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はじめに
就職活動に向けてエントリーシート(ES)を準備している人のなかには、ガクチカの書き方でつまずいているという方も多いのではないでしょうか。
ESは今後の就活を左右する重要なパートでもあるため、入念な準備をするのがおすすめです。
しかし、「ガクチカなんて書いたことがないし、どのように構成すればよいのかわからない」といった方もいるでしょう。
エピソードをいくつか思いついたものの、本当にそれでいいのか不安に感じているという方もいるかもしれません。
そこで今回は、ESのなかでも重要なパートであるガクチカの書き方をご紹介します。
ガクチカへの理解を深めるためのポイントはもちろん、PREP法を用いた構成の仕方や、例文についてもしっかりと解説します。
ぜひこの記事を参考に、最強のガクチカ作りを目指しましょう。
【ガクチカで最強の構成】企業がガクチカに求めるもの
ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」の略です。
学生時代に頑張ったことや、もっとも熱中して取り組んだことという、聞き方をされる場合もあります。
ESでは自己PRや志望動機と同じく頻出の質問となっています。
まずは企業がガクチカに、どういったものを求めているのかを確認していきましょう。
この質問の裏側にどのような意図があるのかを理解できれば、より評価されやすいガクチカにつながります。
ここでは企業がガクチカに求めている、3つのことを解説していきましょう。
学生がどんな学生時代を送ったのか知りたい
ガクチカを聞くことで、どのような学生時代を送ったのか知りたいという目的があげられます。
学生時代に頑張ったことのエピソードを聞いて、その学生の人柄について詳しく知りたいと考えているのです。
採用する側は人柄を知ることで、自社の雰囲気とマッチしているかどうかをじっくりと考察をしています。
またその業種への適性がある、自分の会社にその能力が向いているかどうかを、判断する1つの材料にしているといえるでしょう。
そのため一緒に働きたいと感じてもらえるような内容で、具体的にアピールをする必要があります。
またエピソードとなる経験や実績にインパクトがあれば、それだけでも採用担当者に対してアピールできる可能性があるといえるでしょう。
学生が何に挑戦してどうやって乗り越えたのか知りたい
入社後仕事をしていくなかで、さまざまな困難が降りかかっていきます。
そういったときに、どうやって困難を乗り越えるのかを知りたいという意図もあります。
つまり仕事に対するモチベーションや、行動力などをはかられているのです。
そのためガクチカは、成長過程をテーマに書くことが大切です。
どのようにして困難を乗り越えたのかだけでは足りません。
困難にぶつかったときにどう感じたのか、なぜそれらを乗り越えようと思ったのかについても、説明する必要があります。
またその困難を乗り越えたことで、どのような成長や気づきを得られたのかまで、明記できればさらによいでしょう。
このように成長過程をしっかりとアピールしていきましょう。
そうすれば入社後も高いモチベーションをもって、困難に立ち向かっていける人材であるとアピールできます。
もちろん、採用に向けて高い評価につながることでしょう。
学生の緊張をほぐす狙いも
ガクチカには、学生の緊張をほぐそうという採用担当者の狙いも含まれています。
特に面接ではどんな学生も少なからず緊張しています。
そうったなかで、どの企業にも聞かれる定番の質問をして、少しでもその場に慣れてもらおうと考えているのです。
ガクチカに関する質問は、すべての学生が事前にしっかりと準備をしてきているはずです。
落ちついて話せるため、面接でもはじめのパートで聞くパターンが多い傾向にあります。
このように企業も、学生が緊張していることはわかっています。
そうした緊張を、回答を準備してきた質問に答えさせてほぐそうと考えているのです。
いつどんな場面で聞かれてもしっかりと落ちついて話せるように、エピソードの細かい部分まで整理をしておきます。
そうして内容を十分に把握しておくようにしましょう。
【ガクチカで最強の構成】PREP法
最強のガクチカを書くためには、読み手である採用担当者に意図が十分に伝わる書き方をする必要があります。
伝えたいことをずらずらと並べてしまっては、最終的に何を伝えたいのかがぼやけてしまい、説得力のない文章になってしまいます。
論理的に文章を組み立てる際に役立つのが、「PREP法」というテクニックです。
この方法でガクチカを書けば、内容が伝わりやすくなるだけでなく、論理的思考をもった人物であるという評価にもつながるでしょう。
Point
PREP法では、最初に結論を述べます。
つまりその問いに対する、最終的な答えを簡潔にかつわかりやすく述べるのです。
こうすれば読み手に、まずもっともいいたいことがすぐに伝わります。
相手にどういった話がはじまるのかをイメージさせられるため、どのような心構えでその先を読めばよいのかを話の最初から理解してもらえるのです。
また面接の場であれば、「この人は結局何を言いたいんだろうか」と予想しながら聞くことを防げます。
何を言いたいのかがすぐにわかるため、読み手のストレスが減るだけでなく、より注意深く読んでもらえるというメリットもあるのです。
ガクチカであれば、「私が学生時代に一番力を入れたことは、〇〇です」という風に書き出します。
Reason
次に結論に対する理由や根拠を述べます。
なぜその結論を選んだのかを、しっかりと説明するパートです。
この根拠があることで、自分の主張により説得力をもたせる効果があります。
読み手もより納得できるため、続きをしっかり読もうという気にさせられることでしょう。
ガクチカの場合では、そのことに熱中することになった理由や、背景を説明する必要があります。
困難を乗り越えたという場合には、その困難について具体的に説明しましょう。
この理由の部分では、何よりも説得力をもたせることが、重要なポイントになっていきます。
そのため主観的に自分の思いや考えを述べるのではなく、客観的な事実や具体的な経験をしっかりと書き込んでいきましょう。
Example
そして、実際に具体的な例(エピソード)を紹介します。
今まで説明したPointやReasonを証明するためのエピソードとなる部分へ具体的に肉づけをしていきましょう。
読み手は事前にどのような話なのか、ある程度イメージはできています。
PointやReasonをしっかり説明していることで、ここでの話が相手に伝わりやすい状態になっているはずです。
単純に「〇〇をしました」と出来事だけを書くのではなく、しっかりと起承転結を意識して、具体的な説明するようにするのがポイントです。
どういった困難に直面し、なぜその困難に立ち向かおうと感じたのでしょうか。
そして実際にどのようなアクションを起こしたのか、どういう結果を得られたのでしょうか。
これらをしっかりと盛り込みましょう。
Point
最後にもう一度最初の結論を述べます。
エピソードや根拠で自分の結論を納得させたうえで、さらにもう一度結論を述べれば、相手の記憶により残りやすくなるのです。
しかし、最初の1文をそのままコピーしてしまっては、いけません。
ここまでの内容を総括したうえで、まとめという形で文章を結ぶ必要があります。
そのためにもガクチカでアピールしたことを、今後どのように活かしていきたいのかを書くのが一番よい方法だといえるでしょう。
具体的には「学生時代に力を入れてきた〇〇の経験を活かして、貴社に〇〇として貢献していきたいです」という文章になります。
このようにPREP法を上手に利用すれば、よりわかりやすく説得力のある文章を簡単に構成できるようになるでしょう。
【ガクチカで最強の構成】PREP法を活用した例文の紹介
私が学生時代に一番力を入れたことは、留学を利用した語学力の向上です。
高校生のころから英語が好きだった私は、グローバルな環境で働きたいと思っていました。
そのため大学3年生までに、「TOEICで700点を取る」という目標をかかげました。
大学1年生のころはほとんど独学で参考書を利用しながら勉強していたのですが、このときには550点代しか取れなかったのです。
これではいけないと考えた私は、大学2年生の夏休みにフィリピンへ英語留学をすることに決めました。
留学での時間有効に活用するためにも、出発までに「600点を取る」という目標をかかげたのです。
やはり留学に行くことが、大きなモチベーションとなり、その目標を達成できました。
留学先に日本人のいない語学学校を選んだこともあり、スピーキング力とリスニング力が大幅に向上しました。
そうして留学後には、750点を取れたのです。
このように留学で培った語学力と行動力を活かして、貴社の海外事業部でも売り上げに貢献していきたいです。
【ガクチカで最強の構成】ガクチカでNGな例文
ここまではよい評価を得るための、ガクチカの書き方を紹介していきました。
加えて、NGとされている内容や書き方も知っておく必要があります。
ガクチカのエピソードは、どういった内容でもOKというわけではありません。
当たり前ですが、娯楽や採用担当者に馴染みのないようなエピソードはもちろんNGです。
ほかにも周りの人を一方的に悪くいったり、責任を押しつけたりというのもよくありません。
たとえそれが事実であったとしても、ガクチカに記載すべきではありません。
またよくあるのが、自己PRと同じエピソード、同じアピールポイントになってしまうという間違いです。
自己PRでは自分の強みを、どのように企業で活かせるのかを書きましょう。
一方でガクチカは経験をもとに、自分成長過程について語るものです。
できるだけ別のエピソードを用意し、それぞれの意図にあった文章を書くようにしましょう。
ここでは具体的にNGな例文を紹介したうえで、その理由を解説します。
NGな例文
私の強みは行動力だといえます。
なぜなら学生時代に留学やバンド活動、ゼミのビジネスプランコンテストなどに参加したからです。
1年次にはアメリカへ1年間留学をしました。
現地では積極的に友達を作り、今でもその友達とは連絡を取っています。
バンド活動では自分たちで曲を作って、ライブハウスでライブをしていました。
コロナ禍でなかなか活動できない期間も続いていますが、この期間でも自分たちで作曲活動に励んでいます。
ゼミのビジネスプランコンテストでは、ゼミの仲間とグループワークを通して、自分たちの納得のいくものを作ろうと心がけていました。
その結果見事優勝できました。
そのため私が学生時代に得られた強みは、行動力です。
情報が多すぎる
ガクチカだけではなく、就活では限られた時間や文字数のなかで、簡潔に自分をアピールすることが必要です。
そのためには情報量を絞っていき、もっとも伝えたい部分を深掘りしていくことが必要不可欠です。
上記の文章ではさまざまなことを盛り込みすぎており、これでは結局何が一番伝えたいことなのかわかりません。
短い文章のなかでは、必ず自分が伝えたいことを中心にもってこなければならないのです。
ガクチカのなかで、自分の一番いいたいことは何かを考え、それに焦点をあてて詳しく述べましょう。
内容の深掘りができていない
多くのエピソードを紹介しようとしすぎて、それぞれのエピソードが薄くなってしまっています。
これではいったいどういった人物であるのかや、その結果どういった成長を遂げられたのかが、具体的に見えてきません。
エピソードは1つに絞り、それについて詳しく述べましょう。
なぜその行動を取ったのか、そのうえで何が大変だったのか、そして乗り越えた結果はどうなったのか、わかるように伝えるべきです。
エピソードがいくつもあることで、伝えたいことの焦点はぼやけてしまいます。
【ガクチカで最強の構成】魅力的なエピソードが思いつかない場合
「ガクチカが思いつかない」と、頭を悩ませている学生は意外と多いものです。
たとえ思いついたとしてもありきたりすぎる、大したエピソードじゃないと考えてしまいがちでしょう。
これらはガクチカには使えないと、考えてしまってはいませんか。
ガクチカは自己PRとは違い、困難への取り組み方や成長過程を知りたいという企業側の意図があります。
そのためエピソード自体は、自分が本当に一番頑張ったことであればどういったことでもよいのです。
一番大切なのはそのエピソードを通して、どのように成長したのかという点です。
またあまりにもエピソードを思いつかないからといって、嘘をついて大げさな内容にしてはいけません。
面接ではより詳しい情報を聞かれる可能性も非常に高く、嘘だと見抜かれてしまう可能性は大いにあります。
自分の経験からとっておきのエピソードを選びましょう。
参考にこちらの記事も用意しましたので、ガクチカを書き始める前にぜひ読んでみてください。
人よりも優れた経験である必要はない
エピソードが見当たらないという人は、人よりすごい経験やあっといわせられるようなインパクトのあるエピソードを見つけようとしている場合があります。
上記でも述べたとおり、ガクチカは決して周りの人と比べるようなものではありません。
自分らしさをアピールできるガクチカのほうが、より高い評価を受けられ、相手の印象にも残ることでしょう。
あまり周りと比べすぎずに、自分自身のこれまでの経験について自信をもって語りましょう。
人と同じ内容でもよい
ガクチカの定番といえば、アルバイトやゼミ・ボランティアなどがあげられます。
ありきたりすぎてほかの学生と内容が被ってしまうと気にしている方もいるのではないでしょうか。
しかし、エピソードの内容がありきたりであろうと、内容がほかの学生とかぶっていようとなんの問題もありません。
なぜなら同じ経験をしても、人それぞれに捉え方や対処の方法・成長の方法は異なっているからです。
そのため、ありきたりな内容ではないかと心配する必要はありません。
優れた結果よりも過程で何を思ったかが大切
試合で大きな結果を出したというような、実績を自慢できるエピソードでないといけないというのも大きな勘違いであるといえます。
ガクチカにおいて、採用担当者はその結果にこだわっているわけではありません。
そのため一生懸命頑張ったことであれば、むしろ最終的に失敗で終わったことでも大丈夫です。
また思うような結果は得られなかった経験でも、全く問題はありません。
むしろその失敗をどのように活かすのかという、気づきや取り組みのほうが重要視されています。
【ガクチカで最強の構成】自分でESを書いたあとにできる選考対策
一通りESを書き終わったからといって、それだけで安心しきってはいけません。
ひとまず、書いたESをそのままにしておくのはもったいないことです。
よりよいものにするための工夫をしましょう。
たとえば周りの人に添削してもらったり、プロの目でチェックしてもらったりできるでしょう。
またES選考のあとには、より重要な二次面接や三次面接が待っています。
ESを書き終えた時点から、少しずつ前もって準備を重ねていきましょう。
ES添削
自分で書いた文章はどうしても主観が入ってしまうため、なかなか客観視するのは難しいものです。
ここは恥ずかしがらずに思い切って、ほかの人に添削をお願いしましょう。
企業に提出する前であれば学校の友人や先輩、ゼミの教授などに添削してもらうのがおすすめです。
自分以外の目線から指摘してもらえることで、より客観的で説得力のあるESに仕上げられることでしょう。
さらに自分では気がつかなかった視点からも、より深く再考できるきっかけにもなる可能性も考えられます。
また大学のキャリアセンターでは、ESの添削指導をしている場合があります。
このように利用できるサポートがあればそれらをしっかりと活用して、よりよいESにしていきましょう。
就活市場エージェント
ESの添削をお願いできる人が周りにいないという場合や、本当にこれでいいのか不安だという場合には、就活エージェントを利用するのがおすすめです。
就活市場エージェントでは、企業の採用にも関わっている採用コンサルタントが、無料で学生の就活をサポートしてくれます。
もちろんES添削や面接練習などのサポートもあるうえに、就職後も悩みを相談したりアドバイスをもらったりできます。
就活に万全の体制でのぞみたいという就活生は、ぜひとも登録してみましょう。
企業研究
ESを出し終えたら、面接に向けてさらなる企業研究を始めましょう。
書類選考を通過すると、いよいよ面接が始まります。
今のうちから企業研究をしておけば、書類選考を通過してから慌てる心配もなくなり、余裕をもって面接対策ができます。
また企業研究のやり方に早いうちから慣れておけば、より効率的に企業研究ができるようになることでしょう。
企業研究では、企業の具体的な情報を集めるところから始めます。
企業理念や会社の変遷はもちろん、商品やサービスについて理解を深めましょう。
また同業者であるほかの企業との違いや、業界での位置づけにも目を向ける必要があります。
なぜなら面接では、「どうして他社ではなくうちの会社なのか」という点も、聞かれやすいポイントとなっているからです。
企業のことだけ研究するのではなく、業界研究や自分とのマッチング度合いも含めましょう。
そうした幅広い視点から企業研究を進めていってください。
面接対策
ESだけで大仕事のように感じますが、就活はESを終えてからが本番です。
書類選考を通過したあとには面接も始まり、場合によっては二次面接・三次面接、四次面接と続いていくことになります。
これらは個人面接や集団面接など、さまざまな形態で行われることでしょう。
面接が始まってから面接対策をするのでは、対策は後手後手に回ってしまいます。
今のうちから先を見据えて行動すれば、内定率はぐっと高まるはずです。
面接は基本的にESの内容を深掘りされるところから始まります。
ガクチカや自己PR・志望動機などは、スラスラと話せるように練習を重ねておきましょう。
練習方法としては1人で可能なうえに、先輩や友人にお願いして模擬面接をするという方法もあるでしょう。
さらにエージェントや大学のキャリアセンターを活用するなどして、早めのうちから面接の準備をしていきましょう。
おわりに
今回はESのなかでも重要な位置をしめているガクチカについて、その書き方のポイントや構成方法についてご紹介しました。
最強のガクチカにするためには、企業の目線に立ってどのようなことを求めているのかを、しっかりと理解することは必要不可欠です。
インパクトのあるエピソードにこだわるだけでなく、自分自身の成長過程をアピールできるような、説得のある内容を目指しましょう。
そのためにはしっかりと自己分析をしたうえで、PREP法を用いて書くことが必要不可欠です。
また周りの人による添削サポートを効果的に活用し、よりよいESに仕上げていきましょう。
ぜひともこの記事を参考に最強のガクチカ作りに取り組み、就活を成功させてください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート