はじめに
ここ10~20年で、大学生がインターンシップを経験してから就職活動に臨む割合がかなり増えました。
多くの企業も、インターンシップがその後の採用につながることを認識しています。
企業が採用面でのメリットを感じているため、現在はインターンシップを単なる職業体験と考えることはできません。
参加する側も、周囲と差をつけてアピールする気持ちをもつことが大切です。
まずは第一印象を決める自己紹介で、効果的なアピールを目指しましょう。
インターン選考は自己紹介から
インターンシップで高い評価を受けた学生は、本選考でかなり有利になる可能性があります。
企業の多くは「インターンシップの結果は採用に影響しない」と述べますが、企業は良い結果を出した学生は必ず記憶しており、一歩リードした状態で就活に臨めるでしょう。
もちろん、インターンシップが採用に直結するケースも珍しくありません。
そのインターンシップでは、実は自己紹介から選考がスタートしています。
以下の見出しで、インターンシップで自己紹介が大切な理由を紹介します。
「第一印象」は結果を大きく左右する
第一印象は、人とのコミュニケーションが関わる事柄において、結果を大きく左右する大事な要素です。
心理学者アルバート・メラビアンが提唱する「メラビアンの法則」あります。
人と人がコミュニケーションをはかる際に何が影響を与えているか、その割合を示した法則です。
実験の結果からその割合は言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%と導き出されました。
話す内容よりも、声や見た目など最初の数秒で判断される要素のほうが高い影響力をもっていることになります。
そのため、初対面の方に声の大きさや態度・表情などが伝わる自己紹介は非常に重要です。
特に短期インターンシップはあっという間に終わってしまうので、最初で良い印象を与えられないと、挽回するチャンスはそう多くありません。
グループでの役割にも影響をおよぼす
短期のインターンシップでしばしば課されるタスクが、グループワークやグループディスカッションです。
そこでどのような役割を果たすか・どのように立ち回るかは、評価に直結します。
しかしそのグループワーク・グループディスカッションも、最初の自己紹介で相手にどんなイメージを与えたかで、役割分担に大きな影響が出てきます。
自己紹介で「頼りになりそう」と思ってもらえれば、リーダー的な役割を任せてもらえる可能性が高くなるのは当然でしょう。
そのことは当然、評価を下す社員にも伝わります。
「この人と一緒のグループになりたくない」「話しかけにくそう」といったネガティブな印象を与えてしまっては、グループワークで自分だけ孤立する事態になりかねません。
自己紹介に盛り込む内容5選
続いて、インターンシップの自己紹介で盛り込むべき内容を5つ紹介します。
名前などを述べるのは当たり前ですが、それ以降何を話すべきか悩んでしまう方は結構多いです。
基本的には、以下の見出しで紹介する内容を手短に盛り込めば、簡潔に自分の良さを伝えやすくなるでしょう。
自己紹介の基本構成をマスターしておけば、インターンシップだけでなく就職活動や社会人となってからの営業活動でも役立ちます。
インターンシップを通し、ぜひうまい自己紹介を身につけておきましょう。
①簡単な挨拶
名前を名乗る前に「おはようございます」「こんにちは」「はじめまして」など、簡単な挨拶から自己紹介を始めるのがおすすめです。
最初に挨拶を入れたほうが、基本的な常識・マナーが身についていることが伝わり、好印象になる可能性が高いです。
丁寧な人物という印象を与える意味もあるので、ぜひ最初は挨拶から自己紹介を始めましょう。
先ほど紹介したメラビアンの法則で示した通り、ここで大きな影響を与えるのは視覚の情報です。
必要以上に緊張していることは、表情や姿勢などから相手に伝わってしまいます。
自己紹介が苦手な方・人見知りしやすい方は穏やかな笑顔で挨拶できるよう、インターンシップが始まる前に、鏡の前で練習しておくのがおすすめです。
②基本情報(氏名・大学名など)
挨拶についで、自分の名前や大学名といった基本情報を述べることになります。
ここでは氏名だけでなく、大学・学部名まで詳細に話すのがおすすめです。
自分の身分を詳細に明かすほうが、信用性が高まります。
自分がお客様として、サービスを受ける側に立ったときを考えてみてください。
相手が「(苗字)といいます」とだけ名乗るより、所属まで話してくれたほうが安心できるでしょう。
具体的には「お客様の専任担当となる、xxサービス課の(苗字)です」といった自己紹介です。
インターンシップや就職活動の自己紹介でも、これは変わりありません。
氏名・大学名だけでなく、学年・学部まで話しましょう。
ここまでは話すことが決まっているので、特に文章を考える必要はありません。
周囲と明確に差をつけられるのは、これ以降の内容です。
③普段取り組んでいること
自分の氏名・大学名などを述べたあとは、普段取り組んでいることを簡単に説明します。
大学で学んでいることでもかまいませんし、部活・サークルに力を入れている方はそちらの活動を選んでもかまいません。
日常的にどんなことに取り組んでいるかを知ってもらうことは、自分がどのような人かを知ってもらう第一歩です。
大学生活で自分が重きを置いていることは何かを中心に、手短に話しましょう。
ただし学部名から何を学んでいるか想像しにくい場合、部活やサークルの話をする前に補足しておくのがおすすめです。
「グローバル〇〇学部では、主に英語を使った実践的なコミュニケーションについて学んでいます」などと一言添えてください。
一緒にインターンシップを受ける学生だけでなく、人事単奏者に自分の情報を伝える意味でも重要です。
④参加理由や意気込み
続いて、インターンシップに参加を決めた理由や意気込みを述べましょう。
ここは学生一人ひとり違う内容となるはずなので、自分の個性を打ち出すチャンスと言えます。
自分がどういう目的で参加しているかを明確にするだけでなく、何を得たいかについて話すことが重要です。
インターンシップを通して成長したい・学びたいという意欲を示すことで、社員の方にも「熱意ある学生」と思ってもらえます。
指導にあたる社員の方も、せっかくならやる気のある学生を指導したいと考えるのは当然です。
何を学びたいか自己紹介ではっきり述べておくことで、指導を受ける際に相手が自分に向けた、ピンポイントなアドバイスをしてくれることもあるでしょう。
この部分は自分の目的意識を再確認し、事前に話す内容をまとめておくのがおすすめです。
⑤指導のお願い
最後に欠かせないのが、先輩や上司となる社員の方々に向けた指導のお願いです。
インターンシップで指導を担当する方々は、その間ほかの仕事を一切しなくて良いわけではありません。
忙しい合間を縫ってインターンシップに顔を出してくれますし、インターンシップ前から準備をしてくれています。
力を入れてインターンシップに取り組んでいる企業では、マンツーマンで担当の社員をつけてくれる場合もあるでしょう。
そのことに対し感謝の言葉を述べるのは、ビジネスマンとしてはもちろん人として当然のマナーです。
社会人になってからも、同僚や上司に何かしていただいたときに感謝を述べられることは、評価に直結します。
インターンシップの内定通知をもらえたときのうれしい気持ちを思い出し、素直な自分の感謝の気持ちを表明しましょう。
周囲と差をつける自己紹介3選
周囲の方と差をつける自己紹介がしたいなら、定型文だけにこだわる必要はありません。
オリジナルの自己紹介で、周りと差をつけるのもおすすめです。
もちろん、自分の名前や大学名・参加できたことへの感謝など、必ず自己紹介に含めなければいけない項目を忘れてはいけません。
しかしそうした基本項目を網羅したうえで、さらにインパクトがある自己紹介をしたい方向けに3パターンの例文を紹介します。
ここで掲載する例文をヒントに、自分の個性が出せる自己紹介を考えてみてください。
①名前を印象づける
珍しい苗字の方、初見で名前の読み方がわかりにくい方は、自己紹介で名前を覚えてもらうことが大切です。
それを逆手に取り、名前に関する話をして自分を印象づけることもできます。
普段学校やバイト先で名前に由来するニックネームで呼ばれている方は、そのニックネームを伝え、気軽に話しかけてほしいと呼びかけることもできるでしょう。
自分の名前を使うので誰でも使えるテクニックではありませんが、この方法を利用できると思った方はぜひ試してみてください。
例文
私の〇〇という苗字は、なかなか聞きなじみのある方は少ないと思います。
実は全国に100世帯しかいない珍しい苗字で、そのうち約半分はxx県の方です。
東京では3世帯ぐらいと聞いたことがあります。
子どもの頃はよく変な名前だとからかわれて、自分の苗字を好きになれませんでした。
しかし、今はインパクトがあって覚えてもらいやすい苗字だと前向きに思っています。
このインターンシップでは、名前だけでなく仕事ぶりでも人に覚えてもらえるように頑張りたいです。
②地元あるある
地方出身者の場合、地元に絡めた自己紹介をすることもできます。
こちらも名前に関するネタと同様、誰でも使える手ではありませんが、使える方はぜひ検討してみてください。
いろいろな大学の方が集まるインターンシップで大学を話の種にすると、場合によっては学歴自慢などと捉えられる可能性があります。
その点、出身地は話しやすく興味をもってもらえる可能性が高いです。
実家が珍しい家業をしている方も、出身地の話と近い感覚で話を展開できるでしょう。
例文
私の出身地は〇〇という地域で、酪農などが盛んなため食糧自給率は1,200%もある場所です。
私の実家も酪農をしています。
大学で上京するまで、私も毎日父の酪農の手伝いをするのが当たり前になっていました。
そのため、牛の乳しぼりは誰にも負けない自信があります。
酪農は重いものを運ぶことも多いので、自然と体力もつきました。
持ち前のバイタリティを活かし、このインターンシップ期間中できるだけ多くの経験をして自分を成長させたいと思っています。
③キャッチフレーズ
自分の特技、誰にも負けないことなどをキャッチフレーズのように伝える方法もおすすめです。
センスがないと寒いと思われる可能性もありますが、うまくいけばかなり自分を印象づけられます。
ただしユーモアを交えたキャッチフレーズで自分をアピールする方法は、就職活動本番では軽いと思われる可能性が高いのでご注意ください。
同期の方と打ち解けることも目的にしたインターンシップの自己紹介では効果的ですが、もっとシリアスな就職面接の場では控えたほうが賢明です。
例文
私はこれまで人生の節目で参加する大事なイベントが、ことごとく晴れてきました。
部活の試合がある日・修学旅行・大学での短期留学の出発日などは全部晴れです。
今日も見事な快晴ですので、ぜひ晴れ男の〇〇と覚えていただければと思います。
もちろんこのインターンシップのグループワークでも良い結果を出し、全員晴ればれとした気持ちで終えたいです。
For the teamの精神を大切に頑張っていこうと思いますので、同じグループになる方はぜひよろしくお願いします。
自己紹介をするうえで意識するポイント
自己紹介は話す内容も大切ですが、表情や声など非言語の部分も、相手に良い印象を与えるかどうかを左右する重要なエッセンスです。
ここからは、話す内容以外で自己紹介をする際に意識すべきポイントを紹介します。
もちろん、身だしなみを整えておくことはそれ以前の問題です。
スーツにしわや汚れがないか、髪やヒゲが整えられているかしっかり確認してからインターンシップ会場に行きましょう。
靴の汚れも、向かい合った相手から見るとかなり目立つので要注意です。
①長々と話さない
自己紹介は自己PRが主目的ではないので、自分の長所などをアピールしようと長く話すのは良くありません。
就職活動の面接では自己アピールでもう少し長く時間を取ってもらえますが、インターンシップの自己紹介は1人当たりの時間が限られます。
話す時間の目安は30~60秒ほどで、文字数にすると多くても300字程度になるでしょう。
そのうち10秒ほどは、挨拶・名前など必ず述べるべき情報で埋まってしまいます。
そのため、自己PRもしたいと考えている方は、本当に短い時間で自分の長所が伝わるよう工夫しなければなりません。
わずかな時間で話す内容を工夫するよりも、少しでも良い印象を与えるように笑顔の練習・良い印象を与えられる声が出せるように練習をするほうが効果的です。
②相手に届く声
表情や姿勢だけでなく、自己紹介では声のトーン・大きさも大きな意味をもっています。
大きくてはきはきとした声・聞き取りやすい滑舌・明るいトーンの声は多くの方に好印象を与えるでしょう。
特に就職活動において、自分の長所をリーダーシップ・コミュニケーション能力とする方はこの点を心掛ける必要があります。
ビジネスや政治の世界でリーダーとして評価されやすいのは、話す内容だけでなく相手に安心感・信頼感を与える話し方に長けた方です。
話し方に覇気がないという印象を与えてしまうと、それだけでリーダーの器ではないと思われてしまう可能性があります。
自分の声に自信がない方は、発声練習をするのがおすすめです。
よく通る声の出し方を学び、毎日コツコツと実践練習をするとかなり改善できます。
③笑顔を忘れない
前の見出しでも紹介したメラビアンの法則によれば、第一印象の半分以上を占めるのは表情・視線・仕草といった視覚から入ってくる情報です。
視線をきょろきょろさせず、常に笑顔でいるだけでも相手に良い印象を与えられます。
自分の表情や笑顔に自信がないという方は、実は非常に多いです。
しかし、自信がないからといって下を向くほうが良くありません。
自信がないのであれば、なおさら自己紹介のときに笑顔を絶やさないよう意識し、少しでも良い印象が与えられる努力をすべきです。
第一印象で良い印象を与えるのが大事なシーンは、インターンシップを終えてからも就職活動などたくさん訪れます。
インターンシップを良い練習の機会と捉え、笑顔で初対面の方と接するのに慣れておきましょう。
まとめ
短期インターンシップは日数が少ない分、初日の自己紹介も評価に大きな影響を与えます。
自己紹介は表情・声などが非常に大切なので、今までこうした非言語のコミュニケーションをあまり意識してこなかった方は、この機会に自分の話し方を見直してみましょう。
インターンシップを機に相手に良い印象が与えられる話し方をマスターできれば、その経験が就職活動でも活きてきます。
発声練習や表情を作る練習などをして、インターンシップ当日に備えておきましょう。