【例文あり】税理士の志望動機の書き方とは？書く際のポイントや求められる人物像も解説

【税理士の志望動機】税理士とは

就職活動において、専門性の高い資格職として根強い人気を誇るのが「税理士」です。

税理士とは、税務に関する専門家として、個人や企業の納税義務を適正に実現するためのサポートを行う国家資格者です。

「税金の計算をする人」というイメージが強いかもしれませんが、実際には企業の経営状態を数字から読み解き、社長の相談相手として経営コンサルティングに近い役割を果たすことも少なくありません。

AIの台頭により仕事がなくなると言われることもありますが、複雑化する税制への対応や、人間にしかできない経営者への寄り添ったアドバイスの需要はむしろ高まっています。

税理士になるためには、難関とされる税理士試験に合格し、実務経験を積む必要があります。

しかし、近年では大学院での科目免除制度を利用したり、税理士法人に就職してから働きながら資格取得を目指したりするケースも増えています。

「数字を通じて経営者を支えるパートナー」としての役割を理解し、単なる計算屋ではないという意識を持つことが大切です。

まずは税理士の具体的な業務内容や、この職業ならではの特徴を深く理解し、自分が目指す税理士像を明確にすることから始めましょう。

税理士の業務内容

税理士の業務には、法律で定められた「独占業務」と呼ばれる3つの柱があります。

1つ目は「税務代理」で、納税者に代わって税務署への申告や申請を行うことです。

2つ目は「税務書類の作成」で、確定申告書などの公的な書類を専門知識に基づいて作成します。

3つ目は「税務相談」で、税金の計算方法や節税対策などの相談に応じる業務です。

これらは税理士資格を持たない人が行うと法律違反になるため、非常に強い権限と責任を持った仕事と言えます。

しかし、実際の現場ではこれらに加えて「会計業務」や「コンサルティング業務」の比重が高まっています。

会計業務では、企業の毎月の売上や経費を記帳し、試算表や決算書を作成して経営状態を可視化します。

コンサルティング業務では、その決算書をもとに「どうすれば利益が出るか」「資金繰りをどう改善するか」といった経営アドバイスを行います。

また、相続税の申告や事業承継の支援など、個人の資産を守るための重要な局面に立ち会うこともあります。

企業の成長から個人の人生の節目まで幅広く関わることができ、デスクワークだけでなく、クライアントと対話をする時間も非常に多いのが実情です。

税理士の特徴

税理士の最大の特徴は、中小企業の経営者にとって「最も身近な相談相手」であるという点です。

大企業には社内に財務部や法務部がありますが、日本企業の99%を占める中小企業にはそのような専門部署がないことがほとんどです。

そのため、社長は税金のことだけでなく、経営の悩み、従業員の問題、時には個人的な資産の悩みまで、すべてを税理士に相談します。

医師が患者の身体を診るように、税理士は会社の健康状態（財務）を診る「ホームドクター」のような存在なのです。

また、働き方の自由度が高いことも特徴の一つです。

税理士法人や会計事務所に勤務するだけでなく、独立開業もしやすい資格です。

自分の裁量で仕事を選び、専門分野（医療に強い、国際税務に強いなど）を極めていくことも可能です。

繁忙期（特に確定申告期の2〜3月）は非常に忙しくなりますが、それ以外の時期は比較的スケジュールを調整しやすく、試験勉強やプライベートとの両立を図ることも可能です。

専門性を武器に、自分のライフスタイルに合わせたキャリアを築ける点は大きな魅力です。

ただし、税法は毎年改正されるため、一生勉強し続ける姿勢が求められる専門職でもあります。

【税理士の志望動機】税理士の魅力

税理士という職業は、難関資格であるがゆえのステータスや安定性はもちろんですが、それ以上に「人」や「経営」に深く関われる点に大きな魅力があります。

数字という客観的な事実に基づきながらも、経営者の情熱や悩みに寄り添い、共に課題を解決していくプロセスは、他の士業やコンサルタントにはない独特のやりがいがあります。

AI技術が進化しても、経営者の不安を取り除き、勇気づけるようなコミュニケーションや、複雑な背景を考慮した判断業務は代替できません。

むしろ、事務作業が効率化されることで、より付加価値の高い提案業務に注力できるようになり、職業としての面白さは増しています。

ここでは、税理士を目指す学生が知っておくべき、この仕事の3つの主要な魅力を掘り下げます。

なぜ苦労してでも税理士になりたいのか、そのモチベーションの源泉を見つけるヒントにしてください。

一生の仕事にする価値がある理由がここにあります。

経営者の「一番近いパートナー」になれる

税理士の仕事の醍醐味は、普段なかなか会うことのできない企業のトップ、つまり社長と直接話ができることです。

新人のうちから経営者と対等に渡り合い、会社の数字という最重要機密を共有してもらえる関係性は、他の職種ではなかなか築けません。

社長は孤独な立場にあることが多く、本音で経営の悩みを話せる相手を求めています。

税理士は、財務のプロとしてその悩みに耳を傾け、解決策を一緒に考えることで、深い信頼関係を築くことができます。

自分が提案した節税対策や資金繰り改善案によって会社が危機を脱したり、事業が拡大して新しい店舗を出したりする瞬間に立ち会えるのは、大きな喜びです。

「先生のおかげで会社が良くなったよ」と感謝されることは、税理士冥利に尽きる瞬間でしょう。

単なる外部の業者ではなく、運命共同体のようなパートナーとして企業の成長を支えることができます。

ビジネスの最前線で戦う経営者から多くのことを学び、自分自身も人間として成長できる刺激的な環境があります。

専門性を武器に一生働き続けられる

税理士資格は「一生モノ」のパスポートです。

一度取得すれば更新の必要がなく（研修受講義務はありますが）、定年退職という概念もありません。

本人の意欲と体力がある限り、70代、80代になっても現役で活躍し続けることができます。

また、全国どこでも仕事があるため、結婚や配偶者の転勤などのライフイベントに合わせて働く場所を変えることも容易です。

景気に左右されにくく、常に一定の需要があるため、長期的な安定を求める人にとって非常に魅力的な職業です。

さらに、キャリアの選択肢も豊富です。

税理士法人でパートナー（共同経営者）を目指す、独立して自分の事務所を持つ、一般企業の経理財務部門で働く（企業内税理士）、コンサルティング会社でM&Aや事業再生に携わるなど、自分の適性や興味に合わせて道を選ぶことができます。

自分の腕一本で生きていけるという自信は、人生において大きな安心感をもたらします。

組織に依存せず、個人の名前で勝負できるプロフェッショナルな生き方が実現できます。

企業の課題解決を通じて社会貢献できる

税理士の仕事は、個別の企業を助けるだけでなく、日本経済全体を支えることにもつながります。

日本の中小企業は雇用の大部分を担っており、地域経済の活性化に不可欠な存在です。

しかし、多くの中小企業は後継者不足や資金不足といった課題を抱えています。

税理士が事業承継をサポートして黒字企業の廃業を防いだり、創業支援を行って新しいビジネスの誕生を助けたりすることは、社会的に非常に大きな意義があります。

また、「正しい納税」をサポートすることは、国の財政基盤を支えることと同義です。

脱税を防ぎ、適正な納税を指導することは、公平な社会の実現に寄与する「税務の番人」としての誇り高い使命です。

自分の仕事が、目の前のクライアントの利益だけでなく、地域社会や国全体の発展に直結しているという実感を持てる点は、大きなやりがいです。

数字を扱う冷徹な仕事に見えて、実は社会のインフラを守る熱い使命感を持った仕事なのです。

【税理士の志望動機】税理士に向いている人

税理士は数字を扱う仕事ですが、単に計算が得意なだけでは務まりません。

クライアントである経営者との信頼関係を築く力や、常に変化する税制に対応するための学習意欲など、人間力と知力の両方が求められます。

自分が税理士として活躍できるイメージを持つために、どのような適性が必要かを知ることは重要です。

もし以下の特徴に当てはまる部分があれば、それを具体的なエピソードと共に志望動機に盛り込むことで、説得力が格段に増します。

資格取得への道のりは決して平坦ではありませんが、自分の性格がこの職業に合っていると確信できれば、モチベーションを維持して頑張れるはずです。

ここでは、税理士として成功しやすい人の3つの特徴を紹介します。

自分の強みとリンクさせて考えてみましょう。

数字に強く、几帳面で正確な作業ができる人

税理士の基本業務は、正確な計算と書類作成です。

1円の計算ミスや、申告期限の1日の遅れが、クライアントに多額のペナルティ（加算税や延滞税など）を与えてしまう可能性があります。

そのため、細かい数字のチェックを苦にせず、ミスなく丁寧に作業を完遂できる几帳面さは必須の資質です。

大胆な発想よりも、まずは「当たり前のことを当たり前にこなす」堅実さが求められます。

また、数字の羅列から違和感に気づくセンスも重要です。

「先月に比べて交際費が急増しているな」「粗利率がおかしいな」といった小さな変化に気づき、それが入力ミスなのか、経営上の何らかの問題なのかを推察する力が求められます。

細部に神が宿るという意識で仕事に取り組める人や、責任感が強く最後まで確認を怠らない人は、実務の現場で非常に重宝されます。

信頼は正確な仕事の積み重ねから生まれるものです。

相手の意図を汲み取るコミュニケーション能力がある人

「税理士はサービス業である」という言葉がよく使われるように、対人スキルは非常に重要です。

専門知識を振りかざすのではなく、税金に詳しくない経営者に対して、分かりやすい言葉で説明する能力が求められます。

また、経営者は悩みをうまく言語化できないことも多いため、会話の中から真の課題や要望を引き出す「傾聴力」や「察する力」が必要です。

時には、経営者にとって耳の痛いこと（無駄遣いの指摘や、厳しい経営状況の説明など）を伝えなければならない場面もあります。

そのような時でも、相手のプライドを傷つけずに納得してもらえるような伝え方ができるかどうかが問われます。

人と話すことが好きで、相手の立場に立って物事を考えられる人は、顧問先から長く愛される税理士になれます。

「先生と話すと元気になる」と言われるような人間的な魅力も大きな武器です。

知的好奇心が強く、勉強を継続できる人

税金に関する法律や制度は、毎年のように改正されます。

また、インボイス制度や電子帳簿保存法など、新しい実務への対応も次々と求められます。

税理士試験に合格した後も、常に最新の情報をキャッチアップし、知識をアップデートし続けなければなりません。

そのため、「勉強して資格を取ったら終わり」と考える人ではなく、「新しいことを学ぶのが好き」「知らないことを調べるのが苦にならない」という知的好奇心が旺盛な人が向いています。

また、クライアントの業種は建設業、飲食業、IT企業、医療機関など多岐にわたります。

それぞれの業界特有の商習慣やビジネスモデルを理解しようとする探究心も必要です。

変化を恐れず、常に学び続けることを楽しめる人にとって、税理士という仕事は飽きることのない刺激的なフィールドとなるでしょう。

努力を努力と思わず、知的な成長を喜べる才能が必要です。

【税理士の志望動機】税理士に向いていない人

どのような職業にも向き不向きがありますが、税理士の場合、そのミスマッチは「仕事が辛い」だけでなく、クライアントに損害を与えるリスクに直結します。

華やかなイメージや高収入という側面だけでなく、地味で厳しい側面も理解しておくことが重要です。

もし以下の特徴に強く当てはまる場合は、税理士以外の道（例えば営業職やクリエイティブ職など）を検討した方が、より自分らしく輝けるかもしれません。

ただし、これらはあくまで現時点での傾向であり、意識して改善できる部分もあります。

重要なのは、自分の性格を客観的に見つめ直し、この仕事の特性と照らし合わせることです。

「なんとなく」で選んで後悔しないためのチェックリストとして活用してください。

大雑把で細かい確認作業が苦手な人

「だいたいでいいや」という感覚は、税理士業務において致命的です。

前述の通り、税務申告には極めて高い正確性が求められます。

数字が合わない時に、原因が見つかるまで根気よく探し続けることができず、「まあいいか」と妥協してしまう性格の人は、重大なミスを引き起こす恐れがあります。

細かい文字や数字を見続けるのが苦痛で、集中力が続かない人も厳しいでしょう。

また、書類の整理整頓が苦手で、重要な資料を紛失してしまうようなルーズさも許されません。

お客様から預かった領収書や通帳のコピーなど、機密情報の管理も税理士の重要な責任です。

几帳面さよりもスピードや勢いを重視するタイプの人は、この仕事の緻密さにストレスを感じる可能性が高いです。

正確性よりもアイデアや感性で勝負したい人には不向きと言えます。

変化を嫌い、新しい知識を得る意欲がない人

「一度覚えたやり方を変えたくない」「勉強はもうしたくない」という人は、税理士として生き残っていくことはできません。

税法だけでなく、ITツールの進化や経済環境の変化に合わせて、自分の仕事のやり方を柔軟に変えていく必要があります。

過去の知識にしがみついていると、お客様に不利益なアドバイスをしてしまったり、時代遅れの税理士として淘汰されてしまったりします。

また、繁忙期には残業が増えることもあり、一定の体力と精神力も必要です。

「定時で帰って、家では仕事のことを一切考えたくない」という割り切り方は、試験勉強中やプロとしての研鑽が必要な時期には難しいかもしれません。

現状維持を好み、自己研鑽に時間を割くことに抵抗がある人は、変化の激しいこの業界では苦労することになります。

プロフェッショナルとしての向上心を持ち続けられない人には適していません。

コミュニケーションを避け、デスクワークだけしていたい人

「数字と向き合っていればいいから、人と話さなくて済む」と思って税理士を目指すのは大きな間違いです。

記帳代行などの入力作業だけを行うスタッフであれば可能かもしれませんが、税理士として活躍するためには、クライアントとの対話が不可欠です。

専門用語を使わずに説明したり、経営者の愚痴を聞いたり、時には厳しい交渉を行ったりと、高度なコミュニケーションが求められます。

一日中誰とも話さずに黙々と作業をしたい、という職人肌すぎる気質の人は、コンサルティング要素の強い現代の税理士業務にはマッチしない可能性があります。

人に関心がなく、他者のサポートをすることに喜びを感じられない人は、やりがいを見出しにくいでしょう。

「対話」こそが最大の付加価値であることを理解できない人には難しい仕事です。

【税理士の志望動機】志望動機を作成する際のポイント

税理士の志望動機を作成する際は、「なぜ税理士なのか」という職業への志望理由と、「なぜその事務所（法人）なのか」という応募先への志望理由の2つを明確に区別して組み立てる必要があります。

多くの学生が「専門性を身につけたい」「経営者を支えたい」といった一般的な内容に終始しがちですが、それだけでは採用担当者の心には響きません。

効果的な志望動機にするためには、自分の原体験や強みを具体的なエピソードとして盛り込み、「あなたでなければならない理由」を伝えることが大切です。

ここでは、採用担当者が納得し、一緒に働きたいと思わせるための構成ポイントを4つ紹介します。

これらを意識して、論理的かつ熱意の伝わる志望動機を作成しましょう。

なぜ「税理士」かを明確にする

まず重要なのは、数ある職業の中でなぜ税理士を選んだのか、その根拠を語ることです。

例えば、「実家が自営業で、税理士さんが親身に相談に乗ってくれている姿を見て憧れた」「大学の簿記の講義で、数字から企業の活動が見えることに面白さを感じた」「アルバイト先の経営難を目の当たりにし、経営者を数字の面から支えたいと強く思った」など、具体的なきっかけがあるはずです。

単に「安定しているから」「手に職をつけたいから」という利己的な理由ではなく、「誰のために、何をしたいから税理士なのか」という目的意識を伝えましょう。

自身の経験に基づいたストーリーは、他の応募者との差別化につながる強力な武器になります。

その税理士法人・事務所を選んだ理由を深掘りする

「税理士になりたい」という熱意は伝わっても、「それなら他の事務所でもいいよね？」と思われてしまっては採用には至りません。

その事務所が得意とする分野（医療、資産税、国際税務、スタートアップ支援など）や、理念、働いている人々の雰囲気など、独自の魅力を挙げる必要があります。

「御社は〇〇業界の支援に特化しており〜」「御社の『お客様の成長を第一に考える』という理念に共感し〜」といったように、企業研究の成果を盛り込みましょう。

特に、ホームページの代表挨拶や先輩社員の声などを読み込み、共感したポイントを具体的に述べると効果的です。

「ここでこそ、自分の目指す税理士像が実現できる」という必然性をアピールしてください。

自身の強みや経験がどう活かせるかを示す

税理士試験の科目合格などはもちろん大きなアピールになりますが、それ以外にも活かせる強みはたくさんあります。

例えば、接客業のアルバイトで培ったコミュニケーション能力や、部活動で副主将としてチームを支えたサポート力、ゼミの研究でデータを粘り強く分析した経験などは、税理士の実務に直結する資質です。

「私は細かい作業を正確に行うことが得意で、大学の研究でも〜」「初対面の人ともすぐに打ち解けられる性格で、アルバイトでは〜」というように、自分の強みが税理士業務のどの場面で役立つかをイメージさせてください。

未経験であっても、ポテンシャル（潜在能力）を感じさせることが重要です。

将来のキャリアビジョンを提示する

採用担当者は、長く活躍してくれる人材を求めています。

「入社して終わり」ではなく、その先を見据えている姿勢を示しましょう。

「まずは実務の基礎を徹底的に学び、〇年以内に税理士登録を目指します」「将来的には相続税のスペシャリストとして、お客様の資産承継をサポートできる人材になりたいです」など、具体的な目標を語ってください。

キャリアビジョンがあることで、仕事への意欲の高さや、困難に直面しても乗り越えていける粘り強さをアピールできます。

また、現在税理士試験の勉強中であれば、仕事と勉強を両立させる覚悟も合わせて伝えると良いでしょう。

向上心を持って成長し続ける意思を明確にしてください。

【税理士の志望動機】志望動機を伝える際の注意点

志望動機の内容が良くても、伝え方や表現の中に「この人は採用するとリスクがあるかもしれない」と思わせてしまう要素が含まれていると、評価を下げてしまう可能性があります。

特に税理士業界は、信用第一の業界であり、また勉強と実務の両立という厳しい環境が待っているため、生半可な気持ちでは務まりません。

ここでは、志望動機を作成・伝達する際に避けるべきNGポイントや、注意すべき表現について解説します。

これらを意識して自分の文章を見直すことで、よりプロフェッショナルで信頼される志望動機に仕上げることができます。

採用担当者の不安を払拭し、安心感を与えることを目指しましょう。

どの企業・組織でも通じる内容にしない

「貴所の教育制度が充実している点に惹かれました」「成長できる環境だと思いました」といった理由は、どの会社でも使える汎用的なものです。

こればかりを強調すると、「受け身の姿勢である」「うちの事務所について何も調べていない」と判断されてしまいます。

教育制度はあくまで手段であり、目的ではありません。

「充実した研修制度を活用して早期に戦力となり、御社の得意とする〇〇業務で貢献したい」というように、制度を利用してどう貢献したいかまで踏み込んで語る必要があります。

また、HPを見ればわかるような表面的な情報だけでなく、自分なりの解釈や感想を加えることで、志望度の深さを示しましょう。

「勉強させてほしい」という姿勢ばかりを強調しない

税理士業界では、働きながら資格取得を目指す人が多いですが、「勉強のために働きたい」というスタンスが強すぎると敬遠されます。

事務所は学校ではなく、給料をもらって仕事をする場所です。

「試験勉強が第一優先で、仕事は二の次」という態度は厳禁です。

「仕事を通じて実務経験を積みながら、勉強との両立を成し遂げたい」「学んだ知識をいち早く業務に還元したい」というように、仕事への貢献意欲を第一に示すことが大切です。

プロとして働く覚悟と責任感があることを、言葉の端々から感じさせてください。

安定やステータスを志望の第一理由にしない

「税理士は高収入だから」「先生と呼ばれて尊敬されたいから」「食いっぱぐれないから」といった理由は、本音としてはあるかもしれませんが、志望動機として前面に出すべきではありません。

「自分の利益しか考えていない」「仕事の厳しさを理解していない」というマイナスの印象を与えます。

あくまで「クライアントへの貢献」や「専門性を活かした課題解決」を主軸に置き、安定や収入はその結果としてついてくるもの、というスタンスでいるのが賢明です。

利己的な動機ではなく、利他的な動機を語ることで、信頼できる人物であるとアピールしましょう。

【税理士の志望動機】税理士の志望動機例文

最後に、これまでのポイントを踏まえた具体的な志望動機の例文を3つ紹介します。

それぞれ異なるアピールポイント（中小企業支援、専門特化、未経験からの挑戦）を軸に構成しています。

これらをそのままコピーするのではなく、自分の経験や言葉に置き換えてアレンジするための参考として活用してください。

例文を読む際は、構成の流れ（結論→理由・エピソード→入社後の貢献）や、使用されている言葉の選び方に注目してみましょう。

自分の強みと志望事務所の特徴をどのように結びつけているかを分析することで、自分らしい志望動機を作成するヒントが得られるはずです。

具体的で熱意の伝わる内容を目指して、ブラッシュアップしていきましょう。

例文1（中小企業支援・コミュニケーション重視）

私が貴法人を志望するのは、中小企業の経営者に一番近い距離で寄り添い、その成長をサポートしたいと強く考えているからです。

私の実家は小さな飲食店を営んでおり、幼い頃から両親が資金繰りや税金の計算に苦労する姿を見てきました。

その時、顧問税理士の方が親身になって相談に乗り、経営改善のアドバイスをしてくれたことで、店が危機を乗り越えた経験があります。

この原体験から、私も数字の力で経営者を支え、安心を届けられる存在になりたいと決意しました。

貴法人は地域密着型で、クライアントとの対話を重視する姿勢に深く共感しております。

私の強みである「相手の懐に入り込むコミュニケーション力」を活かし、経営者の良き相談相手として信頼関係を築きながら、貴法人の発展に貢献したいと考えています。

現在は簿記論と財務諸表論に合格しており、働きながら官報合格を目指します。

例文2（コンサルティング・課題解決重視）

私は、単なる税務処理にとどまらず、企業の経営課題を解決するコンサルティング業務に強みを持つ貴法人で働きたいと考え、志望いたしました。

大学のゼミでは管理会計を専攻し、企業の財務諸表から経営状態を分析する研究を行いました。

数字は企業の状態を映す鏡であり、そこから改善の糸口を見つけ出すことに知的な興奮とやりがいを感じています。

貴法人は、税務顧問だけでなく、M&Aや事業承継といった高度な経営支援に実績があり、ここでなら私の目指す「経営参謀としての税理士」になれると確信しました。

入社後は、持ち前の論理的思考力と粘り強さを活かして正確な実務を行うとともに、先輩方から高度なノウハウを吸収し、将来的にはクライアントの未来を切り拓く提案ができる税理士として貢献したいです。

例文3（専門性・グローバル志向）

私が貴事務所を志望した理由は、国際税務という専門分野に特化し、日本企業の海外進出を支援している点に強く惹かれたからです。

私は大学時代に１年間の留学を経験し、多様な文化背景を持つ人々と交流する中で、将来は語学力と専門スキルを掛け合わせた仕事がしたいと考えるようになりました。

税理士という職業を知り、複雑な国際税務を通じて企業のグローバル展開を支えることは、まさに私の理想とするキャリアです。

貴事務所は多くの海外拠点日系企業の支援実績があり、最先端のノウハウを学べる環境があると感じました。

現在は税理士試験の勉強に加え、USCPA（米国公認会計士）の学習も進めています。

私の語学力と学習意欲を活かし、グローバルに活躍するクライアントの架け橋となれるよう、全力で業務に取り組む所存です。

まとめ

本記事では、税理士の仕事内容や魅力、向き不向き、そして採用担当者に響く志望動機の書き方について解説してきました。

税理士は、専門知識を武器に経営者の人生や企業の運命に深く関わる、責任とやりがいのある仕事です。

「数字を通じて人を幸せにする」という崇高なミッションを持った職業でもあります。

監修者

柴田貴司

明治大学院卒業後、就活メディア運営｜自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート