テレビ業界とは?現状や多岐にわたる職種・求められるスキルを紹介

テレビ業界とは?現状や多岐にわたる職種・求められるスキルを紹介

はじめに

「テレビ業界に憧れるけれど、自分に合う仕事はあるかな?」 「テレビ業界に就職するにはどうすればいいのだろうか。」 「テレビ業界に今勤めるのは賢明なのだろうか。」 このように、テレビ業界に興味がありつつも内情が分からない人は多いのではないでしょうか。

この記事では、テレビ業界の現状や職種、テレビ業界に就職するにはどうしたらよいか、就職で求められるスキルなどを細かく解説していきます。

この記事を読んだ後には、テレビ業界の今を理解した上で、自分に合った職種を見つけやすくなるでしょう。また、自分は本当にテレビ業界に向いているのかどうかも分かるようになるでしょう。

テレビ業界に入りたい人、内情を知って就活に役立てたい人はぜひこの記事をチェックしてみてください。

テレビ業界とは

華やかに見えるテレビ業界ですが、その裏ではたくさんの人が働いています。製作スタッフをはじめ、技術スタッフや営業など様々な職種があり、特殊な技術が必要な仕事もあれば、一般の会社と変わらない仕事をしている人もいます。

ニュースやバラエティ、旅行、ドラマなど番組数も多岐にわたるため、働き手の数も多いのが特徴です。

多くの職種で成り立っている業界なので、自分の得意とする職種があればテレビ業界で活躍できるチャンスがあります。

テレビ業界の現状

テレビ局が経営の多角化を図っている事をご存知でしょうか。若者のテレビ離れが叫ばれる昨今、テレビ業界も時代の流れを汲みながら新たな動きをみせています。

ここでは、テレビ業界が力を入れて行っている事業や、気になる年収についても紹介します。

動画配信を強化している

フジテレビは独自の動画サービスFODを運営する他、中国の動画配信プラットフォームYOUKUと戦略的パートナーシップを締結しました。また、日本テレビは動画配信サービスHuluの日本事業を買収した他、ショート動画配信サービスのテレビバを運営しています。

2019年、NHKによるテレビ番組のインターネット同時配信を認める法案が可決されたため、今後もこのような各局の動きが更に加速していくでしょう。

出典:NHKによる常時同時配信の実施― 放送法の一部を改正する法律案の成立 ―|参議院

広告収入はネットに抜かれている

経済産業省の特定サービス産業動態統計によると、2019年にはテレビ広告が1,461,282百万円、インターネット広告は834,377百万円でしたが、2021年にはそれぞれ1,369,855百万円、1,372,190百万円となり、ネット広告がテレビ広告を追い抜きました。

コロナ禍における巣篭もり需要で若年層を中心に動画配信サービスの利用が増えている事が、ネット広告の追い風となっています。

出典:3.広告業 調査の結果|特定サービス産業動態統計調査|経済産業省

不動産やネットなどの非テレビ事業への進出も顕著

テレビ離れが叫ばれる昨今、テレビ業界の多角化が進んでいます。フジテレビを運営するフジ・メディア・ホールディングス(HD)では、大阪の西梅田にある複合高層ビル、ブリーゼタワーを始めとする都市開発(不動産)事業が会社の主力事業になっています。

また、TBSを運営するTBSHDも同じく不動産事業が好調な他、子会社であるスタイリングライフHDでは化粧品などの製造や販売も手掛けているなど、非テレビ事業への進出にも成功していると言えるでしょう。

キー局は高収入が期待できる

2022年3月の有価証券報告書によると、株式会社フジ・メディア・ホールディングスの平均年収は866万6千円、日本テレビホールディングス株式会社では1千379万円となっています。

また、株式会社テレビ朝日ホールディングスは1千421万円、株式会社TBSホールディングスは1千449万円、株式会社テレビ東京ホールディングスは1千415万円です。

国税庁の令和2年分民間給与実態統計調査では、2020年の1年を通じて働いた日本人の平均年収は433万円なので、局によって差はあるものの十分高収入が見込めます。

出典:E04462:株式会社フジ・メディア・ホールディングス (法人番号)1010401032433 S100OCR2:有価証券報告書 ‐ 第81期(令和3年4月1日 ‐ 令和4年3月31日)|金融庁

E04410:日本テレビホールディングス株式会社 (法人番号)1010401051458 S100OG71:有価証券報告書 ‐ 第89期(令和3年4月1日 ‐ 令和4年3月31日)|金融庁

E04414:株式会社テレビ朝日ホールディングス (法人番号)1010401015636 S100O9H0:有価証券報告書 ‐ 第82期(令和3年4月1日 ‐ 令和4年3月31日)|金融庁

E04375:株式会社TBSホールディングス (法人番号)5010401020855 S100OJ56:有価証券報告書 ‐ 第95期(令和3年4月1日 ‐ 令和4年3月31日)|金融庁

E24545:株式会社テレビ東京ホールディングス (法人番号)1010401090159 S100O9OB:有価証券報告書 ‐ 第12期(令和3年4月1日 ‐ 令和4年3月31日)|金融庁

民間給与実態統計調査 P.17|国税庁

テレビ業界に就職するには

テレビ業界に就職するには大きく分けて2つ、テレビ局か番組制作会社に入ることです。テレビ局で番組制作や企業戦略を立てたり、番組枠を考えたりとテレビに関連するたくさんの仕事があります。一方、番組制作会社はテレビ局から外注された番組を制作することが主な仕事です。

ここでは、テレビ局と番組制作会社に就職するのに必要な学歴や資格などを紹介します。

テレビ局の場合

日テレの場合、コンテンツ制作・報道部門、メディアビジネス部門の募集要項は、就職時までに28歳以下で4年制大学・大学院修士課程・高専専攻科を卒業・修了、または卒業見込み・修了見込みの方、文理不問となっています。

就職試験は、他の企業と同じく書類審査(エントリーシート)から始まり、二次試験では、面接や時事問題の筆記試験やディスカッション、希望職種によってそれぞれの適応テストが行われる事もあります。

出典:募集要項|日本テレビ放送網(株)

番組制作会社の場合

テレビ局とは違い、番組制作会社では学歴不問の会社もあります。資格も必要としていない会社がありますが、番組を作るのに必要となる普通自動車免許や、動画編集が得意などアピールするポイントがあるとよいでしょう。

また、カメラマンや照明スタッフなどの技術職では、専門学校で学んだ人が採用されるケースが多いでしょう。

会社によってカラーが違いますので、就職を希望する会社では何を求められるのか確認する事が大切です。

テレビ業界の多岐にわたる職種

テレビ業界には局を成り立たせるために働く人、番組を成り立たせるために働く人がいます。私たちが何気なく見ている1つの番組が作られるのに、多くの人が関わっているのです。

テレビ業界で働く人がどのような仕事をしているのか、職種別に紹介します。

総合職

テレビ局には、コンテンツ制作・報道・スポーツ・営業・海外ビジネス・スポーツ・戦略・技術などかなり多くの部署が存在します。

番組ディレクター、プロデューサーコンテンツ制作部門や、営業や戦略のメディアビジネス部門、放送技術を扱うエンジニア部門など、部門別に募集がありますが、どこに配属されるかはその人の適所を見極め、振り分けられます。

異動も多く、いろいろな支店や部門を経験することになるでしょう。

アナウンサー

放送局の顔となる、花形の仕事です。報道やニュース番組で、起こっている事を正しく的確に伝えることが主な仕事です。バラエティ番組では番組の進行や、他の出演者が話しやすくなるようサポートもします。

近年では、タレント的な役割を担うこともあり、個性やルックスが重視される傾向にあります。多くの場合、局の社員という雇用形態で、番組の時間帯によっては早朝や深夜勤務になることもあるため、体力が必要となる仕事です。

技術職

技術職の人々は、番組や出演者を魅力的に見せるために欠かせない存在です。カメラやマイクなど、専用の機材を使うことから専門学校で技術を学んでからテレビ局や番組制作へ就職する人も多いです。

まずはアシスタントとして働き技術や現場での立ち振る舞いを学んだ後、独り立ちして活躍の幅を広げていきます。また、重い機材を持ち歩いたり、動かしたりする仕事なので体力勝負の一面もあります。

カメラクルー

監督やディレクターの意図を汲み、映画・テレビ番組・CMなどの映像を撮影する仕事です。ビデオグラファーとも呼ばれています。

ワイドショーやスポーツ中継、映画など撮影場所によって撮影スタイルも使用する機材も必要とされる技術が違うため、専門的な知識が必要とされるのです。

近年ではドローンを使っての撮影も増えてきており、常に新しい機材や撮影技術の知識習得やアンテナを広げておくことが必要とされています。

照明・音響スタッフ

照明スタッフは、番組や映画監督やカメラマンのイメージに合わせ光を調整し、理想の明るさを作り上げる仕事です。

音響スタッフは、出演者の声や環境の音を状況に合ったマイクを使い録音する仕事です。

いずれのスタッフも収録だけでなく編集も行い、使用する機材も多いことからセンスと高い専門性が求められます。また、チームとして働くため周りを見る力や協調性も必要です。

制作スタッフ

番組の要とも言える制作スタッフは、様々な角度から現場を管理・運営する重要な仕事です。制作スタッフのセンスや判断で、番組の方向性が決められると言ってもいいでしょう。

まずはアシスタントとして現場に入り、能力を身に付け人脈を広げ、上に上がっていくのが順当な流れです。

プロデューサー

1つの番組の統括的な責任者です。テレビ番組は、テレビ局と番組制作会社が一緒になって制作していることが多く、それぞれにプロデューサーが存在します。

企画立案から制作スタッフの決定、出演者への交渉、予算の獲得・管理、スポンサーへの営業などの番組に関わる幅広い仕事を担います。出演者やスタッフをまとめる統率力と、番組を成り立たせるための的確なコスト管理、リーダーの資質を兼ね備えている事が必要です。

ディレクター・アシスタントディレクター

番組の指揮者の役割を担う仕事です。企画や台本作り、演出を行い、ロケ地探しやロケ弁などの各種手配やカメラマンや照明をはじめとする技術者に必要な指示を出します。ロケや取材にも同行し現場を指揮、撮影後には編集作業にも携わるのです。

アシスタントディレクターは将来のディレクター候補として、現ディレクターの補助をしながら現場を学んでいきます。主にディレクターの手の回らない、各種手配や細かい部分の仕事を行う縁の下の力持ち的なポジションです。

タイムキーパー

番組の時間進行を管理する仕事です。コーナーからCMに入る時間や、番組の残り時間など秒単位の細かい時間管理をするため、ストップウォッチを使い進行状況を常に把握し、スタッフに伝えています。

番組を時間通りスムーズに進行する上で、特に生放送では欠かせない存在です。現場での仕事はもちろんのこと、番組のコーナーやCM時間が書き込まれたキューシートと呼ばれる番組進行表の作成も大切な仕事です。

テレビ業界への就職で求められるスキル

テレビ業界のような、人との関わり合いの多い職場では、コミュニケーション能力があり人当たりのよい性格が好まれます。その他に入社前にあるとよいスキルや、入った後に身に付けるとよいスキルを紹介します。

市場におけるトレンドへの理解力

テレビ業界で重要視されることは、視聴者が楽しめる番組を作ることと、視聴率を上げることです。そのためには、時代の流れや話題になっているもの、業界でのトレンドを把握する力が必要になります。

また、これからテレビ業界はどのように進んでいくのか、若者に人気のある番組は何か、世界情勢はどうなっているのかなど新鮮な情報を仕入れておき、必要な時に対応できるようになっているとよいでしょう。

テレビ業界特有の知識

どの業界でもそうですが、テレビ業界にはテレビ業界特有の知識があります。テレビ局の種類(公共放送・キー局など)や、主な職種などの基礎知識の他、各職種で必要な知識もたくさんあります。

例えば、各局公的電波を利用して情報を発信しているため法務部では電波法の知識が必要です。また、アナウンサーは発声法や現場での立ち振る舞い、ニュースの知識などが必要となります。

それぞれ配属された先でしっかり覚えましょう。

仕事をする上での一般的なスキル

技術職の人々は機材の運搬があるため、応募条件に普通自動車運転免許を取得とあることが多いです。また、総合職の人は事務仕事をする可能性があるため、パソコンの基本的操作ができるとよいでしょう。

近年ではパソコンでデータのやりとりや動画編集も行うこともあるため、技術職をはじめ、現場に関わる人も覚えておくと仕事に役立つでしょう。

テレビ業界の様々な職種を理解して自分に合ったものを選びましょう

テレビ業界では市場のトレンド理解力やテレビ業界特有の知識が求められるため、新しい事や知らない事を吸収していく好奇心や知識欲のある人に向いているでしょう。

テレビ業界は総合職やアナウンサー・技術職・制作スタッフなど、様々な職種が関わり成り立っています。それぞれ求められる資質や仕事内容も異なるため、どの職種が自分に合うのかじっくりと考えてみてください。

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