はじめに
企業の司令塔であり、社員が快適に働ける環境を整える「総務職」は、事務系職種の中でも特に人気が高く、毎年多くの就活生が志望します。
「誰かの役に立ちたい」「組織を支えたい」という想いを持つ学生にとって魅力的な仕事ですが、採用人数が少ない「狭き門」であることから、「高学歴でないと採用されないのではないか」と不安を抱く方も少なくありません。
特に大手企業では、総合職採用の一部として総務に配属されるケースが多く、その競争率は非常に高いのが現実です。
この記事では、総務職における学歴フィルターの有無や、採用現場の実態について包み隠さず解説します。
また、学歴以上に面接官が重視している「人物面」の評価ポイントや、学歴に自信がない方が取るべき具体的な対策についても紹介します。
総務職への道を切り拓くために、ぜひ参考にしてください。
【総務 学歴】学歴フィルターの実態
総務職における学歴フィルターについてですが、結論から言えば「企業規模によって状況は大きく異なる」ものの、大手企業を中心にある程度のハードルが存在することは否定できません。
なぜなら、総務職は営業職などに比べて採用人数が極端に少なく、若干名の募集に対して数百、数千のエントリーが集まることが珍しくないからです。
企業側は膨大な応募者を効率的に絞り込むために、初期段階で学歴を一つの基準として用いるケースがあります。
しかし、これはあくまで人気企業の話であり、中堅・中小企業やベンチャー企業においては、学歴よりも「人柄」や「実務への適性」が重視されます。
総務は全社員と関わる仕事であるため、組織に馴染めるキャラクターであるかどうかが、学歴以上に重要な採用基準となっているのが実態です。
【総務 学歴】出身大学の傾向と特徴
総務職として働く人々の出身大学は、企業の規模や業界によって多種多様です。
大手上場企業の管理部門(総務・人事・経理など)では、旧帝大や早慶上智、MARCH、関関同立といった難関私立大学の出身者が多く見られます。
これは、総合職として一括採用された高学歴層の中から、適性を見極められて総務に配属されるケースが多いためです。
一方で、中堅・中小企業の総務職に目を向けると、日東駒専や産近甲龍、女子大、地元の私立大学など、出身校のバリエーションは一気に広がります。
学部に関しては、法律知識を活かせる法学部や、組織論を学ぶ経営学部・商学部の出身者が比較的多い傾向にありますが、文学部や社会学部などの文系学部全般、さらには理系出身者も活躍しています。
つまり、特定の大学や学部を出ていなければなれない職業ではなく、幅広い層にチャンスが開かれている職種だと言えます。
【総務 学歴】学歴が話題になる理由
総務職の就職活動において「学歴」が頻繁に話題になるのは、単に人気があるからという理由だけではありません。
総務という仕事の特殊性や、企業内での立ち位置が、採用基準に影響を与えているからです。
なぜ総務職で学歴や基礎学力が重視されがちなのか、その背景を4つの視点で解説します。
圧倒的な高倍率による選考の厳格化
総務職は、営業職のように大量採用を行う職種とは異なり、どの企業でも採用枠はごくわずかです。
「若干名」の枠に対して、事務職志望の学生や安定志向の学生が殺到するため、倍率は数十倍から数百倍に跳ね上がります。
企業側としては、失敗のない採用をするために、応募者の中から「最も優秀であろう人物」を選ぼうとします。
その際、客観的でわかりやすい指標として学歴が利用されやすいのです。
特に新卒採用では実務経験がないため、受験勉強という課題をクリアしてきた「基礎的な努力量」や「地頭の良さ」を学歴で判断しようとする心理が働きます。
その結果、人気企業の総務職内定者が高学歴層に偏りやすいという現状が生まれています。
経営層と関わる機会が多く求められる「品位」
総務部は、株主総会の運営や取締役会の事務局、秘書的な業務など、社長や役員といった経営層と直接関わる業務を多く担当します。
そのため、経営陣の意図を正しく汲み取る理解力や、失礼のない言葉遣い、マナーといった「品位」が求められます。
また、社外の来客対応や慶弔対応など、会社の顔として振る舞う場面も多々あります。
こうした背景から、採用担当者は「経営陣の前に出しても恥ずかしくない人物か」「知性と教養を感じさせる人物か」という視点で学生を評価します。
伝統的な大企業ほどこの傾向は強く、結果として、一定レベル以上の学歴を持つ学生が好まれる雰囲気が醸成されていることがあります。
幅広い業務に対応できる「マルチタスク能力」
「総務は何でも屋」と言われるように、その業務範囲は多岐にわたります。
備品管理や施設管理といった定型業務から、社内規程の改定、福利厚生の整備、社内イベントの企画運営、さらにはトラブル対応まで、種類の異なる業務を同時並行で進めなければなりません。
次々と舞い込む依頼を整理し、優先順位をつけて処理していくためには、高い事務処理能力と論理的思考力が必要です。
学歴が高い学生は、複雑な情報を整理し、効率的に課題を解決するトレーニングを積んでいると期待されるため、マルチタスクが求められる総務の実務適性が高いと判断されやすいのです。
頭の回転の速さが、業務遂行能力に直結すると見なされる側面があります。
法的知識や文書作成能力が必要な「知的業務」
総務の仕事には、契約書の管理や社内規則の作成、コンプライアンス対応など、法律知識や正確な日本語能力を必要とする業務が含まれます。
労働法や会社法などの専門的な知識を一から学ぶ必要があり、また、全社員に向けて発信する通達文などは、誤解のない明確な文章で作成しなければなりません。
このように、総務の業務には「読む・書く・考える」という基礎的な知的リテラシーが不可欠です。
そのため、大学での学びを通じて論理的な文章力や法的な素養を身につけている可能性が高い上位大学の学生が、選考で有利になることがあります。
ミスが許されない文書を扱う責任の重さも、学力重視につながる要因の一つです。
【総務 学歴】学歴より重要な評価ポイント
学歴はあくまで「基礎能力の目安」に過ぎません。
実際の総務の現場で最も必要とされるのは、組織を円滑に動かすための人間力です。
採用担当者が学歴以上に注目し、合否の決め手としている4つの評価ポイントを紹介します。
組織の潤滑油となる「調整力とコミュニケーション能力」
総務は、部署と部署の間に立ち、利害関係を調整する役割を担います。
例えば、オフィスのレイアウト変更や新しいルールの導入を行う際、現場からの不満や要望を聞き入れつつ、会社の方針に沿って納得してもらうよう働きかける必要があります。
ここでは、一方的に指示を出すのではなく、相手の立場を尊重しながら合意形成を図る「調整力」が不可欠です。
面接では、サークルやアルバイトなどで、意見の対立するメンバーの間に入ってまとめ上げた経験や、チームのために汗をかいた経験が高く評価されます。
「この人なら社員みんなから愛され、頼られるだろう」と思わせる人柄は、学歴を凌駕する強力な武器になります。
社員を第一に考える「ホスピタリティとサポート精神」
営業職が顧客のために働くなら、総務職は「社員という顧客」のために働きます。
「電球が切れた」「空調が寒い」といった些細な問い合わせにも嫌な顔をせず対応し、社員が気持ちよく働ける環境を提供することに喜びを感じられるかが重要です。
華やかな成果が見えにくい仕事だからこそ、「誰かの役に立つことが自分のモチベーションになる」という真のホスピタリティが求められます。
面接官は、学生の過去の行動から「自分が目立つことよりも、チームの成功を支えることにやりがいを感じるタイプか」を見極めようとします。
「縁の下の力持ち」としての適性と覚悟を示すことが、内定への近道です。
些細なミスも見逃さない「正確性と几帳面さ」
総務の仕事には、株主総会の招集通知作成や、重要な契約書の押印管理、給与計算の補助など、一つのミスが会社の信用問題や法的リスクに発展する業務が含まれます。
そのため、大雑把な性格よりも、細かい数字や文字のチェックを苦にせず、正確に作業を完遂できる「几帳面さ」が重宝されます。
派手なアピールは苦手でも、約束に遅れない、提出物の期限を守る、誤字脱字がないといった「当たり前のことを完璧にこなす姿勢」は、総務職として非常に高い評価対象となります。
具体的なエピソードとして、地味な作業をコツコツと継続して成果を出した経験などを伝えると効果的です。
予期せぬ事態にも動じない「柔軟性と対応力」
総務には、日々想定外のトラブルが持ち込まれます。
備品の故障から、社員の体調不良、自然災害時の安否確認、近隣からのクレーム対応まで、マニュアル通りにいかない事態に直面することもしばしばです。
そんな時にパニックにならず、状況を冷静に判断して臨機応変に対応できる「柔軟性」が求められます。
決まったルーティンワークだけでなく、突発的な業務にも前向きに取り組めるタフさが必要です。
学歴が高くても頭が固く融通が利かない人より、変化を楽しみ、どんなボールでも打ち返せるバイタリティのある人の方が、現場では圧倒的に必要とされます。
【総務 学歴】学歴に不安がある人の対策
学歴に自信がないからといって、総務職を諦める必要は全くありません。
採用枠が少ないからこそ、戦略的に自分の価値をアピールし、他の学生と差別化することが重要です。
ここでは、学歴のハンデを覆して内定を勝ち取るための具体的な対策を4つ提案します。
実務に直結する「資格」で即戦力性をアピールする
総務の実務に役立つ資格を取得しておくことは、意欲と能力を証明する最もわかりやすい方法です。
例えば、経理知識も問われる総務では「日商簿記検定(2級以上)」が評価されますし、労働環境の管理に関わる「衛生管理者(第一種・第二種)」の知識も重宝されます(受験資格に実務経験が必要な場合もありますが、勉強していること自体がアピールになります)。
また、オフィスソフトのスキルを示す「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」も有効です。
これらの資格は、単なる知識の証明だけでなく、「総務という仕事に本気で就きたい」という熱意の裏付けとなります。
客観的なスキルを提示することで、学歴以外の判断材料を面接官に提供しましょう。
ITスキル・PCスキルを磨き「業務効率化」を提案する
現代の総務職には、業務効率化(DX)の推進役としての期待も高まっています。
紙文化が残る社内手続きをデジタル化したり、Excelのマクロを使って集計作業を自動化したりできる人材は、どの企業でも喉から手が出るほど欲しい存在です。
もし学歴に自信がなくても、「WordやExcel、PowerPointを使いこなせる」「新しいITツールに抵抗がない」という強みがあれば、それは大きな差別化要因になります。
学生時代にサークルの事務作業をITツールで効率化した経験や、Webサイトの運営経験などがあれば、積極的にアピールしましょう。
「この学生を採用すれば、職場の生産性が上がる」とイメージさせることが重要です。
採用ターゲットが広い「中堅・中小・ベンチャー」を狙う
大手企業の総務職は採用数が少なく、配属リスク(営業などに回される可能性)も高いですが、中堅・中小企業やベンチャー企業では「総務職」としてピンポイントで採用を行っている場合があります。
こうした企業では、学歴よりも「すぐに馴染んでくれそうか」「色々な仕事を兼務してくれるか」といった人物面や柔軟性が重視されます。
また、中小企業の総務は一人で担当する業務範囲が広いため、若いうちから経営に近い距離で幅広いスキルを身につけられるというメリットもあります。
あえて企業の規模にこだわらず、自分が活躍できるフィールドを探すことで、内定の確率は格段に上がります。
「サポート役」としての実績を具体的なエピソードで語る
面接では、「なぜ総務なのか」という志望動機に説得力を持たせることが不可欠です。
そのためには、過去の経験の中で「誰かを支えることに喜びを感じた瞬間」や「縁の下の力持ちとして組織に貢献した実績」を具体的に語る必要があります。
例えば、部活動のマネージャーとしてチームの環境作りをした経験、アルバイトでバックヤード業務を改善して店長に感謝された経験などです。
派手なリーダーシップ経験よりも、「他者のために行動できる献身性」や「目立たない場所での努力」をアピールしましょう。
自分の性格が総務の仕事にいかにフィットしているかを伝えることができれば、学歴の壁は乗り越えられます。
【総務 学歴】よくある質問
総務職を目指す就活生からよく寄せられる質問にお答えします。
新卒での配属の可能性や、有利な学部、キャリアパスなど、気になる疑問を解消して、自信を持って選考に臨んでください。
新卒でいきなり総務に配属されますか?
企業によりますが、大手企業の場合、新卒でいきなり総務に配属されるケースは比較的少ないのが現状です。
まずは営業や現場(店舗や工場など)で会社のビジネスの最前線を経験し、自社の事業内容を深く理解してから、数年後に総務へ異動となるパターンが一般的です。
これは、「現場を知らない人間が管理部門にいても、現場に即したサポートができない」と考えられているためです。
ただし、総務職別の採用を行っている企業や、中小企業では新卒から総務として働くことも可能です。
「将来的に総務になりたい」というキャリアプランを持ちつつ、ファーストキャリアは現場でも学ぶ姿勢を見せることが大切です。
法学部以外でも総務になれますか?
全く問題ありません。
確かに法学部出身者は法律用語への抵抗感が少なく、契約書チェックなどの業務で知識を活かしやすいですが、それが必須条件ではありません。
実際の現場では、経済学部、文学部、教育学部など、あらゆる学部の出身者が活躍しています。
総務の仕事に必要な法律知識や実務ノウハウは、入社後のOJTや研修、日々の業務を通じて身につけることができます。
学部にとらわれることなく、「なぜ総務の仕事をしたいのか」という意欲や、事務処理能力、コミュニケーション能力をアピールすることの方が重要です。
出身学部で可能性を狭める必要はありません。
男性でも総務職になれますか?
もちろん可能です。
かつては「一般職=女性=事務」というイメージがありましたが、現在は性別に関係なく採用が行われています。
特に、ファシリティマネジメント(施設管理)や株主総会運営、防災対策、コンプライアンス推進といった領域では、男性社員も数多く活躍しています。
また、将来的に管理部門のマネージャーや幹部候補として期待されるケースも多く、男性だから不利になるということはありません。
むしろ、力仕事やトラブル対応などで頼りにされる場面もあり、性別を問わず適性のある人が求められているのが現代の総務職です。
総務職で有利になる資格はありますか?
新卒採用において「必須」の資格はありませんが、持っていると評価されやすい資格はいくつかあります。
代表的なのは「日商簿記検定(2級以上)」です。
総務は経理業務を兼任することも多いため、数字に強いことは大きなプラスになります。
また、「衛生管理者」や「防火管理者」などは総務の実務に直結しますが、実務経験が必要な場合もあるため、学生のうちから取得するのは難しいかもしれません。
その他、法律系の「ビジネス実務法務検定」や、PCスキルを示す「MOS」などは、基礎能力の証明として有効です。
資格そのものよりも、資格取得に向けて努力したプロセスが評価されると考えましょう。
まとめ
総務職は、採用人数の少なさや業務の専門性から、大手企業を中心に一定の学歴基準が存在する場合があります。
しかし、それはあくまで選考の一要素に過ぎず、最も重視されるのは「調整力」「ホスピタリティ」「正確性」といった人間力と実務適性です。
特に中堅・中小企業では、学歴よりも組織へのフィット感が優先されます。
学歴に不安がある場合は、資格取得やITスキルの習得、サポート経験のアピールによって、即戦力としての価値を示すことが可能です。
総務は会社全体を支えるやりがいのある仕事です。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート











