【例文あり】社内SEの志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

【例文あり】社内SEの志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

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【社内SEの志望動機】社内SEとは

IT業界にはさまざまな職種が存在しますが、その中でも特に就活生から高い人気を誇るのが「社内SE(社内システムエンジニア)」です。

一般的なSE(システムエンジニア)が、顧客(クライアント企業)から依頼を受けてシステムを開発・提供するのに対し、社内SEは「自社の社員」をクライアントとし、自社の情報システム部門に所属してIT環境を整備・運用する仕事を指します。

自社のビジネスをITの力で支え、発展させることが最大のミッションです。

SIer(システムインテグレーター)などのエンジニアが「技術を提供して対価を得る」ビジネスモデルである一方、社内SEは「自社の利益を最大化するための手段としてITを活用する」という立ち位置の違いがあります。

そのため、技術力だけでなく、自社の業務知識や経営的な視点も求められる奥深い職種です。

「誰のために仕事をしているのか」が明確であり、組織への帰属意識を持ちやすい点が特徴です。

まずは、具体的な業務内容や特徴を理解し、イメージを固めていきましょう。

自身のキャリアプランと社内SEの働き方が合致しているかを確認することが重要です。

社内SEの業務内容

社内SEの業務範囲は非常に広く、企業規模や方針によって大きく異なりますが、基本的には「自社のITに関わるすべて」を担当します。

大きく分けると「企画・戦略立案」「開発・構築」「運用・保守」「ヘルプデスク(サポート)」の4つの柱があります。

まず「企画・戦略立案」では、経営課題や現場の要望をヒアリングし、「どのようなシステムを導入すれば業務効率が上がるか」「DX(デジタルトランスフォーメーション)をどう進めるか」を検討します。

これは経営戦略に直結する上流工程であり、社内SEの醍醐味の一つです。

「開発・構築」では、実際にシステムの要件定義を行い、開発を進めます。

ただし、プログラミング自体は外部のベンダー(協力会社)に委託し、その進捗管理や品質管理(ベンダーコントロール)を行うケースも多いです。

そして、最も多くの時間を割くことが多いのが「運用・保守」と「ヘルプデスク」です。

稼働中のシステムが止まらないように監視し、トラブル時には復旧作業を行います。

また、「パソコンが動かない」「メールが送れない」といった社員からの問い合わせに対応するヘルプデスク業務も重要な仕事です。

さらに近年では、セキュリティ対策やIT資産管理、社員へのIT教育なども任される傾向にあります。

技術的な作業だけでなく、社内の調整や教育といった対人業務も多いのが実情です。

「何でも屋」として柔軟に対応する姿勢が求められる職種と言えます。

社内SEの特徴

社内SEの最大の特徴は、ユーザー(システム利用者)が「同じ会社の仲間」であるという点です。

顧客とベンダーというビジネスライクな関係ではなく、同じ目標に向かう同僚としてコミュニケーションを取るため、距離感が非常に近いです。

廊下ですれ違った際に「この間のシステム、使いやすかったよ」と声をかけられることもあれば、逆に「ここが使いにくいから直して」と率直な意見をもらうこともあります。

また、システムの一生(ライフサイクル)に長く関われる点も大きな特徴です。

SIerの場合、システムを納品したらプロジェクト解散となり、次の現場へ移ることが一般的ですが、社内SEは導入後の運用、改修、そして数年後のリプレース(入れ替え)まで、一つのシステムを長期的に育てていくことができます。

自分が導入したシステムがどのように使われ、会社にどんな効果をもたらしたかを最後まで見届けることができるのです。

勤務環境の面では、自社内での開発や運用が中心となるため、客先常駐(SES)のような転勤や出向が少ない傾向にあります。

また、納期やスケジュールの調整に関しても、相手が社内であるため、外部顧客相手の仕事に比べれば融通が利きやすい側面があります(もちろん、トラブル対応などの緊急業務はありますが)。

腰を据えて自社の成長にコミットできる環境は、安定したキャリア形成を望む人にとって大きなメリットとなります。

【社内SEの志望動機】社内SEの魅力

社内SEが就活生に人気なのは、単に「転勤が少なそう」「安定していそう」という理由だけではありません。

エンジニアとしての専門性を活かしつつ、事業会社の一員としてビジネスの成長にダイレクトに貢献できるという、他のエンジニア職にはない独自のやりがいがあるからです。

「技術」と「ビジネス」の両方の視点を持って働ける点は、将来的にも市場価値の高い人材へと成長できる可能性を秘めています。

また、外部のクライアントに振り回されることなく、自社の仲間と協力して最適解を追求できる環境は、チームワークを重視する人にとって非常に魅力的です。

ここでは、社内SEとして働くことで得られる具体的なメリットややりがいについて、3つのポイントに絞って解説します。

なぜSIerではなく社内SEなのかという核心部分を深掘りし、面接官に響くポジティブな動機を見つけていきましょう。

ユーザー(社員)の反応がダイレクトに返ってくる

社内SEにとってのユーザーは、隣の部署にいる営業担当者や、同じフロアの事務スタッフなど、顔の見える社員たちです。

自分が導入に関わったツールによって「残業が減った」「作業が楽になった」といった感謝の言葉を直接聞けることは、何よりのモチベーションになります。

SIerのエンジニアの場合、エンドユーザーの顔が見えにくく、納品後の反応を知る機会が限られることも多いため、このフィードバックの近さと速さは社内SEならではの特権です。

もちろん、感謝だけでなく厳しい意見をもらうこともありますが、それも含めて改善のヒントになります。

「もっとこうしてほしい」という要望を即座に反映し、システムをより良くしていくプロセスを、ユーザーと二人三脚で進めることができます。

自分が組織の役に立っているという貢献実感を日々味わいながら働けるため、「誰のために仕事をしているか」を見失うことなく、高い意欲を持って業務に取り組むことができます。

上流工程から携わり自社の成長に貢献できる

社内SEは、システム開発の最上流工程である「企画」の段階からプロジェクトに参画します。

「今の会社の課題は何か」「それを解決するためにITで何ができるか」を経営層や現場と一緒になって考え、ゼロからシステムを構想することができます。

単に仕様書通りにプログラムを書くのではなく、「なぜ作るのか」という本質的な部分から関われるため、視座の高い仕事ができます。

また、自社のビジネスモデルや業務フローを深く理解した上で、IT戦略を立案・実行することで、会社の利益向上や競争力強化に直接貢献できます。

例えば、営業支援システムを導入して売上アップに寄与したり、RPA(ロボットによる業務自動化)を導入してコスト削減を実現したりと、自分の仕事の成果が会社の業績として数字に表れることもあります。

エンジニアでありながら経営企画に近い視点を持ち、自社の成長エンジンとなれるやりがいは、社内SEならではの魅力です。

納期調整がしやすくワークライフバランスを整えやすい

一般的にIT業界は残業が多く、激務になりがちというイメージがありますが、社内SEはその中でも比較的ワークライフバランスを調整しやすい職種と言われています。

その最大の理由は、クライアントが社内であるため、納期の調整が利きやすいからです。

外部顧客が相手の場合、契約上の納期は絶対であり、何があっても守らなければなりませんが、社内プロジェクトであれば、トラブルや要件変更が発生した場合に、関係部署と相談してスケジュールを見直すことが可能です。

もちろん、システムトラブル時や大規模なリプレース時期などは多忙を極めますが、それ以外の時期は自身の裁量で業務をコントロールしやすく、有給休暇の取得や定時退社もしやすい環境にある企業が多いです。

また、自社勤務が基本であるため、客先常駐のように勤務地や職場環境が頻繁に変わるストレスもありません。

メリハリをつけて働き、プライベートも充実させたいと考える人にとって、持続可能なキャリアを築きやすい環境であると言えます。

【社内SEの志望動機】社内SEに向いている人

社内SEは技術職ではありますが、プログラミングスキルさえ高ければ務まるというわけではありません。

むしろ、技術力以上に「人間力」や「調整力」が問われる場面が多くあります。

社内のさまざまな立場の人と関わり、彼らの課題をITで解決へと導くプロセスには、高度なコミュニケーション能力が必要不可欠です。

企業は、技術オタクではなく、組織の一員として周囲と協調できる人物を求めています。

自分が社内SEに向いているかどうかを見極めるためには、これまでの経験や性格を振り返り、社内SEの業務特性とマッチするかを確認する必要があります。

ここでは、社内SEとして活躍できる人の特徴を3つ紹介します。

これらに当てはまる強みがあれば、それは強力なアピールポイントになります。

技術への興味と対人スキルをバランスよく持っているか、自己分析してみましょう。

相手のITレベルに合わせたコミュニケーションができる人

社内SEが接する相手の多くは、ITの専門家ではない一般社員です。

営業、経理、総務など、ITリテラシーの高さは人それぞれ異なります。

そうした相手に対して、専門用語を並べ立てて説明しても伝わりません。

「サーバーがダウンしました」ではなく「データの倉庫への道が塞がってしまったので、今別の道を通しています」といったように、相手が理解できる言葉に噛み砕いて説明する翻訳能力が求められます。

また、現場からの要望をヒアリングする際も、相手が何を求めているのかを正確に引き出す傾聴力が必要です。

「使いにくい」という漠然とした不満から、具体的な改善点を掘り起こし、技術的な要件に落とし込む力は、社内SEにとって最重要スキルの一つです。

相手の立場に立って物事を考え、親身になって対応できるホスピタリティがある人は、現場から信頼される社内SEになれます。

「技術の話を分かりやすく伝える力」は、社内SEの最大の武器です。

1つのシステムを長期的に育て上げたい人

新しい技術を使って次々と違うシステムを作っていくことよりも、1つのシステムに愛着を持って長く関わり、改善を繰り返してより良いものに育てていくことに喜びを感じる人は、社内SEに向いています。

社内SEの仕事は、導入して終わりではありません。

むしろ導入してからが本番であり、日々の運用の中で見つかる課題を修正し、変化する業務に合わせて機能を追加していく地道な作業が続きます。

自分の作ったシステムが、時間の経過とともに社内に浸透し、なくてはならないインフラとして定着していく様子を見守ることができるのは、この職種ならではの喜びです。

飽きっぽくなく、物事にじっくりと腰を据えて取り組める継続力がある人や、既存のものを改善・改良していくプロセスが好きな人は、高い適性を持っています。

システムを「作品」ではなく、会社を動かす「臓器」のように捉え、大切に守り育てられるマインドが求められます。

幅広い業務に興味を持ち、調整役を楽しめる人

社内SEは「何でも屋」になりがちだと前述しましたが、これをネガティブに捉えず、ポジティブに楽しめる人は非常に向いています。

システム開発だけでなく、PCのセットアップ、備品管理、ベンダーとの価格交渉、社内研修の講師など、業務は多岐にわたります。

特定の技術領域だけに特化したいというよりも、ITに関わることなら何でも経験してみたいという好奇心旺盛なゼネラリスト志向の人に適しています。

また、現場の「こういう機能が欲しい」という要望と、経営層の「予算を抑えろ」という要望の板挟みになることもあります。

こうした利害関係の異なる人たちの間に入り、双方を納得させる調整役としての動きも必要です。

人と関わることが苦にならず、むしろ異なる意見をまとめて合意形成することに達成感を感じる人は、社内SEとして重宝されます。

技術以外の「泥臭い仕事」にも価値を見出せる柔軟性が、活躍の鍵となります。

【社内SEの志望動機】社内SEに向いていない人

社内SEは魅力的な職種ですが、すべてのエンジニア志望者にとって理想的な環境というわけではありません。

特に「エンジニア=プログラミング」というイメージを強く持っている場合、入社後に「思っていた仕事と違う」というリアリティショックを受ける可能性があります。

ミスマッチを防ぐためには、社内SEのネガティブな側面や、求められない資質についても知っておくことが重要です。

もし以下の特徴に強く当てはまる場合は、社内SEではなく、SIerの開発職やWeb系企業のエンジニア、あるいは研究職などを検討した方が、幸せなキャリアを築けるかもしれません。

自分の志向性と職種の実態にズレがないか、冷静に判断するためのチェックリストとして活用してください。

「何をしたくないか」を知ることも、正しい職種選びの第一歩です。

最新技術だけに特化して開発に没頭したい人

「一日中コードを書いていたい」「常に最先端の技術を使いたい」という技術至上主義の人は、社内SEにはあまり向いていません。

企業によっては、システムの開発自体は外部ベンダーに委託(アウトソーシング)し、社内SEは要件定義や進捗管理などのマネジメント業務に専念するケースが多いからです。

自分で手を動かしてプログラミングをする機会が、想像よりも少ない可能性があります。

また、社内システムには、数年〜十数年前に作られた古い技術(レガシーシステム)が使われていることも多く、最新の言語やフレームワークを導入したくても、コストやリスクの観点から見送られることがあります。

「技術力を高めること」自体が目的化している人にとっては、技術的な挑戦がしにくい環境にストレスを感じるでしょう。

技術はあくまで「手段」と割り切り、ビジネスへの貢献を第一に考えられない人は、社内SEとしてのやりがいを感じにくいかもしれません。

様々な企業のプロジェクトを渡り歩きたい人

社内SEが担当するのは、基本的に「自社」のシステムのみです。

SIerのように、数ヶ月〜数年単位で異なる業界のクライアントを担当し、さまざまなプロジェクトを経験することはできません。

一つの業界、一つの企業の業務知識を深めていくことになるため、多様な環境で刺激を受け続けたい人や、幅広い業界の知識を得たい人には、変化が乏しく退屈に感じられるリスクがあります。

もちろん、自社内でも部署ごとのシステムなど違いはありますが、企業文化や基本的なビジネスルールは同じです。

「飽きっぽい」性格の人や、常に新しい環境に身を置いてリフレッシュしたいタイプの人には不向きです。

特定の領域に深く根を張り、組織の内側からじっくりと変革していくことに価値を感じられない場合は、プロジェクト単位で動くSIerやコンサルタントの方が適しています。

ユーザー対応や雑務を「自分の仕事ではない」と感じる人

前述の通り、社内SEにはヘルプデスク業務やIT関連の雑務(PCのキッティング、プリンターのトナー交換、配線整理など)も含まれます。

これらを「エンジニアの仕事ではない」「誰でもできる雑用だ」と見下してしまう人は、社内SEとしては失格です。

社員が困っている時に、「それは私の担当ではありません」と突き放すような態度は、社内での信頼を損ないます。

「マウスが動かない」といった初歩的な問い合わせに対しても、嫌な顔をせずに丁寧に対応できるホスピタリティが必要です。

技術的に高度なことだけをやりたいというプライドが高すぎる人や、泥臭いサポート業務を軽視する人は、周囲とうまくやっていくことができません。

社内SEは「サービス業」の側面も持っているため、奉仕の精神を持てない人には苦痛な職場となるでしょう。

【社内SEの志望動機】志望動機を作成する際のポイント

社内SEの志望動機を作成する際、多くの学生が陥りやすいのが「SIerとの差別化ができていない」ことと、「なぜその会社なのかが曖昧」であることです。

「御社の社風が良いから」「ITで貢献したいから」といった理由は、どの会社でも言えることであり、採用担当者の心には響きません。

倍率の高い社内SEの内定を勝ち取るためには、戦略的な志望動機の構成が必要です。

ここでは、説得力のある志望動機を作るための4つのポイントを紹介します。

これらを意識して構成を練ることで、単なる「安定志向の学生」ではなく、「自社の課題を解決してくれる将来のコア人材」として評価されるようになります。

自分の経験と企業のニーズをリンクさせ、論理的にアピールしましょう。

なぜ「社内SE」かを明確にする

まず、「なぜ技術職の中でも社内SEを選んだのか」を明確に語る必要があります。

SIerやWebエンジニアと比較して、社内SEならではのどの部分に魅力を感じたのかを言語化しましょう。

「顧客としてではなく、当事者として自社の課題解決に取り組みたい」「システムの企画から運用まで一貫して携わり、成果を見届けたい」「社員の方々と深い信頼関係を築きながらサポートしたい」など、当事者意識や長期的な関わりをキーワードにすると効果的です。

自身の原体験(部活のマネージャー経験や、アルバイトでの業務改善経験など)と結びつけ、「自分は裏方として組織を支え、仲間から感謝されることに喜びを感じる人間だ」ということを証明できると、説得力が格段に増します。

消去法ではなく、積極的な理由で選んでいることを伝えてください。

なぜ「その業界・その企業」なのかを深掘りする

社内SEは、ITスキルを使って「その会社の本業」を支える仕事です。

したがって、ITへの興味だけでなく、その会社のビジネスそのものへの興味・関心を示すことが不可欠です。

例えば、物流会社の社内SEなら「ITの力で物流の2024年問題を解決したい」、食品メーカーなら「安全な商品を届けるための品質管理システムを強化したい」といった具体性が必要です。

「ITができればどの業界でもいい」と思われないよう、その企業の理念や事業内容に共感していることを熱く語りましょう。

企業研究を徹底し、その会社が現在抱えている課題や、今後注力しようとしているDX戦略などを調べ上げ、「御社のビジネスをITで加速させたい」というメッセージを打ち出してください。

「技術力」だけでなく「人間力・調整力」をアピールする

社内SEの選考では、技術力以上にコミュニケーション能力や調整力が重視される傾向にあります。

志望動機や自己PRでは、プログラミング経験のアピールだけに終始せず、「人と関わって問題を解決した経験」を盛り込むようにしましょう。

「チームの意見が割れた時に調整役として奔走した」「初心者に分かりやすく教える工夫をした」「相手の立場に立って提案を行い、協力を得た」といったエピソードは、社内SEとしての適性が高いと判断される材料になります。

「この人なら、現場の社員とうまくやっていけそうだ」と面接官にイメージさせることが重要です。

技術は入社後に学べますが、人間性は簡単には変えられないため、ここが大きな差別化ポイントになります。

入社後のキャリアビジョン(DX推進など)を提示する

「入社して何をしたいか」というビジョンを語ることで、志望度の高さと成長意欲を示すことができます。

特に最近は、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。

「RPAを活用して事務作業を自動化したい」「チャットツールを導入して社内コミュニケーションを活性化したい」など、具体的な改善案や挑戦したいテーマを提示できるとベストです。

また、「将来的には、経営視点を持ったIT戦略の立案者になりたい」「現場と経営の橋渡し役になりたい」といった長期的なキャリアビジョンも添えましょう。

単にシステムを守るだけでなく、ITを使って会社を良くしていこうという能動的な姿勢を見せることで、将来のリーダー候補として期待されます。

【社内SEの志望動機】志望動機を伝える際の注意点

社内SEは人気職種であり、採用枠も少ないため、些細な失言やネガティブな印象が合否を分けることがあります。

特に、社内SEに対する「誤ったイメージ」に基づいた志望動機は、採用担当者に「この学生はうちの仕事を理解していない」「やる気がなさそうだ」と判断される原因になります。

ここでは、志望動機を伝える際に絶対に避けるべきNGポイントや、注意すべき表現について解説します。

これらを意識してエントリーシートや面接の回答を見直すことで、リスクを最小限に抑え、好印象を与えることができます。

無意識のうちに評価を下げる表現を使っていないか、客観的にチェックしてみましょう。

どの企業・組織でも通じる内容にしない

「貴社の安定性に惹かれました」「福利厚生が充実しているため志望しました」といった条件面ばかりを挙げるのはNGです。

また、「ITで社会貢献したい」といった抽象的な理由も、どの企業でも言えるため響きません。

必ず「その企業ならではの要素」(具体的な商品名、独自のサービス、社風、経営理念など)を盛り込みましょう。

例えば、「御社の〇〇という製品は私の生活に欠かせないものであり、その製造・販売をITの側面から支えることに誇りを感じる」といったように、その会社でなければならない必然性を語る必要があります。

コピペしたような志望動機は、何百通ものESを見ている採用担当者にはすぐに見抜かれます。

「楽ができそう」という消極的な動機に見せない

社内SEに対して「SIerより残業が少なくて楽そう」「納期に追われなさそう」というイメージを持っている学生もいますが、これをそのまま志望動機にするのは厳禁です。

企業は「楽をしたい人」ではなく「会社に貢献してくれる人」を採用したいと考えています。

「まったり働きたい」という本音が見え隠れすると、即座に不採用になります。

ワークライフバランスに触れる場合でも、「メリハリをつけて働き、自己研鑽の時間を作って業務に還元したい」「長く腰を据えて働くことで、深い業務知識を身につけたい」といった、あくまで仕事のパフォーマンスを高めるための手段としてポジティブに言い換える工夫が必要です。

仕事への熱意や向上心を疑われないような表現を心がけてください。

「開発だけしたい」という職種誤認を避ける

「プログラミングが大好きで、一日中コードを書いていたいから社内SEになりたい」というのも、ミスマッチを引き起こす典型的な例です。

前述の通り、社内SEは開発以外の業務(調整、企画、サポートなど)が多くの割合を占めます。

「開発専門のエンジニア」を求めている企業は少なく、多くの場合は「ジェネラリスト」を求めています。

技術への興味を示すことは大切ですが、それと同時に「人との関わり」や「ビジネスへの貢献」にも興味があることをバランスよく伝える必要があります。

「技術を使って人の役に立ちたい」「技術を手段として課題解決をしたい」というスタンスを示し、開発以外の業務にも意欲的に取り組む姿勢をアピールしましょう。

【社内SEの志望動機】社内SEの志望動機例文

最後に、これまでの解説を踏まえた社内SEの志望動機例文を3パターン紹介します。

それぞれ異なるアピールポイント(ユーザー貢献、DX推進、企業理念)を軸に構成しています。

これらをそのまま使うのではなく、自分の経験や言葉に置き換えてアレンジするための参考として活用してください。

例文を読む際は、「結論→理由・エピソード→入社後の貢献」という構成の流れや、社内SE特有のキーワード(当事者意識、業務効率化、現場目線など)の使い方に注目してみましょう。

具体的でイメージしやすい内容を目指して、ブラッシュアップしていきましょう。

例文1(ユーザー貢献・コミュニケーション重視)

私が貴社の社内SEを志望するのは、「顔の見える仲間をITで支え、組織の力を最大化したい」と強く考えるからです。

大学時代、塾講師のアルバイトで、手作業だった生徒の成績管理をExcelのマクロで自動化するツールを作成しました。

同僚の講師から「作業時間が半分になって助かった、ありがとう」と感謝された時、自分の技術が身近な人の役に立つことに大きな喜びを感じました。

この経験から、ユーザーとの距離が近く、反応をダイレクトに感じられる社内SEという職種に魅力を感じています。

貴社は「社員の挑戦を応援する」という風土があり、ITによる業務環境の改善に積極的だと伺いました。

入社後は、持ち前のコミュニケーション能力を活かして現場の潜在的なニーズを引き出し、社員の皆様が本来の業務に集中できる快適なIT環境を構築することで、貴社の事業成長に貢献したいと考えています。

例文2(DX推進・業務効率化重視)

私は、ITを活用した業務プロセスの改善を通じて、貴社の生産性向上に貢献したいと考え、志望いたしました。

大学では情報工学を専攻し、プログラミングだけでなく、システム設計やプロジェクト管理についても学びました。

ゼミ活動では、地域の商店街向けに在庫管理アプリを開発・導入し、欠品率を20%削減することに成功しました。

この経験から、技術を課題解決の手段として活用し、実際のビジネス成果につなげることの面白さを学びました。

物流業界のリーディングカンパニーである貴社が、現在DXによる配送効率化を推進されている点に強く惹かれています。

私の強みである論理的思考力と新技術への探究心を活かし、既存システムの安定運用だけでなく、AIやIoTを活用した新たな物流システムの企画・構築にも挑戦し、貴社の更なる発展を技術面から支えていきたいです。

例文3(企業理念・業界への愛着重視)

私が貴社の社内SEを志望するのは、貴社の「食を通じて人々の健康に貢献する」という理念に深く共感し、その事業基盤をITの力で強固なものにしたいと考えたからです。

私は幼い頃から貴社の製品の大ファンであり、スポーツに打ち込んでいた時期には、貴社の栄養補助食品に何度も助けられました。

就職活動を進める中で、社内SEという職種を知り、ITスキルを持つ自分が最も情熱を注げる場所は、愛着のある貴社をおいて他にないと確信しました。

ITの専門知識は現在学習中ですが、部活動の主将として培った「周囲を巻き込むリーダーシップ」には自信があります。

入社後は、現場の社員の方々と密に連携を取りながら業務知識を貪欲に吸収し、将来的には経営と現場をつなぐIT戦略のキーパーソンとして、貴社の「食と健康」のミッションを支え続けたいと考えています。

まとめ

本記事では、社内SEの仕事内容や魅力、向き不向き、そして効果的な志望動機の作成ポイントについて解説してきました。

社内SEは、エンジニアとしての技術力と、ビジネスパーソンとしての調整力の両方が求められるやりがいの大きな仕事です。

「自社の仲間を支えたい」「ITで会社の成長に貢献したい」という熱い想いは、必ず採用担当者の心に響きます。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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