はじめに
就職活動や転職活動で何度も企業の選考に参加するようになると、適性検査を受けることも多くなってきます。その中で多くの人を悩ませるのがSPIです。
学校では習わなかったようなものばかりで、何から手をつけて良いか分からないという人も多いのではないでしょうか。形式が違うというだけで苦手意識を持ってしまうことも少なくありません。
この記事では、企業選考を受けるときにつまずきがちなSPIなどについて解説していきます。また、SPIの受検形式や検査内容で企業がどういったところに注目しているかのポイントもご紹介します。
この記事を読むことで、SPIを受けるときに必要なコツやポイントを理解することができるので、実際SPIを受けたときに高得点を狙うことができるでしょう。
ぜひ、この記事をチェックしてから企業選考に臨んでみてください。
SPIとは
SPIとは、Synthetic Personality Inventoryの略で、学生の基礎学力などを測るための適性検査のことです。数ある適性検査の中でも、多くの企業が選考に取り入れています。
ここでは、SPIについて紹介していきます。ご興味がある方は、チェックしてみてください。
企業はSPIを使い個人の能力を測っている
SPIは、履歴書や面接などから伝わる学歴や職歴だけではなく、個人の資質も選考で見るために行われている検査です。
企業はこのSPIの受検結果から人柄や仕事への適性を測り、必要とする人材に合うかふるい分けをしています。
企業が求める人物像に合っているか、必要最低限の基準をクリアしているかを公平に判断するために用意されています。そして、基準をクリアしていない求職者の足切りをするために行われているのです。
SPIの検査内容とは
SPIがテストのことであるということは知っていても、どんな内容のものであるかまでは詳しく知らないという人もいるのではないでしょうか。
SPIは大きく分けて2つの項目に分かれる試験です。まずは項目別に確認していきましょう。
能力検査
能力検査は、「言語分野」と「非言語分野」からなる、どのような業務内容でも求められる基礎的な能力を測るテストです。
コミュニケーション能力や物事を志向する力、新しいスキルを獲得するときの吸収力や応用力があるかどうかを確認しています。ポテンシャルの高さや地頭の良さを見ているというと分かりやすいでしょう。
当然企業によって求める人材は異なるため、基準は変動しますし、新卒や中途採用など、ターゲットの変動によっても基準が変わってくる場合があります。
性格検査
性格検査とは、複数の日常での行動や考え方から受検者の人となりを確認するテストです。企業が必要としている人物像に近いかを見て、配置や配属するときに参考にしています。
この検査から基本的なスペックだけではなく、より詳細な人物像をとらえることで業務上においての特徴や、難題に取り組むときの個人的な特徴などを把握し、詳細な人物理解をすることができるのが利点です。
SPIの受検形式
次は実際にSPIをどうやって受けるかについてご紹介します。受検形式は4つに分かれており、どの形式を選択するのかは企業によって変わってきます。
受検する場所や方法も変わってくるので、しっかり確認しておきましょう。
テストセンター
テストセンターは、専用の会場に行って受けることになります。また、2022年10月頃に自宅のパソコンなどでも専用のシステムを通すことで受検するオンライン会場も用意されました。
指定された期間から、日程・時間帯を選択して受検します。受検が完了するとすぐに結果を見ることができるのも特徴でしょう。
ペーパーテスティング
応募先の企業が用意した会場で行います。パソコンは使用せず、マークシートへ記入して解答するのが特徴でしょう。
受検者側にはそれほど関係のないことですが、このマークシートはリクルートの採点物流センターに到着した後、約3時間後に採点が完了し、結果が確認できるようになります。
WEBテスティング
自宅や学校などのネット環境に接続できるパソコンで行います。スマートフォンから受検することはできないので注意が必要です。
WEBテスティングでも試験終了後に結果をすぐに見ることができます。
インハウスCBT
応募先の企業へ出向いて、設置されているパソコンを使って受検する方式です。こちらも試験が終わればすぐに結果を見ることができるのが特徴でしょう。企業側からすれば、面接前に組み込むことで選考フローを大きく変更する必要がなくなるため、メリットが大きい受検方式です。
テストセンター方式のコツ
ここからは、テストセンターで受検する場合のコツについてご紹介します。
テストセンターに限らずパソコンで受検する場合は、受検者の解答状況によって出題内容や出題される問題の数まで変動します。
落ち着いて問題を解くためにもしっかりとコツを確認してください。
1問ごとに設定されている制限時間内に解答する
ペーパーテストとは違い、1問ごとに制限時間が設定されています。
回答した問題に対して不正解率は出さず、問題数全体から見た正解率しか見られないため、答えずに時間切れになった問題は不正解として扱われてしまいます。
分からない問題でも解答を書いてさえいれば正解になる確率はありますが、未記入だと100%不正解になってしまうのでもったいないです。
SPIは選択式ですから、分からない場合でも必ずどれか選んで解答するようにしましょう。
分からない問題はとにかく解答を埋めて次の問題に進み、より多く解答する方が正答率は上がりやすいです。
他人のことは気にしない
対策をどれほどしたとしても不安になってしまうことはあります。テスト中は特に周りの様子は分からないため、自分だけ回答の進みが悪いのではないか、回答が間違っているのではないかと不安になって、他人が気になることがあります。
テスト中に周りを気にしていると集中できず、実力が発揮できないということになりかねません。不安なのは皆同じなので、周りを気にしないようにしてSPIに集中し、実力を出し切りましょう。
メモの有効活用
SPIの非言語分野では計算をしなくてはならない問題や情報を整理しなくてはならない問題なども多く出題されます。
しかし、大学で文系だったり社会人だったりすると計算する機会は高校時代までと比べると少なくなっている人がほとんどです。
頭だけで考えていると意外と間違えてしまうものです。計算間違いなどのケアレスミスで解答を間違ってしまうことがないようメモを活用しましょう。
言語問題の解き方のコツ
ここからは、言語問題を解くときのコツについて紹介していきます。言語分野の問題は非言語分野に比べると比較的簡単です。しっかり対策さえすれば高得点が狙えます。
まずは言語分の問題から確認していきましょう。
頻出問題の傾向を理解し解答時間を短縮する
SPIは短い時間で沢山の問題が出題される分、過去問からの出題が多いです。
事前に過去問を解いたり、模擬試験を受けたりすることで出題傾向を理解しておけば解答時間を短縮することができ、より多くの問題が解けるので高得点が狙えるでしょう。
ボキャブラリーを増やす
出題される範囲は受検する方式によって異なりますが、問題として出題されるのは文の並べ替えや空欄補充を中心に熟語の意味や成り立ち、語句の用法についてなどです。
簡単な問題が多いですが、普段の生活から日本語を意識してボキャブラリーを増やすことが大切です。
1つ語句を覚えたらそのままにするのではなく、類義語や対義語もセットで覚えるようにするのがボキャブラリーを増やすコツでしょう。
長文読解にかける時間を確保する
難易度は高くないといってもSPIは短時間で多くの問題を解かなくてはならないため、時間配分が大切です。
文章を読まなくてはならない長文読解はどうしても時間がかかってしまうため、あらかじめ長文読解をするための時間を計算しながらテストに臨むのがコツです。
先に設問をチェックすると効率的
長文読解を解くときには、先に答えなくてはならない問題の内容を確認するというのもコツの1つです。
先に設問を確認することで解答を探しながら文章を読むことができ、答えが分かった時点で最後まで読む必要がなくなるため効率的でしょう。
非言語問題の解き方のコツ
次に、非言語問題の解き方のコツを紹介していきます。非言語問題はとにかく範囲が広く、種類が多いのが特徴となっています。
コツをつかんで点数を取れるようにしていきましょう。
推論問題は出題数が多くミスを最小限に
SPIの中でも出題頻度も出題数も多いのが推論問題です。公式や暗記が通用せず、与えられた条件から答えを出す必要があるため苦手な人も多いです。
しかし、出題数が多い分一度解けるようになると得点源になってくれるのも推論問題です。推論問題は過去問を解き、色々なパターンに触れて慣れるのが一番のコツです。
いきなり計算をしてしまうと情報が増えて混乱しかねないので、まずは落ち着いてもとからある情報を整理していくのもコツです。
図式を活用して設問をイメージ化する
つるかめ算や仕事算、速さの問題など、文章だけではイメージがつきにくい問題も多くあります。どういう状況であるのかを整理し、視覚的に理解するために図式を書いて見るのもコツの1つです。
非言語問題の対策を重点的に行い周りとの差をつける
非言語問題は、公式があったり、解き方がパターン化されていて数字が変わったりしただけという問題ばかりです。
過去問や模擬試験をくり返し解いて、解き方を覚えるのがコツです。反復して問題を解いて対策をし、数学的な考え方に慣れていきましょう。
性格検査のコツ
性格検査について見ていきましょう。
性格検査は質問数が大体200~300問の検査で、結果で落とされることは少ないですが、回答によっては評価が下がってしまうケースもあるため、しっかり確認しておきましょう。
直感を大事にする
性格検査は、短い時間で200~300問を解答しなくてはなりません。迷ったり考え込んでしまったりすると全問解答することができないため、直感で答えた方が良いです。
好印象を与えるために嘘をつくと入社後に社風が自分と合わずに苦労する可能性もあります。 面接と同じ気持ちで自分を偽らずに答えましょう。
回答には矛盾が生じないように
性格検査では似たような内容が何度も問われます。
「我慢強いですか?」という問いに対し「はい」と答えたのに「忍耐力がない」という問いにも「はい」と答えたとすると、回答内容に矛盾が生じてしまいます。
好評価が欲しいからといって嘘の回答をしても矛盾が生じていると、嘘をついたということが見透かされてしまうため、逆に評価が下がります。
正直に答えていれば問題ありませんが、矛盾が生じないように回答しましょう。
SPIの合格ラインの目安と必要な勉強時間
SPI対策は過去問や模擬試験をくり返し解くことが大切です。
そこで気になってくるのが合格ラインです。また、どれくらいの時間をかけて対策すれば良いのか、もしくはSPI対策に必要な勉強時間が気になる方も多いでしょう。
ここからは、SPIの合格ラインや勉強時間について解説します。
合格ラインの目安
SPIの結果は点数では表されません。点数で表さない代わりに20~80の偏差値で表されます。そのため、具体的に何点くらい取れれば合格といえるような明確な点数はありませんが、7割程度できているのが理想的です。
企業によって大体ここくらいの偏差値であれば合格という目安を定めていますが、人気企業などでは高得点が必要になる可能性があるでしょう。
また、SPIは合格ラインの偏差値を下回るようなら足切りという使い方をされていますが、履歴書とあわせて総合評価での判断であるため、少し低いからといって必ず不合格にされてしまうわけではありません。
しかし、総合評価といっても基準の偏差値を大きく下回るようだと不合格にされるため、しっかりと対策を行いましょう。
勉強時間の目安
最低限のSPI対策の勉強時間は、30時間程度が推奨されています。
SPIの対策で重要になってくるのは、過去問や模擬試験をくり返し解き、問題の出題傾向を把握することです。そのため、一夜漬けや2~3日程度の短い時間だとあまり効果は得られません。
30時間というのはあくまで最低限の目安です。しっかりと対策をするのであれば、倍の60時間ほど勉強すれば安心できるでしょう。
詰め込み式ではなく、じっくりと時間をかけて出題傾向を掴むことをおすすめします。
SPIが苦手な人の特徴
ここからはSPIが苦手な人の特徴を説明します。苦手な人といっても本人の資質というよりも準備不足が目立つことがほとんどです。自分自身の現状を見直してきちんと勉強をすれば解けるでしょう。
自分に当てはまっていないか確認して、もし該当していたら改めましょう。
出題傾向や解き方を理解していない
SPIを解くのに必要なのは問題の解き方を理解することです。そのためには過去問や模擬試験をくり返し解くことが大切です。反復して学習することで出題傾向や解き方は自然に理解できるようになります。
出題傾向や解き方が理解できなかったり、SPIの解き方に慣れていないと感じたりするのであれば勉強不足と判断できます。
反復しての勉強は面倒であるように感じますが、解けないからと諦めるのではなく、ここまでの自分の行動を見直して勉強をするようにしましょう。
ペース配分を理解していない
パソコンを使って解答するテストセンターやWEBテストでは1問ごとに時間が決まっていますし、マークシートで解答するペーパーテストでも制限時間が決まっています。
せっかく勉強をして問題が解けるようになっていたとしても、問題を解いていく時間配分ができていないと最後まで解くことはできません。スマートフォンなどにもストップウォッチやタイマーの機能があるので、簡単に時間を測ることができます。
過去問や模擬試験を解いているときにも時間制限を設けて1問を解くのにどれくらいの時間がかかっているのか時間を測りながら解いて、ペース配分を理解しましょう。
本番の緊張感にのまれてしまう
テストだといわれてしまうと身構えて緊張をしてしまうこともあります。普段と違う状況に身を置くと緊張するというのは体の反応としては自然で、誰しもが少なからず緊張しています。
当たり前の反応ですから、「緊張してはいけない」「緊張を隠さなくてはならない」ということはありません。逆に自分が緊張していることを意識しすぎてしまうと更に追い詰められて悪循環になってしまいます。
むしろアスリートだと緊張感がある方が良い結果につながるといわれているくらいですから、緊張している自分を受け入れてゆったりと構えましょう。
問題が解けないのではないかと不安になるようであれば、事前のSPIの勉強時間を増やしましょう。「解けるようになった」という自信は安心につながります。
SPIで高得点を取るためには
ここでは、SPIで高得点を取るためのコツをご紹介します。SPIは対策さえすれば高得点を取ることができるというのも特徴の1つです。コツを押さえて勉強して高得点を目指しましょう。
受検する企業・業界の出題形式を理解する
SPIは、どの業界の企業でも選考基準の1つとして多く取り入れられています。
業界・業種別に重要視される能力は少しずつ変動します。そのため、多くの企業が取り入れているSPIは、出題形式や出題傾向が業界・業種ごとに変わってきます。
例えば、メーカー志望なのに金融業界や不動産業界向けのSPIの対策を行ってもあまり効果が発揮できません。より効果的にSPI対策をするために、企業・業界の出題形式を理解しましょう。
問題集を何度もくり返し解く
言語分野・非言語分野のどちらの問題も解き方や出題傾向を理解するのがSPI攻略のカギです。過去問や模擬試験、問題集などを何度もくり返し解くことでSPIに慣れていきましょう。
苦手な問題は反復練習
問題をくり返し解いていると何度も間違ってしまう問題や、時間がかかってしまう問題がどういうものであるかが分かってきます。解ける問題はすでに解き方を理解しているので飛ばして大丈夫です。
間違えてしまった問題・解くのに時間がかかってしまうような苦手な問題を解けるようになるまで何度も解き、理解度を深める反復練習を行うことがSPIで高得点を取るコツです。
頻出問題を把握する
SPIは形式によって出題される問題が変わってきますし、志望する企業・業界によっても問題が変わってきます。もし傾向が理解できていないと広い範囲を勉強しなくてはならないので非効率です。
SPIは過去門からの出題も多いため、頻出問題を把握することで得点が狙えます。受検方式が分からなくても業界での出題傾向や頻出問題が把握できていれば安心してテストを受けることができるでしょう。
SPI高得点を取るためには、企業・業界出題傾向の分析も大切な作業なので怠らないようにしましょう。
公式は丸暗記する
SPIの非言語分野にはいくつかジャンルがありますが、それぞれ公式が存在します。
公式が分からないと苦戦する問題は多いですが、逆に公式さえ覚えてしまえば解ける問題がほとんどです。出てくる可能性がある公式は丸暗記してしまいましょう。そうすることで確実に得点につながります。
時間を計りながら問題を解く
SPIは問題数が多く、受検方式によっては1問ごとに制限時間が決められています。問題ごとに制限時間が決められていなくてもテスト時間は決まっているので、大体1問1分のペースで解かなくては、時間内にすべての問題を解ききれません。
SPI対策で問題を解くときは普段から時間配分を意識するために時間を測りながら問題を解くようにしましょう。スピード感を持って解く訓練は本番で役立ちます。
模試を受検する
SPIの本番の前に、本番に近い空気を感じることは大切です。
いくら過去問などで時間内に解けるようになっていたとしても、実際にテストを受けてみると空気にのまれてしまって上手く実力を発揮できない可能性もあります。
模試を受けてみて、本番に近しい空気を感じ実際にどれくらいの緊張感があるのか、テスト時間の短さを体感することで、経験を本番に役立てることができます。
電卓やパソコンの使い方に慣れる
SPIの受検方式のうち、「WEBテスティング」と「インハウスCBT」では電卓の持ち込みが許可されています。また、マークシートで解答する「ペーパーテスティング」以外はすべてパソコンを使っての受検になります。
電卓もパソコンも便利な道具ではありますが、本番でいきなり使っても上手くいかず、使い方に慣れていないために操作に余計に時間がかかってしまう可能性があります。十分慣れた状態で試験に挑めるようある程度使い方を練習しておきましょう。
電卓が禁止されている可能性もあるので、もちろん暗算や筆算で解けるようになることも大切です。プラスアルファとして電卓で解く練習もしましょう。
電卓のキーの大きさなども素早く数字を入力するために影響があるので、自分にあったものを選ぶ方が良いです。また、紙の模試だけでなく、パソコンでも模試を受けて雰囲気を掴むことをおすすめします。
SPIのコツを理解して高得点を取ろう
SPIについて説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。SPIの全貌を理解し、対策方法を知ることで、知らないものに対する恐怖心や不安感は払しょくできます。
SPIで高得点を取るためには、地道な努力と勉強時間が必要になってきます。コツをつかんで効率的に勉強をして、就職・転職活動を満足いくものにしましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート