はじめに
採用面接には、どの企業にも共通するおおまかな流れがあります。
そのため、応募する学生は事前準備が可能で、落ち着いた受け答えができるのです。
しかし、その質問内容や求められる回答は、就職を希望する業界によって若干の差があることに注意しなければなりません。
そこで今回は、IT業界での採用面接でよく聞かれる質問や、IT業界の採用面接でおすすめの逆質問について、くわしく解説します。
IT業界ならではのポイントや注意点についても解説しますので、最後までチェックしてみてください。
IT業界の面接でよく聞かれる質問例
IT業界の採用面接でよく聞かれる質問は、ほかの業界とあまり差がありません。
しかし、コロナ禍でも順調に拡大を続けるIT業界は、今までと違う人材を求める傾向がある点に注意してください。
内定辞退者の多さや高い離職質を問題視するIT業界は、たとえ予定人数に達しなくても採用を打ち切る「厳選採用」という考え方にシフトしつつあります。
そのため、IT業界の採用面接に臨む学生は、育成コストがかからない即戦力に近い価値がある点や、将来性の高さを強くアピールする必要があるのです。
ここからは、具体的な質問と回答について、くわしく見てみましょう。
志望動機について
企業が採用面接で志望動機を聞く理由は、限られた面接時間であなたの熱意や覚悟を知りたいと考えているからです。
さらに、IT業界の採用面接であれば、理論的な回答ができるかどうかについても見られています。
「志望動機を教えてください」と問われたならば、答えるべき内容は「なぜIT業界・その企業で働きたいか」「IT業界・その企業で何をしたいのか」の2点です。
IT業界や応募企業に興味をもった「きっかけ」について述べるだけの回答は、面接官の求めるものではありません。
きっかけは動機に強い説得力を与えてくれますが、大切なのは、きっかけを発展させた「どのような人材を目指すのか」「どのように活躍したいか」という部分です。
志望動機の質問は、あなたの本気度を問う大切なものです。
今一度きっかけを深掘りして魅力ある回答を考えてみましょう。
自己PRについて
新卒採用では、自己PRで学生の性格をチェックされます。
実務経験のない学生は、具体的なスキルを持たないため、今までの業績や得意とする業務をアピールできません。
そのため、その業界や企業が求める人材像を意識したうえで、自分の長所をアピールしなければならないのです。
長所となる性格にはさまざまなものがあり、IT業界の面接ならば「協調性の高さ」「積極性がある」「創意工夫ができる」といったものが好まれます。
さらに、IT業界でも企業によって求める人材は異なるため、応募先企業によってアレンジすることも大切です。
まずは業界研究と企業研究をしっかり行い、自己分析と照らし合わせて、求める人材との接点を探してみてください。
応募企業とマッチする人材であるとアピールできれば、面接官に興味をもってもらえるでしょう。
入社後の業務について
採用面接では「入社後にしたいことは何ですか」といった質問もされます。
この質問に対して具体的な回答ができなければ、応募企業や仕事に対する熱意が低いと判断されるため、注意してください。
面接官がこうした質問を投げかける意図は、企業の理念や展開する事業について、学生がどれだけ正しく理解しているかを知りたいからです。
そのため「その企業でできること」と「自分がやりたいこと」を関連付けて回答する必要があります。
具体的に希望するポジションがある場合には、その職務についてくわしく調査して回答できれば、採用時に配属先を考慮してもらえるかもしれません。
まだ入社後の具体的なビジョンが描けないならば、企業研究や業界研究をさらに重ねてみてください。
特に、離職率の高いIT業界では、就業後のミスマッチを防ぐためにも、具体的なビジョンのある学生を求める傾向があります。
IT業界で興味のあることについて
IT業界の採用面接では「IT業界で興味のあるもの」「興味をもっている技術」などについて質問されることがあります。
この質問が投げかけられたならば、具体的なサービス名や応用分野などを盛り込みながら、わかりやすく説明しなければなりません。
面接官がこの質問をする意図は、IT業界にどれだけ強い興味をもっているのかを知りたいだけでなく、学習意欲・新技術への関心・情報収集力・変化に対する柔軟性の高さをチェックするためです。
ここでは、自分が興味のあるものを率直に答えるだけでなく、応募先企業に関連した技術や、今後関連が期待される技術をあげると良いでしょう。
また、どのようにそのサービスや技術を知ったのかについて問われることもあります。
信頼できる情報源として、IT系の情報サイト・展示会・セミナーなどを具体的に答えましょう。
IT業界の採用面接でおすすめの逆質問
採用面接の場では、面接官から「最後に何か質問はあるか」といった時間が設けられます。
これに応える形で学生側から行う質問が「逆質問」です。
面接官がこうした逆質問の時間を設けるのは、単にわからないことを確認する以上の大きな理由があります。
採用を希望する学生が、本当にその企業へ強い興味をもっているならば、必ずなんらかの疑問点が生まれるものです。
そのため、面接官は学生の本気度をはかるためにも、逆質問の時間を設けます。
学生側からしてみれば、この逆質問の時間は、自分の本気度や企業に対する自分の理解度を示す絶好のチャンスとなるでしょう。
入社前に準備しておいた方がいいことについて
業務に対する意欲を見せられる逆質問が「入社前に何か準備しておいた方が良いことはありますか」「何か勉強しておいたほうが良いことはありますか」といったものです。
特にIT業界では、自分がまだ知らない技術や情報に触れる機会が多いため、予習しなければならないこともあるでしょう。
そうした必要性を確認するためにも、この質問は有意義です。
さらに、この質問をすることで「準備したい」「勉強したい」という意思表示にもなるため、その企業への志望度の高さや学習意欲をアピールするチャンスにもなります。
さらに「今はこのような勉強をしているが、さらに必要なスキルについて知りたい」といった質問であれば、現在の学習状況もアピールできるでしょう。
社内の評価制度について
IT企業の中には、社員のモチベーションアップや正当な評価のために「評価制度」を導入しているところも増えています。
そのため「どのような評価制度があるのか」「どのような指標で評価されるのか」といった質問をすれば、自分の向上心の強さをアピールできるでしょう。
特にこの質問は、面接官の中に人事担当者がいる場合に有効です。
人事担当者に対してこうした質問をすることは、社内の評価制度を正しく理解したうえで「応募企業が求める人材となるよう努力したい」という意思表示にもなります。
また、評価について知りたいと考えている学生は「評価を上げるために日々の業務で頑張れる人材だ」と判断されるはずです。
もちろん、純粋に応募企業がどれだけ公平に自分を評価してくれるのかを知りたい場合も、この質問で得るものは大きいでしょう。
職場環境や雰囲気について
企業のホームページや会社案内では把握しきれないのが、実際の社内環境です。
そのため、採用面接の逆質問では「どのようなチーム体制なのか」「チーム外での連携や交流は活発であるか」「自分のアイデアや意見を伝えやすいか」「質問しやすい雰囲気か」といった部分について、積極的に質問をすると良いでしょう。
こうした質問でより深く実際の業務環境を知れば、自分に合った職場かどうかを判断する材料にもなります。
こうした逆質問をしないと、入社後にイメージとのギャップで悩むことになりかねません。
また、エンジニア志望の学生であれば、さらに専門的な社内環境について聞くのもおすすめです。
「開発環境はどのようなものか」「使用する言語はどのようなものか」「今後導入を考えているツールはあるか」といった質問を投げかければ、自分に合った環境で働けるかどうかを知るための基準にもなるでしょう。
面接官自身のキャリアについて
さらに一歩踏み込んだ逆質問として、面接官自身のキャリアプランについて質問するのも良いでしょう。
多くの学生が、自分の入社後のキャリアパスについて知りたいと考えています。
しかし、実際の業務や企業の体制についてわからなければ、漠然とした質問になり、面接官にとっても回答しにくいものとなるでしょう。
そこで、その企業の一員として働く面接官に対して、どのようなキャリアプランを描いているのか聞いてみてください。
面接官が自分の希望する職種とは違う業務の担当だとしても、昇進のタイミングややりがいの大きさなど、その企業で積み上げられるキャリアの一例を聞けるでしょう。
もちろん、面接官が自分の希望する職種に近い業務を担当していれば、よりくわしく現実的なキャリアプランを提示してくれるはずです。
IT業界での面接で質問に答えるときのポイント
IT業界の採用面接で聞かれやすい質問の内容は理解できても、本番でうまく答える自信がない方も多いかもしれません。
採用面接の場でうまく質問へ答えるためには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
特に、IT業界であれば、理論的な思考ができるかどうかといった点を重視される傾向が強いため、こうした部分に充分注意しなければなりません。
ここからは「結論から話す」「1分以内で話す」といった大切なポイントについて見てみましょう。
結論から話す
志望動機や自己PRについて質問を受けたときに、結論から話さず、その結論に至るまでの状況説明や理由から話し始めるのは避けてください。
最初に何が言いたいのかわからないと、理解しにくい状況になってしまうため、どのような質問であっても、冒頭で結論を短く述べるのが基本です。
回答は1分程度を目安とし、冒頭では「自分の強みは、何事にも積極的にチャレンジできることです」など、質問に対する回答を簡潔に述べましょう。
そのあとに、時間内におさまるよう、その結論を裏付ける過去のエピソードなどで具体性と説得力をもたせてください。
このように結論から話し始める手法は「PREP法」と呼ばれ、理論的で要点がわかりやすいプレゼンテーションに欠かせないものです。
理論的な思考や文章構成能力が求められるIT業界を目指すならば、PREP法を用いて結論から話し始めるよう心掛けてください。
話すときは1分以内で
採用面接では、いくつかの質問に答えることとなりますが、どの質問に対しても基本的には1分以内で回答しましょう。
応募した企業がほかにも多人数の面接を行う場合は、1分以上の時間を使ってしまうと、企業が想定していたスケジュールを乱すことになりかねません。
自分のアピールだけでなく、企業側の事情もくみ取って、スムーズに面接が進むであろう1分を目安に話してください。
また、1分以上にわたって話し続けると、話の要点がつかみにくくなってしまうため、これを避けるためにも1分以内でコンパクトな構成を目指すのが良いでしょう。
長い時間を使っていくつものアピールポイントを盛り込んでも、全体としての印象が薄まってしまうことも珍しくありません。
ポイントを1つに絞って、コンパクトでも面接官の興味が惹きつけられる話を展開してみてください。
IT業界での面接で逆質問をするときに気をつけるポイント
IT業界の採用面接でおすすめの逆質問はいくつかありますが、実際に面接の場で話す前に気をつけたいポイントがあります。
逆質問をする際には、どの企業でも通用するような抽象的な質問ではなく、その企業だからこそ聞きたい質問をするのがおすすめです。
特にIT業界の面接ならば、企業に関する事前のリサーチが充分だと感じられる逆質問を出せれば、情報収集能力の高さを評価されることもあります。
ここからは「調べてわかることは聞かない」「具体的に聞く」といった逆質問のポイントについて見てみましょう。
調べてわかることは聞かない
面接官は、逆質問の内容から、学生がどれだけ深く業界研究や企業研究をしたのかを把握しようとします。
そのため「どのような企業理念ですか」などのようなホームページを見ればすぐにわかることを聞くと、マイナスポイントになるでしょう。
ホームページや会社説明の内容を理解して企業研究を充分に行ったうえで、そこからはわからない深い部分について逆質問をしてください。
「○○というプロジェクトに興味をもっているが、新人でも開発に関われるか」「主に○〇言語を利用した開発をしているが、そのほかにも習得が推奨される言語はあるか」など、その企業が展開するプロジェクトや業務内容を理解していなければできないような逆質問がベストです。
企業研究を充分に行ったと感じ取れる逆質問を投げかけられれば、志望度が高く熱意のある人材として評価されるでしょう。
具体的に聞くようにする
充分にリサーチを行ったということをアピールするためにも、質問内容には具体性をもたせるのがおすすめです。
「〇〇のプロジェクトは今後どのような展開をするのか」「〇〇のサービスに関連する新しいシステム開発はどのようなものか」など、具体的なプロジェクト名やサービス名を出せば、それだけリサーチが充分であることをアピールできます。
リサーチをしっかり行っていたとしても、その内容を逆質問に盛り込めなければ、面接官はあなたの情報収集能力の高さに気づけません。
逆質問では、学生から質問を投げかけるチャンスであると同時に、ほかの学生とは情報収集能力に差があることを示すチャンスでもあります。
面接官へ充分アピールできるように、差別化できるワードを盛り込んでみてください。
おわりに
IT業界への就職を目指すならば、採用面接ではどのような質問をされるのかチェックしてみてください。
志望動機・自己PRといった定番の質問以外にも、入社後の業務やIT業界で興味をもったことなどもよく聞かれます。
また、面接の最後には、逆質問の時間を設けられることがほとんどです。
入社前に勉強したほうが良いことや評価制度についてなど、志望度の高さがうかがえる質問を投げかけてみましょう。
1分以内で結論から答える・調べてわかることは避けて具体的な逆質問をするといったポイントも押さえて、有意義な面接となるように準備をしてみてください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート