はじめに
就職活動において、面接は合否を左右する大きな決め手となります。
その反面、面接に対して苦手意識をもっていたり、「どうやって面接の練習をすれば良いのかわからない」「自分の面接の出来がどう評価されるか不安」と感じていたりする人も多いのではないでしょうか。
ここでは、面接の練習方法のひとつである模擬面接について解説します。
模擬面接を受けるメリットや、模擬面接を行う上で押さえておくべきポイントなども合わせて解説しますので、ぜひ面接練習の参考にしてください。
模擬面接とは?
模擬面接とは、本番の面接とまったく同じ環境、手順で面接を行う練習のことです。
面接の自己PRや質疑応答だけでなく、面接会場への入室から退室までの流れを、すべて本番通りに行います。
いわば、面接の予行演習です。
本番の面接では、合否の連絡が来るまで、面接の出来がどう評価されたかを知ることができませんが、模擬面接であれば、その場で評価をしてもらい、本番の面接に向けて修正するためのヒントをもらえます。
また、面接の形式や面接官役を変えて何度も繰り返して行うことができるので、さまざまなシチュエーションを体験することができます。
模擬面接のメリットは?
「面接は自分をアピールする場だから、自己PRを練っておけば対策は十分」「わざわざ第三者に練習を依頼するのは面倒だし、自分で練習すれば良い」という考えもあるかもしれません。
しかし模擬面接には、自己PRを練ったり1人で面接練習を行ったりするだけでは得られないメリットもあります。
それは、「面接を練習できる」「フィードバックをもらえる」「無料の場合も多い」という3点です。
各メリットについて、詳しく解説します。
面接を練習できる
模擬面接のもっとも大きなメリットは、面接の練習ができることです。
面接では自己PRの内容だけでなく、面接会場でのマナーや話し方、質疑応答での対応などを総合的に評価します。
面接中のマナーが悪かったり、柔軟な対応ができなかったりすると、完璧な自己PRを用意していても、合格はできません。
自分で自分のマナーを正したり、想定外のシチュエーションに対応する練習をしたりすることは難しいため、第三者の力を借りて面接の練習をする必要があるのです。
また、面接の一連の流れを経験し、どのような質問が来るかを予想することによって、本番で戸惑ったり、思わぬ質問に返答できなかったりする可能性を低くすることができます。
本番さながらの緊張感を味わうことで、本番で戸惑ったり過度に緊張したりするのを予防する効果も期待できます。
フィードバックをもらえる
面接の出来を評価してもらい、フィードバックをもらえることも、模擬面接のメリットのひとつです。
自分で自分の面接の出来を公平に評価することは難しく、客観的に見た現時点での面接の出来や、本番に向けての改善点がわかりません。
自分1人で練り上げた自己PRは、自己満足に終わってしまう恐れもあります。
自己PRの文章を添削してもらうのも悪くはありませんが、面接全体を評価してもらえるのは、模擬面接ならではです。
模擬面接は第三者の意見を聞くことができ、自己PRや面接の出来を公平に評価してもらえる格好のチャンスです。
良いフィードバックをもらうことができれば、本番に自信をもって臨むこともできるでしょう。
フィードバックをもらい、改善点として指摘された部分を改めれば、本番の面接で、良い結果を得られる可能性が高まります。
無料の場合も多い
模擬面接は、無料で受けられる場合が多いこともメリットのひとつです。
もっとも手軽なのは、家族や友人に面接官役を務めてもらったり、就活生同士で就活生役・面接官役を交互に務めたりして、模擬面接を行うことです。
より本格的に行いたいのであれば、公的機関や就活関連企業が提供している模擬面接サービスを利用することをおすすめします。
多くのサービスが無料で利用できる上、実際の面接に近い雰囲気で練習ができます。
有料セミナーであっても、体験として1回は無料で受けられる場合もありますから、そうした機会を利用しても良いでしょう。
こうしたサービスでは、就活のプロが面接官役を務めてくれるので、より実践的なアドバイスやフィードバックを得られます。
模擬面接はどこで受けられる?
模擬面接には面接官役をしてくれる相手が不可欠ですから、まずは協力してくれる第三者を見つけなければなりません。
しかし、「模擬面接を受けたいけれど、面接官役にふさわしい人が身近にいない」という人も多いのではないでしょうか。
また、「できれば就活について熟知している人に面接官役をしてもらいたい」と考える人もいるかもしれません。
実は、多くの公的機関や就活関連企業が、模擬面接サービスを提供しています。
ここでは、模擬面接を受けられる場を5つご紹介します。
大学のキャリアセンター
大学のキャリアセンターや就職課では、無料で模擬面接を受けることができます。
キャリアセンターや就職課は学生の就職を支援するための部署で、その大学の学生であれば、誰でも無料で利用可能です。
大学によって申し込みの手順は異なりますが、多くの場合は予約が必要です。
就活が本格化する春以降は込み合う場合もあるため、早めに申し込みましょう。
キャリアセンターの模擬面接では、大学職員が面接官役を務め、アドバイスやフィードバックも得ることができます。
就活のプロによる模擬面接を、大学という身近な場所で、無料で受けることができますから、これを逃す手はありません。
また、キャリアセンターでは模擬面接以外にも、就活全般の相談に乗ってもらえます。
ハローワーク
ハローワークでも、無料で模擬面接を受けることができます。
新卒の就職活動ではハローワークに縁がない場合が多いですが、新卒応援ハローワークやジョブカフェ(若年者就職支援センター)など、若者向けの就職支援も行っています。
ハローワークは誰でも無料で利用でき、模擬面接を何度も受けることも可能です。
民間の就活関連企業による模擬面接は都市部での開催が多く、地方在住の学生は足を運ぶのが難しい場合もありますが、ハローワークは全都道府県にあるため、アクセスしやすいというメリットもあります。
ハローワークの職員は就活のプロですから、プロ目線でのアドバイスやフィードバックを得ることができます。
就活イベント
就活関連企業が開催する合同企業説明会やセミナーの一環として、模擬面接コーナーを設けるケースがあります。
こうしたイベントは無料で参加できる上、面接官役は就活のプロである就活関連企業の社員が務めます。
就活の現状に即した実践的な模擬面接を受けることができる上、企業探しや情報収集も同時に行えますから、参加して損はありません。
フィードバックをもらえる場合もありますが、複数回の参加やきめ細やかな対応は難しいため、腕試しの場として考えると良いでしょう。
事前の予約が必要なことが多いため、イベントの開催情報をよくチェックし、早めに申し込みましょう。
就活エージェント
就活エージェントを利用して、模擬面接を受けることもできます。
就活エージェントは、学生一人ひとりに専属のエージェントが付き、就活に関する相談や企業とのマッチングを行ってもらえるサービスです。
サービスの一環として、模擬面接も受けることができます。
ほかの就活関連サービスとの大きな違いは、志望する企業や業界の面接に特化した設定で模擬面接を受けられることです。
就活市場エージェントは、学生は無料で利用できます。
模擬面接だけでなく、エントリーシートの添削などもきめ細かく対応してもらえるため、就活の強い味方になるでしょう。
友人や先輩などに頼む
友人や先輩に面接官役を務めてもらったり、就活生同士で就活生役・面接官役を交互に務めたりして、模擬面接を行うこともできます。
費用がかからず、身近な場所で行えるため、もっとも手軽に模擬面接を行える手段といえるでしょう。
すでに就活を終えた先輩であれば、経験に即したアドバイスをもらえる場合もあります。
ただし、本番さながらの緊張感を体験することは難しく、プロ目線でのフィードバックも得られません。
友人や先輩などによる模擬面接は複数回行って、自己PRや面接でのマナーなどをブラッシュアップするための場と考えましょう。
本番の面接前に1度はプロが面接官役を務める模擬面接も受け、腕試しをする機会を設けることをおすすめします。
模擬面接を受けよう!押さえておくべきポイントは?
ただやみくもに模擬面接を受けるだけでは、せっかくの経験を、実際の面接に十分に活かすことはできません。
模擬面接を受けるためには友人や先輩に協力してもらったり、模擬面接サービスを受けるために事前に準備をしたりする手間がかかりますから、模擬面接で得た経験を、できるだけ効率的に本番に活かしたいところです。
模擬面接は、受ける際にポイントを押さえておくことで、より効果を上げることができます。
ここでは、とくに重要な5つのポイントについて、詳しく解説します。
本番と同じように挑む
模擬面接の前には、自己PRや質疑応答の回答を準備し、本番と同じように模擬面接に挑みましょう。
スーツを着用して身だしなみを整え、スーツやシャツにしわが寄っていないか、髪形やメイクに清潔感があるか、チェックしておきます。
部屋に入る際のノックや挨拶など、マナーにも気を配る必要があります。
自分では完璧な状態だと考えて模擬面接に挑んだとしても、第三者の目線から見ると、何かしら改善点が見つかるものです。
すべて本番同様に行うことで、現時点でどの程度面接の対策ができているか、足りない部分はどこかを評価してもらうことができます。
また、すべての流れを本番同様に行うことで、面接の流れを把握し、本番で戸惑ったり過度に緊張したりするのを防ぐ効果も期待できます。
さまざまなパターンを経験しておく
模擬面接は複数回行い、さまざまなパターンの面接を経験しておきましょう。
面接の形式は、個人面接や集団面接のほか、ケース面接などの特殊なパターンもあります。
集団面接では、ほかの就活生の発言時間を奪わないように話を短めに切り上げるなど、面接の形式によって気を配るべきポイントも変わります。
志望する企業の面接形式がわかっていれば、その面接を重点的に行っても良いのですが、企業の方針が変わって、面接形式が変わる場合もあります。
本番で戸惑うことのないよう、ひととおり経験しておくと良いでしょう。
また、未だに圧迫面接を行う企業も存在します。
模擬面接で圧迫面接を経験しておけば、いざ本番で遭遇したときにも、冷静に対処できる可能性があります。
可能なら撮影しておく
可能であれば、模擬面接の様子を、スマートフォンなどで撮影しておきましょう。
自分の姿勢や表情、話し方などを自分でイメージすることは難しく、イメージと現実とのギャップが大きいこともあります。
撮影した映像を見返すことで模擬面接での自分の様子を客観視でき、良かった点や改善すべき点を発見できるのです。
友人や先輩などに頼んで模擬面接を行う場合は問題になりにくいですが、就活関連サービスを利用する場合は、撮影不可の場合が多いでしょう。
事前に撮影の可否を確認し、許可を得られた場合のみ撮影してください。
また、自己PRを作った後に声に出して読む練習を行って、撮影しておくこともおすすめします。
話し方や話す速度などを確認するために役立つでしょう。
面接官役も経験してみる
就活生同士で就活生役・面接官役を交互に務めるなど、面接官役も経験しておくことをおすすめします。
就活生の立場ではさほど気にならなかった身だしなみやマナーの粗が、面接官の視点では想像以上に目立つことに気付くでしょう。
また、自己PRや質疑応答でも、面接官が興味を抱くポイントや掘り下げたくなるポイントがわかり、面接官はどんな質問をするか、どんな回答を期待しているかも予測できるようになります。
面接官役を経験することによって、自分の面接対策をブラッシュアップするためのアイディアが得られるのです。
「面接官は就活生のことを理解しようと、一生懸命話を聞いている」「面接官も緊張している」と実感することで、本番の面接に臨む際の緊張をほぐす効果もあります。
フィードバックを受け取る
模擬面接を行った後は、必ずフィードバックを受け取りましょう。
模擬面接をただ受けるだけでは、現時点での面接対策の出来や、本番に向けての改善点がわかりません。
キャリアセンターやハローワークなど、プロが面接官役を務めてくれる場面ではチェックシートが用意されている場合もありますが、友人や先輩に面接官役を頼むのなら、自分でチェックシートを用意しましょう。
チェックシートには「清潔感」「言葉遣い」「質問の理解力」などのチェック項目を記載し、5段階程度で評価できるようにしておくと良いでしょう。
チェック項目を統一することで、面接官役の先入観や好みによって、評価がばらつくことを防げます。
インターネット上には企業で使われる面接評価シートのサンプルが多数掲載されていますから、チェックシート作成の際に参考にしてください。
おわりに
模擬面接とは何か、模擬面接を受けることができる場や、模擬面接を行う上で押さえておくべきポイントもあわせて解説しました。
今まで利用していた身近な場でも模擬面接を受けられることを知って、驚いた方もいるのではないでしょうか。
模擬面接は、ポイントを押さえて行えば、とても効果の高い練習方法ですから、就職活動中に最低でも1回は経験しておくことをおすすめします。
ここでご紹介したサービスなども活用し、ぜひ積極的に模擬面接を受けてみましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート