自己PRを盛ることは可能?実践するときの方法やリスクもあわせて知っておこう

自己PRを盛ることは可能?実践するときの方法やリスクもあわせて知っておこう

はじめに

就活の際に頭を悩ませることのひとつに、自己PRがあります。

「良いエピソードが思いつかない」 「長所としては印象が薄いかも」 「そもそもアピール材料がない」 このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

第一関門である履歴書でつまずいてしまう方もいるでしょう。本記事では、自己PRを盛ったときにどのようなリスクが生じるか、知っておきたい面接官が盛った自己PRを見抜く手段、面接官が自己PRを盛ったと気づいたときの選考への影響などを紹介していきます。

この記事を読むことで、自己PRを盛ると出てくる問題や、盛るのであればどのようにどこをどうやって盛るのか、そして面接官の対応などが分かるようになります。

ご興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

自己PRを盛ることは嘘と同等なのか?

盛るというのは、誇張することであるため嘘とは違います。

嘘は事実と異なることで、誇張は事実を大げさに言うことです。気をつけなくてはならないのが、この二つは紙一重で、内容によっては嘘になってしまいます。

成果や結果を盛るような噓をつくよりは、自身がひたむきな努力をした何かがあれば、その経験を大げさにアピールすることをおすすめします。

自己PRを盛ると面接官にバレる可能性はどのくらい?

面接官が盛った話に気づく可能性は非常に高いです。

面接では就活生の態度などでも分かるため、自己PRに書いてある内容が少しでもおかしいなと思えば、掘り下げて聞いていきます。詳細に話をしているうちに辻褄が合わなくなり、矛盾が生まれるのです。

面接で気まずい思いをしたくなければ、話を盛るのもほどほどにした方が良いでしょう。

自己PRを盛ることができるキーワード

自己PRを盛ることがどこまで許されるのかというと、あくまでもケースバイケースです。

また、盛った話が必ずしもマイナスに働くわけではありません。どういった誇張なら許されるのか、以下のキーワードから考えてみましょう。

肩書きや役職

肩書きや役職を偽ることはおすすめしません。なぜなら、その肩書きや役職にはそれに適した役割があるからです。

自己PRで大切なことは、何をやってきて、どう貢献してきたか、そして今後何ができるかです。

もし誇張するのであれば、やってもいない役職を偽るのではなく、リーダーシップを発揮してきたことなどを強調すれば良いでしょう。その他にも責任感や協調性といったアピールがおすすめです。

  • 例文1:私の長所はリーダーシップです。所属している部署の仕事を円滑に回せるようコミュニケーションをとったり、会社の目標を達成するために同僚や後輩からの意見交換の場を設けたりしていました。その結果、部署の成績は目標の数字を超えることができ、問題が起こったときには相談してもらえる関係性を築くことができました。
  • 例文2:私の長所は責任感の強いところです。お客様の期待以上の接客をするよう常に心がけ、ご要望にお応えできないときも代替案を提示するなど、ご納得していただけるよう配慮しています。貴社の業務でも、お客様に満足していただけるよう貢献していきたいと思います。

人数・期間・成果

人数や期間といった数字の誇張は、常識の範囲内なら誇張だと分かっても気にされないです。

例えば、部員数30人の部活で部長をしていたのを、50人に変えたところで取るに足らない点と判断されます。

成果に関しては、周りの反応やちょっとした数字の付け足し程度ならば見逃されるでしょう。ただし、0を1にするような嘘はいけません。

やってもいないボランティアをやったことにしたり、他人の上げた成果をさも自分のことのように話したりするのは悪いイメージをもたれてしまいます。

つまり、量的な誇張は許容範囲内で許されますが、質的な誇張は見逃されません。

  • 例文1:私の長所は協調性です。私は大学時代部員数約50名のバスケットボール部で副部長をしておりました。学年や学部の全く違う仲間たちをまとめるために、意見交換会を開いたり、一人一人に話しかけお互いに相談しやすい環境をつくったりしました。おかげで部員数が多いながらも、円滑なコミュニケーションをとることができ、一致団結して試合に臨むことができました。
  • 例文2:私の長所は計画性です。前職では納期の決められた複数の業務を担当していたため、全ての行程を把握し、また考えられるトラブルを考慮して計画を立てました。それらを着実に実行することで、全ての業務を納期よりも早く収めることができています。

経験したできごと

実際に経験したことを、若干大げさに言うのは珍しいことではありません。

面接官の考え方にもよりますが、一生懸命アピールしていると、ほほえましく思ってくれるケースもあります。

ただし、経験をでっちあげてはいけません。実際にやってもいないことをアピールしてしまえば、虚偽になります。面接の時点で、より詳細なエピソードを求められたときに矛盾が出てくるでしょう。

  • 例文1:私の強みは行動力があることです。大学のサークルで他大学との合同企画を持ち掛けられました。私はそのときに率先して窓口になり、会場のセッティングから連絡役を引き受けました。その後も会がスムーズに進むよう進行役を買って出て、当日は何のトラブルも鳴く大盛況に終わりました。御社に入社後もこの行動力を発揮して、会社に貢献していきたいと思います。
  • 例文2:私の長所は柔軟性があることです。前職ではマニュアル通りに接するだけでなく、お客様に合わせた対応を心がけておりました。商品に疎いお年寄りには分かりやすくゆっくり説明し、詳しいお客様には専門用語を使いより深い説明ができるよう心掛けました。結果、お得意様となっていただくことができました。御社に入社後も、状況や個人に合わせた柔軟な対応を心がけ、お客様に安心して頼っていただけるよう努力していきます。

自己PRを軽く盛るときの方法

自己PRで話を盛るということは、大なり小なりの嘘をつくということです。前述したように、0を1にすることは避けましょう。

話にちょっと尾ひれをつけるくらいの感覚で良いでしょう。バレても言い訳に困らない程度の誇張にとどめておくことをおすすめします。

ここでは、話を盛る際の注意点を紹介していきます。

他のエピソードも準備しておく

盛る盛らないに関係なく、エピソードは複数用意しておいた方が無難です。ひとつの長所においてたくさんのエピソードがあれば説得力も増すでしょう。

それに採用担当者は何人もの就活生と対峙している言わばプロフェッショナルなのです。大げさな誇張や嘘はおかしいと思い、深掘りされた質問が飛んでくるでしょう。「他には?」とストレートにたずねてくる面接官もいます。

例え盛っている話でも理路整然と質問に返せるよう、準備をしておきましょう。

辻褄が合うようにする

エピソードについて、面接官が深掘りすることは前述でお伝えしてきました。面接官からの質問は鋭いです。

仕草や表情を確認し、エントリーシートなどを見ながら辻褄があわないところや矛盾点を探し出します。

例え盛っていた話でも、冷静に対応し、話が理路整然としていれば納得がいくでしょう。そのためには、エピソードをまとめ、イメージトレーニングをしておくのもおすすめです。

自己PRを盛るときの心構え

盛るというのは、嘘をつくことにもなります。嘘をつき続けることは容易ではありません。

まず、面接官にはバレていると想定しても良いでしょう。あえてその上で事前にエピソードを練り上げ、相手を納得させられるだけの詳細な話のつくり込みが必要です。

様々な質問に答えられるだけの臨機応変な対応や、バレてしまった後にどう始末をつけるのかなど、覚悟の上で自己PRを書いていきましょう。

バレたときのリスク

盛った話の内容にもよるでしょうが、選考に不利になると考えておいた方が良いでしょう。

誠実さに欠ける、仕事に真剣に向き合えないのではないかなど、ネガティブなイメージを持たれてしまっても仕方ありません。

万が一入社できたとしても、入社後に苦労することがあるかもしれません。ちょっとした経験を誇張して書いたせいで、会社でその誇張部分の仕事を任されてしまえば、実はやったことがないでは済まされないでしょう。

内定獲得後に苦労する可能性

自己PRで大げさな誇張をし、内定を獲得したとします。入社後に、その嘘の経歴を見込まれ、それに伴ったポジションを与えられたときに果たして期待通りの働きができるかと問われれば、自信を持ってイエスと答えられる人は少ないでしょう。

話を盛った部分がその企業にとって、真に必要な能力であれば過度な期待がかかります。

例えば、少し英会話ができるくらいのことを、「ビジネス英語までばっちりです。」などと言ってしまったことで、海外に配属されてしまうかもしれません。

何にしろ自分の首を絞めるような話の盛り方は控えましょう。

自己PRを盛ることのメリット自体あまりないこと

自己PRを盛ることは諸刃の剣でしょう。

面接時にバレれば、評価が落ちてしまう可能性はあるし、面接官もおかしいと思えば突っ込んで質問してきます。

企業側が採用の際に重視しているのは、人柄や熱意、そして可能性です。それらを伝えるには成果よりも、なぜそれに取り組んだのかということの方が大切でしょう。

つまり、成果を盛る必要はなく、取り組んだものやそのプロセスに多少の脚色をして伝えられれば良いのです。

知っておきたい面接官が盛った自己PRを見抜く手段

面接官は就活生の相手を数十人、場合によっては毎年百人単位でしている方もいるため、だますのは大変難しいことです。

見抜き方はいろいろあるようですが、全てを勘に頼っているわけではありません。エントリーシートや適性検査など、就活生の前情報を読み込んでいるのです。

つまり、面接の前準備をしているのは面接官も同じということです。ここでは、何を見て嘘を見抜いているのかをご紹介します。

適性検査の結果とのギャップをついてくる

ほとんどの人事選考で適性検査が行われています。この検査結果とエントリーシートが面接官が受け取る就活生の情報です。

適性検査で分かることは、学力だけでなく、その人自身の人格や特性も分かってしまいます。適性検査で出てきた強みと、自己PRで書かれている長所に矛盾があれば、「自身を客観視できていない」と判断されてしまうでしょう。

例えば、自己PRでコミュニケーション能力を長所にしていても、適性検査で内向的で消極的とされていれば、おかしいことはすぐに分かってしまいます。面接官はそんな矛盾を見逃してくれるほど甘くありません。

仕草や表情を観察している

面接官はベテランの社会人でもあります。普段の仕事からも仕草や表情で嘘や本気を判断する場面も多く出くわしているでしょう。

嘘をついている人は、視線を合わせずにうつむいたり、口調が早口になったりテンポが悪くなったりとサインが出てきます。体の一部をやたらと触るというのも見逃さないようです。

中には、エピソード話をしているときに記憶をたどっているのではなく、頭で考えながら話をしている様子を見抜いたという面接官もいたようです。

就活生は一挙手一投足を見逃さずに観察されているということを意識しましょう。

質問による深掘りをしてくる

面接官は自己PRに書いてあるエピソードを頭から信用しているわけではありません。かと言って疑っているわけでもなく、深掘りして質問することで、その就活生の強みや長所、人格や能力を引き出そうとしているのです。

就活生が用意したエピソードに対し、5W1Hをもとに質問が展開されていき、より具体的な内容まで掘り下げて聞かれます。

何回ぐらいその業務を行ったのか、苦労した点は何だったか、なぜその業務をしなければならなかったのかなど、矢継ぎ早にされる質問は付け焼刃では通用しないでしょう。

しっかりイメージトレーニングを重ね、どのような質問にも答えられるようにしておかなければなりません。

面接官が自己PRを盛ったと気づいたときの選考への影響とは

面接官は、就活生が話を盛ることはよくあると認識しています。ただ、その誇張している内容によって選考に影響が出てきます。

選考に通すことはできないと判断したエピソードの例を以下に紹介していきます。

「私は、会社の業務改善に関わりました。当時の部署ではコミュニケーションに問題があったため、上司からの指示でPCのコミュニケーションツールを使い、部署内でのコミュニケーションを図ることに成功しました。」

上記の例であると、結局のところ上司の指示に従っただけとみなされてしまいます。次に、選考に通ったケースをご紹介します。

「私は、大学時代に陸上部に所属していました。人数が少なく廃部寸前の部活でしたが、大きな大会に目標を定め、一丸となって努力しました。その際、皆を引っ張って行くために相談にのったり、仲間意識を高めるために決起会を開いたりと奔走し、見事全国大会出場にまでこぎつけ、廃部の危機を免れました。」

上記の例は、みんなを引っ張っていくリーダーのように書いてあります。実際のところそうではないようですが、仲間との協調性やサポートしたことがうかがえます。

自己PRを盛りたくないときの対策

自己PRで企業側が見ようとしているものは、人柄です。何かに取り組む姿勢や、どういうことを考えて、どう行動したのかという内容を知りたいのです。

もしも、自分に描けるエピソードがないのであれば、つくってしまうこともできるでしょう。例えば、ボランティアを行い、経験をつくれば良いでしょう。なるべく早めに行い、何度か経験することをおすすめします。

自己PRで嘘をつきたくないのであれば、嘘にしなければ良いのです。

参考にしたい自己PRの回答例文

自己PRは分かりやすく、企業が求める人材をアピールすれば良いでしょう。

私の強みは粘り強さと継続力です。幼いころから通っている空手道場で、目標を達成するための体力づくりと1日3時間の練習を毎日コツコツと続けています。

以前に自分の体型から階級を下げなければならないことがありました。きつい体重管理と体力が落ちた状態での練習は大変つらいものでしたが、全国大会出場という目標のためにやり切りました。

そのお陰で、県大会で入賞し、全国大会までたどり着くことができました。私はこの経験を活かし、仕事に対しても粘り強く努力を重ね、結果につなげたいと思います。

自己PRを盛るかどうかは自分次第

自己PRを盛ることのメリット、デメリットを理解した上で、どうするかは結局は自分次第となります。

企業側が重視しているのは、あくまでも実績ではなく人柄や熱意であるということを理解した上で、どういったことを、どういうふうに盛るのかを考えて自己PRを書きましょう。

後々面接で辻褄が合わなくなったり、入社後にありもしない経歴を頼りにされて気まずい思いをしたりしないように、嘘と誇張の境界線を踏み間違えないようにしましょう。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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