はじめに
就活の準備を何から始めたら良いかという問いに、多くの人は「自己分析」と「企業研究」と答えるでしょう。
自分の過去を客観的な目線で振り返ることで、自分の価値観や強みを知ること、そして企業を深く知ることで効果的に自分をアピールできるようになるのです。
しかし、ネットにはさまざまな情報があふれていて、どのように取り組めば良いか分からないという方も多いでしょう。
今回は、後者の企業研究にフォーカスして、ESや面接で活きる企業研究の方法を説明していきます。
【企業研究はどこまでするべきか】企業研究にゴールはない
結論から言うと、企業研究に明確なゴールは存在しません。
企業研究すべき項目は、企業のカラーや職種、業種によって異なるのです。
それだけではなく、就活のステージによっても目指すべき場所は変わってきます。
例えば、あなたがまだ企業を見つける就活の最初の段階なのか、もしくは志望する企業が決まり内定に向けて対策を行う段階なのかによって、研究の方法は変わってきます。
あなた自身で、自分の状況に応じたゴールを設定しなければなりません。
【企業研究はどこまでするべきか】企業研究の意味
そもそもなぜ、企業研究が就活において重視されているのでしょうか。
その一番の理由は、自分の能力や価値観にマッチした企業を見つけるためです。
就職活動で、一流企業に内定することをゴールにして就活する学生も多く見受けられますが、多くの場合は失敗に終わります。
なぜなら、就職したあとのビジョンが描けていないことを企業に見抜かれているからです。
企業研究をすれば、業務内容や企業のカラーを知り、キャリアプランを明確に描けるようになります。
そうすることで、志望する企業に響くアピールが可能になるのです。
【企業研究はどこまでするべきか】企業研究をするタイミング
多忙な就活のスケジュールの中、企業研究は1回行えば十分と思っている方も多いでしょう。
実は、就活が進んでいく段階に応じてその都度、適切なリサーチが求められるのです。
そして先ほど述べたように、企業研究を行うタイミングにより、設定する目的や方法が異なってきます。
企業研究をすべきタイミングは、
・志望する企業を探している段階
・インターン応募前
・本採用の選考前
の3回と言われています。
それぞれについて、より詳しく解説していきます。
企業探し
「企業研究はなるべく早く行うべき」という意見があるように、大学3年の初め頃で志望する企業や業界が絞れていない段階でも、企業研究をある程度行っておくことをおすすめします。
自分の価値観に合った業界が分からないまま、就活をスタートさせてしまうと、あとから違和感を覚えたときに大幅な軌道修正を求められる可能性があります。
まずは自己分析に取り組み、価値観を明確にしたうえで、企業の性質を照らし合わせてミスマッチのない業界を見極めることが重要なのです。
そのため、早い段階で企業の研究を始めておくことが推奨されています。
インターン参加前
興味を持った企業がインターンを開催している場合、参加前に企業研究を行っておくと良いでしょう。
なぜなら、インターンは企業と自分のマッチングを図る最良の機会だからです。
企業の内部で実際に社員と触れ合い、業務や課題に携わることで、企業が自分に本当に合っているかを見極められます。
参加前に企業研究を行い、自分はどの項目についてより知りたいのかを押さえておくことで、通過率が良くなるだけでなく、インターンをより学びのある場所として昇華できるようになるでしょう。
選考対策
志望する企業とのマッチングが分かったら、次は本選考を通過するために企業研究を行います。
このとき、業界の中での企業の立ち位置や強みなどを把握しておくことで「なぜその企業に行きたいのか」という熱意の表明にもなり、志望動機に説得力を持たせられるようになるのです。
企業の情報を自分の言葉で伝えられるようになれば、本気度を伝えられます。
選考で他の学生と差別化を図るためにも、手を抜かず多方面からリサーチをして本選考に臨みましょう。
【企業研究はどこまでするべきか】企業探しのための企業研究のポイント
まず、この見出しでは「志望する企業を絞る」段階での企業研究のポイントを解説していきます。
就活の方向性を決めるため、この段階の企業研究は非常に重要な意味合いを持つのです。
「本当にこの企業で良いのかな」と今後の活動を進めていく中で不安や迷いを感じないためにも、自分の価値観に合う業界を見極めて、迷いなく就活のスタートを切れるようにしましょう。
必要なステップを大きく3つに分けて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
就活の軸を決める
就活の軸とは、仕事選びや企業選びに対する基準を指します。
この軸がぶれずにあるかどうかが、今後の就活の動向を左右すると言っても過言ではありません。
まず自己分析や他己分析の結果をもとに、自分自身への理解を深め、あなたがどのような企業でどのような働き方をしたいかを考えましょう。
そしてそこから、どんな環境を望むのか、どんなやりがいを求めているのかなど深掘りしていき、自分が望むキャリアについて整理していきます。
就活の軸についてより詳しく説明している記事を用意しましたので、ご覧ください。
遷移:https://shukatsu-ichiba.com/article/12362
軸に関連した企業の情報を集める
就活の軸が定まったら、その軸に合った企業を探すための情報を集めます。
少なくとも、企業理念、事業内容、職種などは押さえておくと良いでしょう。
HP上に載っている情報に興味を持ったら、そのうえであなたの就活の軸に即しているかどうか、より詳しく調べていきます。
例えば、自分の強みが発揮できることを軸とするなら、企業が求める人物像を調べましょう。
コツコツ系の地道な作業が得意なのに、新しいアイディアや発想が求められているのなら、残念ながらミスマッチがあります。
ここは、自分にマッチングする企業を探すための非常に重要なステップです。
働きやすさに関する情報を集める
仕事においてやりがいはもちろん大切ですが、それとは別に環境や待遇、給与などとのバランスも重要です。
面接で聞くとマイナスイメージに働く可能性もある福利厚生については、自分の手でリサーチしなければなりません。
あなたが抱くキャリアプランや人生設計、プライベートとの両立などができる条件がそろっているかの確認は、入念に行いましょう。
給与や制度、残業時間や有給休暇取得日数などの確認はもちろん、育児休暇や時短勤務などの実績があるかも調べておくことをおすすめします。
何社くらいに絞ればいいのか
実際、何社にエントリーすれば良いのかは迷うところでしょう。
毎年、20~30社くらいの会社にエントリーするのが平均的ですが、個人差が大きいため一概に正解はこうと言えません。
しかし、志望度が高いからと言って 、一つの企業だけに絞るのはおすすめしません。
ほかに希望する企業が見つけられないのであれば、少し視野を広げて再度企業研究を進めてみましょう。
あなたが納得のいく企業を複数見つけられたら、次の段階に進んでください。
【企業研究はどこまでするべきか】企業研究をするタイミング
まずは、志望する業界や職種を絞るための企業研究について説明しました。
ここで、先ほど説明した3つの企業研究を行うべきタイミングについて、もう一度振り返ってみましょう。
①志望する企業を絞る
②インターン参加前
③選考対策
の3つです。
先ほど説明した①は、就活を始めたばかりの段階で、行きたい企業や就活の方向性を決めるために行います。
そして、次のステップの ②は、興味を持った企業が本当に自分に合っているかという「価値観のすり合わせ」の意味合いが強い企業研究となります。
そして③は、行きたい企業が決まり、ESや面接を通過するための選考対策として行うリサーチです。
それぞれの目的を見失わず、形だけの企業研究にならないように注意してください。
次は、②インターン参加前の企業研究について触れていきます。
【企業研究はどこまでするべきか】インターン参加前の企業研究のポイント
現在インターンは多くの学生にとって、就活で避けては通れない重要なイベントとして認識されているのは周知の事実です。
現に2023年卒業予定の学生は、インターンの参加率が8割以上にもなっています。
この見出しでは、この大切な「インターン参加前」の段階での企業研究のポイントを解説していきます。
インターン参加前に企業研究を行うことで、ミスマッチを回避し、インターンをより有意義な時間にできるようになるでしょう。
これから紹介するポイントをしっかりと押さえてください。
最低限の情報を調べる
まず、インターンの選考に臨むにあたり、最低限知っておかなければならない情報は押さえておきましょう。
インターン参加前にリサーチしたい情報は、企業に関わる内容と業務に関わる内容の2つに大きく分けることができます。
まず、企業に関わる内容は
・社長(代表取締役)の氏名
・企業理念
・設立年
・事業拠点
などです。
これらは、HPの概要に記載されていることが多いです。
次に、業務に関わる内容
・主力事業の内容
・商品・サービスの内容
などです。
これらはHPに記載されている情報だけでは不十分なので、自分自身の方法で調べなければなりません。
インターン参加前に企業研究を行う意味
インターン参加前に企業研究をすることに対して、インターンの際に企業の概要や事業内容に関する解説があるので、無駄足と感じる方がいるかもしれません。
しかし、事前に情報が頭に入っていることで、説明会で内容を再確認でき、より理解を深められます。
さらに、研究をしていたときに疑問に思ったことを質問できるようになるため、よりインターンを充実した機会にできるようになるのです。
グループワークが設けられている場合も多いので、その際に企業研究していると、進むべき方向性が分かるため迷いはなくなるでしょう。
地に足をつけた状態でインターンをスタートするためにも、企業研究は必須なのです。
【企業研究はどこまでするべきか】選考対策のための企業研究のポイント
インターンを経験し、企業とのマッチングを確認したら、本選考に向けて対策を進めていきましょう。
この見出しでは、3つ目の「選考対策」の段階での企業研究のポイントを解説していきます。
志望動機や自己PRに厚みを持たせられ、選考を有利に進められる可能性が高くなるために、この段階の企業研究は決して手を抜いてはいけません。
押さえてほしいポイントを4つに分けてまとめました。
志望度に関わらず、選考に臨む際にこの4つは欠かさずリサーチしてください。
企業が求める人物像を知る
多くの企業では、採用ページで企業が求める人物像を掲げています。
企業が求める人物像とは、会社の目標達成と成長に必要な人物の採用基準を具体的に表現したものです。
つまり「こんな人に来てほしい」と就活生に直接呼びかけているのです。
求める人物像を把握することで、自分をどのようにアピールすればいいかの方向性が明確になります。
選考に受かるため必ず調べるべき項目ですので、まずは人物像をしっかりと押さえておきましょう。
競合他社との違いを知る
業界全体の傾向や業績を理解して、企業の競合他社との違いを把握しておきましょう。
志望動機を書く際、その企業のみに通じるものを書かなければ「うちではなくて他の企業でも良いのではないか」という疑問を採用担当者に抱かせる可能性があります。
その指摘に対し、説得力のある説明をできるかどうかが「第一志望です」という言葉に説得力を持たせるポイントになるのです。
説明するためには、業務の内容や展開する事業、企業理念や方針などを押さえておくと良いでしょう。
企業の成り立ちを知る
企業の沿革についても、押さえておく必要があります。
具体的に、企業の理念や社長の氏名は必ず押さえておかなければなりません。
また、企業の創業や合併などの歴史も把握しておけば、熱意のある学生だと評価してもらえる可能性が高まります。
企業は、同条件の学生が並んでいるのであれば、本気度を感じる学生を採用する傾向があります。
志望度が高い企業については、熱意のアピールにもなるため、調べてある程度暗記しておくことがおすすめです。
企業の現状を知る
企業の抱える課題や、今後の展望などを押さえておきましょう。
面接では2次面接、3次面接とステージが進んでいくにつれて、より込み入った質問(例:企業の抱える○○についてどうお考えですか?)をされることが予測されます。
その際、企業の現状について自分の考えを持っておくと、面接時に落ち着いて回答できるようになるのです。
また、面接では「何か質問がありますか?」と学生に聞く、いわゆる逆質問の機会がよく設けられます。
その際、企業の現状に際した質問を投げかけられれば、他の学生と差別化が図れるでしょう。
【企業研究はどこまでするべきか】企業研究で用いるべきツール
就活の前半とインターン参加前、本選考に臨む前と、最低でも3回は行いたい企業研究ですが、どのように行えば良いか分からない方が大半ではないでしょうか。
インターネット上には無数の情報が転がっていますが、すべてに目を通すのは不可能に近いことです。
そして、口コミや面接体験談は非常に有益な情報ですが、残念ながらすべてが真実とは限りません。
効率的に企業研究を行うために、使ってほしいツールを5つ紹介します。
必要に応じて、使い分けをしてください。
企業のHP
企業のホームページには、必ず目を通しましょう。
企業の沿革や資本金、本社の住所など基本的な情報がまとめられているため、面接に臨む際に頭に入れておくべき最低限の情報が把握できます。
とくに、社長のメッセージなどは目を通しておくと良いでしょう。
企業の理念や今後目指す方向性などが語られていることも多く、どのような人材を求めているというヒントが散らばっているのです。
志望度に関わらず、受ける企業すべてに目を通しておくことをおすすめします。
ナビサイト
就活サイトも参考にしましょう。
サイト内では、企業の就活に必要な基本的な情報が簡潔にまとめられているだけではなく、競合他社が関連で表示されるなど比較がしやすいのが使用するメリットです。
また、キャリアアドバイザーがサポートしてくれることも多く、企業研究のアドバイスだけではなく、自己分析のサポートやESなどの書類の添削、悩み相談などにも応じてくれます。
登録は無料であるサイトがほとんどですので、まずは登録してみましょう。
OB/OG訪問
より踏み込んだ情報が欲しいのであれば、OB/OG訪問に臨んでみましょう。
社員しか分からない企業内部の生の情報や、実際に働いてみて感じたことなど、面接よりもフランクな雰囲気で立場の近い若手社員に質問できるのは、企業研究の絶好の機会です。
志望する企業を絞るための情報になるのはもちろんのことですが、OB/OG訪問をしたというエピソード自体を志望動機にも用いることが可能です。
就活が本格的にスタートすると時間を取りづらくなるので、早めに取り組みましょう。
ビジネス誌
ビジネス誌に目を通すという、上級者のテクニックもあります。
ビジネス誌には、景気の動向や業界の方向性などが分かりやすくまとめられています。
これらの内容が頭の中に入っていると、面接の際に非常に役に立つのです。
このような会話テクニックは、社会人になったあとのビジネスの場でも重宝します。
志望する企業の取締役や役員などのインタビューが載っているものがあれば、目を通しておきましょう。
HPに載っていない最新のものが載せられていることもあるため、有益な情報を手に入れられます。
説明会
企業説明会にも参加しましょう。
説明会では、就活に特化したより詳しい情報を効率的に手に入れられるのが特徴です。
また、社員座談会や質問の機会が設けられているのもポイントで、自分の知りたい情報について直接企業から解答をもらえる貴重な機会という側面もあります。
人気企業となると説明会の予約を取るのも大変ですが、本当に行きたいと思える企業かの見極めのため、または面接のネタ探しのためにも、志望度の高い企業の説明会には必ず足を運びましょう。
まとめ
企業研究は、一朝一夕では終わらない地道な作業です。
情報のあふれている時代だからこそ、本当に正しい、自分にとって利益になる情報を選択することは困難であるために、作業中に迷いを感じることもあるでしょう。
しかしそんな時代だからこそ、情報を自分のものにできていれば、企業にも有能だとアピールできるようになるのです。
企業とのマッチングを誤らないためにも、業界内の比較検討のためにも、早めに企業研究に取り組み、自分の言葉で企業の魅力を語れるようになりましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート