【コンサル業界】市場
コンサル業界の国内市場は活性化しています。
需要が膨らむ理由はさまざまですが、要因の1つとなっているのが企業のグローバル化でしょう。
今や大手のみならず、あらゆる企業が世界へ向けてビジネスを展開しています。
すでに国内だけを向いていても成長は期待できないことは明らかで、いかにして窓口を広く持つかが重要課題となっています。
また、デジタル化やデジタル戦略が企業の生き残りのためにいかに重要かは、多くの経営者がすでに身に染みて痛感していることでしょう。
デジタル関連プロジェクトに関しては投資も多大になるため、専門的なアドバイスなしに独自に進めることは無謀と言わざるを得ません。
こうした背景もあり、日本におけるコンサル業界もにわかに活発化しています。
その現状と展望についてまとめてみましょう。
・コンサル業界の現状
2018年~2019年のコンサル業界規模は、主要対象企業13社の売上高合計として7,969億円という結果になっています。
2019年版業界レポートを見ると、業界規模は+0.7兆円、伸び率は+7.6%です。
利益率は+9.6%となっており、これは136業界中10位という成績です。
過去11年間の実績すべてで右肩上がりとなっており、実に堅調な推移が見て取れるでしょう。
海外への販路拡大など企業のグローバル化が顕著になり始めた2013年以降はとくに需要が増加し、国内でもコンサルティングの重要性が理解されたことがわかります。
2015年からはビッグデータやクラウドの活用が活発化し、新たなデジタル分野のニーズが業界全体を押し上げる状況が続いています。
・コンサル業界の展望
結論からすればコンサル業界の将来展望は実に明るく、キーワードは海外展開とデジタル化となっています。
海外展開では販路の開拓もしくはローカライズにおいてマーケティング要素も必要とされ、コンサルティング会社はそうしたサポートを提供しながら業績拡大につなげる働きをしています。
デジタル分野では、先にも触れたビックデータやクラウド、AIの実践的な活用サポートやそれに対応できるデジタル事業の立ち上げなども支援しています。
コンサル業界の市場規模が最も大きい国はアメリカで、世界的に見れば日本はまだまだコンサルティングの活用度合いは低い状況です。
逆に言えば成長余地しかない状況下にあり、近年日本のボトムアップ型企業形態に合わせたコンサルティングを提供するファームも増え、急激な成長が見込まれる業界と言えます。
【コンサル業界】総合系とは?
コンサルティングファームは系列で分けられることが多いですが、明確な定義があるわけではありません。
その成り立ちや得意とする領域によって大まかに分類されるもので、規模が大きければあらゆる分野に得意領域を持つ場合も少なくありません。
とくに総合系と呼ばれるファームは得意分野も広く、多岐にわたる展開をしているケースも多いです。
基本的にはすべてのジャンルを対象にコンサルティングを行うことを目指し、時代のニーズが高まっているIT関連領域にも強みを持っているのが特徴です。
それだけに大規模ファームが多く、あらゆるテーマで立案から実行までサービスをワンストップ提供できる守備範囲の広さを強みとしています。
・仕事内容
総合系の仕事は多岐にわたるため、自分が携わるプロジェクトによっては仕事内容が変わる場合もあります。
とは言えコンサルタントとしての仕事はいずれも同じであり、目的はクライアント企業の各階層の課題解決です。
戦略立案から実行支援、ソリューション導入なども一貫して行うのが総合系であり、必要であれば他部門やグループファームと協働してプロジェクトを成功へ導きます。
近年の課題解決にはデジタル戦略が欠かせないため、とくにIT関連の部署や専門家と協働することは多いでしょう。
たとえば、人事制度改革をするにも、人事戦略策定を得意とする部署と、人事システム導入を得意とする部署とは異なることが大半です。
総合系コンサルはワンストップでのコンサルティングを強みとするため、プロジェクト全体をまとめる仕事も重要と言えます。
・職種
総合系コンサルファームに所属する人員も、中で得意分野ごとに分かれる場合があります。
たとえば、前述の例で言えば、人事業務コンサルという職種も、ITコンサルという職種も必要です。
いずれもクライアントの課題解決のために働きますが、より技術に特化した業務を行う職種もあるということです。
コンサルタントでありながらエンジニアでもある職種、コンサルタントであり戦略アナリティクスでもある職種など、1つのファーム内にも複数の専門職種が存在する場合もあるでしょう。
総合系への就職を目指すなら、自分がどのようなスキルを持ち、どういった分野で活躍できそうかを具体的に考える必要があります。
ファームごとの詳細な職種まではわからないにしても、単に「コンサルタント」という大枠のイメージだけでは実態がつかめず、明確なビジョンを描くことはできません。
・特徴
総合系の一番の特徴は、あらゆる業界、あらゆる分野にクライアントが存在するということです。
提供するサービスも幅広く、大規模ファームになるのが一般的です。
扱う課題も多種多様ですし、ヒアリングを進めるうちに必要と判断されれば、別の専門部隊がプロジェクトに組み込まれる場合もあります。
金融、製造、通信などの産業界別チームに分かれていたり、戦略、会計、人事組織など業界には直接関連しない横断チームに分かれたりしている場合もあるでしょう。
外資系の大手総合系ファームでは、日本拠点のみで5,000人規模のコンサルタント人員を抱えているケースも少なくありません。
そうした巨大組織の中で、いかに自分のスキルと個性を活かして活躍できるかが問われます。
【コンサル業界】総合系の1日
総合系コンサルタントとして過ごす1日は、どのようなものでしょうか。
もちろん参加しているプロジェクトによっても、所属する部署や職種によっても1人ひとり異なりますが、基本的な仕事の進め方を知るための手がかりとして紹介します。
実際に自分が就職して働くイメージをつかめるよう、ざっくりまとめてみましょう。
午前
起床し、出勤
通勤電車の中などで1日の予定を確認し、すべきことや段取りを頭の中でまとめる
↓
オフィスに到着
すべてのメールをチェックし、始業時間前にクライアントからの連絡内容や要望を把握
1日のタスクをTODOリストにまとめて整理する
↓
9:00~10:00
午前のクライアントとのミーティング用資料の最終チェック
社内ミーティングなどで内容を最終確認
↓
10:00~12:00
クライアントとミーティング
午後
1人もしくはチームメンバーとランチ休憩
↓
13:00~14:00
午後のクライアントとのミーティング用資料の最終チェック
社内ミーティングなどで内容を最終確認
↓
14:00~16:00
クライアントとミーティング
↓
クライアントとのミーティング内容をプロジェクトメンバーと再確認
必要であれば別途ミーティングや必要部署へのフィードバックを行い情報を共有
対応を確認
夕方
17:00~
ミーティングの議事録や報告書作成
次回に向けた課題整理と資料作成
必要であれば社内ディスカッション
↓
18:00~20:00
翌日のタスクを確認し退社
夜
自宅もしくはチームメンバーや友人と食事
↓
自宅で資料レビュー、資格取得のための勉強や読書など自己研鑽
↓
明日すべきことをメモにまとめ就寝
【コンサル業界】総合系で身につくスキル
総合系ファームで働くことでどのようなスキルが身につくかは、知っておきたい点です。
所属するチームによっても身につく専門知識などは変わりますし、クライアントの業界業種ごとに独特の業務プロセスや商慣習などがあり、そうした知見を持つこともできるでしょう。
ただ求められるコミュニケーションスキルやヒューマンスキルに違いはなく、どんな部署でも必要とされる共通項はあります。
ここではコンサルタントの基礎となるスキルについてまとめてみましょう。
論理的思考能力
論理的思考能力は、コンサルタントという仕事に就く段階でも求められるものです。
ただ実際にコンサルタントとして働くことで、常にロジカルに物事を考え他者に説明することを求められるため、その能力は強く鍛えられ飛躍的に向上するでしょう。
コンサルタントの場合、ロジカルに考えるだけでなく相手にわかりやすく伝えるところまでがワンセットです。
ビジネスパーソンであれば一定のロジカルシンキングは必要とされますが、ここまで常に求められ鍛えられる職場はなかなかありません。
ここで培われたスキルはその先の人生のいかなる場面でも有効に働きますし、高く評価されることになります。
問題解決力
クライアントのあらゆる問題、課題を解決するのが仕事ですので、問題解決力は非常に鍛えられます。
これはセルフマネジメントの面でも現れ、たとえ仕事でなくても自ら問題点を洗い出し解決に導くスキルが身につきます。
ビジネスパーソンに欠かせないPDCAサイクルを自分で考え実行できる能力は、非常に強い武器となるでしょう。
また問題を根本的に解決するためには物事を全体的にとらえる必要がありますので、枝葉を見ずに幹を見る、木を見ずに森を見ることができるようになります。
問題の大小に関わらず、本質を見抜き最適解を求める力を得られるでしょう。
プレゼン力
他者に伝える能力がプレゼンテーション能力ですが、コンサルタントの仕事をすればこの力が大きく飛躍します。
また総合系ファームは組織が大きく、人が多く、大規模プロジェクトも多いため、クライアントに対するプレゼン力だけでなく社内に対するプレゼン力も磨かれます。
1つのプレゼンにかけられる時間には限りがありますし、リソースにも限りがあります。
その限界の中で相手を納得させるだけの成果を出さなければなりませんので、相応のプレゼン力とマネジメント力が身につくでしょう。
【コンサル業界】総合系で役に立つ資格
総合系ファームのコンサルタントとして働くのに、役に立つ資格はいくつかあります。
ビジネスを行う人にとって資格はもちろん有効なものであり、難しい資格ほど有することに高い価値が生まれることは間違いありません。
ただし、士業ではないため資格を持ってなくでも仕事に就けます。
MBA(経営学修士)
MBA(Master of Business Administration)は、経営学の大学院修士課程を修了することで与えられます。
欧米ではビジネスエリートの登竜門とも言われますが、税理士や公認会計士などの士業資格には相当しません。
カリキュラムは人的資源管理や財務会計、情報マーケティングのほか、統計学や経済学などが中心です。
実践力を得ることが主眼のため、仲間に対してプレゼンテーションを行ったり、第一線で活躍する経営者と意見交換を行ったりすることも特徴です。
座学だけで机上の空論を学ぶのではなく、生きた経営を学ぶというのがMBAの目指すところとなります。
また、卒業後に同じMBAホルダーとリレーションシップを構築できる点にも特徴があります。
世界に散らばるMBAホルダーたちと連携できることに、ビジネス的価値を見出す人も少なくありません。
資格は必須ではない!
総合系コンサルのクライアント企業には大手が多く、実際に顔を合わせる相手も重役クラスや経営者が多くなります。
コンサルタントとして働くときには経営的な視点があった方が良いのはもちろんで、MBAなどの資格があればもちろんそれに越したことはないでしょう。
ただし、コンサルタントになるにはMBAがなければならないと考えるのは、誤りです。
そもそもいかなる資格も必須ではなく、大手ファームでもMBAホルダーはさほど多いわけではありません。
採用面接時にもなぜMBAを取得したのか、何を学んだのかを問われますし、学んだことを具体的にどのように業務に活かせると考えているかも問われます。
もちろんすべてロジカルに組み立てた上で取得する人もいますが、資格を取得すること自体が目的にすり替わってしまわないよう、心得る必要があるでしょう。
【コンサル業界】総合系に向いている人
総合系コンサルに限らず、コンサルタントという仕事は他者を輝かせる仕事です。
あくまでアドバイザーであり、自分が事業を行うわけではありません。
コンサルタントはクライアントの要望に応え、あらゆる調査・提案・サポートを行いますが、具体的にアクションを起こすのはクライアントです。
せっかく提案した内容も実行されないことはしばしばあり、歯がゆい思いをすることもあるでしょう。
それでも献身的に他者のために働き、相手を輝かせるために尽くせる人がコンサルタントに向く人です。
この前提を踏まえた上で、総合系コンサルに向いている人を挙げてみましょう。
視野を広く持てる人
コンサルタントに必要なのはミクロの視点ではなく、マクロの視点だとよく言われます。
つまりは視野を広く持てる人がコンサルタントに向く人であり、大規模プロジェクトの多い総合系であれば尚のこと、この視点は必要とされる資質となります。
総合系のクライアント企業は大手が多いですから、大きな組織が動くときには目先のことだけで判断すると、取り返しのつかない間違いにつながる可能性があります。
総合系コンサルタントなら木を見て森を見ずということのないよう、常に広い視野を持つことが求められるのです。
たとえば、クライアントの業界だけでなく、一見関係のなさそうな業界の動向にまでアンテナを張っておける人に適性があります。
世界は狭く、どこで何がつながるかわからないのが現代ですので、視野は地球規模で持っておくことをオススメします。
気持ちの切り替えが早い人
コンサルティングは精密な仕事であり、クライアントの顔色を常にうかがう神経質な職業だと考える人も少なくありません。
でも実際には明るく快活で、いわゆるタフな人が多いのが事実です。
前述のとおり、コンサルタントの仕事ではガッカリすることも多々あります。
たとえば、苦心したプランが通らない、実行されないというケースもあれば、自分の提案したプランが実行されたにも関わらず、まったく思った成果を出せずクライアントを満足させられないといったケースもあります。
こうしたときには落ち込むのが当然ですが、マイナスの気分をいつまでも引きずってしまう人はコンサルタントには向きません。
一流のスポーツマンのように、結果が出せなくとも反省し、そこからの立ち上がりが早く次への行動へ移れる人が向く人です。
知的タフネスと肉体的タフネスを持ち合わせ、PDCAサイクルをパワフルに回せる人なら適任でしょう。
時代を読み解く力がある人
世界は人が動かしていますので、常に動き、その形をどんどん変化させていきます。
コンサルタントには時代を読み解く力が必要ですが、そこにはさまざまな時間の流れが関係します。
毎秒単位で変わるものもあれば、数十年経ってようやく形が見えてくるものもあります。
どんな時代にも臨機応変に順応することを求められる職種ですので、あらゆる時間の流れを感じ、時代の動きを察知できる人に適応能力があります。
常に世の中の動向に興味を持ち、アンテナを張っていることも大切ですが、同じニュースを見てもそこからその先を予測する癖のついている人は適性が高いでしょう。
あたるあたらないは別としても、常にマーケティング的視点で世界をとらえられることは大きな強みになります。
【コンサル業界】総合系の会社
総合系コンサルファームはいくつかありますが、その中でも世界的な信頼が厚く、多くのクライアント企業を抱える数社を紹介しましょう。
総じて規模が大きく、昨今のコンサルティング業界そのものをけん引する存在でもあります。
そのほとんどが数千人規模という大規模な組織を持っており、近年ニーズの高まっているデジタル戦略やアナリティクスの分野を担っています。
それぞれどのような特徴を持ち、展開しているのでしょうか。
デロイトトーマツコンサルティング
Big4の一角、コンサルティングのリーディングファームであり、世界140ヶ国に16万人以上のコンサルタントを抱える一大企業のメンバーファームです。
世界最大級の会計事務所であるトーマツや財務アドバイザリーのDTC-FASとの連携も強く、日本国内でも非常に高い信頼性を持っています。
外資系でありながらコンサルタントを育てる風土が構築されており、一人前になるまでしっかり見てくれる企業という意味では学生にとっても魅力的な存在でしょう。
もちろん厳しく鍛え抜かれることに変わりはなく、採用の段階においてコンサルタントとして一人前になれる素質があるかないかで選ばれると言われています。
戦略立案だけでなく実行支援まで含めたプロジェクトが多いのも特徴です。
こうしたことから業務改革コンサルに強く、業務系を得意とするファームです。
アクセンチュア
世界最大のコンサルティングファームとして名高いのがアクセンチュアです。
世界55ヶ国に39万人以上もの社員を抱え、日本拠点だけでも5,000人規模の大所帯を持ちます。
元はアンダーセン・コンサルティングという名称でしたが、2001年に改称、「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域でサービスとソリューションを提供しています。
世界のベストプラクティスを提供するというモットーのもと、世界で統一した方法論と同じイズムを持つ人材を提供するスタイルが特徴です。
東京オフィスでもクライアント数は業界で3本の指に入り、グローバル企業を多くサポートしていることも特筆できるでしょう。
PwCコンサルティング
Big4の一角を成すファームであり、世界157ヶ国に27万人を超える人員を抱えるPwCネットワークの一員です。
Big4というのはPwC・EY・KPMG・デロイトという各監査法人のグループファームで、経営戦略の策定から実行まで総合的なコンサルティングサービスを提供しています。
国内最大規模のコンサルティングファームであり、とくに企業がグローバル市場で競争できる力を高める支援において絶大な信頼があります。
別法人ではありながらグループ内に監査、税務、法務などの専門部隊が存在し、常にシームレスに連携することでワンストップのサービスを提供するのが強みです。
高度な専門能力を1つの窓口で提供し、総合的に迅速な対応を提供できる数少ない総合系ファームと言えるでしょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート