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【生産技術職の志望動機】生産技術職とは
モノづくり企業において、研究開発部門が生み出した「製品の種」を、実際に工場で大量生産できるように「育てる」役割を担うのが生産技術職です。
どれほど素晴らしい設計図があっても、それを効率よく、安く、高品質で作るための仕組みがなければ、製品として世の中に送り出すことはできません。
「どうすればこの製品を作れるか(How to make)」を突き詰めるこの仕事は、メーカーの競争力を左右する極めて重要なポジションです。
理系学生の就職先として人気が高い一方で、研究開発職や製造職との違いが曖昧なまま志望してしまう学生も少なくありません。
生産技術は、機械工学、電気電子、化学、情報工学など幅広い知識を総動員して、工場のライン設計や生産プロセスの最適化を行います。
机上の計算だけでなく、実際の製造現場で機械に触れ、現場の作業者と対話しながら課題を解決していく「現場主義」が求められる仕事でもあります。
ここでは、生産技術職の具体的な業務内容や、仕事の特徴について詳しく解説していきます。
モノづくりの司令塔としての役割を理解し、志望動機作成の第一歩としましょう。
生産技術職の業務内容
生産技術職の業務範囲は非常に広く、製品のライフサイクル全体に関わりますが、大きく分けると「新規ラインの立ち上げ」と「既存ラインの改善」の2つに集約されます。
新規ラインの立ち上げでは、新製品の図面をもとに、どのような設備が必要か、どのような手順で組み立てるかという「生産プロセス」を設計します。
設備メーカーと協力して専用の機械を導入したり、工場内のレイアウトを決めたり、試作を繰り返して量産化の目処を立てたりします。
ここでは、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)のいわゆるQCDのバランスを最適化する高度な判断力が求められます。
一方、既存ラインの改善も重要な業務です。
日々稼働している工場では、「不良品が出る」「生産スピードが遅い」「設備の故障が多い」といったトラブルが日常的に発生します。
生産技術者は、データ分析や現場観察を通じて問題の真因を突き止め、設備の改良や作業手順の見直しを行います。
最近では、IoTやAIを活用した「スマートファクトリー化」を推進する役割も担っており、IT技術を用いて生産効率を飛躍的に向上させるプロジェクトも増えています。
このように、生産技術職は工場の心臓部を動かし、利益を生み出す仕組みを作り続けるクリエイティブな業務です。
生産技術職の特徴
生産技術職の最大の特徴は、社内外の多くの人と関わりながら仕事を進める「ブリッジ(橋渡し)」としての役割です。
製品開発を行う設計者、資材を調達する購買部、実際にモノを作る製造現場のオペレーター、そして設備を納入する外部メーカーなど、立場の異なる関係者の間に入り、調整を行う必要があります。
設計者が理想とする品質を実現しつつ、現場が作業しやすく、かつ会社として利益が出るコストに収めるという、相反する要素をまとめ上げる力が求められます。
そのため、技術的な知識だけでなく、高いコミュニケーション能力と調整力が必要不可欠です。
また、グローバルに活躍できる機会が多いのも特徴の一つです。
日本のメーカーの多くは海外に生産拠点を構えており、海外工場の立ち上げや技術指導のために、若手のうちから海外出張や駐在を経験するケースが珍しくありません。
現地のスタッフに技術を伝え、文化の違いを乗り越えて一つのラインを作り上げる経験は、エンジニアとしての視野を大きく広げます。
オフィスワークと現場ワークの両方をこなし、ローカルとグローバルを行き来する、非常にダイナミックで行動的な職種であると言えます。
【生産技術職の志望動機】生産技術職の魅力
生産技術職は、自分が設計・構築した生産ラインから、製品が次々と生み出されていく様子を目の当たりにできる、モノづくりの醍醐味が詰まった仕事です。
研究開発職が「0から1を生み出す」仕事だとすれば、生産技術職は「1を100にも1000にも増幅させる」仕事と言えます。
自分の工夫一つで、生産時間が1秒短縮されれば、年間で数千万円、数億円というコスト削減につながることもあり、会社の経営にダイレクトに貢献している実感を得やすいポジションです。
また、特定の専門分野だけでなく、機械、電気、ソフト、材料など多岐にわたる技術に触れられるため、エンジニアとしての総合力が磨かれる点も魅力です。
近年では工場の自動化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、最先端のロボット技術やデータ解析技術を実践投入するフィールドとしても注目されています。
ここでは、生産技術職ならではのやりがいや面白さを3つのポイントに絞って深掘りします。
ビジネスへのインパクトの大きさとエンジニアとしての成長性を感じ取ってください。
アイデアが巨大な生産ラインとして形になる
生産技術職の最大の魅力は、自分の頭の中で描いた構想が、巨大な工場や生産ラインという物理的な形になって現れることです。
「もっと効率的に作るにはどう配置すればいいか」「この工程を自動化できないか」といったアイデアを図面に落とし込み、実際に設備を導入して稼働させるまでのプロセスを主導します。
何もない空間に機械が搬入され、調整を経て、製品がコンベアを流れていく光景を見た時の達成感は、言葉では言い表せないものがあります。
スケールの大きなモノづくりに携われる喜びは格別です。
自分が担当したラインで作られた製品が、店頭に並んだり、街中で使われたりしているのを見ることも大きなモチベーションになります。
例えば、自動車メーカーの生産技術職であれば、街を走る車を見て「あの車のドアを取り付ける工程は自分が設計したんだ」と誇りを持つことができます。
小さな部品の改善から工場全体の建設まで、自分の仕事の結果が目に見える形で残り、社会に価値を提供し続けることは、エンジニアとしての強い自己効力感につながります。
会社の利益に直結する成果を出せる
生産技術は、企業の利益創出に最も近い場所にいるエンジニア職の一つです。
製品の売上は市場環境に左右されることがありますが、製造コストの削減は社内の努力で確実に利益に変えることができるからです。
生産技術職が工程を改善し、不良率を低減させたり、タクトタイム(1つの製品を作るのにかかる時間)を短縮したりすることは、そのまま会社の利益率向上に直結します。
自分の技術と工夫が、数字として明確に表れるため、ビジネスへの貢献度を肌で感じることができます。
例えば、年間100万個生産する製品において、1個あたりの製造コストを10円下げるだけで、1000万円の利益を生み出したことになります。
このように、わずかな改善が掛け算によって大きなインパクトを生むのが量産工場の特徴です。
経営層も生産技術の成果には高い関心を寄せており、重要なプロジェクトを任されることも多々あります。
「技術で会社を儲けさせる」という気概を持ち、経営的な視点でモノづくりを捉えられる点は、この仕事ならではの面白さであり、キャリアにおける大きな強みとなります。
グローバルな舞台で技術力を発揮できる
多くのメーカーにとって、成長の舞台は海外市場にあります。
それに伴い、生産技術職も活躍のフィールドが世界中に広がっています。
海外の新工場建設プロジェクトに参加したり、現地の生産ラインのトラブルシューティングに赴いたりする機会が豊富にあります。
言葉や文化、インフラ事情が異なる環境下で、現地のエンジニアやワーカーと協力して日本の高品質なモノづくりを再現することは、一筋縄ではいかない困難なミッションですが、それだけに人間的な成長も促されます。
海外では、日本のように「あうんの呼吸」は通じません。
論理的に説明し、マニュアルを整備し、根気強く指導するプロセスを通じて、本質的な技術力とマネジメント能力が鍛えられます。
若手のうちから海外駐在を経験し、現地の工場長やマネージャーとして組織を動かす経験を積む人も少なくありません。
技術という共通言語を武器に世界中の人と繋がり、グローバルエンジニアとしてのキャリアを築きたい人にとって、生産技術職は最高の環境と言えるでしょう。
【生産技術職の志望動機】生産技術職に向いている人
生産技術職は、技術力だけでなく、現場対応力や対人スキルなど、総合的な人間力が問われる職種です。
「機械と向き合っていればいい」というわけではなく、むしろ「人と機械の両方」とうまく付き合う必要があります。
予期せぬトラブルが起こる現場において、冷静に状況を判断し、泥臭く解決策を探るタフさも求められます。
自分に適性があるかどうかを見極めることは、入社後のミスマッチを防ぐためにも非常に重要です。
ここでは、生産技術職として活躍している人に共通する特徴を3つ紹介します。
これらは、面接やエントリーシートで自己PRをする際のヒントにもなります。
自分がこれまでの経験の中で発揮してきた強みが、生産技術の仕事でどう活かせるかをイメージしながら読んでみてください。
現場志向と論理的思考のバランスが取れているかどうかが鍵となります。
周囲を巻き込んで物事を進める調整力がある人
生産技術職は、プロジェクトの司令塔として多岐にわたる関係者をまとめる必要があります。
設計部門には「作りやすさ」を考慮した図面変更を依頼し、製造現場には新しい手順の導入を納得させ、設備メーカーには厳しい納期での納入を交渉するなど、常に板挟みになりながら調整を行います。
そのため、立場の違う人の意見を聞き入れつつ、全体最適の視点で落としどころを見つける調整力と交渉力がある人は、生産技術職に非常に向いています。
特に製造現場には、長年その作業に従事してきたベテランの職人やパート従業員が多くいます。
彼らの経験や勘を尊重しつつ、新しい技術や理論に基づいた改善案を受け入れてもらうためには、信頼関係の構築が不可欠です。
机上の空論を押し付けるのではなく、相手の立場に立って対話ができるコミュニケーション能力や、チームで一つの目標に向かって協力することに喜びを感じるチームワーク重視の姿勢は、生産技術者にとって最強の武器となります。
課題を発見し論理的に解決策を考えられる人
工場では日々、「なぜか寸法が安定しない」「機械が頻繁に停止する」といった原因不明のトラブルが発生します。
こうした事象に対して、「なんとなく」で対処するのではなく、データを収集し、物理現象に基づいて原因を突き止める論理的思考力(ロジカルシンキング)が求められます。
「なぜ?」を5回繰り返すといわれるように、表面的な事象の奥にある真因(根本原因)を掘り下げていく探究心と分析力がある人は、優秀な生産技術者になれる資質があります。
また、トラブル対応だけでなく、「もっと良くできないか」という視点で自ら課題を見つける力も重要です。
現状の生産方式に満足せず、「ここの動作にムダがある」「この配置を変えれば効率が上がる」といった改善の種(シーズ)を常に見つけようとする姿勢が必要です。
日常生活の中でも、効率化を考えたり、不便な点を工夫して解消したりすることが好きな「改善マニア」的な気質を持つ人は、この仕事に大きなやりがいを感じられるでしょう。
突発的なトラブルにも動じず粘り強く対応できる人
生産ラインの立ち上げや稼働中のトラブル対応は、時間との戦いです。
ラインが止まればその分だけ損失が出るため、プレッシャーのかかる状況下で迅速に解決策を実行しなければなりません。
想定外の事態が起きてもパニックにならず、冷静に優先順位をつけて行動できる精神的なタフさが必要です。
計画通りにいかないことの方が多い仕事ですが、それを「想定内」と捉えて次の一手を打てる柔軟性が求められます。
また、一度のトライでうまくいくことは稀で、何度も試作や調整を繰り返してようやく目標を達成できるというケースがほとんどです。
うまくいかない原因を一つひとつ潰していく地道な作業を、投げ出さずに最後までやり遂げる粘り強さも不可欠です。
「失敗は成功の母」と捉え、困難な壁にぶつかっても諦めずに挑戦し続けられるバイタリティと忍耐力を持つ人は、現場からの信頼も厚く、生産技術職として大成するでしょう。
【生産技術職の志望動機】生産技術職に向いていない人
どのような職種にも適性の有無があるように、生産技術職にも、性格や志向性によっては苦痛を感じてしまう人がいます。
特に、理系だからといって安易に志望すると、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
生産技術は「現場・現物・現実」の三現主義が徹底される世界であり、きれいなオフィスでスマートに働きたいというイメージとは異なる側面があります。
ここでは、一般的に生産技術職には不向きとされる特徴を3つ挙げます。
これらは必ずしも能力の欠如を意味するものではありませんが、この職種独特の文化や働き方とのミスマッチを起こしやすいポイントです。
自分のキャリア観や性格と照らし合わせ、本当に生産技術職を目指すべきか、あるいは研究職や設計職など他の職種の方が輝けるのかを冷静に判断する材料にしてください。
現場に行くことを厭い机上の空論を好む人
生産技術の答えは、会議室ではなく現場にあります。
油の匂いや機械の騒音がする工場に入り、作業着を着て、油まみれになって機械を調整することも仕事の一部です。
そのため、「現場は暑くて汚いから行きたくない」「デスクワークだけで完結させたい」と考える人には、生産技術職は全く向いていません。
現場を見ずにデータや理屈だけで指示を出そうとするエンジニアは、現場の作業者から嫌われ、協力が得られなくなります。
泥臭い現場仕事への抵抗感が強い人は避けた方が無難です。
また、物理的な現象を扱うため、シミュレーション通りにいかないことが多々あります。
「計算上は合っているのに」と現実を否定するのではなく、目の前で起きている事象を受け入れて対策を練る姿勢が必要です。
理論的な美しさよりも、泥臭くても「実際にモノができること」を優先できない人は、実務の中で大きなストレスを感じることになります。
リアリティのあるモノづくりに向き合えない人には厳しい環境です。
変化を嫌いルーチンワークだけをしたい人
生産技術職のミッションは「現状維持」ではなく「進化」です。
より安く、より良く作るために、昨日のやり方を否定して、今日新しいやり方を導入することが求められます。
そのため、変化を嫌い、決まった手順を淡々とこなすだけの仕事を好む人には不向きです。
常に新しい技術を勉強し、新しい設備を導入し、作業手順を変えていくという変化の激しい環境に適応できなければなりません。
また、生産ラインの立ち上げ時期などは業務負荷が高くなり、スケジュールも流動的になります。
定時で帰って決まった生活リズムを守りたいという希望が強すぎる場合、プロジェクトの進捗によってはそれが叶わないこともあります(もちろん企業によりますが)。
予測不能なトラブルや急な仕様変更に対応することに過度なストレスを感じる人、安定と静寂を何よりも重視する人は、生産管理や品質管理など、比較的ルーチン化しやすい職種を検討するのも一つの手です。
一人で黙々と作業することにこだわりすぎる人
研究職やプログラマーのように、一人で集中して作業する時間が長い職種とは異なり、生産技術職は業務時間の多くを「人との対話」や「現場での調整」に費やします。
自分一人で完結できる仕事はほとんどありません。
そのため、人との関わりを極力避けたい人や、自分のペースを乱されるのが許せない人にとっては、非常にストレスフルな環境となります。
他者との協働が前提となる仕事だからです。
特に、現場の作業者や設備メーカーなど、多様なバックグラウンドを持つ人たちとコミュニケーションを取る必要があります。
相手の理解度に合わせて説明を変えたり、時には感情的な対立を収めたりすることも求められます。
「技術的なことだけをやっていたい」「人間関係の調整は面倒だ」と考える人は、生産技術職として成果を出すことは難しく、孤立してしまう可能性があります。
チームプレイよりも個人プレイを極めたい人は、別の道を模索すべきでしょう。
【生産技術職の志望動機】志望動機を作成する際のポイント
生産技術職の志望動機を作成する際は、「なぜモノづくりなのか」「なぜ研究開発ではなく生産技術なのか」という点を明確にする必要があります。
多くの理系学生が研究職を第一志望にする中で、あえて生産技術を選ぶ理由を論理的に語れるかどうかが、採用担当者の評価を分けるポイントになります。
単なる「消去法」ではなく、生産技術ならではの魅力に惹かれていることをポジティブに伝えることが大切です。
ここでは、説得力のある志望動機を構成するための4つの重要ポイントを解説します(1つは構成案に記載、残りは補完しています)。
これらを意識してエントリーシートや面接の準備を進めることで、本気度と適性を効果的にアピールできるようになります。
自分の経験や価値観を深掘りし、企業が求める人物像とリンクさせていきましょう。
なぜ「生産技術職」かを明確にする
最も重要なのは、研究開発や製品設計との違いを理解した上で、生産技術を選んだ理由を語ることです。
「実験室での実験よりも、実社会で製品が量産されるプロセスに興味がある」「アイデアを形にするだけでなく、それをビジネスとして成立させるための工夫(コストダウンや効率化)に面白さを感じる」といった視点が有効です。
例えば、学生時代の実験や実習で、装置を工夫して効率を上げた経験や、チームで協力して一つのものを作り上げた経験など、生産技術的な視点を持った原体験を盛り込むと説得力が増します。
また、生産技術が「経営に近い」という点や「多くの人を巻き込む」という点に触れるのも良いでしょう。
「技術力だけでなく、人間力やマネジメント力も磨きたい」という成長意欲を示すことで、将来のリーダー候補としての期待感を持たせることができます。
「量産化」という壁を乗り越えることへの情熱を伝えてください。
その企業ならではの「モノづくり」への共感を示す
「生産技術がやりたい」だけでは、「他のメーカーでもいいよね」と言われてしまいます。
その企業が扱っている製品(自動車、食品、化学素材、半導体など)や、その企業独自の生産方式(トヨタ生産方式、セル生産方式など)、あるいは工場の特徴(スマートファクトリー、環境配慮型工場など)についてリサーチし、具体的な興味・関心を示しましょう。
「御社の〇〇という製品の緻密な構造を、量産レベルで実現している技術力に感銘を受けた」といった具体的な言及が必要です。
企業のウェブサイトや採用ページだけでなく、可能であれば工場見学に参加したり、OB・OG訪問を行ったりして、現場の雰囲気やこだわりを肌で感じておくことが理想です。
「何を作っているか」だけでなく「どう作っているか」に注目して企業研究を行うことで、生産技術職としての志望度の高さを示すことができます。
課題解決力やコミュニケーション能力をアピールする
生産技術職は、技術的な知識以上に、トラブル解決能力や対人折衝能力が重視されます。
学生時代の経験(研究、アルバイト、部活動など)を通じて、困難な課題に直面した際にどのように原因を分析し、周囲と協力して解決したかというエピソードを盛り込みましょう。
特別な成功体験である必要はありません。
「地道な作業を改善して効率化した」「意見の合わないメンバーの間に入って調整した」といったプロセスの工夫が評価されます。
特に、失敗から学んだ経験や、粘り強く取り組んだ経験は好印象です。
「うまくいかない時にどう動くか」という人間性が、生産技術の現場では最も問われるからです。
自分の強みが、工場の現場で起こる様々な問題を解決する上で再現性があることをアピールしてください。
入社後のキャリアビジョンを具体的に描く
最後に、入社後にどのような生産技術者になりたいかという将来像を提示します。
「まずは現場を知り、将来的には海外工場の立ち上げを任されるようになりたい」「新しい自動化技術を導入して、工場の生産性を倍増させたい」など、具体的で前向きなビジョンを語りましょう。
これは、長く働き続ける意思があることを示すとともに、仕事内容を正しく理解していることの証明にもなります。
また、ジェネラリストとして工場全体のマネジメントを目指すのか、スペシャリストとして特定の加工技術を極めたいのか、自分の志向性に合わせて語ると良いでしょう。
ただし、独りよがりな夢ではなく、あくまで会社の利益や成長に貢献する形でのビジョンであることを忘れないでください。
【生産技術職の志望動機】志望動機を伝える際の注意点
生産技術職への熱意を伝えるつもりでも、表現や認識のズレによっては逆効果になってしまうことがあります。
特に、職種の定義を誤解していたり、技術者としての視点が欠けていたりすると、「勉強不足」「適性なし」と判断されるリスクがあります。
面接官の多くは現場経験のあるベテランエンジニアであるため、上辺だけの言葉や的ハズレなアピールは見透かされてしまいます。
ここでは、生産技術職志望者が陥りがちな3つの失敗パターン(注意点)を解説します。
これらを避けることで、よりプロフェッショナルで、信頼感のある志望動機を作成することができます。
自分の書いた文章を読み直し、これらのポイントに抵触していないか、客観的な視点でチェックする習慣をつけましょう。
どの企業・組織でも通じる内容にしない
「モノづくりが好きだから」「社会貢献したいから」といった抽象的な理由は、どのメーカーのどの職種でも言えることです。
これでは志望動機として弱すぎます。
必ず「その企業の生産技術職」でなければならない理由を盛り込んでください。
扱っている製品の特性や、その企業の抱えている課題(例:EVシフトへの対応、省人化の推進など)に触れ、自分のやりたいこととリンクさせましょう。
固有名詞や具体的な技術名を入れることで、オリジナルな志望動機になります。
製造職(技能職)と混同していないか注意する
よくある間違いが、実際にラインに入って製品を組み立てる「製造職(オペレーター)」と、生産技術職を混同してしまうことです。
「自分の手で製品を組み立てたい」「コツコツ作業するのが好き」といったアピールをしすぎると、「それは製造職の仕事だね」と言われてしまいます。
生産技術職は、組み立てる「仕組み」や「工程」を作る仕事です。
「作る」ことそのものではなく、「作り方を考える」「作る環境を整える」ことに興味があるというスタンスを崩さないようにしましょう。
プレイヤーではなく、プロデューサーや監督のような立場であることを意識して志望動機を構成してください。
独りよがりな技術論にならないようにする
理系学生にありがちなのが、自分の研究内容や専門知識をアピールしたいあまり、専門用語を羅列した難解な志望動機になってしまうことです。
もちろん専門性は評価されますが、生産技術職は「技術を使って会社に貢献すること」が目的です。
技術そのものへのこだわりが強すぎると、「研究職の方がいいのでは?」「コスト意識がなさそう」と懸念される可能性があります。
技術はあくまで手段であり、目的は「高品質・低コスト・短納期」の実現にあることを忘れないでください。
「この技術を使いたい」ではなく、「この技術を使って生産効率を上げたい」というビジネス視点を持った伝え方を心がけましょう。
相手に伝わる言葉で話すことは、生産技術者に必須のコミュニケーション能力の一部とみなされます。
【生産技術職の志望動機】生産技術職の志望動機例文
最後に、これまでのポイントを踏まえた具体的な志望動機の例文を3つ紹介します。
それぞれ「プロセスへの興味」「改善経験のアピール」「グローバル志向」という異なる切り口で作成しています。
これらはあくまでサンプルのため、そのまま使うのではなく、自分の経験や言葉に合わせてカスタマイズしてください。
あなたの熱意と適性が伝わる、あなただけの志望動機を作り上げてください。
例文1:プロセス設計への興味・効率化(300字程度)
私は「世界一の品質を、世界一効率的に作る」仕組みづくりに挑戦したく、貴社を志望します。
大学の研究で実験装置を自作した際、配線や配置を工夫することで作業時間を半分に短縮し、実験精度も向上させた経験から、プロセスを最適化する面白さに目覚めました。
貴社は多品種少量生産において業界屈指の自動化ラインを持っており、その技術力と生産体制へのこだわりに強く惹かれています。
私の強みである「現状を疑い改善点を見つける観察力」を活かし、貴社の生産ラインにおけるボトルネックを解消し、コスト競争力の強化に貢献したいと考えています。
将来的には、スマートファクトリー化のプロジェクトを主導できる技術者を目指します。
例文2:現場での対話・課題解決(300字程度)
私は、現場と一体となって課題を解決し、企業の成長を支える生産技術者になりたいと考えています。
居酒屋のアルバイトリーダーとして、厨房とホールの連携ミスを減らすためにオペレーションを見直し、スタッフ全員と対話を重ねて新ルールを定着させました。
この経験から、仕組みを変えるには技術だけでなく、人の納得感が不可欠であることを学びました。
貴社の「現場主義」という理念に深く共感しており、私の「周囲を巻き込む調整力」は、生産現場でのトラブル解決や新ライン立ち上げにおいて最大限に発揮できると確信しています。
現場の声に耳を傾け、働く人にとっても製品にとっても最適な環境を構築したいです。
例文3:グローバル展開・新拠点立ち上げ(300字程度)
貴社の製品を世界中に届けるための架け橋となりたく、志望いたしました。
私はバックパッカーとして新興国を旅した際、現地のインフラの脆弱さを目の当たりにし、日本のモノづくりの品質と信頼性の高さを再認識しました。
貴社は今後、東南アジアでの生産拠点拡大を掲げており、その挑戦に私の専攻である機械工学の知識と、語学留学で培った「異文化適応力」を活かしたいと考えています。
国や文化が違っても、高品質な製品を安定して供給できる生産ラインを構築することは、エンジニアとしての最大のやりがいだと感じます。
まずは国内工場で基礎を固め、将来的には海外工場の立ち上げ責任者として活躍したいです。
まとめ
生産技術職の志望動機を作成するためには、まずこの仕事が「研究開発と製造現場をつなぐ翻訳者」であり、「会社の利益を創出するエンジニア」であることを正しく理解することが出発点です。
その上で、なぜ自分がその役割を担いたいのか、なぜその企業でなければならないのかを、具体的なエピソードと共に論理的に伝える必要があります。
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