はじめに
「航空業界・空港業界ってどんな業界なの?」 「航空業界・空港業界にはどんな仕事があるの?」 「航空業界・空港業界の今後の動向について知りたい!」 このように就職活動をする方の中には、航空機や空港に関係する仕事がしてみたいと考えている方もいるでしょう。
本記事では、就職活動で人気が高い航空業界・空港業界がどんな業界なのか、どんな職種があるのかを紹介しています。また、就職活動する上で知っておきたい業界の現状と今後についてもまとめました。
この記事を読むことで、航空業界・空港業界についてさらに詳しく知ることができ、業界研究をさらに深められるでしょう。航空業界・空港業界に興味があるという方はぜひご覧ください。
航空業界・空港業界とは
航空業界・空港業界は、航空会社と空港運営会社で成り立っています。航空会社は、航空機を使い人や貨物を輸送することが仕事で、大きく区分するとメガキャリアとLCCの2つに分けられます。
一方で、空港会社は航空機が空港で離着陸をする際に起きるさまざまな業務が仕事です。
メガキャリアとは?
メガキャリアとは、質の高いサービスを乗客に提供している航空会社のことを指します。そのため、メガキャリアが運営する航空機では機内食や機内エンターテイメントが充実しており、乗客が航空機の中でより良い時間を過ごすことができます。
また、運航路線の多くも特徴の1つでしょう。一方で、価格設定は高めに設定されているというデメリットがありますが、それもすべて含めてブランド化されていると言われています。
LCCとは?
LCCは、Low Cost Carrieの略です。日本では格安航空会社とも呼ばれています。
LCCの特徴は、メガキャリアが運営する航空機に比べてコストが安いという点です。そしてその安さを実現するために、機内サービスの簡素化や人件費の削減などの工夫を行っています。
空港運営会社とは?
空港運営会社では、空港への着陸料・物販の販売・飲食の提供で収入を得ています。また、空港に来た人々が快適に過ごせるようさまざまなサービスや企画を考え運営していくのも大きな仕事の1つでしょう。
航空・空港に関する主な職種は?
航空業界や空港業界は、今も昔もその華やかなイメージから就職活動ではとても人気がある業界の1つです。また、航空・空港業界と一言で言ってもその仕事内容はさまざまです。中には、専門の資格が必要な職種もあります。
次は、航空・空港に関する主な職種について紹介をしていきます。航空・空港業界に憧れがあるという方は、まずはどんな仕事内容があるのかを知るところからはじめましょう。
パイロット
パイロットは、航空業界の代表的な仕事の1つです。航空機を操縦し、乗客や貨物を目的地まで届けることを仕事とします。
パイロットになるためには、定期運送用操縦士という資格が必要となります。また、パイロットは空の上で人の命を預かる仕事です。そのため、責任感と機内にいる乗客が快適に過ごせるよう安全に操縦するための技量が求められる仕事と言えるでしょう。
客室乗務員
客室乗務員は、機内で乗客への接客サービスを行うイメージを持たれている方が多いでしょう。機内食の提供や物販の販売など、乗客が機内の中で快適に過ごせるよう接客をするのは客室乗務員の大きな仕事の1つです。
またその他にも、緊急時の誘導や急病人などの応急処置を含める保安業務も客室乗務員が行います。そのため、客室乗務員は旅客機には欠かせない存在と言えるでしょう。
グランドスタッフ
グランドスタッフは、空港カウンターでのチェックイン業務などを行います。またその他にも搭乗の手続きのサポートや、搭乗案内など空港の地上で行う業務全般を担うのもグランドスタッフです。
そのため、接客力はもちろんのこと、外国人の方もスムーズに案内ができる語学力も必要となります。
航空整備士
航空整備士は、航空機の整備や点検などを行うことを仕事としています。航空機は最先端の技術と部品で作られているため、航空整備士になるには、専門的な技術と知識の習得が不可欠となります。
また、航空機に携わるためには国家資格も必要です。航空整備士を目指すのであれば、専門の大学や専門学校へ進学をし、在学中に資格取得の学習を進めるのが一番の近道と言えるでしょう。
出典:航空|国土交通省
運行管理
運行管理はディスパッチャーとも呼ばれ、パイロットをサポートする役割を担っています。運行管理では、運航前の機体の整備状況や乗客と貨物の重量などから最適な飛行プランを作成し、パイロットに伝えます。
運行管理として活躍をするためには、まずは2年間の実務経験が必要です。そしてその後、国家資格である運航管理者技能検定を取得する必要もあります。
また英語力も必要です。運行管理は高度な知識はもちろんのこと、フライトを支えているという責任感が必要となる職種と言えます。
出典:航空|国土交通省
航空管制官
航空管制官の職場は、空港にある管制塔です。航空管制官は、管制塔で航空機が安全に離着陸ができるよう指示を出したり、誘導をしたりすることが仕事です。また、航空管制官は、国家公務員となります。
航空管制官は目視で飛行機をとらえる必要があるため、常に神経を集中させていなければならず、責任感が必要な職種でしょう。またパイロットにはもちろんのこと、その他の空港職員にも指示を出すことがあるので、高いコミュニケーション能力が必要となります。
グランドハンドリング
グランドハンドリングは通称グラハンとも呼ばれ、空港業務の縁の下の力持ちです。グランドハンドリングは、航空機を所定の時間に離着陸させるためのサポートを行います。
仕事内容としては、航空機の誘導や貨物の積み込みや搬入などです。また、ターミナルと航空機の出入り口をつなぐ搭乗橋の運転なども行います。
税務職員
空港での税務職員の重要な仕事の1つに、水際での密輸出入の取り締まりがあげられます。その他に、航空貨物の税金をチェックする通関業務も行います。
税務職員は国家公務員です。そのため空港で働く税務職員になるためには、まずは国家公務員採用試験に合格をしなければなりません。また、空港で働く税務職員は関税やさまざまな条約についての知識、そして語学力も必要となります。
入国審査官
入国審査官も税務職員同様、国家公務員です。入国審査官は、空港で外国人の出入国審査や日本人の出帰国確認を行います。
入国審査官は時に、偽造パスポートを持っている方や過去に犯罪を起こした方の入国を防ぐという業務も担います。そのため、鋭い洞察力と国際感覚を備えた語学力とコミュニケーション能力が必要です。
航空業界・空港業界の現状
航空・空港業界は、2020年以降のコロナ禍の影響を大きく受けている業界の1つとも言われています。
一時期は、多くの会社で事業継続が一番の課題になっている時期もありました。そのため、各社さまざまな取り組みを行いこの危機を乗り越えようとしているのが、航空業界・空港業界の現状であると言えるでしょう。
航空業界・空港業界の今後の動向は?
航空業界・空港業界は前述したようにコロナ禍の影響を大きく受け、いまだかつてない危機に直面をしています。今後に関しては不透明な部分も多いと言われていますが、コロナの収束が見られれば、経済活動の再開とともに回復してくる可能性もあるでしょう。
また、それに伴い働き方改革やSDGsへの取り組みを行う企業も増えていると言われています。次は、航空業界・空港業界の今後の動向について紹介していきます。
国際貨物事業への注力
コロナの影響を受けた結果、現在航空業界・空港業界では国際貨物事業が収益を支えています。半導体や電子部品などを貨物便を使い海外に輸送しているのです。
コロナが完全に収束するまでは、航空業界・空港業界ではこの国際貨物事業に力を注ぐことになると言われています。
コロナ禍では減便・運休などで対応
経済活動が再開した現在でも、旅客分野での完全回復はまだまだ時間がかかるでしょう。また、今後のコロナの影響によっては再び出入国規制がかかる可能性もあります。
そのため、航空業界・空港業界では状況に応じて旅客機の減便や運休などを行い、対応をし続けることになると言われています。
パイロット不足・他業種での新卒採用抑制
パイロットは航空業界・空港業界の花形職業です。しかし、そのパイロットの需要が少なくパイロット不足が深刻化しています。
その理由として、路線の拡大そして団塊世代の退職などが挙げられていますが、今後さらに需要と供給がかみ合わなくなり、コロナ禍後にはパイロット不足が大きな課題となると言われています。
そのため各社では、パイロットの給与の引き上げや育成システムの強化などを行っています。
また一方で、コロナ禍の影響で他業種の新卒採用は抑制をかけている会社が多いです。しかしパイロットに関しては人材不足が懸念されているため、このコロナ禍でも新卒採用は例年通り継続している企業が多いと言われています。
コロナ禍収束後は中長期的には伸びていく業界
現在大打撃を受けている航空業界・空港業界ですが、この大きな原因はコロナです。そのためコロナ禍さえ収束すれば、その後は中長期的に業績を伸ばしていく業界であると言われています。
自由に行動ができるようになった際にはまずは国内線から回復をしていき、その後国際線という流れで需要は回復していく可能性が高いでしょう。
SDGs・働き方の自由度を高める動き
業績低下を穴埋めするために、航空業界・空港業界の各社では雇用形態などの見直しを行うことで経営改善を行っています。つまり働き方改革を行っているのです。
たとえば長期休暇制度を設けたり、テレワークを推進することで働き方の自由度を高める取り組みを行っている企業もあります。また、航空業界・空港業界でもSDGsの取り組みを行っている企業もあり、CO2の排出量の削減など環境に関する活動も進められています。
コンセッションを推進
コンセッションとは、利用料金が発生する公共施設などに対して所有権は公共側が取得したままで、施設の維持や運営は民間事業者が行うことを指します。空港では現在、路線の拡大などをするために空港での運営の民営化が進められており、コンセッションが推進されています。
オンラインツアーなど新サービスを展開
非航空事業の拡大にも力を注いでいます。たとえば、移動をせずにバーチャルで旅を楽しめるオンラインツアーなどの取り組みを行っている企業もあります。
他にも、航空機で行う結婚式セレモニーが話題になるなど、航空業界・空港業界はコロナの影響は受けたもののその他の事業で収益をアップさせようとしています。
そのため、コロナ収束後は航空業界・空港業界の収益は今まで以上に増える可能性もあるでしょう。
航空業界・空港業界の大手企業5社
航空業界・空港業界を就職活動で志望するのであれば、どんな企業があるのかも知っておくと良いでしょう。次は、航空業界・空港業界の大手企業を5社紹介します。
同じ業界と言えども、企業理念や特徴などは企業により異なります。まずは自分が気になる企業を見つけ出し、企業研究もしっかり行った上で採用試験に臨みましょう。
1:ANAホールディングス株式会社
ANAホールディングス株式会社は、1952年に設立された日本初のエアライン企業です。現在では、日本と世界各国をつなぐ日本を代表する大企業と言えます。
2019年度末で従業員数は約45,000人、売上高は約19,000億円となっています。大手企業で働きたいと考えている方は、ANAホールディングス株式会社の採用試験に挑戦してみるのもおすすめです。
出典:ANAグループについて|ANAホールディングス株式会社
2:日本航空株式会社
日本航空株式会社の英語での社名は、Japan Airline Co.,Ltdであるため、通称JALと呼ばれています。日本航空株式会社も、ANAホールディングス株式会社同様に日本を代表する航空会社で、グループ会社が130社以上もあります。
日本航空株式会社では、社会に貢献し新しい価値を生み出せる人材を求めています。常に挑戦をし、会社の発展に貢献して行きたいという方は日本航空株式会社についてさらに調べてみるのも良いでしょう。
3:株式会社AIRDO
株式会社AIRDOは、1996年に北海道札幌で設立した企業です。「北海道経済の活性化のために」という思いは現在の企業理念である「北海道の翼として地域社会に貢献します」に引き継がれています。
2022年6月末で従業員数は約1,000名、平均年齢が38歳となっています。
また、CSR活動では人を育てる活動、(北海道の)自然を大切にする活動、社会に貢献する(災害復旧支援)活動の3つを柱として、北海道をはじめとした地域社会と連携しながら社会的課題の解決にも企業として取り組んでいます。
4:スカイマーク株式会社
1996年に設立されたスカイマーク株式会社は、日本の国内線市場に参入をしてきた新しい企業です。一昔前までは、日本の国内線というとANAホールディングス株式会社と日本航空株式会社の大手2社が独占している状態で、航空券の価格が高止まり状態でした。
そこでスカイマーク株式会社は、この大手2社に比べて割安の運賃を設定し、利用者の便益の向上に努めるために設立されました。
またスカイマーク株式会社では、責任感がありプロ意識が高い人材を求めており、次世代育成支援対策や女性の活動推進も行っています。
比較的年齢層も若くアットホームな新しい企業と言われているスカイマーク株式会社について気になる方は、さらに企業研究をしてみるのも良いでしょう。
5:株式会社ソラシドエア
株式会社ソラシドエアは、九州の翼として誕生したローカルエアライン企業です。1997年にパンアジア航空として創業をし、2002年には宮崎県に本拠地を移転、スカイネットアジア航空として再スタートをしました。
2011年にはソラシドエアとブランド名を変更し、2015年には会社名も株式会社ソラシドエアとなり、現在に至ります。
株式会社ソラシドエアでは、オープンなコミュニケーションを実施できる人そして協力と感謝の気持ちを伝えられる人材を求めています。また、女性が働きやすい環境作りにも力を注いでいる点も魅力の1つでしょう。
出典:会社情報|株式会社ソラシドエア 参照:https://www.solaseedair.jp/
航空業界・空港業界への理解を深めよう
コロナ禍の影響もあり、航空業界・空港業界の現在の状況は今までとは異なる部分が多いのも事実でしょう。しかし航空業界・空港業界は、この現状を変えようと現在も挑戦をし続けている魅力的な業界です。
航空業界・空港業界で活躍してみたいと考えている方は、この記事を参考にまずは業界について知るところからはじめてみましょう。そして、自分がどう貢献できるかを考えてみてはいかがでしょうか。
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