当日には目標としていた来場者数を超える成果を上げることができました」と述べると、説得力が高まります。
この部分では結果を伝えるだけでなく、自分が果たした役割や貢献についても言及することが重要です。
例えば「チーム全員が積極的に取り組む姿勢を見せてくれたのが最大の成果でした。自分の提案がチームのモチベーション向上につながったことを嬉しく感じています」と付け加えることで、聞き手にポジティブな印象を与えられます。
達成感や満足感を含めて語ることで、自分の努力が実を結んだことをアピールしましょう。
5.困難を乗り越えた経験から学んだことを伝える
経験から得た教訓や学びを伝えることがエピソードの締めくくりとして重要です。
この部分では自分の成長や新たに気づいた課題などを具体的に説明しましょう。
例えば「メンバーの意見を尊重しながら共通の目標を設定することが、チーム全体の成功につながると実感しました」と述べると、聞き手に学びの内容が伝わりやすくなります。
また、自分の弱点や改善すべき点にも触れることで、謙虚な姿勢と成長意欲をアピールできます。
例えば「計画の進行状況を確認する際に、もっと早い段階で問題に気づけていれば、さらに良い結果が出せたと思います」と述べると、聞き手に前向きな印象を与えられるでしょう。
6.困難を乗り越えた経験から学んだことを企業でどう活かすか伝える
最後に、学んだことを企業でどのように活かすのかを具体的に伝えることで、採用担当者に自分の価値を強くアピールできます。
この部分では経験から得た教訓をどのように仕事に応用するかを説明します。
例えば「プロジェクトを円滑に進めるために必要な調整力や、チームメンバーと信頼関係を築くスキルを学びました。これらのスキルを活かして、御社でのプロジェクト管理やチーム運営に貢献したいと考えています」と述べると、具体的なビジョンが伝わります。
また、企業が求める人物像に自分の経験がどのようにマッチするのかを説明することで、採用担当者に強い印象を与えることが可能です。
企業研究をしっかり行っている、モチベーションが高く、かつ企業に即応できる人物であることをアピールしましょう。
【困難を乗り越えた経験】エピソード別のアピール例文をチェックしよう
構成について理解できたところで、続いて例文を確認してみましょう。
どのように書けば良い印象を与えられるかのポイントについても紹介するため、参考にしてください。
部活動のエピソード
大学のバドミントン部で主将として部員の練習意欲を向上させた経験が思い浮かびます。
私が主将に就任した当初、部員たちの練習参加率が低く、連敗続きでした。
そこで部員一人ひとりに練習への悩みや意見をヒアリングし、練習内容が一部の上級者に偏っていたことや、新入部員が目標を持てずにいたことが課題であると分かりました。
私は練習メニューを再構成し、部員それぞれのレベルに応じた目標設定を行い、定期的にミーティングを開き、部員同士が進捗や悩みを共有できる場を設けました。
その結果、練習参加率が徐々に上がり、部内の雰囲気も改善しました。
また、練習の成果として、団体戦で3年ぶりに地区大会優勝を果たしました。
この経験を通じて、目標を具体的に提示し、周囲を巻き込む行動が結果につながることを実感しました。
この学びを活かし、御社においても組織やプロジェクトの課題解決に向けた提案や行動を積極的に行う所存です。
どのように入社後に貢献するかが分かりやすい構成となっています。
困難を乗り越えるためにどのような工夫をして、最終的にどのような結果が得られたのかについて説明できているため、問題解決能力が高いと判断してもらえるでしょう。
アルバイトのエピソード
カフェでのアルバイト中にスタッフ間の連携不足を解消したことが思い浮かびます。
忙しい時間帯になるとスタッフ間の役割分担が曖昧になり、オーダーの遅延やお客様からのクレームが発生することが多々ありました。
そこで私はまず現場の状況を観察し、何が問題であるのかを明確にしました。
その結果、マニュアルが不十分で新人が業務内容を把握できていないことが分かりました。
そこで、新人向けの業務マニュアルを作成し、シフト前後に5分間の簡単なミーティングを行うことにしました。
その結果、スタッフ間の連携が向上し、忙しい時間帯でも業務が円滑に回るようになりました。
この学びを御社の業務でも活かし、現場の問題点を的確に分析し、具体的な改善案を提案することで、チームや組織全体の効率向上に貢献する所存です。
「何が問題であるのかを明確にした」ことを強調しており、非常に良い印象を与えられます。
また、何が理由であったのかについても説明し、その問題を解決するためにどのような工夫をしたのかについても説明できています。
入社後のイメージも非常に分かりやすく的確であるため、良い印象を与えられるでしょう。
ゼミのエピソード
ゼミでの研究発表準備中にデータ分析が思うように進まず、プロジェクト全体が停滞した経験が思い浮かびます。
私はデータ収集と分析を担当していましたが、予想以上にデータが不足していたため、計画していた手法では結論を導き出せないことが判明しました。
そこで現状をゼミメンバー全員に共有し、新たなデータ収集方法を提案しました。
また、スケジュールを見直し、メンバーそれぞれの得意分野を活かして役割を再分担しました。
その結果、計画を大幅に変更しながらも質の高いデータを収集することができ、研究発表では教授陣から高い評価を受けました。
この経験を活かし、御社でも新たな課題やプロジェクトに直面した際に、柔軟な思考で解決策を提案し、確実に成果を出すために全力を尽くす所存です。
自分が何の分野を担当しており、どのような問題が発生したのかについての説明が分かりやすいです。
また、問題を明確にした後、その解決のためにどのような工夫をしたのかについても分かりやすく説明できています。
その経験から身につけた能力が入社後にどのように活かされるのかの説明もわかりやすいです。
サークルのエピソード
サークルでイベントの準備中に直面した問題を解決した経験が思い浮かびます。
私が所属していたサークルでは年に一度、地域住民も参加する約300名規模のイベントを開催していましたが、準備期間中、会場の予約ミスが発覚し、開催日直前に会場変更を余儀なくされました。
そこで私はサークル内で状況を共有し、すぐに周辺地域の会場候補をリストアップし、それぞれの空き状況や利用条件を確認し、会場を決定し、必要な備品や運営スタッフの再配置についても調整を行いました。
この結果、イベントは予定通りに開催することができ、来場者からも「柔軟に対応してくれて助かった」との感謝の声をいただき、サークルメンバー全員が達成感を共有できました。
この学びを活かし、御社での業務でも突発的な課題に対して柔軟に対応し、チームやプロジェクトを成功に導く一助となる所存です。
サークルの話をする人は大概「意見が対立したからまとめた」「なかなか参加できないメンバーをコミュニケーション能力を活かして助けた」と話しますが、差別化しにくいため、別のエピソードを用いると良いでしょう。
この例文の場合、臨機応変に対応できる能力が備わっている優秀な人材と判断してもらえるはずです。
留学のエピソード
留学中に言語の壁を克服した経験が思い浮かびます。
私は大学3年次に半年間オーストラリアへ留学しましたが、授業内容が理解できないだけでなく、友人を作ることも難しい状況でした。
そこで授業の予習と復習を徹底し、特に専門用語やスピーキングスキルの向上に注力しました。
また、文化的な違いを理解するために、週末にはホストファミリーとともに地元のイベントに参加し、現地の生活や習慣に溶け込む努力を続けました。
その結果、留学の後半には授業への理解度が飛躍的に向上し、最後の授業でのプレゼンテーションで優秀な評価を得ることができました。
この学びを活かし、御社でも新しい環境や業務に迅速に適応し、成果を出すために努力を惜しまない所存です。
留学のエピソードについて話す際は「言語の壁を克服した」という話に終始してしまう人が多いですが、このように言語の壁を克服しつつ、どのような能力を身につけたのかについて説明できる人は他の就活生に差をつけられます。
語学学習の目標はただその言語を理解することではなく、その言語を使えるようになることであるため、質の高い回答であると言えるでしょう。
インターンのエピソード
先日まで参加したインターンのことを思い出します。
私は食品関連の企業で、販売促進キャンペーンの企画を任されましたが、予算もスケジュールも非常に厳しいものがありました。
そこで私はまず過去のキャンペーン事例を徹底的に調査し、成功要因を分析しました。
また、現場のスタッフや顧客アンケートを通じて具体的なニーズを把握しました。
最終的に、試食イベントでは顧客から好評を博し、売上も前年比15%増加する成果を上げました。
この経験を通じて、現場のニーズを的確に把握し、柔軟な対応力で成果を出すことの重要性を学びました。
この経験を御社での業務に活かし、現場のニーズを踏まえた提案と確実な実行力をもって、成果を上げる所存です。
数字を伸ばすために徹底的に分析をしたという、問題解決のための行動が非常にわかりやすい文章です。
また、最終的にどの程度売り上げが伸びたのかについて、数字で定量的に説明できている点も良い印象を与えられるでしょう。
困難を乗り越えた経験を話す時に限ったことではありませんが、就活においては、ESでも面接でも数字を用いて定量的に説明することを心がけてください。
趣味のエピソード
趣味で取り組んでいたマラソンのことが思い浮かびます。
私は大学時代に趣味としてマラソンを始め、3年生のときに初めてフルマラソンに挑戦しました。
しかし、練習不足から大会直前に膝を痛めてしまいました。
そこで、それまでの距離重視の練習を控え、筋力トレーニングやフォーム改善に重点を置きました。また、食事や休養の管理にも細心の注意を払い、身体の回復を最優先しました。
その結果、大会当日は痛みを最小限に抑えつつ、制限時間内に完走することができました。この経験を通じて、計画を柔軟に見直しながら目標を達成するために必要な努力を重ねる重要性を学びました。
この経験を活かし、御社での業務でも予期せぬ困難に直面した際、冷静に状況を分析し、最適な解決策を導き出す所存です。
パフォーマンスを向上させることと、そしてその過程で身につけた能力が入社後にどのように活かされるのか、流れとして非常に分かりやすいです。
趣味について話す際は、身につけた能力と入社後にどのように活かせるのかを、こじつけのように説明してしまいがちですが、この例文は非常にスムーズに納得できる説明ができています。
1人旅のエピソード
大学2年生のときに挑戦した初めての海外1人旅が思い浮かびます。
私はオーストラリアへ1週間の旅行を計画しましたが、現地到着後、予約していた宿泊先が手違いで利用できないことがわかりました。
私はまず、地元の観光案内所を活用して別の宿泊施設を探しました。
慣れない英語のアクセントに戸惑いましたが、事前に学んでいたフレーズを活用しながら会話し、なんとか宿泊場所を確保することができました。
この経験を通じて、予期せぬトラブルに直面した際でも冷静さを保つことの重要性を学びました。
この学びを活かし、御社での業務でも新しい環境や課題に柔軟に対応し、周囲と協力しながら最適な解決策を見つけ出す所存です。
エピソードだけでも差別化できていますが、どのように工夫をして困難を乗り越えたかの説明も分かりやすいです。
また、入社後にどのように貢献するのかについても分かりやすく説明できています。
大学受験のエピソード
大学受験で一度失敗を経験したことが思い浮かびます。
私は高校3年生のとき、受験に失敗しました。
しかし、浪人生活では受験勉強のスケジュールを一から見直し、自分の弱点であった英語を重点的に学習しました。
また、試験本番での緊張感を克服するため、模試を活用して実践的な練習を繰り返しました。
その結果、翌年の試験では目標としていた大学に無事合格することができました。
この経験を通じて、自分の弱点を見極め、適切な対策を講じることで結果を出す力を養うことができました。
また、大学でも無理のないスケジュールを立てることで、授業、アルバイト、サークルを全てこなすことができました。
この経験を活かし、御社でも課題に対して粘り強く取り組み、成果にコミットする所存です。
大学受験のエピソードは高校時代のものであるため、できれば避けたいところですが、これほど分かりやすく説明できるならば選択肢の1つとして持っておいても良いでしょう。
また、この例文は大学入学前で話が終わっておらず、受験時に身につけた能力を大学在学中に活かした話も含まれているため、問題ありません。
【困難を乗り越えた経験】魅力的にアピールするポイント
続いて、困難を乗り越えた経験について話す際に、より良い印象を与えるためのポイントについて紹介します。
以下のポイントを踏まえた上で作成すれば、あなたが入社後活躍する人物であるとイメージしてもらえるでしょう。
「困難を乗り越えた経験」は特別な体験でなくても良い
必ずしも特別な体験を用意する必要はありません。
多くの就活生が特別で目立つエピソードを探そうとするあまり、内容が不自然になったり、本来の自分を伝えられなかったりします。
しかし、採用担当者が求めているのはエピソードの珍しさではなく、その困難にどう向き合い、どのように乗り越えたかという行動や思考の部分です。
「熱中したこと」を振り返るのもおすすめ
過去に熱中して取り組んだことを振り返るのも効果的です。
熱中していることに挑戦する過程で、必ず何らかの困難や課題に直面するものです。
成功体験だけを語るのではなく、その裏側にある失敗や試行錯誤についても時系列で整理し、丁寧に説明することで、より深みのあるエピソードとなります。
例えば、部活動で試合に勝つために練習メニューを改良したり、研究活動で予想通りの結果が得られず新しい手法を試したりしたエピソードは、自然と熱意や粘り強さを伝える材料となります。
また、熱中したことを語る際には具体的な目標や取り組み内容を明確にすることが重要です。
漠然と「一生懸命頑張った」という説明ではなく「どのような課題があり、それにどう取り組んだのか」を具体的に示しましょう。
他の就活生との差別化をしよう
他の就活生との差別化を意識することも、非常に重要です。
採用担当者は多くの応募者のエピソードを聞いているため、同じような内容では印象に残りません。
そこで、自分らしい視点や思考を織り交ぜることで、他者との差別化を図りましょう。
そこから得た学びや強みを明確に伝えることがポイントです。
例えば、同じ部活動での課題克服エピソードでも「練習を工夫した」という雑な説明に留まるのではなく「部員全員の意識を変えるために独自のモチベーション施策を提案した」といった具体的なアクションや、自分の工夫を盛り込むと差別化につながります。
【困難を乗り越えた経験】困難を乗り越えた経験をアピールする際の注意点
困難を乗り越えた経験について答えるときは、いくつかの注意点にも目を向けておきましょう。
あらかじめ注意点をチェックしておけば、より効果的な答え方・アピールができる可能性があり、ほかには答えるうえでの失敗も回避できます。
具体的な注意点は、以下の4つが挙げられます。
- 今も困難が続いている場合はアピールにならない
- 挫折経験のエピソードのみはNG
- 「特にない」と答えるのはNG
- 避けるべきエピソードに該当しないよう注意する
このように選ぶべきエピソードを間違えたり、特にないと答えたりすると、ネガティブな評価につながる可能性があるため注意が必要です。
では、詳細をそれぞれ見ていきましょう。
今も困難が続いている場合はアピールにならない
困難を乗り越えた経験をアピールする際は、今続いている困難のエピソードは、答えとして活用しないようにしましょう。
なぜなら、今も続いている困難は、乗り越えた実績をアピールできるものではないからです。
乗り越えていないからこそ続いている困難であり、内容を具体的に伝えても、それはアピールになりません。
そのため、たとえば行動したことで軽い解決には至ったものの、完全に解決していない困難・課題などはアピールしにくい可能性があります。
答えた結果、「それは乗り越えたと言えないのでは?」と採用担当者に思われれば、あまり良い評価につながりません。
そのため、困難を乗り越えた経験を聞かれたときは、今は乗り越えて状況が好転していることをエピソードとして取り上げましょう。
過去の経験を洗い出して、しっかりと乗り越えていることをエピソードとして探してみてください。
挫折経験のエピソードのみはNG
困難を乗り越えた経験について答える場合、挫折のエピソードを伝えるのみで済ませるのはNGです。
挫折経験の内容をただ伝えるだけでは、具体的なものであっても、乗り越えた実績はアピールできていないからです。
また、乗り越えたことまで含めてアピールしたとしても、最終的に入社後の活かし方にまで触れていなければアピールとして意味がありません。
企業は、困難を乗り越えた経験から学んだり分析したりし、最終的にその学び・能力を活かして入社後に活躍してくれる人材を求めています。
そのため企業からしてみれば、経験の内容を聞かされるのはただの「事実」でしかなく、アピールにはならないのです。
困難を乗り越えた経験を伝える際は、最後の意思表示・自分の魅力アピールとして、どのようにその経験を仕事に結びつけるのか明確に示すことが大切です。
「特にない」と答えるのはNG
困難を乗り越えた経験についての質問に対して、「特にない」と答えることはNGです。
企業はエントリーシートや面接で困難を乗り越えた経験を聞くことで、本人がどのように問題解決に取り組むか、逆境に立たされたときにどう対処するのかを知りたいと考えています。
そのため、何も答えなければ、そもそも評価をもらうことはできません。
なお、どのような質問においても「特にない」と答えることは、「アピールする意思がない」ととらえられてしまいます。
「やる気がない」「熱意が感じられない」という印象を持たれても仕方がないため、たとえ答えに詰まったとしても、「特にありません」と答えるのはやめましょう。
自己分析を通じてこれまでの自分の経験を振り返り、困難や課題をクリアしてきた経験をよく思い出してみましょう。
避けるべきエピソードに該当しないよう注意しよう
困難を乗り越えた経験について質問された際は、そもそも避けるべきエピソードを取り上げないように注意してください。
困難を乗り越えた経験の回答として避けるべきエピソードは、詳しくは次の項目でじっくり解説しますが、取り上げても印象が悪くなるだけです。
たとえわかりやすい説明で具体性があっても、そもそもエピソードのジャンルとして評価しにくいものであれば、評価の対象になりません。
困難を乗り越えた経験であれば何でも良いわけではないため、エピソードは慎重に選ぶ必要があります。
避けるべき内容のエピソードしか見つからない場合は、「これは困難といえるようなものではない」と処理してしまっている可能性もあるため、些細な成功体験に目を向けてみることもおすすめです。
また、経験のジャンル的に避けるべきエピソードに該当しないか不安な場合は、周りの人に添削を頼み確認してもらうことも検討しましょう。
【困難を乗り越えた経験】避けるべきアピール3選
実はこの質問の回答には、避けるべきテーマが3つ存在します。
以下のようなテーマについて話してしまうと、むしろマイナスな印象を与えてしまう可能性があるため、気をつけてください。
1.身内の不幸話のエピソード
就活の場で身内の不幸に関するエピソードを語ることは避けるべきです。
採用担当者が聞き手として反応に困る可能性が高いためです。
不幸話は感情的に重たくなりすぎる傾向があり、就活の面接というビジネスの場にはそぐわないと判断される場合があります。
また、悲惨な状況の説明に終始してしまう可能性があります。
これでは採用担当者に対して、問題解決能力を十分にアピールできません。
父を亡くした時が、最も大変でした。
父は家族に隠して多額の借金をしており、母が連帯保証人になっていたため、返済する以外の選択肢がありませんでした。
私は高校3年間でアルバイトに没頭し、約500万円を稼ぐことで、母のパート代と合わせて父の借金を返すことができました。
この経験から、どのような絶望的な状況でも必死になって取り組めばなんとかなることを学びました。
貴社に入社した際には、この諦めない心と粘り強さを活かして、どのような難しいプロジェクトにも果敢に挑戦したいと考えています。
2.失恋経験など個人的な内容のエピソード
失恋など、プライベートに深く関わる内容のエピソードを就活で語るのも避けるべきです。
企業は応募者のビジネススキルや適性を評価する場であり、私的な感情や恋愛に基づく話は面接というフォーマルな場にふさわしくありません。
特に、仕事とプライベートの区別がついていない印象を与えかねないため、印象が悪くなることがあります。
さらに、恋愛に関連するエピソードでは成し遂げた成果や学びの具体性が欠けやすく、面接の評価基準とずれてしまう可能性もあります。
大学2年の時に4年間交際していた男性との別れの経験が挙げられます。
私はショックのあまり大学にも行けず、半年間休学することになってしまいましたが、休学中に世界を旅するYouTuberの動画を観て「小さなことでくよくよしていられない」と気づきました。
大学に戻った後は全ての授業に熱心に取り組み、GPAを4.3まで伸ばすことができ、貴社のような素晴らしい企業の選考にも挑戦できるようになりました。
この経験を活かし、どんなに辛いことがあっても、常に熱心に取り組み、貢献できる人物を目指します。
3.目標のレベルが低い困難に関するエピソード
目標のレベルが低いエピソードを語るのも避けるべきです。
日常的な課題や少しの努力で解決できるような問題を挙げると、自分の成長意欲や挑戦心をアピールする機会を失います。
目標がどの程度難易度の高いものであったかが伝わらない場合、意味がありません。
採用担当者は挑戦のレベルやその過程で得た成果を基に、応募者のポテンシャルを評価するため、目標が低すぎるエピソードでは十分な評価を得られないでしょう。
困難を乗り越えた経験と聞かれると、大学で何とか留年せずに済んだことが挙げられます。
私はもともと欠席が多く、単位を複数落としていたのですが、担当教授に「このままだと卒業できない」と聞かされ、熱心に授業に取り組むようになり、3年の前期には無遅刻無欠席を達成しました。
これにより単位を複数確保でき、問題なく卒業できそうです。
この経験を活かし、貴社に入社してからは毎日休みなく出勤し、安定したパフォーマンスを発揮することで貢献したいと考えています。
【困難を乗り越えた経験】ない場合の対処法4選
ここまでコツなどについて紹介してきましたが、どうしても困難を乗り越えた経験が思い浮かばない人も多いでしょう。
そこで、ここからはエピソードをひねり出すためのコツについて紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
1.困難に立ち向かった経験をどんなに小さくてもいいので思い出す
まずは「困難」という言葉の捉え方を変えることが重要です。
「困難」というと壮大で劇的な出来事を想像しがちですが「大変だったこと」や「少し難しかったこと」と考えると、日常の中で思い当たる経験が見つかることがあります。
例えば、部活動で苦手なスキルを練習したり、学校の課題で予想以上に時間がかかったりした経験など、どんなに小さなことでも困難として扱うことができます。
これらの経験を掘り起こすことで、自分がどのように問題に向き合い、解決に向けて努力したのかを具体的に振り返ることができます。
特に印象に残っている出来事を挙げてみましょう。
その中から自分が苦労した経験や乗り越えた課題をピックアップすると、エピソードを見つけやすくなります。
2.挫折した経験を探す
経験が思い浮かばない場合には「挫折」という視点から経験を探してみるのも有効です。
「困難」と「挫折」は密接に関係しており、考えることでエピソードを整理できます。
例えば、試験に失敗した経験や、部活動やアルバイトで思うような結果が出なかった経験などが思い浮かぶでしょう。
まず「自分が何かを頑張った結果、思った通りにいかなかったこと」をリストアップしてみましょう。
その中で、失敗から何を学んだかを掘り下げることで、プロセスを明確にできます。
自分がどのように失敗を受け入れ、次の行動に活かしたのかを具体的に言語化することが大切です。
3.一生懸命努力した経験から考える
経験が思い浮かばない場合、こちらも有効です。
努力する過程では必ず何らかの壁や課題に直面するものであり、回答のヒントになります。
例えば、試験勉強や部活動でのスキル向上、アルバイトで売上目標を達成するための取り組みなど、何かに集中して取り組んだ経験を振り返ることで、自分の行動や思考が明確になるでしょう。
また、その過程で直面した課題や苦労を思い出すことも重要です。
例えば、計画通りに進まなかった場合にどのように修正したのか、結果が出ない中でどのようにモチベーションを維持したのかなど、細かいエピソードを整理すると、伝わりやすい内容になります。
4.自己分析をして過去の経験を振り返る
自己分析を通じて過去の経験を振り返る方法も効果的です。
自己分析を行うことで、自分がどのような場面で努力をし、課題を克服してきたのかを整理できます。
特に、学生時代の部活動や学業、アルバイト、趣味などの取り組みを時系列で振り返り、それぞれの経験の中で直面した課題や困難を具体的に書き出してみましょう。
自己分析を行う際には自分の価値観や強みを見つけることも意識することも大切です。
例えば、どのような状況で最も力を発揮したのか、どのような工夫をして課題を解決したのかを考えることで、自分らしさをアピールするエピソードを見つけられる可能性が高まります。
また、周囲からどのような評価を受けたか、どのような学びを得たかも整理すると、さらにエピソードの説得力が増すでしょう。
以下の記事では自己分析の方法やツールを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【困難を乗り越えた経験】コツをおさえたアピールで選考を有利に進めよう!
今回は困難を乗り越えた経験について聞かれた際、どのように回答すれば良いのかについてポイントや注意点などを紹介しました。
100%聞かれる質問ではありませんが、あらかじめ回答を準備しておくことで、他の就活生に差をつけられる「サービス問題」になることもあります。
ぜひ本記事で紹介した例文などを参考に質の高い回答を用意しておき、ライバルに差をつけられるよう取り組んでください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート